裏世界の空と表世界の空と 作:星海
元々の話だと前話と今話以外にヴァリアー関係ない話が余談としてくっついてたんですけどせっかくなのでそれも別話に。
ヴァリアー幹部達にボンゴレどころかマフィア界の癒しと思われているとは露知らず、らぁらはXANXUSのいる部屋の前にたどり着き、軽めに扉を叩く。
「誰だ」
扉の奥から響く不機嫌そうな声に小さく笑う。
「らぁらです!」
「…入れ」
その言葉に扉を開けて中に入る。
「よこせ」
「かしこまっ!…どうぞ!」
そう言ってリュックから2つの箱を取り出し、XANXUSに手渡す。
中身は照り焼きピザと生ハムピザである。
「……」
受け取ったXANXUSは無言で食べ始める。
それを見て近くの椅子に座って手帳を開いて色々と書き始めるらぁら。
「……」
少しの間黙々と食べていたXANXUSは少し顔を上げてらぁらを見つめていた。
「らぁら。」
「うん?」
名前を呼ばれて手帳から顔を上げるらぁら。
「知ってやがったのか?」
「何が?」
「ジジィとオレの血が繋がってねぇってこと。テメェは知ってやがったのか?」
XANXUSのその言葉にらぁらは沈黙を返す。
「答えろ」
少し目を伏せ、小さく頷く。
「知ってたよ」
「…なら、テメェはオレがボンゴレのボスになれないことも知ってやがったんだな」
そんな言葉に即座に首を横に振る。
「それは、違うよ」
「あ?」
らぁらの言葉に対し完全に顔を上げたXANXUSをまっすぐと見つめる。
「確かに、あたしはXANXUSさんと9代目の血が繋がってないってことは知ってたよ。でも、あたしはXANXUSさんがボスになれるって信じてたよ。」
「……はっ」
らぁらの言葉をXANXUSが嗤う。
「
怒りで声を荒げるXANXUSから目線を逸らさずにいるらぁら。
「癒し担当として笑ってるのも大概に───」
「───あたしは、XANXUSさんに
黙っていたらぁらが発したその言葉にXANXUSが目を丸くした。
「同時に、ボンゴレリングの継承に血縁が関係するとも思わない」
「……どういう、ことだ」
少し考えてからXANXUSと目を合わせる。
「これはあたし達の仮説に過ぎないけど…聞く?」
「……聞かせろ」
「分かった」
そう言ってらぁらがパタリと手帳を閉じる。
「まず確認から。ボンゴレリングが継承……次代のボンゴレボスへと渡る際、現在のボンゴレボスと門外顧問でそれぞれハーフボンゴレリングを持つことになっている。」
「……」
「それはボスに権力が偏るのを防ぐためで、ボンゴレボスと門外顧問それぞれが後継者を選定する。」
「……」
「異なる後継者が指定された場合はそれぞれのリングを賭けて争うことになる……合ってる?」
「……あぁ」
それならよかった、とらぁらが微笑む。
「これなんだけど。そもそもボンゴレボスと門外顧問に選定された時点で所有候補者が指定されてるんじゃないのかな、って思う」
「……どういうことだ」
「ハーフボンゴレリングを持てるのは各リング2人ずつでしょ?あたしのお店でもあるけど“ハーフ”って半分って意味だから。」
無言で頷くXANXUS。
「所有候補者が最大2択にまで絞られた状況下でどちらがより優れた能力を持っているかを競う、っていう状態になってるんじゃないかって」
「……それが、リング争奪戦か」
そうだね、とらぁらが頷く。
「今回の場合はそうなるし、今回の場合は命を賭けて奪い合うことになった。でも、本当なら命なんて賭けなくてもよかったんじゃないのかなって。」
「……どういうことだ」
「あたしはボンゴレの人間だけど、どちらかといえばプリパラ寄りの人間だから……XANXUSさんには甘い、って言われるかもだけどね?単純な競い合い……頭の良さとか、歌の上手さの競い合いとかでもよかったんじゃないのかなって、思うんだ。」
「……」
「正直な話、何を基準に守護者を選んでいるのかは分からないし……あたし達のプリパラリングと違って、守護者を選定するのはボンゴレボスと門外顧問なんだろうし。」
とりあえずプリパラリングのことは一旦置いておいて、とらぁらが続ける。
「ボンゴレリングの大空の選定に関しては───ひとまず
「濃い、だと?」
らぁらが頷く。
「XANXUSさんは
その言葉に少し不機嫌になるXANXUS。
「これがもし、
「……」
「それでもXANXUSさんは大空のボンゴレリングから拒絶された。そうだよね?」
「あぁ」
「それって、相手が
「……
らぁらが頷いてXANXUSをまっすぐ見つめる。
「考えてもみてよ。
「……知らねぇ」
「あたしも知らない。でも、
そこでらぁらが一拍置く。
