「サーバーダウンが……延期となった?」
もう十秒間は経ったはずだ。
サービス終了。
強制ログアウト。
その瞬間が訪れるはずだった。
しかし――。
「あれ?」
モモンガは首を傾げた。
いつまで経っても、ユグドラシルのコンソールが表示されない。
「……どうしてだ?」
何かの不具合だろうか。
モモンガは困惑しながら、他のログアウト方法を試してみる。
しかし、何をしても反応がない。
「あれ、おかしいな?」
どうなっているんだ?
しばらく待てばいいのか?
何かのバグなのか?
焦りを覚えながら、モモンガはどうすればいいのか分からず、そわそわと周囲を見回していた。
すると――。
「どうかなさいましたか? モモンガ様?」
「……え?」
声がした。
なんだ、この声は?
誰の声だ?
それに――。
綺麗な声だな。
「……」
モモンガは固まった。
絶対にバグっている。
どうなっているんだよ。
早くログアウトさせてくれ。
明日も仕事なんだよ。
「あの、モモンガ様?」
再び声が聞こえる。
「だから、どうなっているんだよ……」
分かっていた。
誰が話しかけてきたのか。
分かっていたからこそ、無視したかった。
いや。
認めたくなかったのかもしれない。
あるいは――怖かったのだろうか。
いきなり、NPCであるはずのアルベドが心配そうに話しかけてきたのだから。
「何か問題がございましたか? モモンガ様?」
「ア、アルベド……なんだな」
「はい。アルベドです」
アルベドは当然のように答えた。
「……話している」
モモンガの頭が混乱する。
「どうなってるんだ?」
俺は女の人とまともに話したことなんてないぞ。
アルベドに、こんな自然に話せる設定があったのか?
無理だ。
俺には話せない。
「いかがなさいましたか?」
「コンソールが使えない。これではログアウトできない」
モモンガがそう告げると、アルベドは不思議そうに首を傾げた。
「ログアウト……?」
「それは、御方たちが行き来している世界のことでしょうか?」
「行き来……?」
モモンガはアルベドの言葉に引っかかった。
そういう認識なのか?
それより――。
なぜ、アルベドの目はリアルの人間のように動いている?
表情もそうだ。
視線もそうだ。
こんな設定はユグドラシルにはなかった。
これではまともに話すことすら難しいじゃないか。
落ち着け。
頑張れ、俺。
この意味不明な状況に適応しろ。
よく考えろ。
俺は確かにゲームをしていた。
今日はサービス終了日。
日付を跨いだら強制ログアウトされ、ユグドラシルは終わるはずだった。
なのに――。
なぜかユグドラシルは続いている。
それどころか。
「……リアリティが、愕然と上がっている」
いや。
そんなものではない。
これは、現実にいるかのようなリアリティではない。
まるで――現実そのもの。
いや、それ以上に鮮明だ。
こんなことがありえるのか?
ここは夢なのだろうか。
夢だと考えれば、まだ笑い話で済む。
しかし、こんなにもリアルな夢があるのか?
最近は夢なんてほとんど見ていなかった。
それに――。
ユグドラシル2なんていう情報もなかった。
サービス終了直後に、いきなり続編が始まるなんてことも考えにくい。
「……そうだ」
モモンガはアルベドを見る。
「そこに帰れなくなってしまったようだ」
「それは――」
アルベドは申し訳なさそうに頭を下げた。
「申し訳ございません。無知な私では、その解決策をご提示できません」
「……」
こんな自然に会話ができるなんて。
どうなっちゃったんだよ。
モモンガの胸の奥に、少しずつ恐怖が湧き上がってくる。
ゲームが現実になったとでもいうのか?
それとも、ユグドラシルが終わってしまうことが寂しすぎて、自分がおかしくなっているだけなのか?
もう分からない。
どうすればいい?
何が最善なんだ?
