狂った茶会と自由過ぎる社交界   作:ユメ先生

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ちょっとした思い付きで、こんな話を書いてみました。



フリーダムな生徒達

 

 

 

 ここは学園都市キヴォトス。学生たちの楽園。

 今日も生徒達は元気に喧嘩している

 

 その日ゲヘナ学園、そのゲヘナ自治区を爆走するオープンカーが存在した。

 

『あー、あー、トリニティの狂った茶会ども三人に告げる!!』

 

 爆走するオープンカーに並走しする戦車のハッチから上半身を出したマコトが、拡声器片手に叫ぶ。

 

『ここはゲヘナ自治区だぞ!! こんなところで大暴れが許されると思うのか!!』

「だそうですよ、ミカさん」

「え、なんで私に振ったの? ナギちゃん」

 

 オープンカーに乗ってゲヘナ自治区を爆走する三人、()()()()()()()()という部活のメンバーだった。

 

「気にすることはないよ、二人共」

 

 愛車のハンドルを握るセイアが、風を浴びて上機嫌のままこう言った。

 

「面倒ごとは、()()()に任せればいい」

「そうですね。流石はセイアさん。つきましては」

 

 後部座席で紅茶をキメていたナギサは、おもむろに足元からロケットランチャーを取り出した。

 

「万魔殿、我々と長年の諍いに決着を付けましょう」

「わーお。賛成!!」

 

 幼馴染の行動に、ミカは笑顔で賛同した。

 

『や、止めろバカどもッ、我々はお前たちみたいに武闘派じゃないんだぞ!!』

「戦車を乗り回しておいて何をおっしゃっているのか」

「マコト先輩、掴まっててください!!」

 

 ハッチで喚くマコトのすぐ下、戦車の側面にロケットランチャーの照準を向けたナギサ。

 しかし、戦車を操縦していたイロハが、ハンドルを切った。

 

 ドカン、と戦車がオープンカーの側面に衝突、ナギサの手元が狂った。

 ロケットランチャーの弾頭はあらぬ方向へと射出。スラム街の外壁を木っ端微塵にした。

 

「ちッ、連中をコーヒーみたいな泥水塗れにして差し上げようと思いましたのに」

「ナギちゃん、ナギちゃん。淑女度が落ちてるよ」

「おや、私としたことが。おほほ」

「それで取り繕っているつもりかい? そんなことより、私の愛車に傷がついたじゃないか。そちらの運転手は免許を持ってるのかな? 弁償と報復をしなければならないね。

 追い詰められた狐はジャッカルより狂暴だと言うことを教えてあげなければならないよ、二人共」

「セイアちゃん長い長い。こういう時はシンプルで良いんだよ」

 

 もう一度体当たりを仕掛けてこようとする戦車に合わせて、ミカはスッと席から立ち上がって正拳を繰り出した。

 

「ぶっとばす、ってね☆」

 

 たったそれだけで大きく装甲がめり込んだ戦車のハッチに身体を出していたマコトがたたら踏んだ。

 

『くそッ、トリニティのイカレ狂人どもが!!』

「マコト先輩、ちょっといいですか?」

「どうした、チアキ!!」

 

 すると、戦車の中で待機していたチアキがハッチに登る。

 

「折角ですし、記念写真撮りましょう!!」

「今はそんな場合か!!」

「いえーい☆」

「写真でしたら、しっかりと撮ってくださらないと承知しませんよ」

「なんでお前たちは乗り気なんだ!!」

 

 チアキが自撮りを始め、被写体に収まるティーパーティーの三人はピースをし始めた。

 

「よし、良い写真が撮れました。それじゃあこれで」

「お前は何しに来たんだ……」

「ねえ、マコトちゃん、こうなったら私が最近セミナーに作って貰った催眠音波発生装置を使いましょう!!」

「セミナーのバカ共の発明なぞ役に立つか!!」

 

 謎のメカを持ち出して妖艶に微笑むサツキに、マコトは却下を言い渡した。

 

「ところで、私達なんでティーパーティーの連中とカーチェイスをしているんでしたっけ?」

 

 イロハはめんどうくさそうにそうぼやいた。

 

