新エリー都の守りし者 作:バルチャス最弱
ヤヌス区六分街──Random Play。
小さな街のビデオ屋には、先日起きたスロノス区の共生ホロウでの出来事に関与した者が集まっていた。
伝説のプロキシ『パエトーン』兄妹。当代の虚狩りである星見雅。そして、魔戒騎士の冴島鋼牙。
先日のホロウでの出来事、魔戒やホラーの世界に巻き込むことになってしまった兄妹に、魔戒に関する事柄を説明するためだ。
「──なるほど、ホラーに魔戒騎士……そういう存在が遥か昔から……」
「にわかには信じ難いけど、実際に目にしちゃったらねぇ……お兄ちゃんは大丈夫だったの?」
「イアス越しだったけど、ひどく恐ろしく感じたよ……なんと言うか、生理的嫌悪感もあるけれど、それ以上に絶対的な恐怖を感じた。捕食者と被食者、蛇に睨まれた蛙、食物連鎖の上下関係。そんなものをあのエーテリアス……エーテル喰いのホラーから感じたよ」
昨日のホロウ内での出来事を思い出したのか、アキラは二の腕をさする。
「その感覚は正しい。ホラーは文字通り人間を喰い物としているからな」
ザルバが会話に口を出すとアキラとリンは辺りを見回し始める。何処からかこの場にいないはずの声が聞こえれば当然だろう。
鋼牙は左手の指輪──魔導輪のザルバを二人に見せる。
「指輪が喋ってる!」
「俺の名はザルバだ。よろしくな」
「知能構造体……かとも思ったけど冴島さん、このザルバも魔戒の技術なのかい?」
「そうだ」
短く返事だけをする鋼牙に、アキラとリンは苦笑いする。
「鋼牙よ、お前はいささか無愛想がすぎるぞ。昔はもう少しマシだったと思うが……」
「うるさいぞ」
雅の小言に苦言を呈す鋼牙。その様子を見たリンが、二人の関係に興味を持つのは当然のことだった。
「ねぇ、二人ってどんな関係なの?」
「旧い知り合いだ」
「旧い知り合いだな。所謂、幼馴染みというやつだ」
「わぁ、幼馴染み……!」
「といっても、二度ほど会った事があっただけだったがな。私の父と、鋼牙のお父上が友人同士であったようでな。その繋がりだ」
「なるほど……」
「幼き頃、木剣での手合わせで私と勝負になる子供はいなかった。鋼牙を除いてな」
「雅さんって子供の頃から強かったんだ。でも、なんか分かるかも」
「丁度良い組手相手を見つけた私は、鋼牙に何度も手合わせを願い出たものだ」
幼き頃の記憶を語る雅の話を、鋼牙は黙って聞く事にした。
実際の当時とは齟齬があるが、口を出すと面倒なことになると確信しているからだ。
最初の一度目は、ただ二人の手合わせだった。鋼牙自身、父の大河と魔戒騎士としての修行の旅を始めた時期であり、年下の女といえど、剣を交えての修行は本望であったからだ。
なお、その手合わせの結果は鋼牙の負けだった。
まさか魔戒騎士として修行を始めた自分が年下の、しかも女に負けるとは思っていなかった。
当然、鋼牙の胸には悔しいという感情が湧き、より強くなる事を決意した。
だというのに、当の雅はその日中鋼牙に付き纏い、もう一度、もう一度と手合わせをせがんでくる。
鋼牙はそんな雅を無視し、己の鍛錬に励むことにした。
しかし雅は諦める事なく、鋼牙に手合わせを申し込み、果てには鍛錬中の鋼牙に木剣を振り下ろす暴挙に至った。
