実際の時間にしてみれば十五分ほどの散歩道の末、辿り着いた終点。
そこに設置されたもの──
「これ……」
その姿にヒスイは小さな頃、母から寝物語に聞かせてもらった
「まさか……『火と水の女神』……!?」
炎で風を遮り、雨で大地を沈めんとした、荒ぶる神性。
語るに及ばず、禁忌の側にある存在。
これを
田舎者のヒスイでも知っている、この国の常識。
そんな
「うそ……なんで……」
混乱のあまり、二歩三歩と後ずさるヒスイ。
かぶりを振り、浅く呼吸を繰り返す彼女の肩に、そっとシュウホウが手を置いた。
「戻ろう。見なかったことにした方がいい」
彼の言葉にヒスイは頷きかけるも、すんでで踏みとどまった。
どうしてかは分からないけれど、直感したのだ。
サリテ村が、村の皆が、あのような目に遭わされた理由。
その謎を解くための鍵は、きっとこの場所にある、と。
「ッ……」
シュウホウの手を抜け、祭壇に歩み寄るヒスイ。
ランタンの明かりを頼りに視線を巡らせ、些細な違和感も見逃さないよう神経を尖らせる。
程なく、彼女は気付いた。
埃だらけの石の台座に、奇妙なくぼみがあることを。
「ここ……何かが、置いてあった……?」
綺麗な半円状にくり抜かれたくぼみ。
指先でなぞってみると、ほとんど埃が付着していない。
ほんの数日前まで、そこにあるべき何かが安置されていた証拠。
ヒスイは記憶を掘り返し、火と水の女神にまつわる伝承を、更に思い出す。
「かの女神は……
かつり、とヒスイの爪先に硬いものが当たる。
見下ろすと、鞘に収まったままの
「ヒスイ──」
迷わず拾い上げ、抜き放つ。
柄も鞘も古めかしいのに、刃だけは錆も曇りもなく磨き抜かれ、鏡のようだった。
にもかかわらず──剣身を覗き込んだヒスイの顔が、彼女の後ろに立つシュウホウの姿が、まったく映らない。
「……女神の
震える声音で呟きながら、ヒスイはすべてを悟った。
自分が手にする
実際に火と水の女神が携えていた、神器の片割れなのだ、と。
「……そう。そういう、こと」
誰かが、もうひとつの神器──
そして、