──頭が、くらくらする。
目の前が暗い。
耳鳴りも酷い。
吐き気まで込み上げてきた。
「ぅえ……」
早い話、気分が悪い。
鼻の奥が酸っぱくて、今にも
最悪。
最悪。
最悪。
最悪、最悪、最悪、最悪、最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪さいあく──
「がッッ……!?」
──ああ。しまった。
ついうっかり、腹に剣を突き立てちゃった。
この
よく知ってる。
色々なものを、たくさん斬ってきたから。
その中に
私は結局あの人が死ぬまで、この剣を掠らせることすらできなかった。
でも、この剣がどういう代物か知った時、一度たりとも
…………。
思い返すと、やっぱり少しムカつく。
なんで何しても届かない上に反撃まで入れてくるのよ、あの鬼ばばあ。
「がぐっ、ひ、ぎっ……!!」
──ああ。またまた、しまった。
剣を突き立てた際、手首を返し、刃先で傷口を
いつの間にかついていた、より深手を負わせるクセ。
でも仕留める時はともかく、今みたいな場合は完全な悪手。
だって、口が利けなくなったら困る。
早々と死なれても困る。
まだ殺すワケにはいかない。
「ねーえ。ねえ」
軽く首を
どうやら私は美人らしい。
だから、こうすると大抵の男は鼻の下を伸ばして、話を聞いてくれる。
……正直、私自身は自分の容姿が特別優れてるとは思わないけど。
私が美人と聞いて真っ先に思い浮かべる顔は、ふたつ。
どっちもキラキラした銀髪で、肌も真っ白で、腹が立つくらい綺麗だった。
そう考えると、美人薄命って本当みたい。
「ッッご……!!」
まあ、いいや。
どうにか吐き気も収まってきたし、そろそろ余計な思考に頭を回すのはやめよう。
この調子だと、話をする前に殺しかねないもの。
「質問があるの。答えてくれる?」
返事は無い。
なんて失礼なの。
「げぁ、がはッ……!!」
「質問が、あるの。答えて、くれる?」
痛みのあまり、よく聞こえなかったのかもしれない。
今度は言葉を区切りながら、聞き取りやすいように喋る。
良かった。ちゃんと聞こえたみたい。
「二度手間をかけさせないで」
「ッぎ……」
顎を蹴り上げる。
舌でも噛んだのか、血が飛び散った。
「じゃあ、本題に入りましょうか」
薄く笑顔を作る。
努めて穏やかに
頭の中で、ぷつりと何かの切れる音がした。
「おまえ──シュウホウを、どこへやったァッッ!!」