裏世界の空と表世界の空と 作:星海
分けたついでに最後の部分の余談的なの追加しました
並盛のプリズムストーンショップの向かい。
そこに数年前から“Principessa addormentata”という名のイタリア料理店が存在する。
店内の規模としては非常に小規模で、店内食よりも持ち帰りを主としている。
また、商品配送サービスも行われているため家にいても従業員が届けてくれる。
実はプリパラ内へと続く裏ゲートが設置されていたりするのだが……それはひとまず置いておくことにする。
そんな店舗の従業員出入口に大きいリュックを背負った少女が1人。
「それじゃあビアンキさん、しばらく店番お願いしますね!」
「えぇ、任せなさい。」
「くれぐれも!お客さんにポイズンクッキング提供しちゃダメですからね!!」
「わ、分かってるわよ……」
「それじゃあ、行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい、店長」
その声を背にらぁらは走り出す。
店長、とビアンキに呼ばれた通り、彼女はこのイタリア料理店の店長であり、同時に料理長でもある。
本来であれば商品配達を担う必要はないのだろうが、“あたしがやりたいからやってる”と言う本人の意思を尊重する形になっている。
なお。副店長はみれぃ、オーナーはボンゴレ
しかし───如何に店を経営する長であり、長い時間を生きているといっても、プリパラ外のその身体は小学生のもの。当然ながら、自動二輪免許など持っているはずもない。
その代わりとしてボンゴレ側で開発されたものが現在らぁらが履いているモーター付きのローラーシューズである。
「ここを左だね」
モーターによる加減速や発進停止、車輪の展開格納を無線のリモコンで操作し、方向変換は姿勢によって制御する。
扱いこそ難しいが、実年齢はともかく身体は昔のままなので慣れるしかなかった。
一応、動力源となるのは電気だが……実はローラーシューズのモーターの動力源の一部として生体エネルギー……つまり死ぬ気の炎が使われていることを、らぁらはまだ知らない。
「ここを右……」
1週間ほど前までイタリアにいたらぁら達が来日してきた理由は大きく2つ。
1つは次期ボンゴレたる沢田綱吉との顔合わせ。
もう1つは───
「───と、ここだ!」
目的地のマンション前についてローラーシューズのモーターを止め、車輪を格納する。
エレベータを使って6階へ。
「600号室……うん、ここだね」
部屋の前の呼び鈴を鳴らす。
少ししてプツリと繋がる音。
『はぁ〜い!どちらサマぁ?』
「Principessa addormentataです!ご注文の品をお届けに来ました!」
『アラ、らぁらちゃんじゃない!ちょっと待って、今行くわぁ~!』
その声がしたあとにプツリと音が切れる。
少しして扉が開く。
「いらっしゃい!わざわざごめんなさいねぇ〜!」
「こんにちは、ルッスーリアさん!」
来日したもう1つの理由。
それはボンゴレ独立暗殺部隊───ヴァリアーのリング争奪戦後経過観察だった。
「上がって……いけるわよね?私、間違ってないわよね?」
「大丈夫ですよ!滞在配送指定されていますから!」
滞在配送とは通常の配送のように玄関で商品を手渡すのとは違い、商品を渡した後少しの間相手の家に滞在し、食後の片付けまでを行う配送方式を指す。
配送担当者は指定することもできるが基本的にランダムとなっており、誰が来るかはその時まで分からないことが多い。
他者の家に上がり込むことから危険性はあるが、その対策として制服に緊急通報装置が取り付けられている。
緊急通報装置が押されれば警察へ即座に通報がされる……という仕組みだ。
……なお。滞在配送自体が少々お高い上、らぁら、みれぃ、そふぃのいずれかを指定すると非常に高額になるのだが……そこは特に関係ないだろう。
「ルッスーリアさん、毒の状態とかどうですか?」
「もうバッチリ抜けてるわよぉ。心配してくれてありがとうねぇ。」
ルッスーリアがそう言うがらぁらの表情は少し曇ったまま。
「…一応、何か体調が変だと感じたら言ってくださいね?デスヒーターってかなり強い毒だと聞いてるので!」
「そうねぇ、その時は頼りにさせてもらうわぁ。」
そうしてヴァリアーの幹部たちが集まる部屋に着く。
「皆、らぁらちゃんのお料理届いたわよぉ!」
「おお、待ちくたびれたぞ!!」
「遅えぞぉ!早くしろ゛ぉ!!」
「シシシ♪しかも届けてくれたの女王じゃん」
「ムム、直々に来るとはね」