隙を見せずとも襲いかかってくる雅に応戦しては、打ち合いの果て一本取られる鋼牙の内には、悔しさを通り越して怒りすら湧いた。
だからこそ、鋼牙はこの時の事を忘れる事は無かった。
そしてそれは雅も同じであったようだ。
「再び鋼牙と出会ったのはかなり最近だ。六課として行動を始めてからしばらく経った頃だったか──」
雅は語り始める。冴島鋼牙との再会の日の事を──。
スロノス区・H.A.N.D.本部、六課オフィス。
星見雅は普段、この事務室にて書類仕事をしている。
「課長?次はこの書類を──もう、また刀のお手入れですか?」
「柳。私が処理すべき書類はもう片付いたはずだ」
「私のデスクの書類に混ぜたの、分かってますからね」
課長処理の必要な書類を混ぜた雅に注意を促す月城柳。
普段から雅の書類仕事任せは多いため、注意することくらいしかしなくなってしまった。
「課長ったら全く、すぐバレるようなことするから〜」
茶化す男は浅羽悠真。現場仕事から事務処理まで優秀な六課の隊員である。
「浅羽隊員、あなたもですよ」
「バレちゃいましたか、てへっ」
──月城副課長に仕事を任せるのが上手な、隊員である。
もっとも、柳も鬼では無い。鬼の血は混ざっているが。
上司と部下の得意不得意は当然把握している。当人が処理すべき書類以外の多くは自身の元へ来るよう調整はしているのだ。
「しかし副課長、いくらなんでも最近仕事増えすぎじゃないですかぁ?今日もとっくに日が暮れちゃってますし、もうしばらく定時で帰った覚えないんですけど」
「仕方ありません。どうしたって、処理しなければならない書類が出てきてしまうものなんです。はやく休みたければ、手を動かすしか──雅?」
妙に静かな星見課長のデスクを見てみれば、既にもぬけの殻となっていた。
デスクの上には凄く達筆な字で書かれた置き紙が一つ。
『注意深く街を巡回する修行に出てくる』
「……もう」
「あっはは、僕も身体を休める修行してもいいですか?」
「書類をあと四枚片付けたら上がっていいですよ」
「はーい」
H.A.N.D.本部を抜け出した雅は、宣言通り細心の注意と集中を持って街を巡回し始めた。
あの星見雅が、虚狩りが眉間に皺を寄せ、真剣な顔で街を練り歩いている。
それだけで、善し悪し関係なく人々は背筋を伸ばして歩く。普段なら目にかかるだけで黄色い声の上がる雅だが、今日ばかりは誰しもが雅を視認した途端に背筋を伸ばして回れ右をするのだ。
しかし、人でないものはそうとは限らない。
優美なドレスを纏った女が、街の路地裏へと入って行くのが雅の目に付いた。
人目に付きにくい路地に、ドレスで入っていく女。路地の先にそういう店がある訳でも無し。
なんとなく、これを怪しいと感じた雅は、その女の後を尾ける事にした。
しばらく路地を進むと、一人の男がドレスの女に言い寄り始めた。悪質な『ナンパ』というやつだろうか。割って止めるべきか──と思案していると、大きな悲鳴が聞こえた。
しかし、それは男の声。
雅は静かに、しかし迅速に臨戦態勢を取り様子を窺う。
この判断が誤りであったと、後に雅は後悔することになる。
様子を窺うような事などせず、即座に割って入っていれば、一人の命を救えたかもしれなかったからだ。
