二期生の居る四階奥の音楽教室から階を離れ、二階の図書室前の廊下。
そこには数名の漢達が、汗水を垂らしながら必死にバリケードを築いていた。
「なあ、お前はホントに信じてるのか?わけわかんねー影我漢だの、デスゲームだの。ふざけてるにも程がある」
そうボヤキながらその目つきの悪そうな漢は教育施設でよくみられるような学習机を天面を正面にして他の机と複雑に絡めている。
彼の名は大手前 兵頭(おおてまえ ひょうどう)。
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Selection test of eiga
Third group-4/8 hyoudou ootemae (age 24)
Equipment weapons Silver Rapier
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「大手前さんよぉ、ボヤいてねーでサッサとしようぜ。しかし全く拉致られても結局やるこた肉体労働かよっ
結局どこ行っても変わんねーよちくしょーめ」
そう言って瓦礫をドアの前に積み重ねているブラジル系の顔立ちの漢の名は向山 マルコ(むかいやま マルコ)。
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Selection test of eiga
Third group-6/8 maruko mukaiyama (age 26)
Equipment weapons Electric magnet equipment
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「ホントにこんなので大丈夫なのかよ、あの弩羅(どら)とかいう馬鹿デカいゴリラ野郎。
息巻いてリーダー面してやがるけど、どーも胡散臭いんだよなぁ」
大手前はそう言うと作業する手を止めて棺に腰かけて一息ついた。
「それを言うなら、あの鮎川ってやつが気に食わないんだよ。
インテリだが”良いとこ出”だがしんねーけどよ、偉そうな事ばっか抜かしやがって。
てかここいるのは人生捨ててるような連中ばっかだってゲロイムのバケモン言ってなかったか?」
向山は手に持っていた黒板消しを傍らに放り投げると傍にあった机にもたれ掛かった。
「まあ正味の話、正直あいつらの事なんてどうでもいい。俺ら三期生は時間が経てば間違いなく分裂するさ。
そん時は解ってるよな?」
大手前は声のトーンを落として向山に囁きかける。
「ホントに大丈夫か?」そう言って向山は正面の廊下遠目で眺めながら少し怪訝な顔をする。
「大丈夫だって。鮎川の提案で最初に全員の武器を確認したとき、お前と組めば絶対に大丈夫って確信したね俺は。
だからよ、最初のうちはチームに協力する”振り”でいいんだ。後は風向きが悪くなったら連中を切って一期や二期の
介入できそうなやつに媚びるか八人になるまで俺達でしのぎを削ればいいだけの話」
そう言って大手前は下品な顔つきで棺の文字をゆっくりなぞる。
「まあ、こういう時は組んだ方が生き残りやすいってのは同意だけどね。しかしまあ、マジで早期決着しないとやばいよな・・・」
そう言いながら、大手前は額に流れる汗を手で拭った。
「喉・・・乾いたな・・・調理室や厨房に行けば水道が有るかもしれないって真毅(まがい)のヤローが言ってたけど・・・
そう言えば遅いなアイツら、偵察に行ってそのまま他の寮生に殺されたんじゃないか」
「知るかよ・・・あの気味の悪い双子も一緒だから大丈夫だろってかあいつらだけ卑怯じゃね?
なんで兄弟そろってるんだよ」
向山は天然パーマをガシガシと掻きながらぼやく。
「俺が知るかよ。どうせゲイでブラコンだから始末に負えなくて一緒に拉致って来たんだろ。ああ、喉乾いたー」
その時、三期生チームの出発室である図書室の扉が開いて小太りの漢が飛び出してきた。
漢の名は杉浦 貴(すぎうら たかし)。
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Selection test of eiga
Third group-1/8 takashi sugiura (age 26)
Equipment weapons Light truck radio-controlled car
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「き、来た。ぼく、僕のっ、ラジコンのカメラに映った!直ぐ来る!はやッくはやく!」
杉浦は慌てふためいてバリケードを築き上げていた二人にどもりながら伝えた。
「チッうっせーな、もちょっと落ち着いて話してくださいよ杉浦さん!」
「・・・汗がくせぇ、ある種襲撃よりやべーよ」
二人は途端に怪訝な顔をしてしかめ面をする。
そして、杉浦に続いて奥から出てきたのは細身長身で明らかに他とは異彩を放つ眼鏡をかけた青年だった。
「皆さん、まだ武器は出さないでっ。落ち着いてまずは様子を伺いましょう!」
