次の話は難産なのでまた遅れてしまうかもしれません…誠に申し訳ありません
「さて、集まってもらったのはほかでもない。どうやら懸念していた事態が起きてしまったようだ」
あの新人紹介の翌日、予告通りに昨日集まった会議室に集まり俺が懸念していたことが実際に起こったということを実感した。
「やはり、要石が?」
「その通りだ。楓君が頑張ってくれてな。46、47、58、59、72番要石が破壊されていることが分かった」
ん?ちょっとまて。
「破壊、ですか?」
「破壊、だ。深海の連中が破壊したのか外に原因があったにせよ分からない。どちらにせよ要石の修復は急務だ。
これから該当海域に趣き、深海棲艦どもを排除、同時に巫女に要石を設置してもらう」
半年、色々あったが安全でない海域で要石を設置するということは初めてではあると同時に危険度がとても高いということを意味している。
「ちょっと待ってください。同時ですか?流石にそれは不味いのでは?」
エリート部隊に居たからこそこういう経験もあったであろう桜庭はそれじゃ危ないということを分かっているのか意見を出してきた。
「君の言いたいことは解る。しかし、今臨時結界を張っているてい殿も限界が近い。そもそもてい殿が居なくなれば、この場所は亡くなる」
ていさんが張っている結界。それは元来人間が生きるために海域で深海棲艦の侵入を防ぐ役割を果たしているものだ。本来なら浄化というスキルを持った巫女たちがやらなければ張れない代物なのだが、妖精さんが張れるものではないはず…。ほんとにあの人何者なんだろうかと疑問が出るが、そんなことを気にしている場合じゃない。
「とは言っても、その任務を当たるにしても桜庭と豊島はまだ艦隊を持ってないのですが」
通常、提督の着任と同時に一隻与えられるはずなのだが、豊島はここに来たばかりで艦娘を一隻を持っていない。桜庭は本来ならもっているはずなのだが、向こうとの手続きの関係もあって一隻もないのだとか。
「うむ!だからこれから早速作ってもらおうと思っているのだよ!!」
「因みに今回の資材は何処から出すので?」
「今回は共用資材から出すぞ!」
どちらにしろ、多くの資材が使われない事を祈ろう。
「で、結局どっちから建造するんだ?」
やってきたのは工廠。
何時もよりちょっと汚れている感じがあるのは最近フル回転で設備の修理をしているからだろう。
「それなんだが、即戦力になる桜庭を優先するべきだ」
俺は提督初心者なわけだしなと付け加えた。
「わかった。じゃあ桜庭…ってあれ?桜庭?」
先にやってくれと言おうとしたらすぐそばにいたはずの桜庭は何処にもおらず、あたりを見回して探してみると建造するためのレシピを入れているところだった。
「何を狙って作る気だっと、駆逐艦系か」
コンソールを覗いてみると、桜庭は駆逐艦系が出やすいレシピを打ち込んでいた。
「時間がないか短時間で建造できる駆逐艦を選択したのか」
「戦略上、間違ってはない、間違ってはないんだが…」
そう、桜庭の選択したレシピは戦略上で考えて間違ってはいない。間違ってはいないのだが…
「何卒、何卒私に駆逐艦を…!」
そう、見ていて呆れるほど美しい土下座をしている桜庭がいた。
うん、やっぱりコイツはブレないな。
そして我が秘書艦叢雲も冷たい目で桜庭を見下ろしている。
そしてレシピで幾らか範囲を絞れるとはいえ、いくら妖精さんであってもランダムで建造される艦娘を更に限定するなんてことが出来るわけ
「おもしろいをしてくれたらかんがえてやらないこともないでアリマス」
「って、絞れるんかーい!?」
それ初耳なんだけど!?いや妖精さんの事だし俺らと価値観ちょっと違うような気もしない気がするけどさ!豊島も面白い事をすればいいのかって顔するなよ!?お前がそうするとろくなことにならないから絶対するなよ!?
