サリテ村の焼失以降、ヒスイとシュウホウが身を置いていた住まい。
位置取りが村外れであったためか、奇跡的に黒炎を
その一室へとシュウホウを運び込み、ベッドに寝かせたベルナ。
次いで彼の容態を
「な……ッッ」
ひどく
「ひっ……!?」
包帯を剥いだ先の惨状。
それを目にしたヒスイが、あまりの痛々しさに怯えた声を上げる。
「た……た、大変……!! すぐ、すぐに薬を──」
「無駄だ」
駆け出そうとした彼女を、ベルナが止めた。
「もう塗ってある」
薬だけではない。
とどのつまり──すでに可能な限りの治療を
「くそっ……!」
明らかに昨日今日、いきなりこうなったものではない。
もう随分と長く、痛み以外の感覚すら失せていたハズ。
「何故、黙って……いや……どのみち、か」
ベルナは思わず悪態をつきかけるも、かぶりを振った。
なにせ、ここまでの深手。
たとえ町の医療施設に駆け込んだところで、どうにもならなかったに違いない。
むしろ長距離の移動で体力を消耗すれば、いたずらに症状が悪化した可能性も高い。
ヒスイはおろか、ベルナにさえ何も言わなかったことはともかく、サリテ村に腰を落ち着かせて治療に専念した判断自体は、決して間違っていないだろう。
結果こそ、この通りだが。
「せ、
赤と黒の
だがしかし、多くの負傷兵を見てきた彼女が出した結論は、残酷だった。
「放っておけば、あと数日と待たずに傷が腐り始める。左腕ごと切り落とすしか、ない」
「……そん、な……」
およそ一ヶ月間、どんなに叩きのめされても立ち上がってきた少女が、茫然自失とへたり込んだ。
青ざめた顔を
「わ……わた……私の、せいだ」
やがて。消え入りそうな声で、呟いた。
「
「ヒスイ!」
半狂乱となりかけたヒスイを
震える両肩に手を置き、落ち着け、と告げる。
「悔いるのは後回しだ。一刻も早く処置をしなければ、本当に手遅れとなってしまう」
重い音を立ててベルナの足元に転がる、彼女の篭手。
処置とやらのため、邪魔な
「湯を沸かせ。それと清潔な布を、できるだけ多く。糸や紐も欲しい」
「は、はいっ」
どうにか焼け残った物資は、すでに大半が
ヒスイは泡を食ったように
一方のベルナは、再びベッドに視線を戻す。
「シュウホウ殿。話は、聞こえていたな?」
「……ああ」
びっしりと額に汗を浮かばせ、浅く呼吸を繰り返しながら、シュウホウが目を開けた。
「幸い、特殊な義手の持ち合わせがある。だから安心……とは、ならないと思うが」
「……義手……そう、か」
「用意が整い次第、すぐにでも始める。構わないか?」
まさか自分が
そう胸の内で呟きつつ、シュウホウは緩慢と半身を起こす。
そして。静かに
「────分かった。やってくれ」