「あれ、イロハちゃん、知らなかったっけ?」

「私は今日、戦車で来い、としか」

「マコト先輩がティーパーティーの皆さんを、我が校の歴史に劣るトリニティの紅茶中毒どもって挑発したからですよ」

「こっちが悪いんじゃないんですか」

「ええ、だから怒ったあちらが、イブキを攫ってトリニティで遊びまわってやる、と現在本校舎に向かってるところです」

「──ぶっ潰します」

 

 チアキの説明した経緯に、イロハがキレた。

 急にブレーキペダルを踏んだ。

 

 彼女達の乗る戦車のスピードが落ち、正面にオープンカーを捉えた。

 

「弾種、榴弾!!」

「はい、装填完了です!!」

 

 イロハの指示に、チアキが主砲を装填した。

 

「うーん、暴力はよくないけど……イブキちゃんを浚われるのは。仕方ないわね、照準オーケーよ♪」

「ファイア!!」

 

 戦車長の指示に、サツキは照準を合わせて引き金を引いた。

 

「そんなテレフォンパンチ同然の射撃、トリニティでは挨拶にもならないよ」

 

 が、鋭敏な感覚とバックミラーで後方を確認したセイアはハンドルを切った。

 

 榴弾がオープンカーの真横に炸裂する。

 

「あはは、たーまやー!!」

「おっと。そろそろ次の紅茶の時間ですね」

 

 爆発の振動と衝撃にはしゃぐミカと、我関せずのナギサ。

 

 

 爆走するはた迷惑な両者だったが、それも終わりが訪れる。

 

 両車両がゲヘナ学園の本校舎の正面に出た時だった。

 

 そこにはずらり、と風紀委員会の軍団が待ち構えていた。

 

「撃ちなさい」

 

 またあなた達か、みたいな態度で、ヒナが命令を下した。

 

「はい、射撃開始!!」

 

 発射されたアハトアハトが、デッドヒートを繰り広げる両車両を吹き飛ばした。

 

 

 一時間後、連邦捜査部シャーレ。

 

「“……なんで、皆は仲良くできないの?”」

 

 ボロボロの状態で、正座をしている三人と四人。

 シャーレの先生はそんな彼女達にお説教をしていた。

 

「あーもう、最悪。先生にこんな格好を見られるなんて……」

 

 髪の毛はチリチリで、自慢の羽根が煤だらけでミカは不満げだった。

 

「今更ではありませんか。今週は二度目ですよ」

「三度目だよ、ナギサ。まさか自分の仕出かしたことを数えないつもりかな?」

「おや、何のことでしょう」

 

 セイアの指摘を、ナギサはすっとぼけてみせた。

 

「はあ、なんで私まで……」

「先生ッ、今回は我々は悪くないぞ!!」

 

 意気消沈するイロハの隣で正座しているマコトが主張した。

 

「知っての通り、我々万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)は社交と称して各自治区を練り歩いて教養を得んとする崇高なる部活だ」

「ただ自由気ままに遊び歩いてるだけでしょう」

「ええい黙れ、これでもゲヘナ学園ではそれなりの勢力になるくらいには賛同者が多く、部員もそれなりだ。

 だが、それはこの狂った茶会どもと遭遇率が高まるということでもある……」

 

 マコトは胸の前で拳を握り、涙を称える……振りをした。

 そんな見え見えな演技をイロハは白目で見ていた。

 

「えー、私達は好きなところでお茶をしてるだけだよ? たまーに私達の邪魔をする連中をポイってしてるだけで」

「ええ。我々は最高の紅茶の一杯を求めているだけです」

「それに今回、挑発をしてきたのはあちらの方だ」

 

 トリニティの問題児三人はそう主張した。

 

「ふん、温泉開発部と美食研究会どもと大差ない分際で……」

「そちらこそ。ゲヘナの生徒なのにトリニティの政治の真似事ですか?」

「は?」

「図星ですか?」

 

 ナギサとマコトの間で、火花が散った。

 

「“二人共、喧嘩はダメだよ!!”」

 

 だが、そんな二人に先生が睨みを利かせる。

 しゅん、とうなだれる二人。

 

