「……いったい、どういうつもりだ」
洞窟
元は
「私を犯したいなら好きにすればいい。何故このような回りくどい真似をする」
「へへっ。気の強い女だ」
ベルナを
そればかりか、剣まで渡されていた。
「お前みたいな上玉、ただモノにしたんじゃ芸がねぇ」
王都の高級
数々の修羅場を、ほとんど無傷のまま切り抜けてきたがゆえの、
まさしく
腹立たしいくらい美人、とはヒスイの
「腕に自信があるんだろ? 俺に勝ったら自由にしてやるってんだ。悪りぃ話じゃねぇと思うがな」
「……
そう吐き捨て、ちらと手元に目を向けたベルナ。
握る剣の切っ先が、小刻みに震えていた。
「ッ……」
檻から引きずり出される際、首筋に打ち込まれた針。
おそらく痺れ薬の
とどのつまり、頭目の男からしてみれば、この提案は単なる余興。
ひいては、ベルナを力尽くで組み伏せたいという、救いがたい虚栄心。
「そら、どうするよ? まあ嫌だってんなら仕方ねぇ。二人纏めて売り
ニヤニヤと勝ち誇った男の笑みに、ベルナは
薬が効いていなければ、歯ぎしりで奥歯が何本か砕けてしまったに違いない。
「…………」
直に
平時なら、万全どころか寝起きであっても、
だがしかし、剣を握るだけでやっとな今の有様では、まともな勝負にもならない。
いいように遊ばれ、取るにも足らないゴロツキの自尊心をくすぐるだけの結果に終わることは、目に見えていた。
「……分かった。受けて立つ」
「へへへへへっ。そうこなくっちゃな」
それでもベルナには、頷く以外の選択肢などなかった。
少なくとも、こうやって悪趣味な
「そんじゃあ早速、行くぜぇッ!」
「!!」
恵まれた体格による、力任せな
かろうじて受け流すも、体幹を崩され、たたらを踏む。
「へへへへへへへっ! いい顔だ! その綺麗なツラぁ、もっと歪ませろ!」
指先に力が入らず、うまく剣を構えられない。
反撃に打って出るどころか、防御や回避さえ危うい。
「ほぉれ、頑張れ頑張れぇ! たっぷり可愛がる前に、たっぷり遊ばせてくれよぉ!」
あと十回も打ち合わせれば剣を弾き飛ばされるという予見と共に、ベルナは呆気なく組み伏せられる自分の姿を幻視した。
「くッ……!!」
内乱に巻き込まれて両親を亡くしたベルナは、自分のような人間を少しでも減らしたくて、軍人となった。
女の身で戦場に出ると決めた時から、いつか、こうなる覚悟はあった。
けれども、口惜しいものは口惜しい。
こんな形で、純潔を散らされるなど、と。
「くそッッ──」
悪態をついたベルナの脳裏に、ふとシュウホウの顔が浮かぶ。
噛み締めた唇の端から、ひとしずく、赤い血が