明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
越司丸益子。
通称ヤクねこは人生の幸せの絶頂期を迎えていた。出会って、早二年という月日を経て、ヤクねこの左手の薬指には銀色に輝く指輪が嵌まっている。
日に十数回ほどヤクねこは鳴く。
「にゃあ♪︎にゃあ♪︎」
「また始まったで、ホンマに腹立つわあ」
二階建ての獣人ボロアパートの住人達の集まった女子会というには、あまりにも酷い惨状と騒然とした酒盛りの最中、缶ビール片手にヤクねこは鳴く。
それはもう乙女チックな猫なで声(クソかわ)だ。
「まだ、ヤクちゃんの彼ピ見たことないんやけど。ヤニも偉い気に入っとるよな」
「飯くれるにゃ」
「さよか。いや、飯タカるんかい!?」
西薫子ことカンサイねこのツッコミは冴えるもイマイチ反応は悪かった。が、彼女も彼女で指輪を嵌めたヤクねこをチラ見している。
彼女だけ、まだ彼ピ(彼誰秀夫)に会っていないのだ。
「チッ。なんでハメちゃんより先に」
「おみゃー、うるさいにゃ。飲めにゃ」
ハメねこにビールを飲ませ、黙らせる。ヤニねこはタバコを吸って、ビールを飲み、ポテチを食べた。重要なのは行程や動機ではない。
キレたら普通にハメねこがうるさいのだ。
「でやで。どないなん?その彼ピ」
「ッスね……彼ピ、自分のことすんげえ大事にしてくれるんスよ。今、大学に行ってるんスけど。就職したら、け、けけけけ結婚しようって……んにゃああああっ!!自分で言うの、メッチャはずいッス!」
「「
キャーキャーと生娘みたいに騒ぎはしゃぐヤクねこにスンとなるカンサイねことハメねこの二人だったが、ヤニねこは「ついでにニャーも養ってほしいにゃあ」と、彼ピとヤクねこの将来計画に組み入ろうとしていた。
副流煙と紫煙の向こう側に見えるのは、幸せいっぱいの後輩とその彼ピの生活、「ニャーは先輩だから、ニャーもついでに入っても問題ないにゃ」と謎の超理論を呈し、ブハァーッとヤクねこは副流煙を吐き出す。
「ハメちゃん、未だに年下彼ピがいることに不満があるんてますけどぉ…裏切り者ぉ…」
「せやな。裏切りはアカンよな。分かる」
「いやいやいや!?自分、カンサイもハメも裏切ってないッスよ!?」
「「彼ピいるじゃん」」
会心の一撃。
「ってえか。どこで知りおうたん?」
「バイト先で、ナンパをされたス。開口一番の『は?可愛すぎるだろ、付き合って下さい』だったんで、ビビりましたけど。ヤバいッスよ?愛がいっぱいッス」
「結局、惚気んのかい!?」
ツッコミ炸裂。