「……なんと……そのようなことが……」
先日の一件──ガルド一味から受けた襲撃に関するあらましを伝え聞いたベルナが、髪と同じく銀色の
次いで彼女は拳を硬く握り、唇を噛み締めながら、ヒスイとシュウホウに向かって頭を下げた。
「つくづく申し訳ない……!! 私が奴等を見失いさえしなければ、貴殿らに危害など及ばなかったものを……!!」
──賊を一日捨て置けば、その日は誰かが犠牲となる。
ベルナが、かつての上官から繰り返し伝えられた言葉。
今一度それを頭の中で
「情報提供、深く感謝する。そして約束しよう。連中が貴殿らに害を及ぼすような間違いは、二度と起こり得ないと」
篭手と
さっきシチューに舌鼓を打っていた女と同一人物なのか疑わしいほどの変貌ぶりに、ヒスイが目を丸くさせた。
「頭目が片腕を欠いたならば、すぐには身動きできまい。叩くには最善の好機だ」
「……サリテ村に向かうなら、俺も同行しよう」
冷めかけた
「生憎、片腕と片脚を怪我していて弓すらロクに引けない有様だが、道案内くらいはできる」
「助かる」
軽く頷き、二つ返事で受け容れるベルナ。
一方のヒスイは血相を変え、引きつった表情で二人を交互に見やる。
「し、シュウホウさんが行くなら、私も──ッッ」
考えるよりも先、思わず口を突いて出た台詞。
けれども半ばで我に返り、言葉尻を呑み込む。
「……ごめんなさい。忘れて下さい」
サリテ村に現れてから僅か一年とはいえ、シュウホウは近隣一帯の地理に明るい。
土地勘のある狩人。たとえ怪我人であっても、案内役としては上等だろう。
だがしかし、ヒスイは違う。
戦う力はなく、さほど道にも詳しくない。
足手まといの邪魔者にしかならないことは、誰の目にも明らかだった。
「あ、あのっ……本当に、大丈夫なんですか……!?」
ガルド一味に取り囲まれた時の恐怖が、ヒスイの脳裏に蘇る。
シュウホウの袖を掴み、引き留めたい気持ちを堪える。
代わりに、ベルナへと疑問をぶつけた。
「向こうは……私たちが見ただけでも、十人は居ました。たぶん、もっと多いハズです」
総勢十五人か、あるいは二十人か。
いくらリーダーが重傷とはいえ、たった一人で立ち向かってどうにかなるとは、ヒスイには思えなかった。
「あいつらを追ってきたなら、他に仲間の方がおられるんですよね……? まずは、その人たちと合流した方が──」
「それは無理だ」
きっぱりと告げるベルナ。
近頃は国軍も人手不足でな、と挟んだのち、彼女は
「奴等の
「…………え」
およそ想定外の、理解に数秒を要した返答。
一気に血の気を引かせたヒスイは、青ざめた顔でベルナを見つめるのであった。