明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
「ただい、ま」
「キックウゥゥゥ…………あ、?」
左腕をゴムチューブで縛り上げ、血管に注射の針を突き立てて、とろりと蕩けた目を見開く益子の姿を見つめていたとき、ようやく彼女もオレの存在に気付いたらしい。
「あ゛あ゛あ゛いや゛っ、あ゛!ごめ゛、なさい゛ぃ!あ゛っあ゛っあ゛っあ゛あ゛んあ゛ちがうちがうぅ!あ゛あ゛うあ!あぁっあ゛!いや゛っ!!」
「お、おお…?!」
注射器を抜いたかと思ったら、靴を脱いだオレに半狂乱のまま突撃してきた益子を受け止め、鼻水や涙でシャツがベチャベチャになっていく。
必死にオレの腰にしがみついてくる益子の頭を優しく撫でてやり、ゆっくりと腰を降ろして、グズグズと鼻声が聞こえる益子の事を抱き抱える。
「ずでないでえぇ゛っ!私、ひでっ、ひでお゛にずでられだらァ゛」
「捨てないよ。益子は大事なオレの嫁さんだ」
背中に突き刺さる獣人の爪を受け入れ、ワシャワシャと泣き続ける益子を黙って受け止める。元々オレと一緒に住み始めるようになって、緊張とストレスを感じていたんだろう。
こうなるのも分かっていた。
「大丈夫。大丈夫だ」
ワシャワシャと頭を撫でてやる。無理に止めることは出来るが、逆にストレスを与える。少しずつ、ゆっくりと治していこうな。
「ひぐっ、ゔうゔぅっ」
「益子は偉いよ。ちゃんと謝れたんだ。ゆっくりと治していこうぜ。ずっと一緒に居るからよ」
「ふぐっ、ひ、ひでおざぁん゛っ」
ずっと泣きっぱなしの益子を抱っこしたまま、ゆっくりとリビング兼寝室の部屋に戻り、片手で益子を抱えたまま布団を引っ張り出し、一緒に寝転ぶ。
「少し眠ろうぜ、益子」
「ゔっ、ずっ」
こくりと頷いた益子はオレの身体に小さな身体を寄せ、ズピズピと鼻水を啜り、目尻を赤く腫れさせながら抱きついて来ている。
「すてないっすか?」
「捨てない。オレは益子としかいない」
そう言って頭を撫でて、グズる可愛い益子の頭を撫でてあげる、弱りきった益子を不覚にも可愛いと言ってしまそうになる。
「不安だったよな。何か欲しいものあるか?」
「......こども、が、ほしぃ、す」
耳まで真っ赤になりそうな顔で、そう恥ずかしそうに言ってきた益子の肩を掴み、ぐいっと寝そべったオレの身体の上に引っ張り込むように抱き締める。
「分かった。作ろう」
「え、あ、ゔんっ」
半泣きの益子を抱き締めながら、だんだんと泣きつかれてきた益子を抱き締めたままオレもゆっくりと益子と一緒に眠るのだった。