東方吸血精   作:tesorus

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Ⅶ:妖精に支配された人々

ギャラクティス、そこは無法地帯と呼ばれるほどに治安が悪い街。そこに住んでいるのは、ダーク・ライトシティで指名手配を受けて逃げてきた殺人犯、ネクロ・シティでスカーレットの規則を破って追放された吸血鬼、ブリザードセルに逆らって堕落した妖精達…と、犯罪者のフルコース。

 

こんな場所は早く抜けてしまいたいが、意外にこの街、広い。私達が街の中を駆けているのを見られる度に、服や金を置いていけなどと叫んで、不良達が襲いかかってきた。

 

全て6人で潰せるレベルの魔力しかない連中ばかりだが、やはり吸血鬼はそこそこ強い。本当に、さとりさんがついて来てくれて良かった。

 

「本当に、クズしか居ないのね。教育上、こいしは連れてこなくて良かったわ。」

 

「こいし?誰のことですか?」

 

「私の妹よ。彼女は心も読めないし、彼女にこの街は危険すぎるわ。」

 

そろそろ魔力も尽きてきて、大分疲れた。どこか休める所は無いだろうか。と思ったら、いくつかの店を見つけた。さとりさんに入ろうと誘ったが、即刻却下された。

 

「何を言っているの。犯罪都市よ、ぼったくられて、そんな大金払えないと言ったら、きっと性奴隷にされるのよ。」

 

性奴隷って、言いすぎなんじゃあ…と思ったが、現にそうなる光景を想像したら、吐き気がした。

 

 

 

街が見えなくなるまで走り、さらに30分くらい歩くと、一面の銀世界に包まれた街が現れた。そこには、ほとんど人は見られない。人を見つけたかと思うと、彼らは私達を見た後、怯えて逃げるように建物の中に隠れてしまう。

 

「ここが、ブリザード・シティ?」

 

「ええ。けれど、随分と人口が低いのね。そろそろ昼食のお時間なのだけれど、これじゃあレストランも無さそうね。」

 

すごく静かな街だが、その静かさが逆に気味が悪い。まるで何かに狩られた後のような感じだ。

 

「ひょっとしたら、本当に狩られたのではないの?例えば、妖精達に食われたとか、あるいは妖精の奴隷として狩られたとか。」

 

「よ、妖精はそんなことできないよ…だって、人間よりも弱い種族だよ?」

 

さとりさんが、私の心を読んだ後の返答に三月精のルナが食らいつき、そう答えた。すると次は、三月精のスターが口を開いた。確かに幻想郷ではそうだが、ブラッド・ワールドには人間よりも強いが居るのかもと、だいたいそのようなことを言った。

 

現に、チルノは幻想郷の妖精よりも強かったらしい。過去に、妖精達が束になってかかっても勝てなかったと言う事例があったと言う。

 

それから数分が経った。もしや皆、三月精を恐れて逃げているのではと思って、私とアリスさん、さとりさん、それに三月精の三組に分かれて街の探索をする事にした。

 

 

 

まず訪ねた場所は、街の一角にある料理店。中に入ると、数人の店員が居た。

 

「おお、いらっしゃい。こんな時に客だなんて珍しいねえ。」

 

「はい、まあ…観光でこの街に来ているのですが、このあたり、全然人の気配が居ないのですが…何かあったのですか?」

 

「ああ、何だ。ただの観光客か。ギャラクティスを抜けてきたのかい?だとしたら、お嬢さん達は魔術師か何かか?」

 

「そうです、まあ…こいつは私の弟子です。」

 

何故そうなったし、まあ、話はアリスさんに任せるのが良いだろう。

 

「そうかい。まあ、私達にはあまり関係ないがな。この街は妖精が支配している街だよ。あいつらは毎日、人間をゴミみたいに扱いやがるんだ。出る杭は打たれる、でしゃばる奴らは皆、あのブリザードセルとか言う妖精に連れて行かれるんだ。」

 

さっき、さとりさんが言ったことは本当であった。

 

「凄い、さとりさんの言ってた通りじゃん…」

 

「流石ね。なんかこう、街の秘密でも解るのかしら?」

 