ドレスの女の口元から伸びる、とても人間の物とは思えない長く鋭い舌が、男の首を巻き付け、宙へと持ち上げていた。そして、髪が意思を持つかのように揺れ始め、やがて束となり、ツタ植物のように変化すると、それで男を串刺しにしてしまった。
それを目にした瞬間、雅は抜刀しドレスの女に斬りかかったが、男は粉微塵となり、文字通り散ってしまった。
女の背を袈裟に斬った。しかし、妙な感覚だ。確かに斬ったのに、斬った手応えはあるのに、斬った気がしない。
その感覚は的中していた。
「痛ぁ……くないわね……?あら、女?斬られたから何処ぞの魔戒騎士かと思ったけど……」
「貴様、何者だ……!?」
「貴女に教える必要ある?これからアタシに喰べられる貴女に」
長く鋭い舌舐りとうねるツタの髪に細心の注意を払い、刀に手をかけ、飛び出す。
「はや──」
「容赦はしない。貴様は悪だ」
神速の抜刀術がドレスの女を襲う。幾重にも重なる斬撃が、ドレスの女の身体を、長い舌を、ツタの髪を斬り裂いた。
「これにて終いだ」
「そう?」
ドレスの女はさも何事も無かったかのように反撃を繰り出した。左腕をも触手へと変化させ、雅に襲いかかる。
雅はそれを持ち前の素早さで回避する。
確かに斬り落とした身体が、既に再生している。ダメージがあるようにも見えない。まるで流れ続ける水を斬っている感覚。いや、水は斬れる分、水よりも厄介だと雅は思った。
「やはり、私の刃が届いていないな」
「当たり前でしょう?貴女にアタシは斬れないのよぉ!」
「ならば、その身を斬れるまで斬るだけだ」
再び抜刀。先程よりもより疾く、より強く。
刃を受けた女の絶叫がビル群に木霊する。
しかしやはり、結果は変わらなかった。
「ぁぁあぁあぁあ!!──チッ……すばしっこい、面倒ね。さっさと喰ってやるわ」
ドレスの女の身体が黒いモヤに包まれ、その内のドス黒い本性が顕となる。
全身は黒く、足は増え四足に。腕も変化し、右腕は鎌状の刃、左腕は触手に。顔は既に女のものではなく、流動する鉄の仮面となった。
変化の特徴から雅は、目の前の化生がエーテリアスかそれに類する何かだと判断した。
何故ここに?これは何だ?何が目的だ?何故人を襲う?
そういった疑問を、雅は抱かない。
目前に迫る化生は、新エリー都を脅かす悪だ。
悪ならば直ちに斬り捨てるのみ。
先程よりも疾く、先程よりも力を込めて──
「いざ──!」
「無駄だと言っている!」
迫り来る無数の触手を斬り捌き、首を落とそうと刀を振るう。
しかし、刃は鎌の右腕に阻まれ、届く事は無かった。
至近距離で鉄仮面の顔がニヤリと嗤う。
上、前後、左右。雅の周囲を触手が覆いつくしていた。
「つーかまえたぁ」
雅は反撃で目に見える全ての触手を斬り落とし、後方へ下がる。
「残念、下よ」
突如、雅の足下と地面が割れた。そこから這い出た触手が雅を捕らえ、宙へと締め上げる。
「ぐ──!」
「食事前に動くのは好きじゃないけど、たまには悪くないかもね?」
一歩、一歩。化生が舌舐りをしながら雅へと歩を進める。
触手の拘束のせいで上手く刀に力が込めれない。
万事休すか。
否。もし隙ができるとしたら、喰らうその瞬間。そこを狙う──
突破口を探す雅は、白い何かがこちらに向かって来るのを目の端で捉えた。
しっかりとそちらに目を向けると、それは人だった。
純白のロングコートを着た男が、剣を手にこちらへ走ってきている。
ダメだ──来るな!