「そうか!Amo il distroyer!!Amo il distroyer!!!」
何処の国の言語で叫びながら上半身左右に振れ、下半身はコサックダンスをサンバのステップでやりながら腰使いはフラダンスのそれという様々な意味で混沌としたことをやり始めた。
「す、凄い…凄いんだが…なんかMPが下がりな踊り(?)だ…」
「正直キモいわね」
叢雲ですら、余りの奇怪さに冷たい目からUMAをみてしまったような、なんとも言えない表情をしている。
一通り踊り終えた(と思われる)桜庭はやりきった表情で転生者ドヤ顏で妖精さんたちを見た。
「25点でアリマス」
「20点でアリマス」
「15点でアリマス」
「なんかばかにされてる気がするでアリマス」
「Why!!?」
これまた流暢な英語で桜庭は驚愕する。
豊島は寧ろ俺よりあいつがアメリカに行けば良かったじゃないかと口にしている。
しかし、あの踊りが面白かったかと聞かれれば答えは決まっているだろう。
「凄くはあったが、面白くはなかったよな…」
「面白くないわね」
「そもそもAmo ilはイタリア語でdistroyerは英語だ」
皆辛口コメントだ。と言うかイタリア語と英語だったのか。混ざっていて分からなかったぞ。
「くそう…芸術は理解されないのか」
いや、あれはどう見てもただの奇怪な踊りだし、あれを芸術と言うには無理があるのではないかと思うんだけどな。
「げいじゅつとは、りかいされなければむかちなのでアリマス」
「なんだかんだで一番妖精さんが辛辣だなオイ」
凄いとは思うんだけどな…。
「くそう、こうなったら俺の切り札を見せてやる!机を貸してくれ」
あいつ机なんか持ち出して何しだすんだ?と思いながら妖精さんたちが作業に使っている鉄の机を貸し出してくれている。てか、今更ながらなんでバーナー使わないんだ?
そう思って普段バーナーが置かれている場所を見てみるとあれだけ腐るほどあったバーナーが残りひとつしか残っていない!
「なんでこんなにバーナーがなくなってるんだ!?」
あの量はちょっとやそっとで消費し切れる量じゃないんだけど!?
「ちんじゅふのしゅうりにしようしたのでのこりがこれだけになってしまったでアリマス」
…うん、聞きたくなかった。やけに修復が早いなーとは思ってたけどバーナーを大量消費したわけね。是非とも報告書に書いていて欲しかったけど修復に使ったならそれは必要経費だ。
「刮目せよ!これぞ俺の切り札だ!!」
そうこうしてる間に準備を終えたらしい桜庭はコップ3つとゴムボール一つを机に置いていた。
その後、ゴムボールにコップを逆さ向きに被せ、他のコップも逆さ向きにし、入れ替え動かしながら入れ替えていく。よくあるボール隠しなのだが、徐々に徐々に入れ替える速度が速くなりそして、遂には金属製の机がコップの移動で摩擦熱で煙を噴き上げ、あまつさえ残像すら見せているではないか!
「これが、俺の切り札だ」
やりきって清々しいほど爽やかなドヤ顔を浮かべ、採点を待つ桜庭。
「3点でアリマス」
「2点でアリマス」
「0点でアリマス」
「びひんをきずつけさせてるんじゃねーでアリマス」
「ボッシュートでアリマス」
1人の妖精さんがその手に持ったボタンを押した。
「Ahaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!?」
桜庭は、見事に落とし穴に落ちていった
「「あんな仕掛けあったのか(ね)」」
俺と叢雲は顔を見合わせ全く同じ事を言ってしまった。
「桜庭のやったことは確かに凄い。どんな人間がやってもあそこまで芸を芸術にまで昇華することは出来ないだろう。宴会でやれば拍手喝采を受け、その日の土産話などになることは間違いはない。だがしかし」
「「「面白くはない」」」
その場にいた全員が同じことを思ったのだった。
一体いつの間にあんな仕掛けを作ったかはしらないが、あの穴は何処へ繋がっているのだろうか。
まさか海に繋がってるなんてことはないと思うが…。
