明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
「越司丸、生きてるかー」
ドアノブを捻って部屋に入るも越司丸は居らず、どこへ?と考えるよりも先に隣室のドアノブを捻って、部屋の中を覗く。ニコチンという悪臭を撒き散らす害悪まみれのタバコの蟻塚が幾つも出来ていた。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!」
「ヴアェエェエッ!!」
「ジャンキーがァ!!」
ばか騒ぎする天使ハメ子(ハメねこ)に逆肩車を受け、ゲロる越司丸の姿にこめかみを押さえつつ、そっとドアを閉じることにした。
オレの彼女は可愛いが、ゲロは無理だ。
カンカンと金属製の階段を降りて、一階の大家の部屋をノックして、カップラーメン片手に出てきた大家に事情を説明し、掃除費用を手渡す。
「大家さん、畳の替えってありますか?」
「空き部屋から持っていってくれ」
「アザッス」
駐車場に止めていた軽自動車(軽トラ様)の荷台を開け、対獣人掃除用装備(ただの全身防護服)を身に付け、大鋸屑と新聞紙、ゴミ袋を持って部屋に佐藤の部屋に入ると三人は窓の外に逃げて行った。
「お前らも手伝えよ」
「あっ、その声は彼ピにゃ!」
「先輩、自分の彼ピッスよ!?」
「は?なんでジャンキーごときに彼氏がいるの!?」
「彼ピゆうなて」
ニャーニャーとベランダの外で馬鹿みたいに騒ぎまくる
畳の焦げは無理だ。
あとで大家に新しいヤツ、買って渡そう。
「なんで、ここ濡れてんだ?」
「あ、それはハメねこのにゃぶっ!?」
「お酒を溢しちゃったんですぅ~!」
天使に顔面を張り倒されて駐車場に落ちた佐藤も気になるが、掃除することを優先した。ゲロに大鋸屑を落として、水分を吸わせ、重ねた新聞紙の上に乗せていき、ゴミ袋に詰めていく。
「脚立用意するからベランダから降りてくれな」
「あ、ウッス」
「はぁい」
ゴミ袋とバケツを廊下に置き、汚れた畳を一つずつ運び出して軽自動車の荷台に乗せ、粗大ゴミのゴミ捨て場に持っていく。
両手のゴム手袋を外し、脚立を佐藤の部屋のベランダに立て掛け、一人ずつ降りてきてもらう。
消臭剤と除菌剤、滅菌ナトリウムを散布して部屋の中を磨いていく。大家の手伝いが出来るし、大家の越司丸に対する好感も上がるはずだ。
「彼ピぃ~、暑いにゃあ」
「彼ピゆうなて」
そんなことを言いながら空き部屋から畳を取り出して、佐藤の部屋に入れていく。次に汚したりしたら、流石に寛大な大家も怒るかもしれねえな。
「あちぃ…」
「は?なにあの好青年」
「自分の彼ピッス」
「はあぁぁ~~~~~?」
越司丸の部屋でシャワー浴びよ。