そこで食事を済ませ、次は寂れた旅館へと足を運んだ。やはり妖精達に支配されていると言うのは本当らしく、ブリザードセルの妖精は、毎日ここへ来ては人間を連れ去っているらしい。

 

ネクロの魔女狩りも大変だが、ブリザードの人間狩りの方も相当ヤバいらしい。それだけ聞いたあとに旅館を後にすると、どこからか悲鳴が聞こえた。悲鳴がした方角へ飛んでいくと、そこには人間を連れていこうとする一匹の妖精が居た。妖精の髪は綺麗な緑色のポニーテールで、青色の服を着ている。アリスさんは、彼女に見覚えがあると言って、彼女に呼びかけた。

 

「あなた、幻想郷に居た妖精じゃないの?何故、あなたがこの世界に居るの?」

それを聞いた妖精は、アリスさんの方を見て頬を赤く染めた。そして、アリスさんに向かって舌打ちをした。

 

「あら?自分の正体がバレて怒っているのかしら?」

 

「…別に。それに、私は別に幻想郷の生まれではないわ。確かに、幻想郷に住んではいたけれど。さあ、そろそろ人間が集まってきたわ。もうあなたは鳴かなくて良いのよ。」

 

彼女の眼が妖しく光ると、彼女に捕まっている人間は大人しくなった。

 

「私は、この「人を操る程度の能力」でチルノちゃんをブリザードセルの城に連れ戻したの。私は自分の使命を遂行しやすいように、幻想郷では名前と能力を隠していたわ。さあ人間さん、そろそろ城へ行きましょう。」

 

「待って!」

 

無意識に、私はそう叫んでしまった。その声を聞いた彼女は、空中で立ち止まった。

 

「何?貴女も妖精の奴隷になりたいのかしら?悪いけれど、魔法使いは効率が悪いからダメよ。」

 

「ち、違う…けれど、貴女一体何者なのですか?」

 

とりあえず、意味もなく引き止めてしまったので、適当な質問を投げかけてみた。彼女には悪いけれど、これで足止めができれば、あの人を助けられるかもしれない。

 

「私は、セル家の召使いのナチュレ・フェリーズよ。それじゃあ。」

 

「あっ…」

 

彼女は捨て台詞のように自己紹介をすると、城へ逃げていってしまった。氷塊を操って撃ち落とそうとはしてみたものの、彼女がバリアを張っている性でまったく当たらない。

 

「これが、人間狩りね…まさか、本当に妖精が人間を狩るとはね。」

 

後ろから、聞き慣れた声が聞こえた。残りの二組、三月精とさとりさんもこちらへ追いついたようだ。

 

「な、なんであいつが居るの?あいつ、幻想郷に居た大妖精じゃん…私達、あいつと遊んだことあるよ?」

 

「そんなこと言われたって…」

 

困ってしまう、現に私は彼女を知らない。とにかく、私に関係があるのは、手がかりは掴めなかったと言うことだけ。それ以外は何も…

 

「いいえ、手がかりは残していったわ。彼女の心にあった、アイスバードへの最短距離を読み取ったわ。」

 

…本当にこいつ居ると楽だな。もう、こいつ一人だけで良いんじゃないかな。

 

「私一人は困るわ。その最短距離なのだけれど…結局、飛んでいくしかなさそうね。どうする?かたまって行くか、バラバラに行くか…」

 

さとりさん、アレですよ。こう…固まって行くと、敵として認識されそうですよ。私達は、別にブリザードセルに喧嘩を売りに行く訳ではありませんし…

 

「確かにそうね。じゃあ、私はこいつとアイスバードへ行くわ。アリスは単独、三月精は…いや、私達だけで行くとそれこそ警戒されそうね。」

 

結果、三月精を一人ずつ付き添わせて行動することになった。さとりさんにはルナ、アリスさんにはスター、そして私は…

 

「えへへ、三月精の中で最強の私と行けることに感謝しなさい。」

 

ある意味、こいつが一番扱いが面倒くさそうだな。

 

 




前記の通り、かなりの時間、更新を停止します。

それでは、また更新ができますように!また必ずお会いしましょう!
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