「が!?ぐ!?ぎ!?ぐほぉ!?」
気になっていると桜庭は天井の筒から落ちてきて用途不明の煙突を通り煤だらけとなり、その下にある稼働している機械の回転ボールらしきパーツの中に落ちてその中で回転に巻き壊れたかと思うとすぐに飛び出し別の機械にぶち当り、そのまま落下して地面に激突した。
そして、落ちてきたその姿はどこか石仮面を被って究極生命体になったはいいが、宇宙に飛び出して考えるのをやめた人のポーズだった。
「90点でアリマス」
「96点でアリマス」
「93点でアリマス」
「やりゃあ出来るじゃねぇかでアリマス」
「こういうのを待ってたでアリマス」
桜庭…お前にはもはやかける言葉もない。
「建造終わったでアリマス」
丁度その時、建造が終わったことを別の妖精さんが告げてきた。
「さて、駆逐艦が来るか、それとも…」
桜庭の祈りが届くか、届かなかったかがわかる。
そして現れたのは…
「オレの名は天龍。フフフ、怖いか?」
軽巡洋艦、天龍…か…。
「駆逐艦じゃなかったわね」
叢雲がこうなったかというようなニュアンスで零す。
「駆逐艦?なんのことだよ。それよりオレの提督はどいつだ?」
そいつか?と豊島を見ながら聞いてくる。
「いや、コイツ」
俺はズタボロになっている桜庭を指差す。
「ボロ雑巾みたいになってんじゃねぇか!?提督、大丈夫か提督!?」
慌てて桜庭を介抱する天龍。
「うぅ…駆逐艦…駆逐艦が…」
「駆逐艦がとうしたんだ提督!しっかりしろ提督!!」
その様子を見て、叢雲がボソッと呟いた。
「天龍は面倒見がいいって話は本当だったのね」
そしてその後も建造は続き、出てきたのは。
「暁よ。一人前のレディーとして扱ってよね。暁は子供じゃないんだから!」
「響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の二つ名もあるよ。С наилучшими пожеланиями、司令官」
「雷よ!かみなりじゃないわ!そこのとこもよろしく頼むわね、司令官!」
「電です。どうか、よろしくお願いいたします司令官」
特Ⅲ型駆逐艦。即ち暁型駆逐艦四姉妹。俗に言う第六駆逐艦隊が全て揃ったのである。
いや、普通ここまで一気に揃うのか?
「天龍と言えば第六駆逐艦隊でアリマス」
後ろで妖精さんがなんかドヤ顔をしてるような気がする気もするが気にしない。そしてそのドヤ顔してる妖精さんにそれは凄いなと言いながら妖精さんを撫でてる豊島の気配もするがそれも気にしない。
「駆逐艦…今度も駆逐艦おぉぉぉ…」
「あの、私たちの司令官さんはいいひとなのでしょうか…」
電が不安そうな声で聴いてくる。
まあ最初にあのボロ雑巾みたいにボロボロになってる姿を見ればそう思いたくもなるか。
「それは保障するさ」
長い付き合いだからなとつけたしながら俺は答える。
「けど変態だよな」
今度は天龍が何処かゲンナリした気配で聞いてくる。
「それも保障する」
やっぱりかよとため息をつきながら天龍が肩を落としているがそこは気にしない。
「ま、どうにかなるさ。最後は何が出るのかたのしm」
その時、甲高い警報音が鳴り響く。これは、緊急事態を知らせる警報音。
まさかこの建造が緊急事態……な訳ないか。
つまり……敵襲か何かか!
「きんきゅうじたいでアリマス!」
「バーナーつかうでアリマス!」
「ファイヤー!!でアリマス!!!」
「ああ!?最後のバーナーが!?」
消費された最後のバーナーで高速建造された艦。それは―――
「初めまして、龍田だよ。天龍ちゃんがご迷惑かけてないかなあ~。提督も迷惑かかってないかな~」
軽巡龍田が建造された。
そして、桜庭はショックで気絶してしまった。
「あらぁ、早速厄介ごとかしら~?」
何とも呑気につぶやく龍田だが、その言葉は鳴り響く警報ではなく、そこでくたばる駆逐艦バカを見下ろして発せられていた。
今日の鎮守府は緊急事態である。
「そういえば俺は建造してないな」
「あ」