再スタートを切り出すので初投稿です。
オタクロスに連れられてアキバタワーへと向かう道中、俺は母さんに言った1年の期間についての話をした。聞いていたオタクロスは少し呆れていたが、納得はしてくれたようだった。
それはさておき、俺はこの1年で何をするのかを考えなければならない。自分からそう約束したので、これから逃げる訳にもいかず、かといって具体的にこの1年LBXのメンテナンスばかりする訳にもいかない。
となると俺にとって必要な事といえば──売名。
「なぁ、オタクロス。近いうちにLBXか、技術に関わりのあるイベントってあるか?」
「イベント? 何故気にするデヨ?」
「名前を売るんだよ。ハッキリ言ってオタクロスに頼りっぱなしだと、俺の今後にも影響が出る。だから可能な限り自分でもやれる事をやってかないと」
それを聞いていたオタクロスが自分の髭を触りながら黙々と何かを考え始め、ふと閃いたように拳で手を叩いた。
「そういや、あれがあったの」
「あれ?」
「まあ細かい話はタワーに戻ってからするデヨ」
言われるがままにアキバタワーへと戻り、最上階に訪れる。そこでまず最初に、オタクロスは俺に壊れたバッファたち1式が揃った箱を手渡された。
「大事なものじゃろう。ほれ」
「ありがとう、オタクロス」
とはいえ、コイツの修理が果たして出来るかどうか……。ただでさえテツさんの施した超高精度な部品を組み込んでるプラズマジェットエンジンがあるし、完全に直すにしても時間が掛かりすぎる。
受け取ったバッファらを見ながらそう考えていると、オタクロスはエレベーターに向かいながら俺を呼び、付いて来るように言った。
案内に従ってエレベーターにまた乗り込み、今度はあの時のバトルフィールドが設置された部屋に到着した。ただあの時と違うのは、部屋全体が照らされたことで内装がどうなっているのか分かった事だ。
もはや使われなくなって久しいであろう、シャッターの下がった空きテナントが8つ確認できる。
「これは……」
「今使っておるのは誰もおらん階じゃ。ひとまず、オヌシにはここを使ってもらおうかとな」
「はっ?」
はっ? …………はっ?(^q^)
「えーっと、空きテナント1つ使えるって事で良いの?」
「いんや。この階の全部じゃが」
使えるかッ!! 何をどうしたらこの階層丸々使っていいって判断できるんだよ!? てか全部使うって、絶対余るわこんなん!
「オヌシの今後を考えると、この階丸ごと渡した方が良いと思っての。どうせ機材や何やらで埋め尽くされるデヨ」
ねぇ何か色々嫌な予感しかしないこと言ってない? 機材で埋め尽くされるってなに、オタクロスは俺に何をホイホイ提供しようとしてるの!?
「さて、まず荷物を置くデヨ。最初のミッションをこれから授ける」
「ミッション?」
「そろそろ来る頃じゃが……お、来たか」
「「「「「とうっ!!」」」」」」
オタクロスがエレベーターの方に視線を向けたので、俺も同じようにそちらを見やる。軽い金属音のような到着音と共に扉が開かれると、順々に飛び出てくる鳥頭の被り物をしたジャージ姿の人間が。
「この世に悪がある限り!」
「美貌と友情と!」
「カレーパワーで!」
「アキハバラの平和を守る!」
「我ら、愛と正義のLBXプレイヤー!」
「オタブラック!」
「オタピンク!」
「オタイエロー!」
「オタブルー!」
「オタレッド! 5人揃って────」
「「「「「オタレンジャー!」」」」」
「あっ、間違えたんだナ」
「おぉー」
生のオタレンジャー名乗りだ。ちょっと拍手したかったが、手が塞がってるので出来ず。
それはそれとして、その手に持ってる掃除用具一式はまさか……。
「よく来たデヨおまいら」
「師匠、頼まれたものをお持ちしました!」
「うむうむ、これで準備に取り掛れるデヨ。と、その前に」
オタクロスが俺の隣に立ち、若干強めに俺の腰を叩く。痛いんですけど。
「紹介しよう。ブラックは知っておろうが、此奴の名はミナト アカツキ。この度、此奴のオタ道スピリッツを認め、弟子として迎え入れることになったデヨ」
「「「「「おお!」」」」」
「ちょっと待て」
「何デヨ?」
「俺が、弟子?」
「そうデヨ」
「アンタの?」
「なんじゃ、不満か?」
「不満っつーか。なった覚えが無いっつーか」
「オヌシを儂が預かる事になった。これはもう弟子以外の何者でもないデヨ」
「物は言いようだなホントに!」
「で、そんな新たな弟子に、この階層の清掃任務を与えるデヨ」
デスヨネ、知ってた(^q^)。おいまだ筋肉痛治りきってないのに掃除は洒落にならな────ア゙ア゙脚つったッ!!
なぜかオタクロスの弟子になり、オタレンジャー共々階層の掃除を終えて一息ついた頃。ポ〇リの缶を持ち、タオルを首に掛けて綺麗にした椅子に座る俺に向かって、オタクロスが話しかけてきた。
「アカツキ、オヌシの言っておったイベントについてじゃが」
「あるの?」
「うむ、ある。といっても、正式な発表はまだ先のイベントじゃがな。今回は特別サービスデヨ」
杖のボタンを押せば、電子音と共に現れる男の姿。あー、シブネキクゾウか。
『説明しよう! 今から約4ヶ月後、タイニーオービットがアキハバラと連携し、あるイベントが行われる! その名も────
「LBXコンテスト?」
「ほいっ」
またオタクロスが杖のボタンを押して、シブネキクゾウに説明をさせる。今度は画像付きで。
『説明しよう! LBXコンテストとは、LBXが発売された2042年から、アキハバラの有志たちが集って行われた非公式のコンテスト大会である! 好みのデザインを持ち寄って素晴らしさを語っていたのが初まりだ!』
ほぉーん、そんな事が。あーでもそういや、前の人生でもダン戦終わってなお、根強いファンが主導してLBXの展覧イベントやってたな。
『そして今回! 非公式に行われてきたLBXコンテストがなんと、タイニーオービット協力のもと大々的に行われる事が分かった!』
「ハッキングして知った?」
「いんや。このイベントを行うにあたって、社長の宇崎悠介氏から話を聞いていたデヨ」
「それ、俺に言って良かった?」
「おまいが軽はずみで公言しなければ大丈夫デヨ」
「まあ言うつもりは無いけどさ」
『開催日はゴールデンウィーク後半の5月3日から5日の3日間! その3日間でどのLBXデザインが良かったかを観客に投票してもらい、票数に応じて入賞から最優秀賞までが決められる! それとは別に5名の審査員から与えられる審査員特別賞もあったりするぞ!』
「へー」
『なお、その5人の中にはオタクロスも含まれている!』
「なんか予想は付いてた」
『そして、最優秀賞者にはなんと──』
「ほいストップ」
オタクロスが杖のボタンを押して、シブネキクゾウを消した。最優秀賞には何かが与えられるみたいだが、まぁそれは気にしなくても良いか。俺の目的はあくまで売名だし。
「と、いうわけでじゃ。オヌシ、これに参加するつもりはあるかの?」
こんな打って付けのイベント、乗らない理由は無い!
「やる。お誂え向きのイベント、無視しない理由が無い!」
「それでこそじゃ。ではこれより、オヌシに新たな試練を授けよう」
杖で地面を叩き、カッと目を見開いたオタクロス。覚悟はもう決まってる、何でも来い!
「LBXコンテストにて、審査員特別賞以外の賞を授与すること。これがオヌシに与える、新たな試練デヨ!」