──
「ッ……ベルナ! 居るなら返事をしろ、ベルナッ!!」
その入り口で、普段ロクに使っていない喉が痛みを訴える中、あらん限りに声を張り上げる。
だがしかし、返答は無い。
当然と言えば当然だろう。
何故なら、この洞窟の出入り口は、ここだけだからだ。
ギリギリで逃げ延びた俺たちよりも先に脱出できていない。
つまりそれは、逃げ遅れたことを意味する。
「ベルナ! くそっ……!」
分かっている。
どんなに叫んだところで、返事などあるハズがないと。
分かっている。
この火勢に呑まれたとなれば、どうあっても助かる見込みなどないと。
それでも、俺は声を張り続けた。
「ベルナ……!!」
故郷を失い、天涯孤独の身となったヒスイに武芸を教え、家族同然に接してくれた存在との離別。
ベルナとの暮らしで少しずつだが明るさを取り戻しつつあったヒスイは、この一件を経て完全な
全てを
──それこそが、俺の知る
だから、変えようとした。
まるで救いの無い、ひたすらな悪意だけが凝り固まった、最低最悪の
「ベルナ! 頼む、返事をしてくれ! ベルナ!!」
ヒスイ本人には、何ひとつ真実を伝えられない。
より正確に述べるなら、俺が真実を知り得ていることを、ヒスイに悟られてはならない。
そんな厄介極まる制限を抱えていては、やれることなど決して多くはなかった。
それでも、彼女が
何もかもが、必ずしもゲームそのままに進むワケではない。
だから、変えられると思った。
凄惨な運命を、俺という
……そう信じて行動した結果が、このザマ。
過程こそ多少変われど、
「ベル──ッ、げほっげほっ!!」
火に近付きすぎたあまり、激しく咳き込む。
その拍子によろめき、膝をついた。
「…………」
ふと、後ろのヒスイを振り返る。
地面にへたり込んだ彼女は、深く項垂れていた。
まるでカーテンのように顔を覆う、赤と黒が入り混じった髪の奥でどんな表情を浮かばせているのか、俺には
「ヒスイ……」
正直、かける言葉が見つからなかった。
何より俺自身、親しくしてくれたベルナの死を受け止め切れていなかった。
…………。
だから。最初は聞き間違いだと思った。
「────────────」
炎の音に紛れて、小さく。
ほんの小さく鼓膜を掠めた、ヒスイの声。
「────────ひひっ」
それは確かに、