「皆さんお元気そうですね!今用意しますね!」
そう言ってリュックを下ろし、中に入っていたものを次々と取り出す。
スクアーロにはサルモーネとマグロのカルパッチョ。
ルッスーリアにはカラブレーゼとペペロンチーノ。
マーモンにはクォーターピザ。
ベルフェゴールにはディアボラ。
レヴィにはペスカトーレとフォカッチャ。
「えっと……皆さんにはこれで以上ですね!」
手元の伝票を確認しながらそう告げる。
リュックの中から取り出したものにはもう2箱残っていたが、それはXANXUSの注文なのでもう一度リュックの中にしまう。
「……そういえばスクアーロさん」
「なんだぁ」
「1番大怪我したって聞いてますけど大丈夫なんですか?」
「見ての通りだぁ!」
「……ほとんど大丈夫そうですね」
そう呟いて商品の入っていたリュックとは別のカバンから取り出した手帳にスクアーロの状態を書き込む。
「ベルさんは……爆発に巻き込まれたって聞いてますけど?」
「見ての通り、へーきへーき」
「…本当に大丈夫そうですね……っと」
それを聞いて手帳にベルフェゴールの状態を書き込む。
「……マーモンくんは術士だから大丈夫だと思うけど…」
「まぁね。僕は大丈夫さ」
「でも不調あったら教えてね?」
そう言って手帳にマーモンの状態を書き込む。
「……うん、あと確認しないとなのはXANXUSさんかな」
「なぬ!?女王よ、俺の事は心配してくれないのか!?」
「レヴィさんはヴァリアーの中でも特に頑丈ですから大丈夫だと思います」
さらっとレヴィの扱いが雑ならぁらである。
…それだけレヴィの頑丈さを信用している、とも取れるが。
「ぬぅ……」
「シシシ、女王に振られてやんの」
「あと女王って呼ばないでくれると……そんな器じゃないので」
「やだ」
「あ、ベルさんはもういいです女王呼びで」
「やったぜ許可証ゲット」
「ぬぉぉぉぉぉ!!!何故だぁぁぁぁ!!!」
ベルフェゴールの女王呼びに関してはただ単に諦めているだけなのだがレヴィには関係ないらしい。
「それにしてもらぁら、キミもよくやるよね」
「え?」
「だってキミ、僕達が何を注文するのかだいたい覚えてるんだろう?」
「あー……」
「じゃなきゃあんなテキパキと配膳できないだろう」
その評価に少し苦笑いする。
「慣れ、ですからね…」
「……それだけ僕達との関わりも長いってことか」
「はい。」
大体様子を書いたあと、手帳を閉じて元のカバンにしまう。
「それじゃあ、あたしはXANXUSさんに届けてきますね!」
「はぁい、よろしくねぇ」
「かしこまっ!」
そう言って幹部達のいる部屋を去っていった。
「……あの子、本当にボスには全く物怖じしないわよねぇ」
「……ぬぅ…」
「全く、あの子が1番恐ろしいね」
「シシシ♪それが女王じゃん♪」
「そうでもなきゃボンゴレの……」
スクアーロが言いかけて止める。
「ボンゴレの……何かしら、スクアーロ?」
「…ボンゴレどころじゃねぇな゛ぁ、と思っただけだぁ。」
「というと?」
「うちのボスに怯えてるようじゃ
「……そうねぇ」
なお、これはXANXUSとしばらく話をしたらぁらが帰った後の話ではあるが。
「ねぇ、レヴィ?なんかお前らぁらに嫌われてない?」
「……ぬぅ、やはりか…?」
「私も思ってたけど…レヴィ、一体らぁらちゃんに何したのよぉ?」
「いや、心当たりなどないのだが……」
「馬っ鹿じゃねーの、お前わかんねーの?」
ベルフェゴールの言葉にマーモンが首を傾げる。
「ベルは分かるの?」
「まーな。原因はあっち側の雷の守護者じゃねーの?」
「…あの牛ガキだと?」
「おー。雷戦の話とか大空戦の話とか、あっち側の奴から聞いたんだろ?」
「雷戦と大空戦……」
呟くレヴィに肩をすくめる。
「女王はあんなナリでも母親だぜ?かなり一般人寄りのな。てなると───ガキが傷つけられたのを知って、黙ってられるタチか?」
「「あー……」」
その話を聞いてなんとなく理解したルッスーリアとマーモン。
「おまけにあの雷の守護者とは誕生から数ヶ月経たない内に知り合ってるはずだしな。結構気にはかけてんだろ」
「……ぬぅ、怒りに触れたか」
「そういうこと。ま、マフィアとしちゃ甘ぇんだけどな。」
実は店名とか移動方法とかだいぶ悩んだ……
ヴァリアーが拠点にしてるマンションは6階以降が丸々一室になってる感じをイメージしてますが、実際こういう感じのマンション…というかホテル?とかあるんですかね…?
らぁらちゃん、多分しばらくはレヴィさんと話す時ちょっぴり機嫌悪い。