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──『
正式名称を『アガトラム』。
脳から発せられる電気刺激を受信して意のままに動かせる、筋電義手の一種。
数百年前に滅んだ文明、
これを装着することで、ヒスイの
もともと戦闘用に作られたものではないため、多少の不便こそ残った。
けれども語るに及ばず、肉体的な不利は大きく改善された。
だがしかし──
無機質で冷たく、感覚も
動かすたびに鼓膜を掠める、微かだが耳障りな駆動音。
もっとも、当然と言えば当然の帰結かもしれない。
何故なら手とは、当人にとって最も自己を体現する部位。
一番視界に入りやすいという意味では、顔以上に身近な存在。
そんなアイデンティティの片割れが、永遠に
そればかりか、無性に生理的嫌悪を掻き立てられる偽物へと置き換わってしまったのだ。
悪感情を覚えるのも、無理からぬ話。
……誤解なきよう
自分が
けれども心の部分では、どうしても受け容れがたかったのだ。
必然、ヒスイは日々の暮らしで大きなストレスを
気付けば赤と黒の髪に、
加えて、ベルナに本心を打ち明けることも
こちらもまた、当然と言えば当然。
師の善意に対する
ゆえに
負の情念を誰にも吐き出せないまま、日を追う
せめてもの幸いは、そうした情動さえも、修行の原動力に昇華できたことだろう。
日に日に厳しさを増し、より苛烈となる
物理的にも精神的にも、その幾らかは、
…………。
ヒスイという少女は、お世辞にも剣才に、戦闘の才能に秀でた器ではなかった。
が。
才能の乏しさを埋めて余りある執念が、彼女を前へ前へと歩ませた。
ベルナ・フォトンと共に過ごした、およそ半年間。
ヒスイは緩やかに、しかし確実に強くなっていった。
──良くも悪くも、だが。