あれから何時もの日常を過ごした。日常を過ごす中で私は永琳から貰ったお小遣いを使い特注の扇を買った。普通の扇を壊れづらい作りに変えてもらい紙のデザインは私が描いた物にしていただいた。扇は扇でも舞扇である。永琳が私の舞扇を見た時に「神楽舞でもするの?」と言われた。因みに私は前世で神仏関連の仕事やそういう家だったので一応は踊れるので踊ってみたら驚いていた。極め付きに
「姫華、貴女巫女服着てるし巫女になってみればいいんじゃないかしら?喜ばれるわよ?主に男性にね」
と言われたのでとりあえず舞扇で頭を軽く叩いておいた。他には綿月のお婆様に連れて行かれた刀鍛冶屋では刀を無償で頂いた。聞いてみた所、貴女に必要な物でしょ?と言われて唖然とした記憶が新しい。確かに私は剣術を少しかは出来るが、そのような事が看破されるような行動はしていない。それで聞いてみたら、女の勘です。と微笑みを返されてしまった。
刀は大太刀と野太刀の中間くらいの長さでーー130センチくらいーー刃紋は波の流れる様な鮮やかさ、柄は振りやすい様にちょうど良い長さになっていた。柄頭には、桜細工が施されている。帯刀ベルトも貰い、今では腰に太刀を帯刀している。
そんなこんなで今日から綿月家に訪問する。私は本当に大丈夫か不安だった。勉学、剣術を教えられるかという不安もあるが、私を信用しているというのが1番の不安だ。御頭首であるお婆様は良い人だが、そのお嬢様方は私をどう思うか…都市の人にとって妖怪とは害悪そのものであるという認識をされている。現に妖怪討伐に行くたびに兵士に警戒されている。永琳に話してみても、大丈夫の一言と
「貴女に何かあったら私と綿月の御頭首様で助けるから」
と笑顔で言うだけである。笑顔は笑顔でも目は笑ってなく、表情も笑みを浮かべてはいるがそこはかとなく怖い。不安に苛まれ、また大丈夫かなあとまた悩み始めた時に永琳に呼ばれた。
「さあ行くわよーーってどうしたの?表情が優れないようだけど…」
「ほえ?あぁいや。うん大丈夫。ごめんね心配掛けて。」
私が表情を悪いの見て心配を掛けてしまった。元気な素振りはしたがまだ心配そうな目線を向けていた。まだ半信半疑だったようだが切り替え直した。
「大丈夫ならいいけど…さっ行くわよ?」
そうして私と永琳は他愛無い会話をしながら綿月家に向かった。
「ここが綿月家よ。私の家とは比べものにならない広さでしょう?」
確かにかなり広い日本家屋だ。木々が良い位置に配置されわびさびを感じる作りをしている。私が見惚れていると侍女の方が来た。
「本日お見えの八意様と姫華様で宜しいでしょうか?」
艶のある綺麗な髪を後ろで縛った顔も端正な女性が永琳と私を一瞥して伺って来た。
「えぇそうです。お嬢様方の所まで案内宜しくお願い致します。」
永琳は侍女の方にそう言い頭を下げた。侍女の方は慌てながら永琳を諌めた。
「一侍女に頭を下げるのはお止め下さい!あと敬語もです。八意様は御頭首のご友人なのですから私達に対してはご遠慮なさらないで下さいませ!」
永琳はその言葉を聞くと微笑みながら、気を付けますと言った。私は2人の様子を見て笑ってしまった。笑っている私を見た侍女は顔を朱色に染めながら、あう…と可愛く唸った。
「永琳様って毎回こうやって私を揶揄うのですよ…御頭首以外の上の方に知られた大変な事になるので本当にこまります。姫華様も私達にはご遠慮なさらずお申し付け下さいませ。」
彼女はそう言いぺこりと頭を下げた。しかし私は疑問に思った。私が妖怪だと知らされていないのかと。決心して私は侍女に聞いた。
「あの…私が妖怪だと知らされていませんか?」
「はい。存じておりますよ。御頭首推薦という方だと伺いましたので私達使用人や上の方々は気にしていませんよ。……………ですがお嬢様には知らされていませんのでもしかしたら襲われる危険が……」
聞かされている事にも驚いたが、上の方や他の使用人も気にしていない事に1番驚いた。聞き漏らしてはいけない事も聞いてしまった気がするので確認してみた。
