公平に述べるなら、洞窟からの脱出を果たさんとしたシュウホウたちの行動に、不手際らしい不手際はなかった。
あえて難を挙げるとすれば、ベルナの心身が見た目より遥かに消耗、
もっともヒスイもシュウホウも、
したがって、結局のところ二人に落ち度があったとは言いがたい。
すなわち、
…………。
あるいは──少しだけ意地の悪い言い方をするのであれば──ベルナに気を配りすぎたあまり、周囲への警戒が
「……ッ!!」
シュウホウが横薙ぎに
間合いを詰めるべく迫ってきた賊たちを、纏めて
「くっ……」
だがしかし、そんなものは苦し紛れの無駄な抵抗に過ぎなかった。
すでに三人は、行き止まりの空間へと追い詰められているのだから。
「せっかく
「見張りのバカ共は何やってやがった! 使えねぇ奴等だ、あとでブッ殺してやる!」
「なんだ、あの左腕……肌やら髪やらの色といい、妙なナリしやがって」
「
口々に好き勝手な
加えて、あちこちから聞こえてくる複数の足音や怒号。
すなわち時が
可及的速やかな離脱こそ最適解であることなど、シュウホウたちとて百も承知。
けれど──この場を切り抜けるための手立てが、思い浮かばないのだ。
「くそ……くそッ! 薬さえ抜ければ、こんな……!!」
壁に手をつき、がくがくと足腰を震わせ、ようやく立っている有様で歯噛みするベルナ。
無理やり動き回ったせいか、痺れ薬の効果は薄れるどころか
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……ッ」
一方、手のひらに血が
「死んで、死んで、死んで死んで死んで死んで死んで死んでなんで生きてるのなんで死なないのなんでなんでなんでなんでなんでなんで──」
「ッ……」
程なくヒスイは、ひたすら「死んで」と「なんで」の二語を小声で
おそらく本人も無自覚な行為に、シュウホウは別の意味でも冷や汗を伝わせる。
──このままじゃ、マズい。
「…………?」
そんな中、ふと彼の視線が天井へと向いた。
どうにか活路を求めんとする本能が後押しし、気付かせたのだろう。
「!!」
ここは大昔に打ち捨てられた
長らく人の手など加えられていない、人工の洞窟。
人為的に地形を切り崩して築かれた構造物というものは、大抵の場合どこかしらに
大きかったり複雑だったりするほど、継続的な整備を施さなければ、あっという間に劣化する道理。
──天井一面へと、大小無数の亀裂が
「ッッ……!!」
ままよ、と胸の内で叫ぶシュウホウ。
最も深いヒビのあった頭上めがけて、力の限りに
衝突と同時に響き渡る、鈍く重い音。
ぱらぱらと、石片が
だんだんと、破片ひとつひとつが大きくなる。
やがて、凄まじい轟音の波紋と共に──崩落を引き起こした。