「すぅ……すぅ……」
カーテンの隙間から差し込む、柔らかな朝日。
「…………」
緩やかに
昨日から
「…………」
意識が完全に覚醒するまでの十数秒間、ぼんやりと天上を見つめ続ける金色の瞳。
「すぅ……すぅ……」
褐色の肌に絡んだ、白い手足。
シュウホウの首筋に顔をうずめ、安心しきった様子で眠る、一人の少女。
──否。もはや
二十歳の誕生日を迎えるまで、あと数ヶ月。
少なくとも肉体面においては、すでに十分育ちきった、立派な女性である。
「…………」
生身の右手で、彼女──ヒスイの髪を
目覚めの際、耳元で寝息を聞くのが当たり前となったのは、いつ頃からだったか、と。
「……どうでも、いいか」
小さく呟き、ひとつ溜息。
なんとはなし
「そろそろ手入れをしないとな……」
ぎこちなく球体関節を
いかに
定期的な整備を施さなければ、劣化や破損は
もっとも、数百年前に滅んだ文明の遺産、それも複雑な機構を備えたものが原形を留めているどころか問題なく稼働する時点で、十二分な驚嘆に値するのだが。
──閑話休題。
「ヒスイ」
シュウホウは先にベッドを抜けると、床に散らばった衣服を拾い集め、簡単に
次いで、軽くヒスイの肩を揺すりながら、耳元で名を
「ん……んん……」
あちこちを渡り歩くうち、野宿や
だがしかし、シュウホウと寝所を共にした時だけは、少しばかり眠りが深くなる。
「……ん……ふあぁ……」
「おはよう」
目覚めたヒスイが、身を起こす。
その
シュウホウは彼女の
ちょうど太陽が昇りきったばかりの頃合。
薄暗かった室内へと、心地良い陽射しが注ぐ。
ヒスイの首に提げられた首飾り。
彼女の名と同じ音を冠する宝石が、
「──おはよ。シュウホウ」
毛先が膝に届くほど長く伸びた
同じく赤と黒に分かれた
「お水、飲みたい」
「ああ」
眠気と甘えを帯びた語調。
シュウホウが、小さなテーブルに置かれた水差しを取る。
そして、それをヒスイの口元に添え、ゆっくりと傾けた。
やけに
「……ふはぁ」
欲しい分だけ飲み終え、ヒスイは満足げに息をつく。
唇の端から頬、顎、首筋と伝い、鎖骨あたりまで垂れた水滴も、シュウホウが手ずから拭き取った。
「今日はどうする?」
「デートしたいな。せっかく王都まで来たんだし」
「分かった」