××を殺す病   作:竜胆マサタカ

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 先に結論を伝えると、ガルド一味は大方の読み通り、未だサリテ村に留まっていた。

 

「…………」

 

 シュウホウの先導を受け、遠目に物見を行うこと四半刻。

 村跡の地形や、おおよその人員配置などを把握したベルナが、静かに呟いた。

 

「勘定が合わないな」

 

 直接確認できた賊の数は、()べ二十二人。

 一方で、国軍の一隊が彼等のアジトへと突入した際の大捕物から逃げ(おお)せた敗残兵は、全部で二十四人。

 

「もうしばらく、探りを入れてみるか?」

「ふむ……」

 

 この辺境までガルド一味を追い込む契機となった突入作戦に、ベルナは不参加だった。

 したがって、残りの数については、追討を命ぜられた折の伝聞。

 

 が、生きたまま捕らえられた数名を個別に尋問し、確かな裏を取った情報である。

 信憑性は極めて高い。

 

「──いいや。無用だ」

 

 もっとも、少なくとも一人はシュウホウとヒスイの前で首魁(ガルド)みずから処したことが明らかとなっている。

 であれば、その前後で更に一人(あや)めていたところで、まったく不思議は無い。

 

 ガルドの人となりを()()()()ベルナは、そう判断した。

 

「悪知恵こそ働くが、とかく堪え性の無い男だ」

 

 切れ者を気取っているものの、決して忍耐強いタイプではない。

 そもそも、怒りや(いきどお)りを腹の底に呑み込めるような人間なら賊になど身を落としたりはしないし、残虐行為を繰り返したりもしない道理。

 

「結局は視野が狭く、底も浅い男だ。目先のこと以外に策を(ろう)せるだけの器量など持ち合わせてはいない」

「……そうか」

 

 ベルナの言葉に、シュウホウは僅かながら眉根を寄せた。

 

 口舌(くぜつ)の端々に覗いた、あからさまな嫌悪。

 その強烈な蔑視(べっし)が、ガルドという男に対する()()()()へと繫がっていることを、シュウホウは知っている。

 

 だが、あえて指摘はしなかった。

 

 昨日今日、顔を合わせたばかりの人間が口を挟むには、ベルナとガルドの確執(かくしつ)は深すぎる。

 そもそものところ、現状においてシュウホウが彼女の背景を知り得ているのは、どう考えても不自然。

 元より、口をつぐむ以外の選択肢などなかった。

 

「ここから、どうする?」

 

 ゆえに彼は、ただ尋ねる。

 この場で一番、自然な問いを。

 

「分かり切っていた話だが、あの数は厄介だぞ」

 

 相手は賊徒。暴力や略奪などの荒事を前提とした一党。

 必然、全員が何かしらの武器を(たずさ)えた武装集団。

 

 加えて、二メートルを超える巨漢であるガルドほどではないにせよ、体格に恵まれた者も多い。

 無策で正面からぶつかるのは、あまりに無謀。

 

 …………。

 そう。

 

「貴殿は、私の後ろに着いてきてくれ」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「それが──最も安全だ」

 

 

 

 

 

 

 

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