⸻
モモンガは考えを切り替えた。
とりあえず――。
ギルド拠点に異常がないか調べる。
そして、外の状況を確認する。
何か手掛かりがあるかもしれない。
すでに、あらかたシステムへのアクセス方法は試している。
しかし、何をしてもコンソールは反応しない。
それに――。
少しずつ感じ始めていた。
自分が、本当に生きているという感覚。
自分のアバターが持っていた能力が、現実のものになっている。
万能感。
力を感じる。
圧倒的な力が、魂の奥底から溢れ出してくるような感覚。
まるで――。
神にでもなったかのような感覚だった。
「これは……まさか」
モモンガは考える。
ゲームが現実になった。
そんな物語のような展開なのか?
そして――。
自分が、その当事者になったというのか。
確かめなくてはならない。
例え見当違いだったとしても。
もし、その可能性があるのなら――。
「私はナザリック地下大墳墓を……ギルドを守る」
それしかない。
というより、それしかやることがなさそうだった。
もしここがユグドラシルの世界なら、他のプレイヤーもいるのだろうか。
仕事がない今、この現実化したユグドラシルで遊んでいればいいのか?
とりあえず、仲間であろうナザリック地下大墳墓の皆と生きていくしかないだろう。
幸い、自分はワールドエネミー化している。
今の自分が、この世界で一番強い可能性は高い。
NPCに裏切られたとしても、容易く返り討ちにできると思われる。
だが――。
ここはゲームの延長線上にある世界なのか?
それとも、まったく別の異世界なのか?
結論を出すには、情報が必要だ。
「セバス!!」
モモンガは声を上げた。
命令してもいいのだろうか?
何が起こっているのかは不明だ。
しかし、この墳墓にいるすべてのNPCは、自分に対して忠誠心を持っていると思っていいのだろうか?
少し不安を感じながらも、試しに指示を出してみる。
「大墳墓を出て周辺地理を確認せよ」
モモンガは続けた。
「もし仮に知的生物がいた場合は、即座に私へ連絡せよ。できる限り、まだこの世界の生命体とは接触するな」
そして、少し考えてから付け加える。
「行動範囲は……そうだな。まずは周辺一キロとしよう」
「……」
「目的は、あくまで周囲の状況把握にすぎない。慎重にことにあたれ」
――ぎょえー。
こんな偉そうに命令なんてしちゃっていいのか?
支配者っぽい演技をしてみたけど、思ったより上手くいっちゃったぞ。
自分の思わぬ才能に驚きつつ、モモンガはさらに命令を続けた。
「その際、私の僕と一緒に行動しろ」
少し考える。
「そうだな。セバスは近接系だから……魔法使いにしようか」
そして――。
「《最上位アンデッド創造》――オーバーロード・ワイズマン」
⸻
オーバーロード・ワイズマン
モモンガの新たなスキル、《最上位アンデッド創造》。
それによって生み出せる最上位アンデッドの一体。
その名も――。
オーバーロード・ワイズマン。
モモンガは召喚した存在をセバスへ同行させる。
「念のため、この召喚モンスターも連れて行け」
「オーバーロード・ワイズマンと私の意識はリンクしている。これを通して指示を送れるからな。不測の事態にも対応できるであろう」
「了解いたしました。モモンガ様」
セバスは一礼する。
「直ちに行動を開始します」
「……」
ひとまず、これでいずれ外の情報は集まる。
僕も付き添わせたから安心だ。
NPCが裏切ったとしても勝てる。
そう思える心の余裕は大きい。
ワールドエネミー化していなければ――。
守護者一人ならまだしも、複数体で襲いかかられれば、いくらギルド武器があっても敵わないだろう。
裏切り防止も兼ねて、アイテムの効果で隠蔽されているであろうワールドエネミーのオーラを、守護者たちの前で解放する必要もありそうだ。
今のところ、彼らが裏切るようには思えない。
しかし――。
改めて、誰が上位者なのかを理解させておく必要はあるかもしれない。
寝込みを襲われたりしないよな?
