東方っておもろいなぁ...リンバスっておもろいなぁ...
幻想郷に親指が行ったらおもろいやろなぁ...という浅い思惑で作りました。皆さんここはこうするだろというのがあったら是非教えてください、処女作で色々拙いので...
ちなみに続くかは分かりません。ノリと勢いで始めたので在庫すらないです。やばいね。
「ハァッ、ハァッ...クソが、全員やられちまった...聞いてねぇぞこんなん...!」
雨の降りしきる暗い小道を走る男が一人。銀髪碧眼、纏う高級そうな真っ赤な帽子やコートは薄汚い裏路地には似つかわしくない。が、衣服は擦り切れ、彼自身無数の切り傷を負い、ひどく消耗しているように見えた。護身用のナイフ、そして命より大切なボルトアクションライフルを抱えながら走る――――南部親指カポIII、ネイフィレは、己の生存のため全力で頭を回転させていた。
「全員やられちまった...なんだって急に人差し指の奴らが、それも代行者が3人も湧いて出てくんだよチクショウ... 相手はただのカス事務所じゃなかったのかよ!?」
元々、彼の部隊の任務はあるフィクサー事務所の粛清だった。よくあるそこそこのフィクサー事務所だが、そこのリーダーが突如アンダーボスの命に背いたらしい。余程何か自信がないとできないことだとは思っていたが、まさか人差し指の保護を受けていたとは。
「チッ、これを刺す暇もない...」
K社再生アンプル。体内に注入すればどんな重症も立ち所に完治するK社の特異点技術の産物。彼がもしもに備え大金をはたいて個人的に携帯しているものだが、今注入は不可能だった。なぜなら、彼の後ろには猛烈な速度で追撃する代行者が迫ってきているのだから。たとえ注射の際の一瞬でも、足を緩めたら即死だ。
直後、前方から複数名。人差し指の遂行者が行く手を阻んできた。
「ッ、失せろゴミども!!」
バァァァン!!!
派手な音が鳴り響き、遂行者一名の頭が脳漿を撒き散らして派手に吹っ飛ぶ。炸薬徹甲弾、そこら辺のフィクサーならもちろん、指の高級幹部ですら喰らったらタダでは済まない高速、高威力の特注の弾丸だ。一発一発が気の遠くなるくらい高額である以上、遂行者程度に撃つなどあり得ないが、もはやなりふり構っていられない。動揺する遂行者達を突破し、半ば崩れかかった建物を抜け、狭い路地に出る。
(こんなところでくたばるわけにはいかねぇ...なんとしてでも逃げ延びてやる...!)
が、彼の顔は一瞬で絶望に染まった。目の前は行き止まり。壁を砕こうにも、そんな時間はもうない。今まさに、代行者の剣が首へ振り下ろされているのを感じる。
――終わったか...
瞬間、彼の視界に奇妙な「何か」が映った。壁の隅っこに、白い空間のズレ...としか言いようのない何かができている。どこか、W社の整理職員が使うポータルに似ているような...
(こうなりゃヤケだ、頼む...!)
半ば本能で、その「何か」に全力で手を伸ばす。代行者の剣が彼の首に達するよりもほんの一瞬早く、それに手が触れた。そして...
***
「っ!...ハァッ、ハァッ...」
目覚めるとそこは、全く覚えのない草の上だった。一面緑豊かな山々であり、目の前には晴れやかな青空が見えている。直前までの記憶と現在の光景のギャップに困惑しながら、起き上がった。これは一体...?
(どうなってんだ...俺は確かクソッタレの人差し指に追われて、そしてポータルみたいなよくわからん何かに触れて、そして...死んだのか?)
が、現在の自分はピンピンしている。倦怠感は残るもののいつの間にか傷が消え、衣服が綺麗になっているし、ナイフとライフルも近くに落ちている。調べてみるが、特段異常は見られない。弾丸も、数はそう多くないが持っている。
「ハハ...こりゃ...驚いた。助かったのか、俺...?そんならここはどこだよ...?」
おかしい。自分がいたのはK社の裏路地だったはずだ。こんな緑深い山々があるわけない。それに周りには建物1つなく、ただ山脈が続いているのみ。まさか、W社の特異点の産物にふれて、どこか遠くへ飛ばされたのか?
