明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
「あ、ヤクねこの彼ピにゃ」
泣き疲れて遊び疲れた越司丸(ヤクねこ)を部屋で寝かせて、玄関の鍵を閉めていたとき、タバコ臭さマックスの隣人、佐藤ヤニ子が現れた。
こいつ、いつも同じ服だな。
「彼ピゆうなて。佐藤(ヤニねこ)、また越司丸にタカりに来たのか?」
「んにゃあ、金が無いにゃ。彼ピが獣人好きならニャーも養ってほしいにゃ」
「アホゆうなて。オレは越司丸が好きだから付き合っているのであって獣人好きというわけではない」
「でも臭いフェチにゃ」
「お前は臭い」
「ニャーも女にゃんだけどにゃあ」
ボリボリとお腹を引っ掻いて、そう呟く佐藤の言葉を無視し、大家に手を振ると「なんだ、来てたのか。彼誰君」と親しげにしてくれる。
まあ、オレ達は同志*1だからな。
「彼ピ、タバコくれにゃあ!」
「うおっ、臭ッ!?やめろ!?」
腰に飛び付いてきた佐藤の目は血走り、足元を見たらタバコの山が出来ていた。こいつ、大家と話してる間にバカスカと吸いやがったな!?
しかも息がッ、エグいッ、臭せえっ!?
「逃げるにゃあ!!」
カバンの中を漁られ、越司丸から没収していたものを取られ、キマる佐藤を放置して、オレは大家と一緒にその場を離れ、ドン引きする。
こいつ、倫理観ねえな。
「彼誰君、あれ」
「タバコっすね。大家は関わっちゃいけない」
「そ、そうか」
オレと一緒にフラフラと部屋に戻っていく佐藤を見守りつつ、アホだなと思う。大家は佐藤の揺れる尻を見て、部屋に戻っていく。
「アホばっかりだな」
そんなことを言いながら帰る。
変なことしてるやつはほかにいないかと駐車場を見ていると空から吸い殻が落ちてきた。さっき大家が掃除していたところに吸い殻の山が出来ている。
「佐藤、やめろー。お前の庭じゃないぞ」
「ここはニャーの城にゃあ」
「いや、大家の城だろ」
「うるさいにゃ」
「唾を飛ばすな駄猫!?」
ペペペッ!と唾を吐き捨てる佐藤に怒りながらオレは逃げるようにアパートの敷地を出る。マジで、どういうつもりなんだ。あの野郎……いや、女郎か。
「彼ピぃ~!ヤクが泣いてるにゃ~!」
「バイバイのチューして゛な゛い゛スぅ゛!!」
「やっぱ、依存度高めのネコって可愛いな」
ウンウンと頷きながら手すりを乗り越え、オレの頭に飛び付いてきた越司丸を首と背筋、大腿四頭筋の筋肉を総動員して受け止める。
「蒸れた臭いがする」
「でも、好きじゃないスか」
「……確かに」
まあ、そんなこんなでオレは今日も越司丸益子という直ぐにヘラるし、すぐに泣く寂しがり屋な獣人の女に病み付きだ。