返り討ちにはできると思う。
だが、ギルドメンバーが作ったNPCに襲われるのは少し嫌だ。
ましてや、ギルドメンバーが残したNPCを自分の手で排除するなんて、できればしたくない。
そのとき――。
「モモンガ様、私はいかがいたしましょうか?」
アルベドが問いかけた。
「そうだな」
モモンガは少し考える。
「アルベドは守護者統括だったはず」
「はい」
「ナザリック地下大墳墓に異常がないか確認せよ」
「承知いたしました」
だが、アルベドはすぐには動かなかった。
モモンガはそれを見て、説明を加える。
「――なぜ必要なのか、気になるよな」
「はい」
「それは、ナザリック地下大墳墓が異世界に来た可能性があるからだ」
アルベドの表情が変わる。
「そのため、他に異常が起きていないか確認する必要がある。私が元の世界に帰れなくなったように、何らかの不都合が起きているかもしれない」
「確かに……その可能性はございますね」
アルベドはすぐに理解した。
「直ちに守護者統括として責任を持ち、各階層守護者と連携を取り、一つの異常も逃さずにことにあたります」
そして確認する。
「ナザリックの警戒レベルを引き上げた方がよろしいですよね?」
「勿論だ」
モモンガは頷く。
「ナザリックの警戒は引き上げるべきだ。いつ、いかなる敵が来ても対応できるようにする。しばらくは厳戒態勢が必要であろう」
「かしこまりました。モモンガ様」
アルベドが深々と頭を下げる。
「……」
アルベドが去った後。
モモンガは心の中で大きく息を吐いた。
――はー、疲れた~。
みんな、忠誠心高すぎだろ。
命令された瞬間に嬉しそうにしているし。
なんだかなあ……。
調子に乗らないように気をつけないとな。
⸻
力の確認
うーん。
まずは、自分の能力の確認が必要だよな。
最適なのは――第六階層か。
転移魔法は、上手く発動するのかな?
「……転移」
次の瞬間。
視界が切り替わった。
「お!」
成功だ!
感覚的に発動できる。
「すごい便利な仕様になっているな」
まるで手足を動かすように魔法が使える。
そんな感覚だった。
⸻
第六階層
モモンガが転移したのは、ナザリック地下大墳墓の第六階層。
フィールドの大半が森であり、その中心には円形闘技場が存在する。
円形闘技場の中央。
そこへモモンガは転移した。
中央の空間を、何層にもなる客席が取り囲んでいる。
今は無人のようだ。
そして、現在は夜らしい。
しかし、魔法による光が円形闘技場を照らしている。
ここはナザリック地下大墳墓の第六階層。
つまり地下である。
それにもかかわらず、人口太陽によって地上と変わらぬ朝、昼、夜が存在していた。
「……お」
モモンガは生命反応を感じ取った。
「いたな」
二つ。
二つの生命反応。
「私の存在を感知して、高速でこっちに来たのだろうか」
その直後だった。
「とあ!」
掛け声とともに、一つの影が跳躍する。
闘技場の観客席を飛び越え――。
中央の空間へと、軽やかに着地した。
その速度は異常の一言だった。
軽くマッハを超えているだろう。
やってきたのは、十歳ほどの子供。
緑と青。
左右で異なる瞳が特徴的な、ダークエルフの少女。
「アウラか」
彼女こそ、ナザリック地下大墳墓第六階層守護者。
マスターテイマーという強力な職業を有し、レンジャーでもある森の狩人。
その名は――。
アウラ・ベラ・フィオーラ。
アウラは笑顔を浮かべながら、小走りでモモンガへ近づいてくる。
敵意はなさそうだ。
モモンガは一安心する。
子供を。
それも、ギルドメンバーが作ったNPCを。
できれば殺したくない。
「いらっしゃいませ、モモンガ様」
アウラは嬉しそうに笑う。
「あたしの守護階層までようこそ!」
「ああ。少しばかり邪魔させてもらうぞ」
「何を言うんですか!」
アウラは笑った。
「モモンガ様はナザリックの絶対の主人ですよ。邪魔扱いされるわけがないですよ」