「襲われるって言いました?」
「えぇ…お嬢様は妖怪を毛嫌いしておりますから。少し前は”妖怪を根絶やしにするのが夢!”と声高らかに宣言しておりましたね…」
私はそのお嬢様に切り捨てられるビジョンが目に浮かんでしまった。顔色が悪くなってきたのか侍女は大丈夫ですか⁉︎と慌てながら聞いてきた。
「成るように成るわ。ウジウジ考えてないで行くわよ姫華!」
彼女はそう言い手を引っ張てきた。他人事だと思ってと軽く睨んだら「どうしたの姫華?ふふ可愛いわね」と言ってきた。軽く頭に来て扇子で叩いた。手を引っ張れながら私はお嬢様の部屋に連れて行かれた。
「そちらではなく左を曲がってください!」
道を間違えているけど大丈夫かなと永琳を見つめながら。
「豊姫様、依姫様お待たせ致しました。八意です。」
お嬢様方の部屋に着き永琳は名を上げた。すると部屋から返事が返ってきた。
「い、いえ!こちらこそお越し頂きありがとうございます‼︎どうぞお上がり下さい!」
余程嬉しいのか声を上擦らせながら部屋に招いた。永琳が先に部屋に入り私が次に入った。部屋の棚にはかなりの本が置かれていて書斎のようだがお嬢様の部屋らしい。お借りして読んでみたいなと思っていたらそのお嬢様と目が合った。目が合った瞬間に彼女は何処から取り出したのか大太刀で斬りつけて来た。避けたら部屋が傷つくかと思い私は瞬時に抜刀し大太刀をいなした。
「ほぅ、妖怪風情が私の攻撃をいなすか。」
「いきなりで驚きましたよ…同じく勉学、剣術を教えに来ました妖狐の姫華です。あの…その大太刀鞘に戻してくれませんか?」
彼女はニヤリと口角を上げながら私に大太刀を振り下ろした。よく天井に当たらないなと感心しながら彼女の垂直胴打ちを避けた。妖怪になってから良いこと尽くめだと再認識した。妖怪になってから攻撃の見極めーー動体視力が飛躍的に上がっているのだ。身体能力もかなり上がっており示現流における”雲耀”を再現する事が出来た。
雲耀とは元来、稲妻を意味し、示現流では手の脈が四回半鼓動する間を「分」分の八分の一を「秒」秒の十分の一を「絲」絲の十分の一を「忽」忽の十分の一を「毫」毫の十分の一を「雲耀」と呼ぶ。つまりそのくらいの速さで振り下ろすという事である。一方情報が脳に伝わり体が反応するまで常人で約0.3秒、訓練をつんだ一流のアスリートでも0.15秒の壁を越えるのは至難の業である。つまり雲耀はその間合いの内で一度発動されれば躱すことも防ぐことも不可能ーーーあたかも稲妻を確認した瞬間、雷は終わっているようにーーー
そう私はただ避けるのでは無く彼女の背後に回りこんだ。話が出来る状態にしなければならないので彼女の後頭部と首の境目あたりのツボを狙い手刀を落とした。大太刀は危ないので先に右手で持ち左腕で包む様に彼女を受け止めた。
「自分でしておいて何ですが、気絶させてーーえ?」
私が2人に聞きながら2人の方を向くと口を開けて呆然としていた。もう一人のお嬢様がブツブツと何かを呟いていて、永琳は本当に予想が出来ていなかったのかまだ惚けていた。
「依姫の攻撃を避けた上に気絶させる何て……凄いですね姫華様!」
先に復活したお嬢様が私を褒めながら目をキラキラさせ興奮していた。先に問題を片付けなくてはいけないので聞いた。
「いえ、其れよりもどうしましょう?起きるまで先に勉強でもしますか?」
「いきなり襲った依姫に問題がありますし、先に進めちゃいましょう!自己紹介させていただきます。私は綿月豊姫と申します。処でお婆ちゃんが話してた妖怪って姫華様のことですか?」
「えぇ私の事だと思いますよ。お婆様と呼んで慕っています。この間は私にこの太刀を下さったのですがその時にーーー」
こちらのお嬢様ーー豊姫様は話が分かる方のようで、私の話を交えながらこれからの事を話した。
如何でしたどしょうか?実は思いの外進みが悪いんですよね…話が薄いからでしょ?という結論になるのですが(;^_^A一気に飛ばないように気を付けて書いてこうと思います。次話お待ち下さいませ〜