雅はそう叫ぼうとしたが、声に出るより疾く、男はその剣で雅を捕らえる触手を斬り落とした。
「は?」
その声を上げたのは、雅ではなく、ましてや男でもない。
化生だった。
雅は男に抱えられ、化生から離れた。同時に、耳を劈く悲鳴が響き渡る。人のものとは思えない、化生の悲鳴が。
雅を拘束していた触手が塵のように消え、身体の自由が戻ると、男は雅を地に降ろした。
「無事か?」
「……ああ、怪我はない。助かった」
「下がっていろ。ヤツの相手はお前には荷が重い」
「いや、二人でかからねば──」
「下がってろ」
男の強い意志を持つ言葉に、雅は黙って従い、距離を取った。
痛みと怒りに狂う怪物に対し、男は剣を構える。
その構えが、雅の記憶にあるものと重なった。
剣を右に、左手の甲で剣を根本から剣先まで
その構えが、幼い頃に剣術の修行相手になってくれた、年上の男の子と同じものだった。
「……鋼牙か?」
「魔戒騎士ィィ!!」
その呟きは、化生の咆哮によって掻き消えた。
触手を、鎌を振り回し、男を威嚇している。
「ザルバ」
「ヤツはホラー・ザギーラ。人間の顔を好き勝手作り替え、それに寄ってきた人間を喰らうホラーだ」
化生──ホラー・ザギーラは無数の触手を男へ伸ばし、攻撃する。
しかし、男は避ける事も迎撃する事もしなかった。それらの代わりに、剣を天へと向ける。
血迷ったか、と雅が助太刀に入るより早く、触手が男を襲う。そしてそれよりも早く、男は剣の切っ先で宙に円を描いた。
目が眩む程の眩い黄金の光に、雅は目を細め、そして見開いた。
そこには、黄金の狼の鎧を纏う騎士がいた。
黄金の鎧に触れたザギーラの触手は瞬く間に燃え上がり、激痛に悲鳴を上げている。
ザギーラは発狂しながらも次々と攻撃を繰り出すが、全てその鎧に弾かれ、そして触手は燃え上がる。
鉄仮面を苦痛に歪めながら、ザギーラは黄金騎士から逃げようと企む。逃げる先は地中だ。追っては来れまい。そう思っていた。
地に潜るため、身体を回転させる。
「逃げる気だ鋼牙!」
「分かっている!」
黄金騎士は駆ける。ザギーラが地に潜るより疾く接近し、横薙ぎ一刀両断。
胴と足が二分され、ずり落ちるよりも早く縦一文字。言葉を遺す事なく、ザギーラは塵となった。
黄金騎士は剣を鞘へ納める。纏う鎧は男から離れると、天へと昇って行った。
激戦の場となっていた路地には、静寂ばかりが立ち込める。
何も言わず去ろうとする男を、雅は呼び止めた。
「待て、鋼牙!冴島鋼牙!」
「お呼びだぜ、鋼牙」
男──冴島鋼牙は立ち止まり、雅へと振り返る。
雅は駆け寄り、改めて問うた。
「お前は、冴島鋼牙だな?」
「……ああ」
「私のことは覚えているか?幼き頃、お前と手合わせしたことがある」
「あぁ……」
その返答には、何処か苛つきが籠っていたが、雅はそれに気付かない。
長い狐耳をピコピコと揺らしながら、鋼牙に詰め寄る。
「先程は助かった。礼を言う。アレは何だ?エーテリアスとは違うのは分かるのだが。それにあの鎧は?見た事のない技術だ。是非手合わせを────」
「というのが、私と鋼牙が再開した時の事だ」
「色々ツッコミたいところはあるけど……冴島さん、あってるの?」
「大体はな……」
アキラが近所のコーヒー屋で買ってきたコーヒーを飲みながら、鋼牙は答える。
その後、鋼牙がどれだけ雅を無視し歩こうとも付き纏い、刀をチャキチャキと鞘から抜き差し始めたので、仕方なく雅に諸々の説明をする羽目になったのだ。
「しなければその内、後ろから斬られそうだったからな」
「斬りはしない。やるなら峰でやる」
「やめろ。遊びで来てるんじゃない」
腰の刀の柄に手を当てる雅と、それを相手にしない鋼牙。
雅が思い出話をしている間、鋼牙はアキラと今後の仕事についての話をしていたのだ。
「事情を把握した今なら、より具体的な解決案を提示できる。こっちでホラーがホロウ内に出現した時のデータは把握したからね……これで良し、と」
モニターに向かっていた作業をしていたアキラが、H.D.Dに接続していたスマホ型の端末を手に取り、鋼牙に渡した。
