一気に赤評価になってるしランキングにも載ってるしで驚きました。皆さんダン戦大好きなのが伝わってきます。
誤字報告、評価、お気に入り等ありがとうございます。
鉄の牢獄ともいうべきバトルフィールドで、禁じられたLBXバトルの開始を告げる音声が、互いのCCMから鳴り響く。
「音に聞け! 目にも見よ! 我が名はオタブラ」
オートマチックガンを装備したウォーリアーが、ビビンバードX-Vの足元目掛けて数発撃った。油断していたオタブラックは慌てながらもビビンバードX-Vを操作し、最低限のダメージに抑える。
が、名乗りを邪魔された本人は怒り心頭になった。
「貴様らッ! 神聖なる名乗りを邪魔するとは、何たる愚行! 無礼極まりないぞ!」
「んなもん知るか! やれ!」
「「おう!」」
斬馬刀とスパイクランスを装備したムシャとズールCが迫る。ビビンバードX-Vは斬撃をすんでの所で躱し、刺突を僅かに後退しつつ交差した腕で押さえる形で地面へと逸らした。
隙を狙ったムシャの攻撃を倒れながら避けたが、転がった先をウォーリアーが銃を連射する。照準性能が低いためか、5発中1発が当たる程度のブレ具合だったが、その1発がビビンバードX-Vの動きを一時的に止めた。
「オラオラオラオラ!」
「くっ、これしきの攻撃どうとでも!」
オタブラックの発言の直後、ビビンバードX-Vが後方からの衝撃を受けて身動きを封じられた。
「なっ!?」
「跳弾か!」
観戦していた暁が、先程の事象の要因を見抜く。
(そうか! 強化ダンボール製のフィールドじゃないから、衝撃が吸収されず銃弾が跳ね返ってしまう事もあるのか! こうなると照準機能が低スペックの機体でも、場合によってはラッキーパンチを繰り出す事ができる!)
「どうしたどうした! そんなんじゃ蜂の巣だぜ!」
「このっ……!」
(でも、その行為の代償を受けるのはビビンバードだけじゃない!)
暁の推測は、ウォーリアーの放った銃弾の1つがムシャに当たったことで的中した。
「バカスカ撃つな! 当たっただろーが!」
「んな細けーこと気にすんなや!」
「良いから撃つのを止めろや!」
仲間の忠告も虚しく、ウォーリアーの撃った銃弾が跳ね返り、今度はズールCの右側頭部に直撃し倒れてしまった。
「テメェ、いい加減に!」
「ッ、勝機!」
不良達がいがみ合い始めた途端、ビビンバードX-Vをムシャに向かわせるオタブラック。咄嗟に反撃行為を行ったムシャだが、斬馬刀が振り下ろされる前にビビンバードガンの連射が撃ち込まれ、ムシャが爆発。ブレイクオーバーとなった。
「んのやろ「遅い!」
ビビンバードX-Vが、ウォーリアーの持つ銃を狙ってビームを発射。着弾と同時にオートマチックガンが破損し、ウォーリアーが引鉄を弾いた瞬間暴発した。
すぐにオタブラックは狙いを変え、起き上がろうとしているズールCに向かって突撃させる。最接近を果たすと、ビビンバードX-Vが機体を蹴って空中に飛ばすと、狙いを定めてオタブラックが告げた。
「必殺ファンクション!」
集約したエネルギーの塊が打ち上げられたズールCに向かって発射され、避けることもできずに直撃。爆風と共に地に倒れ伏したと同時に、耐久力が全損した音声が鳴りブレイクオーバーを宣告される。
「んだと!?」
「残るはお前だけだ!」
ビビンバードX-Vが銃をしまい、ウォーリアーに突撃。そのままの勢いで拳が顔面に刺さり、相手を仰け反らせる。間髪入れずにボディーブロー、回り込んで飛び蹴り、跳躍からの押し潰しを叩き込んだ。
「1つ! 貴様らは神聖なる名乗り行為を冒涜した!」
ウォーリアーを持ち上げ、そのまま鉄の壁目掛けて放り投げる。
「2つ! 自らの悪行を正当化しようとして、他者を悪に仕立てあげた!」
鉄の壁に激突したウォーリアーは、装甲や関節の亀裂から僅かに放電し始めた。プレイヤーである不良が必死にCCMを入力するが、その命令が実行されることは無い。
「3つ! 一般人、ましてや子ども相手に3人がかりで盗みを働こうとした! これらの所業、断じてゆ゛る゛さ゛ん゛!」
オタブラックがCCMを握りしめ、怒りとともに入力する。
「くらえ! ファイナルビビンバードダークサイクロンギャラクティックボンバー!!」
「何1つ合ってねぇじゃねーか!!」
