シュウホウは、丸一日眠り続けた。
小屋へと辿り着き、二度目の朝日が昇りきった頃合、ようやく彼は目を覚ました。
「……ここ、は……」
ベッドから半身を起こし、周囲を
起きしなで今ひとつ焦点の定まらない視界に広がる、見慣れた景色。
まだ巡りの鈍い頭を回し、サリテ村の四方に点在する小屋のひとつだと思い至る。
ほぼ同時、扉が開かれた。
水桶を抱えて入ってきたヒスイと、視線が合わさる。
「ッ……!」
目を見開かせ、桶を取り落とすヒスイ。
足元が水浸しになってしまったが、構わずシュウホウのもとに駆け寄った。
「シュウホウさんっ、良かった……!!」
「…………」
そんな彼女の姿を見とめた金色の瞳が、険しげに歪む。
ガルドに破かれた服は、小屋に置いてあった道具で最低限の修繕を
しかしながら、大きく裂けた布地を縫った痕跡は、かなり目立つものだった。
「…………」
シュウホウは、意識を失う前の最後の記憶を思い返す。
あのあと、ヒスイが喜ばしくない事態に見舞われたことは、火を見るより明らかであった。
ぎり、と奥歯の
「……君一人で、俺をここまで連れてきたのか?」
代わりに、別の疑問を呟いた。
「大変だったろう」
この東の小屋は、道中こそ比較的歩きやすいが、単純な距離はサリテ村から最も遠い。
「すまなかったな。足を引っ張ってしまった」
「そ、そんな……!」
大きく首を振り、そもそも自分が足手まといだったせいだと否定するヒスイ。
「……なるほど」
自分が気を失って以降のあらましを聞いたシュウホウが、重々しい所作で頷く。
なお当然と言えば当然だが、ガルドから辱めを受けたくだりは、意図的に
「この剣が、偶然あの男の腕を落としてくれなかったら……今頃、どうなってたか……」
そう言って、指先で女神の
……剣を見下ろしたシュウホウの顔つきが強張るも、彼女は気付かなかった。
しばし間を置き、シュウホウが淡々と
「おそらく連中も、当分は動けないハズだ。サリテ村を根城にして、療養のために時間を使うだろう」
腕一本を失う大怪我。
再び歩き回れるくらいに回復するまで、かなりの期間を費やす道理。
何より、向こうは第一級のお尋ね者。
常に追われる立場であり、その行動は
「ッ……」
滅んだとはいえ、ずっと暮らしてきた生まれ故郷。
皆の墓もある場所に賊が居座ることなど許し難く、ヒスイの表情が悲壮と怒りを孕む。
けれど、どうにもできない。
今の彼女に、ガルド一味を追い出せるだけの力など無い。
「……シュウホウさん。私、強くなりたい」
今回の件で、ヒスイは心底から痛感した。
自分は、あまりにも非力だと。
「強くなりたいよ……!!」
悔しさに涙を滲ませ、ベッドに腰掛けたシュウホウの膝に顔をうずめるヒスイ。
「…………」
そんな彼女を、シュウホウは複雑そうな面持ちで見つめていた。