ジムコマンドに乗り込んだワイ。
謎の記憶により動かし方が分かるようになり、ザクとの戦闘を開始する。
戦いの終わりはあっけなかった。ブースターからコックピットに一閃し、見事に爆散するザク。
だがその爆発は死を生み、命の灯は消えていく。
死に際の思念を一身に受けニュータイプに覚醒しきるワイ。
人を殺した感覚と罪悪感に苛まれ、絶望に落ちたままホワイトベースに到着する。
第三話 生存競争
「これか──」
ワイはモビルスーツ用パーツを見つけた。その深い青色のパーツが入っている箱には識別用の名前が書いてある。
RGM-79GS HEAD PARTS
「これがワイのモビルスーツ──ワイが託された機体──」
『あなたが望んだ未来をつかむために──』
「望んだ──未来?何を望めというんだ、この赤く染まった手で──なんでワイなんかに託したんだよ、こんな機体を。」
「ワイができるのは殺すことだけだったじゃないか。殺して、奪って、見捨てて。」
「そんなワイに何を託せるって言うんだ──」
一人暗い闇に沈んでいく。だがそんな時間がないことも分かっていた。
この後は赤い彗星との戦いが待っている、全て運ばねば。
ゆっくりとホワイトベースに部品を運ぶ。
「ホワイトベース!ワイ・ダルゲです!部品搬入許可願います!」
[許可する。ハッチを開くぞ。]
「ありがとうございます。」
「オーライ!オーライ!それはどの部品かね!」
「ヘッドパーツになります!どこら辺に置けばいいでしょうか!」
「ヘッドパーツか──一旦邪魔にならなそうなところに置いておいてくれ!あとはこっちが運ぶ!」
「分かりました!よろしくお願いします。」
こうして、搬入を続けていった。
一通りパーツを運びきった時、同じように部品の搬入をしているガンダムを見つけた。
「──あれにアムロが乗っているのか。本当に来てしまったんだな。」
「なんで──なんでこんな所に───」
その時、通信回線が開いた。
[応答せよ、応答せよ。そちらはジムコマンドのコックピットで間違いないな?]
「こちらはジムコマンド。ワイ・ダルゲです。」
[よし、繋がったようだな。今から映像回線を開く。]
「───やはり子供か。」
ブライトが落胆したような声を出す。
「──子供で悪いですか、こっちは急に戦闘に巻き込まれたんです。無茶言わないでください。」
そう答えると奥からパウロ艦長と思わしき声が聞こえた。
「そうか──君があのパイロットか。子供とは思わなかったが運がいい。君、ガンダムの援護に回れるね?」
「運がいい──?」
「自信はないですけど───やってみます。」
「そうだ、一つ目の爆発。あれは君がやったのかね?」
「そうです。ワイがやりました。あの時は無我夢中で、ザクと戦って、ブースター部分から真っ二つにして───」
「ワイが──他の人たちも含めて────」
「───殺したんです。」
改めて、罪を自覚する。努めて、反省する。何回でも懺悔する。
それがワイにできる最大限の償いだと思っていた。だが、返ってきた言葉は自分の思った方向とは違っていた。
「そう卑下しなさんな。あのザクを倒していなければ一面焼け野原だったかもしれん。そう考えると君は充分うまくやったさ。」
「そう─ですか───。」
「一度通信を切るぞ、君もコックピットから降りることは許されないが一旦ゆっくりしていてくれ。だが、警戒は怠るなよ?ジオンはまだ来るだろうからな。」
「──分かりました。」
通信回線が切られる。
暗く孤独な世界がまた、造られる。
殺したのはワイだ。自分の意志で、生きようと思って。モビルスーツの中にいた人物を殺した。あの人も死にたくないって言ってた。だけどその未来をワイが奪った。
───なら、殺さなければいい。そして、殺させなければいい。誰もが武器を持てない世界をワイが作れば変わる。無力化するためには自分の力をその地点で一番強いものにすればいい。武器と手足を最短で破壊しつくせば対抗できなくなる。
その時振動とその大きな音が自分の思考を遮った。
即座に映像回線が開く。
「ワイ君。ホワイトベースのほうまで来れるか?ムサイが攻撃を仕掛けてきたらしい。」
「分かりました。すぐに向かいます。」
「運んできた物資の中にビームスナイパーライフルがあった。報告にはなかった武装だが──今は都合がいい。それを使いたまえ。」
「ガンダムにはビームライフルを用意させよ。」
「初陣にはやや若すぎるが──古来15~16歳の出陣がなかったわけではない。君たちに期待する。早いところガンダムとジムコマンドの顔合わせを済ませて出陣せよ。」
「は、艦長。アムロ、ワイ。聞こえるか。サイド7に残ったガンダムのパーツを破壊しろ。」
アムロが口を開いた。
「どうしてです?まだ3機分くらいは──」
ブライトが指摘した。
「ジオンに機密を渡すというのか?」
オペレーターが報告する。
「妙です。ムサイが後退しました。」
ブライトが指示する。
「下がった──?やり方は分かるな?」
アムロが口を開く。
「ス、スーパーナパームとかいうのを使うなら。」
間違いない。これは第二話で出てきた内容だ。ということは次は──シャアが来る!!
「アムロ君の判断は的確だ。任せなさい。」
「ワイ君もよろしく頼むよ。」
ワイとアムロは同時に返事した。
「「了解。」」
映像回線が閉じる。
この後は機密を取りに来るシャアが問題だな──だけどここで殺してしまってはこの後の展開がどうなるかわからない。
どうするべきか──
動かしながら考えているとガンダムとの通信回線が開いた。
[ワイ!無事だったんだな、姿を見ないから心配していたよ。]
アムロはワイのことを知っているのか──?
「あ、ああ。なんとか無事だよ。」
[しかもそんな機体に乗って──ガンキャノンとガンタンク以外にあるとは思わなかったよ。]
「託されたんだ。変な人に。」
[託されたって──誰にさ?]
「分からないよ。ワイにはあずかり知らないことさ。でも、なんか引っかかるんだよな。」
[なんだそれ、でも案外君のすぐ近くにいた人なんじゃないか?だけど知らないって言うのは謎だな。本当に大丈夫なのかい?]
「───大丈夫さ。ワイなら大丈夫。うまくやるさ。さて、急ごう。また攻撃が来る前に早く壊しきってしまわねばならないからね。」