不良のツッコミも空しく右手にエネルギーを溜め、正拳突きとともにそのエネルギーをウォーリアー目掛けて飛ばす。不良の最後の言葉が発せられたのと同時に、ウォーリアーは爆散。ブレイクオーバーとなった。
かくして、オタブラックとビビンバードX-Vは勝利を収めた。
「さぁ、貴様らの負けだ! 大人しく」
「くそっ、逃げるぞ!」
「なっ、待て!」
不良達はなりふり構わずその場から逃げ出す。追いかけようとしたオタブラックであったが、その行為は後ろから服を引っ張られたことで停められた。
「追わなくて良いですよ。もう終わったことですし」
「君は何を言って」
「だから、もう終わったんですよ。あの不良共の人生ってヤツが。はい、これ」
軽い調子で暁は自身のCCMの画面を見せる。オタブラックは訝しみながらも画面を見ると、先程戦った3人の顔写真がSNSに掲載されており、文面にはあの時の録音で判明した犯罪行為が載せられていた。
「先程の戦いの最中、少し根回しをしました。あの口ぶりから色々とやってたみたいですけど、これで豚箱直行便になったので、あとは時間が解決してくれます。なので追いかけなくて構いません」
「えっ怖」
(念の為、発信先の場所をこことは別の場所に設定したのは黙っておこ)
危機が去った暁と、現れたオタブラック。この奇妙な邂逅から、暁という少年の人生は大きく変わり始める。
まさか、こんな所でオタブラックと出逢えるとは思ってもみなかった。正直アニメでジンにやられたぐらいの活躍しか覚えてないけど、オタクロスの弟子なだけあって実力は確かだ。若干運要素が強かったと言われると、そうなんだけども。
兎にも角にも、ここでオタクロスとの繋がりができる可能性が降って来たのはチャンスだ。これを活かせるよう、慎重かつ大胆に話を進めていかないと。
「先程はありがとうございます、オタブラックさん。おかげで荷物を奪われずに済みました」
「なに、礼には及ばん。君を助けたのは我が師、オタクロスからの使令にも関係していたからな」
「オタクロスが?」
「あぁ。聞けば、君は8時間もの間ずっと師匠を捜していたそうじゃないか。そこまでする理由を直接尋ねるため、その遣いとして私が選ばれたというわけさ」
────ああ、良かった。俺の今までは全部、無駄じゃなかったんだな。本当に、良かった……!
「ッ、君大丈夫か!?」
「へっ? ありゃ」
いつの間にか視線が低くなっていて、オタブラックに支えられている。あぁ、そうか。安心して緊張の糸が解けたのか。脚に力が殆どないのが分かる。
「ここまで捜し続けたんだ、無理もない。私から事情を伝えておくから、君はもう家に」
「いえ、大丈夫です。すぐに連れて行ってください」
オタブラックの支えから離れて立ったあと、拳を作り、自分の脚を叩く。このまま家に帰る訳にはいかないんだ、無理やりにでも動けよ、俺の体。
「案内、お願いします。オタブラックさん」
「……大丈夫というのなら、良いだろう。だが無理はするな」
それは無理だ、申し訳ないけど。安っぽい言い回しになるが、今は無理してでもオタクロスと接触しないとならないんだ。
オタブラックの案内のもと、俺はアキバタワーに入り、1つ目のエレベーターで上へと向かう。上空から見下ろすアキハバラの街並みは、夕方であるにも拘わらず賑わいに衰えが見受けられない。
やがてエレベーターが止まり、オタブラックは降りた先で見えた2つ目のエレベーターを示した。
「あれに乗って最上階に昇り、着いたら真っ直ぐ進むんだ。そうすれば、我が師オタクロスと会える」
「オタブラックさんは」
「私はあくまで案内人、ここでお別れだ」
「分かりました。ありがとうございます」
「君にとって、良い結果になることを祈っている」
オタブラックと別れ、迷いなく2つ目のエレベーターに乗り込み最上階を目指す。いよいよ、この時が来た。変に心臓がバクバクして、周りにまで聞こえてきそうなほど心音が大きく感じられた。
エレベーターは最上階に到着し、目の前に続く暗闇の先へと進んでいくと、アニメやゲームで何度も見たことのある景色に行き着く。奥にある長い階段と祭壇のような場所に、目的の人物は居た。
「お主か。儂を捜していたというのは」
纏められた白髪、長い白ひげ、おそらく身長を稼ぐために履いている高下駄を履いた老人。
オタクロスが、そこにいた。