「んなことあるわけないだろ...とにかく、ここがどこか調べねぇと...」
そう考えた瞬間、彼の耳が足音を捉えた。
「外からの人かな...こんなところに珍しい...」
「ッ!?」
「おどろk...あわわ、そんなに警戒しないで...!」
銃口を向けた先にいたのは、水色のショートボブにオッドアイ、そして一つ目が書かれた大きな唐傘を持った少女だった。
「...なんだ?君は一体誰なんだ?」
「あ、私は多々良小傘! これでも人間を驚かすのが仕事の付喪神、つまり妖怪ですよ!今はあなたに驚かされましたけど...」
しょんぼりしている少女のあまりに緊張感のない動作と表情を見て、ゆっくりと構えを解いた。どうもこちらに害を加えるつもりはなさそうだ。それよりも、目の前の小傘という少女の言葉が気になる。
「よ、妖怪ぃ...?ちょっと待て、本気で言ってんのか...?」
「えぇ、そうですよ〜。ほら、私のこの傘! これ、私の体の一部なんですからね!」
東部生まれの彼は、妖怪だとか神だとか、そういう存在は物語などで慣れ親しんでいる。彼自身、そうした存在や世界がどこかに存在するのではないか...そう期待するのは嫌いではなかった。が、所詮作り話の存在である。都市で散々辛酸を舐めた彼もまた、そんなものはいないと理解していた。それをあたかも常識かのように言い出すものだから混乱してしまったが、目の前の少女の様子を見るにここにはあるらしい。
「うん、まぁ...OKだ。小傘ちゃん、でいいか?ここがどこだかも教えてくれると嬉しいんだが...」
「えーと、ここは幻想郷っていう世界で、外の世界から大きな結界で隔離された世界なんですよ。それで、貴方みたいな外からの人もたまに来て...ここ では、私みたいな妖怪だったり、神様だったりがたくさん住んでるんですよ〜」
「...結界で隔離、か。そんな技術あったか...?」
少なくとも、ここが元いたK社ではないということはわかった。そして、依然状況はよろしくないことも。誘拐なりなんなりされたか、とにかく幻想郷とやらが翼の実験施設であれ裏路地のどこかであれ、全く未知の世界だ。これでは生きて生還する保証もない。
「小傘ちゃん。1つ頼みがあるんだが、俺を匿ってくれそうなところはないか。突然で済まないが、半日は戦い詰めでロクに休息も取ってないんだ...1,2日 でもいい。どこか知ってないか?」
「もちろん!命蓮寺っていうお寺があって、そこならきっと匿ってもらえますよ」
「そりゃ助かるな。案内してくれるか?」
小傘に案内されていると、遠くに集落のようなものが見えた。一応人は住んでいるらしい。
「...寺か。懐かしいなぁ。一度祖母に連れてってもらってそれっきりだな...」
「外の世界ってそんなにお寺が珍しいものなんですか?まだまだ盛んって聞きましたけど」
「ん〜。多分小傘ちゃんの考えてる世界と俺の元いた世界は違うな。...そうだな。少なくとも、人の惨死体を見ながらみんなでモツ鍋を囲む世界じゃないだろ?」
「えっ」
怯えてしまったらしい小傘に謝りながら、ふと疑念がよぎった。
(この子の階級はどんなだ。...というか、そもそもここ都市なのか?)
環境のあまりの変化でうっかり失念していたが、親指として、絶対に忘れてはならないことだった。もし小傘の階級が自分より低ければ最低でも目と下顎と頭を潰さねばならない。そうでないなら、自分がその処罰を受けねばならない。
だが、彼とて折角首の皮一枚繋がった命。それを大した意味もなく捨てるのも、いきなり殺害もまっぴら御免だ。アンプルがあるにしても、そう易々と使いたくはない。
(こんな調子じゃ、数日で血を見るだろうな...ただ、もしもここが外郭か、あるいは全くの別世界か。とにかく都市でないってのなら...少なくともここの住民になら、基準をある程度自分で曲げたって大丈夫だろう。そんなら色々やりやすくなるはずだ...)
「...?どうしたんですか?」
「あぁ。頼んでばっかで悪いが、ここを抑えといてくれ...よし、互換性があって助かったぜ」
ライフルに取り付けたのは、黒い筒のような形の道具、サプレッサー。あの馬鹿でかい銃声を人が手を叩いた程度の音量にまで静かにしてくれる!、と熱弁していた工房の友人が所持していたライフルのアタッチメント。銃声が聞こえないんじゃ「禁忌」に反するじゃないか、気が狂ったかと危惧していた通り、試射した友人は一瞬で爪に引き裂かれた。だが、面白そうだったのでネイフィレも危険を承知でこっそり持っていたのだ。
「よし...退いてな、射線に立つと危ないぞ」
感覚が研ぎ澄まされていく。同時に、ライフルを構える手が震えるのを感じる。大きな賭けだ。もしここが都市なら、発射した瞬間爪が現れてアンプルを刺す暇もなく即死だろう。だが、そうでないなら、ここで生きていく上で一気に色々とやりやすくなる。
パシュン!
「うわあっ!?」
いつもの雷鳴のような音とは違い、手を叩き合わせたような破裂音が響き、銃身から火を吹いて弾丸が発射される。同時に死を覚悟して目をギュッと瞑ったが...こない。何秒たっても、あの恐ろしい悪魔が。そのまま弾丸は標的の木に命中した。
「ふぅ...これで間違いない。ここは都市じゃないな。そんならやりようはいくらでもある...」
「あ、あの...それは一体...?」
「ああ、こいつは俺の愛用する武器だ。一応接近戦用でナイフがあるんだが、まぁ主に使うのはこっちだな。驚かせて悪かったな。案内を続けてくれるか?疲労でぶっ倒れそうなんだ...」
小傘がひどく驚いているのを見るに、ここでは銃火器の類は存在しないか、相当貴重なものらしい。となれば禁忌に縛られることなく一方的に射撃できるネイフィレは大変有利だ。彼自身射撃能力には自信があるから、なすすべもなく暴力で死亡はないだろう。それも、弾の続く限りだが...
(はぁ、弾だの階級だの、悩みは無限に湧いてくるな...ま、そいつらを片付けるのは命蓮寺とやらで休憩をとってからでも遅かないだろう)
そうしてネイフィレと小傘は、道なき道を進んで行った。たまに小傘の恐怖の視線が飛んでくるような気がして、気まずい思いをしたが...
親指の立場どうしよう()
ネイフィレ君は新参者としてソルダートの扱いなのか、それとも...うーん...