「モモンガ様~」
テクテクと可愛らしい小走りでやってきたのは、アウラの弟――マーレ。
同じダークエルフである。
ただし、その小走りは――。
人間の基準では小走りと呼べるものではない。
時速100キロは出ている。
彼らの身体能力は、想像を絶するものだった。
「元気そうで何よりだ」
モモンガは二人を見る。
「今日来た目的は訓練のためだ。しばらく使わせてもらうぞ」
そして、二人へ告げる。
「仕事に戻って構わないぞ」
双子はまだ第六階層の確認ができていないらしい。
モモンガと一緒にいたいという気持ちもあった。
しかし、モモンガからの命令だ。
渋々ながらも、残りの異常がないか確認するために動き始めた。
⸻
モモンガは訓練を開始した。
ワールドエネミーになったことで手に入れた能力。
それだけではない。
もともと習得していた、使い慣れたスキル。
魔法。
特殊能力。
そして――。
超人的な身体能力。
一つ一つを確認していく。
自分の身体が、どれほど変化したのか。
新たな能力が、どのように機能するのか。
それを確認していく。
そして――。
一通りの確認を終えた。
「……」
モモンガは、ふとセバスの様子が気になった。
ここへ来る前。
周辺の様子を探るために、セバスを外へ出している。
「やられたりしてないよな?」
モモンガはオーバーロード•ワイズマンと意識をリンクさせる。
――大丈夫そうだ。
それにしても。
これは――。
「……」
ナザリック地下大墳墓の周辺。
ユグドラシルであれば、沼地だったはずだ。
しかし。
そこに広がっているのは――草原。
「なるほど……!」
モモンガは一つの可能性に辿り着く。
「ここは……ユグドラシルではないということか」
これならば。
異世界へ来てしまったという説も浮上する。
より慎重な行動が必要だ。
ユグドラシルの世界だったなら、ワールドエネミーは最強格。
それだけでも、ある程度は安心できる。
もちろん、油断はできない。
しかし――。
未知の世界となれば話は別だ。
未知の力が存在するかもしれない。
決して油断はできない。
モモンガはセバスとメッセージの魔法で連絡を取る。
そして帰還命令を下した。
改めてセバス本人の口からも周辺状況を確認する。
召喚モンスターの目から見た情報と一致している。
間違いない。
⸻
モモンガは、現在の状況を暫定的にこう捉えることにした。
ゲームをしていた。
そのゲームが、超常の力によって現実化した。
しかし――。
現実化した場所は、ユグドラシルの世界ではなかった。
未知の異世界。
それが現在の状況だ。
「……さて」
これから、どうするか。
何事もなく生きていくのもいいだろう。
できれば――。
スローライフしたい。
仕事をしなくていい。
それだけでも最高だ。
ギルドメンバーは、おそらくいない。
ならば。
現実化したNPCたちと楽しく暮らすのも悪くないかもしれない。
そのためには――。
まず情報収集。
そして、安全の確保。
それが最優先だ。
さらに、今自分たちがどこにいるのかも分からない。
生活の基盤も確保する必要がある。
「それなら……」
NPCたちとの情報共有が必要だ。
これからの方針も、一緒に考えるべきだろう。
ギルドメンバーの後継者。
そんな形で、NPCたちをギルドメンバーにするのもいいかもしれない。
しかし――。
まずは信用できるか確認してからだ。
最初は守護者たちを第六階層へ集めよう。
そこで話をする。
⸻
アルベドを通して、守護者各員を第六階層の円形闘技場へ集めたモモンガ。
集まった守護者たちの、あまりにも熱烈な忠誠心には少し引いてしまった。
しかし――。
敵意を向けられるよりはいい。
モモンガはそう考える。
そして、守護者たちへ告げた。
「現在、ナザリック地下大墳墓は、原因不明かつ不測の事態に巻き込まれている」
