明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
「人の金で食うニャムバは美味いにゃあ」
「へ、へんふぁいっ、つよひッス」
ニャムニャムとバーガー片手にオセロに興じる佐藤と、チビチビとシェーキを頑張って吸いつつ、オセロで負けそうになっている越司丸の横顔を写メる。
クソ可愛すぎるぜ、越司丸。
そんなことを思っていると、階段から上がってきた何処と無く佐藤に似ている制服の女の子が見えた。なんだ、座る場所がないのか?
「ん?おーっ、妹ちゃーん!奇遇にゃ、此処空いてるにゃよぉ~~」
「あ、ちす」
「マジで妹なのか?」
この堕落と怠惰の権化のごとき佐藤に、あんなに真面目そうな妹がいるとは驚きだ。まあ、オレの越司丸も真面目で可愛い彼女だがな!
「お邪魔します……それから、お前がお姉ちゃんを誑かした彼ピか!」
「は?いやいやいや、オレの彼女は此方だ!」
突然の風評被害に慌ててオレはシェーキを吸っている越司丸がビックリしないように抱き寄せながら、必死にこの佐藤とは無縁の関係だと伝える。
「……じゃあ、なんでお姉ちゃんは貴方の事を彼ピなんて呼んでるんですか」
「彼ピゆうなて。いや、そもそもの話。オレの名前が彼誰秀夫って書くんだが、越司丸の付けてくれたアダ名が、彼ピで周囲に定着しただけなんだが」
「……私の、勘違い?」
「そうスね。彼ピは、自分の彼氏で、ぷ、ぷぷぷぷプロポーズもして貰ってるッスから!」
カアァッと顔を真っ赤にしてうつ向く越司丸のグルグルと回る瞳がクソ可愛すぎるんだが?こんなに可愛いとか越司丸お前は全人類の至宝だろ。
お前は可愛い罪で、終身刑(人妻)に処す。
「あっ、えへぇへぇ…♪︎」
「……お姉ちゃん、苗字で呼びなよ」
「えぇー?彼誰にゃ?」
「なんだ、駄猫」
めちゃくちゃ可愛すぎる越司丸の飲食を眺めながら、新しいバーガーを頼みに向かう佐藤の口からタバコを弾き、灰皿で火を揉み消す。
さすがにカウンターにそれはやめとけ。
「えと、さっきはすみません」
「いや、気にするな。誤解させたオレも悪い、あと失礼だろうけど。佐藤妹は姉に似てないな」
「……昔は表情豊かでしっかりしてたんです。ただ、鼻からタバコを脳に差し込んでから……」
「マジかよ、やべえな」
「彼ピ、流石に冗談スよ、ね?」
そ、そうだよな。
いくらなんでも、脳みそはやばい。
「……はは」
「「どっちなんだ!?」」
わ、分からん。
今の話はマジだったりするのか?
「実はオレも話していないことがある」
「えっ!?」
ビックリした顔で越司丸がオレを見る。
佐藤妹もオレの言葉にゴクリと唾液を飲んだ。
「ここ1ヶ月ほど越司丸に婚約指輪を渡すタイミングを逃しまくっているせいか。右ポケットの方から重みが増しているような気がする……!」
「ゆ、指輪……自分に?」
コトリと小箱をテーブルに置く。
「タイミングが悪いけど、受け取ってほしい」
「にゃ、にゃああぁぁ…」
「んにゃああ」
「なんにゃ?共鳴にゃ?」
結婚しよう、越司丸。(覚悟完了)