シュウホウの知る筋書き通り、ベルナがヒスイに
およそ常人に耐えられる領域の
…………。
だが、やはりと言うべきか。
何もかも、そっくり筋書き通りというワケでは、なかった。
そうなった理由。
本流から
シュウホウが
結果、ベルナから特別な義手を与えられ、自分の意思で元の腕と変わらず動かせるようになるまでの過程が、丸ごとスキップされた。
その分だけ、ヒスイの習熟は確実に早まった。
それによって修行の厳しさも一段と増し、
そんな一長一短の状況だが、一応は喜ばしい変化と
──もっとも、彼の存在がもたらした変化は、
「痛っ……!」
「……
本来の筋書きでは、ヒスイは独りとなるハズだった。
「もうすぐ塗り終わるから、我慢してくれ」
「うぅ……えへへ」
ガルド一味に
「なんで少し嬉しそうなんだ」
「えっと、なんとなく……?」
ベルナに助け出され、紆余曲折を
「そう言えば、この薬ってどうしたんですか? すっごく効きますよねっ」
「俺が調合した。昔、ウルスラから教わったんだ」
「……ですか」
だがしかし、本来の筋書きとは異なり、ヒスイは独りにはならなかった。
「よし、終わり。あとは自分でやってくれ」
「背中だけじゃなくて、他も塗って欲しいです」
「自分でやれるだろう」
「むー」
ヒスイは最初から二人だった。
故郷を焼き滅ぼされた絶望の中でも、常にシュウホウという寄る辺があった。
「しかし
「お世話様です……」
物語の
村を焼いた魔術師に対する強烈な復讐心こそ
「あの鬼ばばあ……明日こそ一撃入れてやるんだからぁ……!!」
「──誰が鬼ばばあだ」
「みゃー!? せ、せせ、
「ずっと居た。にしても私に一撃入れるとは大きく出たな。明日などと言わず、今からでもやってみるといい」
「ひぃん、ごめんなさいー!」
本来なら数ヶ月を
「……薬を塗ったばかりだ。しばらくは安静にさせてやってくれ」
「む……あい分かった。この場はシュウホウ殿の顔を立てよう」
「えうー」
これもまた、シュウホウの功績。
彼の存在が『修行』と『日常』の境目となり、それぞれの空気を分けた結果だった。
「さあ、そろそろ夕食にしよう。皿を並べてくれ」
「はいっ」
「承知した」
ともあれ、順調だった。
おおむね、穏便だった。
ひとまず、円滑だった。
このまま何事もなく時が過ぎてくれればと、シュウホウは胸の奥底で願っていた。
が。凶事とは、どんなに平穏を望もうとも、お構いなしに訪れる厄介者。
ベルナとヒスイの修行が始まり、ちょうど一ヶ月が
シュウホウが、突然倒れた。