村の畑で採れた野菜。
森で
さっき
それらを混ぜ、煮込んだシチュー。
味付けは塩と、森ブドウで作ったワイン。
「……そろそろ、いいか」
次いでシュウホウは、
「まあまあだな」
サリテ村が焼け落ち、すでに半年近くが過ぎ去っていた。
第十七代
彼女の習熟は、本来の筋書きよりも随分と早い。
何故かと理由を問うならば、シュウホウからの支援が、要因としては最も大きい。
ベルナの課す修行は、
だがしかし、過酷だからこそ、彼女はヒスイの食事等にも細かく注意を配っている。
人は気力だけで強くなどなれない。
身体を動かすには栄養が、消耗を癒すには休養が必要不可欠。
時に夜を
けれども、そこで生じた不足分は、必ず前後で
そのあたりは、一度たりとも
したがって、ベルナとヒスイの二人きりだった本来の筋書きでは、共に過ごした時間の半分近くを生活基盤の作成に割いていた。
黒い炎と赤い雨の被害を受け、大半が駄目になった畑の立て直し。
獣や果実などを目的とした、森での食糧調達。
他にも、炊事や洗濯などの雑事全般。
が──この現実において、そうした
だからこそ、ヒスイはベルナとの修行に専念できている。
「何をやっている?」
夕食の
二人が戻るまで手持ち無沙汰だったため、村の片隅で草をむしっていた彼の背中に、
振り返った先には、眉根を寄せたベルナの姿。
どうやら今日の鍛錬は早めに終わった模様。
「お疲れ。ヒスイは?」
「水を欲しがったから川に放り込んでおいた。満足したら戻るだろう」
突っ込みどころ満載な
割と日常茶飯事らしい。
「それで、何をやっているのだ」
「見ての通り、草取りだ。だいぶ
「…………」
何食わぬ口振りでの返答。
シュウホウの手元に注がれていたベルナの眼差しが、険しさを増す。
「キミは
もっとも、当然と言えば当然の反応。
そこは、亡骸を
「賊徒の
墓前に花を供えるどころか、唾を吐きかけられて
そもそもシュウホウ自身、危うく奴隷として売り飛ばされるところだった。
「死者に同情を寄せたくなる気持ちは理解できる。しかし、たとえ死のうとも悪党は悪党だ」
「……分かってるさ」
だからこうして、ヒスイが居ないうちにやってる。
そんな
彼の背中を見つめながら、ベルナは溜息交じりに肩をすくめる。
そして。その隣で、しゃがみ込んだ。
「手伝おう」
「…………」
シュウホウは何も言わず、黙々と作業に
どう言葉を返せばいいのか、分からなかったのだろう。
ちらと横目で捉えた、ベルナの顔。
彼女が浮かばせていた表情を、見てしまったから。