明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
佐藤ヤニ子。
通称ヤニねこはニコチン中毒者だ。そんなヤニねこの後輩、越司丸益子ことヤクねこには○薬に対する理解を示して、真摯にヤクねこに寄り添う彼ピがいる。
「キックウゥゥゥ…」
「また、やってるにゃあ」
ヤクねこほ彼ピによってゲロやおしっこ、焦げ跡まみれの畳は張り直され、ニコチンを吸収し、黄ばんでいた壁やカーテンも取り替えられ、めちゃくちゃ清潔感マシマシになってしまった部屋でヤニねこは寝転び、バケツ型の灰皿に吸い殻を吐き捨てている。
バケツの吸い殻はベランダの外に置かれた更にデカいバケツに移せば彼ピのアルバイト先の人間がやって来て回収する。
「お姉ちゃん、今日こそ部屋を綺麗に……」
「んにゃ?妹子にゃ、どーしたにゃー?」
ペタペタと裸足でヤニねこは磨き直されたフローリングの上を歩き、玄関先で呆然と部屋の中を見据えたまま硬直する実妹に話しかける。
「お姉ちゃん、なにこれ?」
「(ヤクねこの)彼ピが直してくれたにゃ」
「彼ピ!?」
「ニャーもビックリしてるにゃ」
沁々と腕を組んだまま頷くヤニねこに「こんなのお姉ちゃんじゃない!」と妹子はドアを開けて帰ってしまった。
ダメな姉の世話をする。
その環境にほの暗い感情を持っていたのに、ポッと出のポット野郎のごとき彼ピ某によって妹子の楽しみは消え失せた。
ダメなお姉ちゃんをお世話したかったのだ。
そんなことを知らないヤニねこのお腹は、グウと鳴って飯を所望している。が、冷蔵庫にあるのは期限切れのよく分からない干からびた何かだけ。
「……ニャー、ヤクんとこで昼飯にゃ」
玄関を開けて、隣室のドアも開ける。
部屋の中に入ると半狂乱のヤクねこを抱き締めながら「よおぉ~~~~~~し!よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし!」とワシャワシャと頭を撫で回している彼ピがいた。
「ふへ、ふへへへ」
にやけるヤクねこ。
彼ピに対する依存度MAX。感受する愛情にヨダレを垂らして喜んでいる、脳内から幸せドーパミンがドバドバ出ているのかも知れない。
それを無視して、ヤニねこは台所の冷蔵庫を開け、作り置きの惣菜を幾つか持って、また部屋を出ていく。
「彼ピは今日も元気だったにゃ」
唐揚げを頬張りつつ、ヤニねこは呟く。
ヤニねこはタバコと唐揚げを堪能し、また綺麗になった畳の上に寝転び、ポカポカした日差しを浴び、昼寝を始めるのだ。
「くあぁぁ……眠いにゃ」
タバコの火はついているが、バケツの近くだから燃えることはない。そんなことを考えながら、ヤニねこはヨダレを垂らして眠り始める。
夢の中でもニコチン摂取、ヤニねこなのだ。