守護者たちが静かに耳を傾ける。
「端的に言えば――」
モモンガは、はっきりと告げた。
「ここは、ユグドラシル世界ではなく異世界だ」
それだけを告げると――。
モモンガは、どこかへ転移していった。
残された階層守護者たちは、互いに顔を見合わせる。
そして、それぞれが話し合いを始めた。
⸻
「す、すごく怖かったね、お姉ちゃん……」
第六階層守護者のマーレが震えた声で言う。
「ほんと……」
アウラも頷く。
「私は全身が震えちゃったよ」
二人は、先ほど感じた圧倒的なオーラを思い出していた。
それだけで、身体が震えてしまう。
「流石はモモンガ様」
第七階層守護者デミウルゴスは、どこか自慢げだった。
「全守護者の力を合わせても及ばない、圧倒的なお力でした」
だが、その内心では――。
悪魔である自分ですら恐怖を感じていた。
「マサカ……」
第五階層守護者コキュートスが呟く。
「コレホドダッタトハ……」
冷気を帯びた鼻息が、ふんすか、ふんすかと漏れる。
「アノ力コソ……」
コキュートスは興奮したように続けた。
「モモンガ様ノ本気ダトイウノカ」
そして――。
「まさか、あそこまでだったとは」
守護者統括アルベドも、モモンガが去った方向を見つめていた。
「あれが至高の御方々のまとめ役である、モモンガ様の真の実力ということかしら」
「お力を隠していたのでしょうね」
アルベドは、なぜか自分のお腹を撫でながら呟く。
その目は――。
発情した獣のそれだった。
どうにか理性が勝ち、モモンガを襲うことはなかった。
しかし、種族がサキュバスであるアルベドにとって、圧倒的な力を持つ男となったモモンガの魅力は、あまりにも強烈だった。
「ところで……」
デミウルゴスが周囲を見回す。
「静かですね」
そして、ある一人に視線を向ける。
「どうかしましたか? シャルティア?」
全員の視線が、第一〜第三階層守護者シャルティアへ向けられた。
見れば――。
シャルティアはいまだに跪いている。
「……」
何も言わない。
「シャルティア?」
再び声をかけられる。
しかし――。
シャルティアは、うんともすんとも言わない。
全く反応しない。
「どうしたのかしら?」
アルベドが心配そうに近づく。
そして、シャルティアの身体を優しく起こす。
「シャルティア?」
何か異常が起きているのか?
「シャルティア! ちょっと、大丈夫なの!? ねぇ!」
そこで、全員が気づいた。
シャルティアは――。
白目を向いていた。
そして――。
気絶していた。
「……」
アンデッドであるシャルティアが、なぜ気絶したのか。
それは誰にも分からなかった。
だが――。
何かを感じ取っていたのかもしれない。
⸻
「……ここは?」
シャルティアが目を覚ました。
「シャルティア!」
アウラが心配そうに声をかける。
「シャルティア、あんた気絶してたのよ」
あれから一時間。
シャルティアはようやく目を覚ました。
その間、アウラはずっと彼女のそばにいた。
目覚めるまで、ずっと手を握っていた。
まさか――。
アンデッドなのに気絶するとは。
「そうなのでありんすか?」
シャルティアは不思議そうに尋ねる。
「そうでありんす!」
アウラは強く頷いた。
「もう、心配させないでよね!」
そして、シャルティアを優しく抱きしめる。
「チビ助……」
シャルティアは少し困ったようにしながらも、アウラを見る。
「いきなり、どうしたでありんすか?」
「シャルティアのバカ!」
「バカとは、いったいどういうことでありんすか!!」
シャルティアが声を上げる。
しかし――。
アウラはそんなシャルティアを見て、安心したように笑った。
「もう、大丈夫そうだね」
そして立ち上がる。
「私は仕事があるから行くね!」
そう言って、アウラはその場を離れていく。
残されたシャルティアは、そんなアウラの背中を見つめる。
そこには確かに――。
二人の絆があった。