「なんだ、この剣は……?」
熱湯に
「鏡のごとく磨き上げられているにもかかわらず、私の姿が……私の姿だけが、映らない……」
古めかしい
間違いなく業物。
だがしかし、長々と見つめるほどに胸がざわつく、どこか不気味な代物。
「これは一体……いや。今は、どうでもいい」
ベルナの剣はガルド一味を斬り捨てた際に
そこで、ヒスイが常に
「おそらく私の剣より鋭いな……これなら十分に使えそうだ」
清潔な乾いた布で、濡れた
二度三度、女神の
「ふうぅ……」
ひとつ、深々と息を吐くベルナ。
「覚悟はいいか」
「……正直、良くはない。今にも吐きそうだ」
「だろうな。一応、聞いてみただけだ」
肝心の左腕は、真横に伸ばす形で固定されていた。
「何も恥じる必要は無い」
戦場に身を置く兵士でさえ、腕を切り落とすとなれば直前になって泣き叫ぶ者も多い。
そんな、励ましているのか脅かしているのか分からない
「一瞬で終わらせる」
肩口あたりを革紐できつく結び、血流を止める。
舌を噛み切ってしまわないよう口の中に布を詰め、
「むしろ、切断後に施す
「ッ……」
赤く熱され、
腕を落とした直後、素早く断面を
「
「…………」
眉間にシワを寄せ、頬に冷や汗を伝わせつつ、頷くシュウホウ。
心なしか息が荒いのは、
それでも、泣き言を吐こうとする様子は無い。
「では三つ数える。ヒスイも、いいな?」
「……は……いっ」
肩を強張らせ、必死に震えを
ほぼ同時、冷や汗がシュウホウの顎を
「一」
血流が止まり、
「二」
僅かたりともブレることなく、真っ直ぐに剣を振り上げる。
直後の半秒、周囲から全ての音が消えた。
正しくは、音すら聞こえなくなるほど、ベルナは意識を集中させていた。
「三──」
すとん、と軽い手応え。
コンマ一ミリの狂いも無い、まさしく神速の一閃。
いともあっさり、シュウホウの左腕は切り落とされた。
「ッッ──!! ッッ、ッッッッ!!」
傷が
鮮血が噴き出し、くぐもった絶叫と共に、見開かれた金色の
女神の
「──ヒスイッッ!!」
「ぅ、あ……ああぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」
組み技の要領でシュウホウの動きを押さえ、左腕の断面をヒスイに向けさせる。
目いっぱいに涙を溜めた彼女は、視界を滲ませながらも、焼きごてを突き出した。
「ッッッッ────!!」
熱々のフライパンに具材が投入された瞬間を想起させる、血と肉の焼ける音。
シュウホウの声なき絶叫が、一層と激しさを増す。
そうして程なく、糸が切れた人形のように──ぐったりと、動かなくなった。