「今後、ホラーがホロウに出現した時はそれを使って連絡してくれ。僕かリン、どちらも出れない時はFairyが対応する。入るホロウさえ分かれば、その端末とH.D.Dをホロウ内外で繋げて、外から近くのデータスタンドまで案内できる。データスタンドまで着いたら、あとはその端末とデータスタンドを接続するだけだ。そうすれば、ホロウ内の情報をリアルタイムで更新しながらナビができる」
鋼牙は受け取った端末を魔法衣の内へしまう。
「助かる。こちらにはホロウに詳しいヤツはほとんど居ないらしいからな」
「こちらこそ。陰ながら僕らを守ってくれていてありがとうと言わせてくれ」
「ふふーん、すごいねお兄ちゃん。私たちまるで、裏で街を守るヒーローの助手だよ!なんだか映画みたいじゃない?」
「冴島さんがより早く動けるよう、頑張らないとだな」
兄妹の結束力が強まったところで、表の店のドアが開いた。客が来たらしい。
本日の店番当番のリンが先に接客に出た。
続いて鋼牙も帰ろうと客用の椅子を立つ。
「話は纏まったな。俺はもう行く」
「そうか。私も行くとしよう」
なぜか雅も鋼牙に続いた。
「もう行くのかい?」
「日中でしかできない事もある」
「私との手合わせだな」
「違う……」
鋼牙はアキラに詰め寄り、雅に聞かれぬよう小声で話しかけた。
「コイツ、何とかならないのか」
「はは……どうだろう。僕にどうにかできるだろうか……」
雅はピコピコと耳を揺らし、刀の柄に手を置いて鋼牙を待っている。
まさか、真剣で手合わせをするつもりなのか?とアキラは訝しんだ。
なお、雅は既に何度か冴島邸を奇襲し、地下の武道場で修練中の鋼牙に無理やり手合わせをさせた事がある。もちろん刀と魔戒剣よる真剣同士のものだ。
番犬所に知られたら相当面倒な事になるのは必然であり、何とか辞めさせたい鋼牙はあの手この手で雅を躱している。
カオルに頼んで絵を描く修行というものをやらせたり、ゴンザにメロン味のデザートを用意させたり。気を逸らした隙に何とか抜け出して来たが、そろそろ限界が近い。
「もういっその事、その掟やルールに違反しない範囲で、雅さんの手合わせに付き合えばいいんじゃ……」
「それで済むと思うのか」
うんざりだと顔を横に振る鋼牙を見て、哀れみのようなものを感じてしまうアキラ。
雅さんがウチに来るならと急ぎで用意しておいた物を、まさか釣り餌に使う事になるとは思わなかった。
「雅さん、僕の部屋にルミナスクエアで買った限定メロンケーキがあるんだけど、良かったら食べていくかい?」
「なに?良いのかアキラ」
「ああ。雅さんのために用意したんだ。是非食べてほしいな」
「感謝する。案内してくれ」
今のウチに、と鋼牙にアイコンタクトを送り、鋼牙も感謝の念をアキラに送った。
ビデオ屋を後にした鋼牙は自身の管轄であるスロノス区に戻り、陰我のあるオブジェを浄化してから帰宅した。
「おかえり鋼牙」
「おかえりなさいませ鋼牙様」
「ああ」
カオルとゴンザの変わらぬ出迎えに、思わず安堵のため息が出てしまう。
「おや、酷くお疲れの様子で……どうかなさいましたか」
「アイツのせいだ」
「もしかして雅さん?」
「ああ」
「あの嬢ちゃん、女だからソウルメタルを扱えないってだけで、並の魔戒騎士より強いだろうからな」
「そうなんだ、やっぱり虚狩りって凄い……いやそれよりも強い鋼牙が凄いの?」
「カオル様、どちらも素晴らしゅうございます。さ、御夕飯にしましょう」
「あ、私手伝う!」
「いえ、結構でございます」
「遠慮しないで!私ね、今日新しい野菜の切り方考えたの!」
「いえ、結構でございます」
いつもの二人のやり取りに、安心感を覚える鋼牙だった。
流れ落ちる涙抑えきれずに〜
占いってのには人々を魅了して止まない何かがあるらしい。
俺様にはよく分からんがな。
吉い結果がでればそれを信じ、悪い結果であれば信じない。
だが、この世界はそんな都合よくはできていないんだぜ。
次回『占術』
たかが占い、されど占い。
結果が全てとは限らない。
物語を考えるのって難しい。