「もしここの2人に血縁が一切ないのだとしたら───
「……」
「それから。現状少しでもXANXUSさんに
その言葉にXANXUSが目を見開く。
「……どういう、ことだ」
「だって、
そう言ってから右手の人差し指につけている指輪に視線を落とす。
「大空のプリパラリングに選ばれたあたしが言ったところで響かないかもしれないけど……リングがどういう基準で所有者を選定しているのかなんてあたし達には分からない。めが兄ぃさんは“使命に基づく選定”って言ってたけど…」
「使命……」
「ボンゴレリングに関しては…
そこまで言って少し考える。
「……多分。XANXUSさんは、相手やタイミングが悪かったんじゃないかな。もしもXANXUSさんが
「……」
「まとめるけど、あたし達が立てたボンゴレリングの継承に関する仮説としては……恐らく血縁自体は関係ない。関係あるのなら最初の時点で破綻しかねないし。…考え方にしても少し難しいところじゃないかな。ボスと門外顧問の措定は……多分一番重要。なんか、ハーフボンゴレリングの存在理由からしてもここが一番重要視されてる気がする。」
完全に沈黙したXANXUSを見て息を吐く。
「…実際、これはただの仮説だから確証なんてないよ。時間を遡れるわけでもないし…」
そこまで言ってから右手に付けているもう1つの指輪を見る。
「……
「……ふん」
不機嫌そうに鼻を鳴らして食べかけだったピザを食べる。
少ししてもう一度手を止める。
「…らぁら」
「うん?」
「……悪かった」
その謝罪に少しきょとんとしてから微笑むらぁら。
「XANXUSさんと関わってたボンゴレの人間として、こうなるんじゃないかなっていうのは覚悟してたから大丈夫だよ。」
「そうか」
そう言ったあとは黙々と食べ進めた。
やがて総てを食べ終わる。
「…美味かった。」
「ん……それじゃあ片付けしちゃうね。」
そう言って慣れた様子で片付けていくらぁら。
「えーとこれで全部…だね」
「あぁ。…また頼む」
「かしこまっ!またのご注文お待ちしてます!」
そう言ってらぁらはXANXUSの部屋を退出しようとして───
「らぁら。」
XANXUSに声を掛けられて動きを止める。
「最後に1つ聞かせろ」
XANXUSに向き直って首を傾げる。
「もし……もしあの時、オレが沢田綱吉を殺せていたとしたら。リングはオレを選んだと思うか?」
その問いに少し悩んでから口を開く。
「もしもあたし達の仮説が合っているのなら、その可能性は0にはならないよ。」
「……そうか」
「だからって今の綱吉さんを殺して成り変わるなんて考えないようにね。」
「…チッ、見抜かれてたか」
「なんとなくね。……まぁ」
少しだけ目を伏せたあと、XANXUSを見て口を開く。
「本当に9代目から選ばれてればの話にはなるんだけどね。」
その言葉にXANXUSが詰まる。
「……それも、知ってたか」
「一応、あたし達は9代目直轄組織だからね。調べようと思えば調べられるよ。…まぁ、9代目に何か心境の変化とかあってXANXUSさんを選んだ可能性も否定できなかったんだけど……その反応だと本当にXANXUSさんの独断だったみたいだね?」
まぁいっか、と言って小さくため息をつく。
「あたし達にも言えることだけど……せっかく独立した別働隊なんだから、XANXUSさんはXANXUSさんの視点で綱吉さんを見定めればいいんじゃないかな。」
「あ?」
「ボンゴレは一枚岩じゃないでしょ。あたし達やヴァリアーだけじゃない、他の別働隊それぞれ、様々な視点で綱吉さんを見てこの組織に相応しいか判断すればいいと思うよ。」
「……」
「ボンゴレ
それじゃあね、と言ってらぁらがXANXUSの部屋を退出していった。
「……ボンゴレ
1人になった部屋でXANXUSがらぁらの言葉を繰り返し、背もたれに身体を預けて大きく息を吐く。
「……プリパラの大空。…その使命。“すべてを包容し、すべてを染め上げる大空”……か。」
よくよく思えば原作第3話の獄寺さんの台詞“沢田を殺ればオレが10代目内定”のあたりでボンゴレボスの継承に血筋が関係してるかって怪しいところな気がするんですよね……
リボーンさんの独断だったのかもしれませんけど、当作でらぁらちゃんが語った仮説通りだと獄寺さんがボスになれる可能性が残されてるかなって……そしてそれはXANXUSさんがボスになれた可能性にも繋がるという、そういう仮説にもなります。……実際うっすらとでも
ていうか当作のらぁらちゃん、肝が据わってるというかなんというか……裏社会側に10年干渉してるせいとかイガイガモンスターと10年戦ってるせいなのかな?