明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
西薫子。
通称カンサイねこは「笑い」に対する貪欲さを持つ関西獣人だ。しかし、その笑いのセンスは少し、ほんのちょっとだけ足りていない。
そんなカンサイねこは大学に通いつつ、真面目に過ごしているのだが、最近になって同じアパートの住民の彼ピが後輩だと知り、なぜ会いに来ないのかと聞けば「刺されたくない」やら「まだ死にたくない」など言われた。
「ウチってそないに怖そうなん?」
「いや、自分に聞かれても分かんないです。カンサイさん、そういうところはないですし。自分より綺麗で、なんで、秀夫さんが避けてるのかは……」
「さよか。ほんなら直で聞いてみるわ。あ、バイト先で貰ったお菓子、食べる?これめっちゃ美味しい味付けしとるんよ♪︎」
そう言うとカンサイねこは紙袋を開けて取り出した。しかし、見るからに手作りでラッピングに「西さんへ♥」まで付いているクッキーにヤクねこは引いた。
「…カンサイさん、このクッキーをくれた人ってどんな人なんですか?」
「どんなって、えろう可愛い女の子やで。夏場でもゴスロリを着とる!かなり気合いの入っとる子なんやけんど。料理始めたらしゅうて、その子んちによく遊びに行っとるんや!」
ニコニコと嬉しそうに話すカンサイねこの持つクッキーから、ちょろっと出た髪の毛のようなものから視線を逸らし、ヤクねこは無関係だと割り切った。
「甘いものの匂いにゃ」
「おー!ヤニ子も来たか!食べてみ食べてみ」
「にゃ。二週間ぶりの甘いものにゃあ」
「先輩、昨日も自分んとこで食べてますよ」
「そうだったかにゃ?」
「んもぉー、あんまり居ったらヤクも彼ピとイチャイチャ出来へんやろ?あ、大家がマスターキー持っとるけど。鍵とチェーンはせな、あかんで?」
カンサイねこのアドバイスに頬を染めるヤクねこ。そんな彼女の純粋さに微笑ましく思うカンサイねこの目の前を副流煙と紫煙が吹き出され、強烈な臭いにヤクねことカンサイねこの意識は途切れ掛ける。
「いや、臭すぎやろ!?あんたの口はクサヤ老舗かいな!?」
「……クサヤってなんにゃ」
「魚の煮凝りみたいなもんです」
そう言われたヤニねこは「ニャーの口は煮凝りじゃないにゃ」と抗議するものの。シンプルに臭すぎるのでクサヤよりも臭いかも知れない。
「なあ、シュールストレミングスとヤニ子の口ってどっちが臭いんやろうな」
「……確かに、気になるッス」
翌日、獣人アパートに異臭騒ぎが起きた。
あわや大家は死にかける事態にもなりかけた。