「それより先生、シャワー借りていい? 早く着替えちゃいたいんだけど」

「あ、賛成です。でもその前にみんなで記念撮影しましょう、先生もどうですか?」

「“うーん……”」

 

 マイペースすぎるミカとチアキに、先生も眉間を揉んだ。

 

「では、先生に決めて貰おうじゃないか。

 紅茶とコーヒー、どちらが優れているか」

「それはいいですね。では最高の一杯に合うロールケーキを手配しますね」

「面白い。その勝負乗った」

 

 その横ではセイアとナギサがマコトを挑発している。

 

「平和的でいいじゃない。そうだ、今のうちに先生を催眠でこちら側に……」

 

 謎のメカを片手に不敵に笑うサツキ。

 

「サツキ先輩、だからそのセミナー製のメカはしまってください」

 

 そして彼女を制するイロハ。

 

「“……じゃあ、身だしなみを整えてから、お茶にしようか”」

 

 最終的に、先生はそう判断した。

 はーい、と七人はシャワー室の方へと向かって行った。

 

「“うーん、多分仲が悪いわけじゃないんだろうけど……”」

 

 先生は彼女達の奇妙な関係に、腕を組んで唸る他なかった。

 

 

 

「……先生」

 

 いち早くシャワー室を出てきて、シャーレ用の制服に着替えたナギサがそっと先生に近づいた。

 

「“どうしたの、ナギサ”」

 

 風呂上がりのいい匂いにちょっとドキッとした先生だったが。

 

「こちらをどうぞ」

「“……”」

 

 ナギサがそっと百万円の札束を先生に握らせる。

 まさかの、現ナマで買収だった。

 

「先生はどちらに味方をするべきか、お分かりですね?」

「“ナギサ、お説教だよ”」

「なぜです!? ……分かりました。まだ足りないのですね」

 

 違う、そうじゃない、と先生は思った。

 

「ふふふ、やはりナギサちゃん、あなたがそう言う手を使うのはわかっていたわ」

「その声は、サツキさん!?」

「二人揃って、私達の支配を受け入れてちょうだい」

 

 そう言って、サツキは胸元から紐が付いた五円玉を取り出した。

 

「そーれ、先生とナギサさんはコーヒー党になーる。なーる……」

「“……”」

「……」

 

 ナギサはおもむろに、サツキに近づいてその豊満な胸を揉みしだき始めた。

 

「きゃッ、やめて、いきなり何をするの!!」

「催眠術よりこちらを使った方が早いのではありませんか?」

「いや、やめて、先生助けて……」

「“ナギサ、そう言うのは良くないよ”」

 

 サツキが嫌がっているので、先生はやんわりとナギサを注意した。

 

「何をしているナギサッ、まさかサツキを篭絡するつもりか!!」

「あー、ナギちゃんがエッチな事してる!!」

 

 すると、シャワーを終えた他の面々が続々と現れて、現場が混沌としていく。

 

 ギャーギャーワーワーと騒いでいると。

 

「先生!!」

 

 その時だった、イブキがシャーレのオフィスにエントリーしたのだ。

 

「マコト先輩達がこっちに来てるって聞いたんだけど、あッ、居た居た!! あ、お茶会の先輩たちもいる!!」

 

 イブキの笑顔に、その場の面々は静かになった。

 そして、彼女を中心に学校なんて関係なく、彼女を可愛がり始めた。

 

 先生はホッと胸を撫でおろした。

 

 その後、イブキがミルクティーとカフェオレのコップを両手に満面の笑みを浮かべてお茶菓子を食べ、今回の両陣営の戦いは引き分けと相成った。

 

 

 だが後日、彼女らが銀行強盗をしたとして、ひっくり返る羽目になるとは、この時先生は思いもしなかったのだ……。

 

 

 

 

 





政治やしがらみに囚われてるナギサたちがはっちゃけたら、みたいな発想で書いてみました。
一発ネタなので、続きは、暇つぶしで書いたこんな有り触れた題材なんて需要有りませんよねww
続きの構想とか全くありませんし、ではそれじゃあ!!
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