漢の名は鮎川 賢士(あゆかわ けんし)。
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Selection test of eiga
Third group-5/8 kenshi ayukawa (age 24)
Equipment weapons Circular saw with blood
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「鮎川さんよぉ、大丈夫なのか本当に~こんなバリケード、相手がショットガンとか持ってたらどうすんだよっ」
「だったとしてもこれは相手の射撃をためらわせるのには十分なはず。
それに状況から見て威力の高い武器を所持している可能性は低いはずです」
鮎川はポータブルモニターを眺めながら、廊下の方向を確認した。
図書室は二階のやや中央寄りの教室の一室であり出てすぐの前の左右廊下両側とすぐ奥に続く昇降階段に気を配る必要があった。
「あ、鮎川さん、三分立つかも・・・は、は、早くっ、仕舞わないとっ」
「そうですね、階段のところで大体の位置は掴めました、ありがとうございます。大手前さん向山さん、来るならこっちの方角からです!」
そう言って鮎川は回れ右をしてより強靭なバリケードを構築した方向を指し示した。
「チッ、頼むからぶっ放すもん持ってくんなよ~。あ、向山、敵が銃持ってたら頼むぜっ」
そう言って大手前は棺の蓋をポンポン叩いた。
「ぶっつけ本番てのっ?!冗談かよ・・・」
そう言って向山は深くため息をついた。
そしてほどなくして、それは三期生たちからは死角になっている廊下の踊り場より、スッと現れた。
「おいマジか・・・」思わず声を漏らす、向山。
「あれは、うちのチームの物より強固かもしれません」焦りだす鮎川。
「どうすんだよ、あれっ。向山、準備だ準備!」血相を掻く大手前。
「き、きだぁあ、きたぁ、こっちにゆっくりっ迫ってくるっ!!」脅え、すくみ上がる杉浦。
彼ら三期生の眼前に現れたのは、正に彼らの持つ棺の大きさともいえる漆黒の盾である。
「・・・防御体型!」と遠くから小さなくぐもった声が聞こえた、と同時である。
ガシャーンとその盾は左右に突如伸び広がり、廊下一杯を埋め尽くした。
その刹那、鮎川が咄嗟に口にする。
「皆さん、盾の奴も含めて三人います」
「なんでわかる?!」
「足です、あの盾が伸びる手前、複数の足が垣間見えました。少なくとも盾は今から2分強経つと仕舞わざるをえない。
だから2分を切ったらうちも武器を出しましょう。皆さん、いいですね?」
鮎川は皆に呼びかけるも、大手前が反対する。
「おい待ってくれ、その1分足らずでケリを付けろってか?
相手がどんな武器を持っているかもわからん、得体も知れない奴らなのに?冗談じゃない、ヤバくなったら俺は出すからなっ」
大手前はバリケードに身を潜めて、相手の動きを凝視した。
「クソっあんな真っ黒じゃ距離感もつかめないよ。おい杉浦さん、あんたすっこんでなよ。その身体じゃ直ぐ死ぬぜ」
「わ、わかってるよっ。皆さん、お、おねがいしまずっ!」
杉浦はそう言って図書室の奥に引っ込んで挙句にドアを何かで塞いだ。
「あ、あいつ・・・後で覚えてろよ・・・」杉浦の非協力的な態度に神経をイラつかせる向山。
そこに相手の出方を伺っていた鮎川がいきなり声を荒げる。
「・・・ヤバイ、走ってきたぞっ!!!仕方がないっ”鮎川”っ出ろ!」
”ワタシアナタニイイワスレタコトガルノ”
機械音と共に背後の棺からアームが飛び出した。
その先についていた、小ぶりの血濡れた丸鋸を鮎川は掴んだ。
それはほんの数分前だった。
「おい、俺から目線をそらさず気づかないフリをしろ。今俺らの後ろに”なんか”いる」
漢はそう言って前の漢に小声で訴えかけた。
「わかってらぁ、俺の目の前よ?お前こそ後ろからよくわかんなぁ目でも付いてんのけ?」
その漢はスタイルの良い割には下品な笑い声でニタニタほくそ笑んでいた。
「気配だよ、それに音もな。こういうのはその場の空気間で解るもんなんだよ」
「そ、そ、そ、そんなことはいいから、さ。どうすんの?行くの?あ、や、やっぱやめとく?」
その二人の漢のやや後方より、おどおどしい漢が挙動不審な動きをする。
「行くに決まってんだろ、あのラジコンは俺たちの姿を捉えている。
既に一期生は面が割れていると言って良い、ここでうかうかしてられん」
そう言ってこの場で一番長身で体格のいい漢はバッといきなり振り向くや否やラジコンのカメラに向かって
刺すような鋭い眼光で睨みを利かした。
ラジコンはまるで意思があるかのように慌ててバックし、そのまま太いタイヤを生かして階段を転がる様に
降りて逃げていった。
「あれがドローンカーってやつか。てかあのラジコン、何か小細工あるんじゃね?爆弾だったり、銃撃ったり」
いいながら、流し目でオドオドした漢を見る。
「え、う、うそ、やだやだやだぁ~も、もう帰る」
「け、どこに帰るっつてんだよ」
スタイルの良い漢は相変わらず挙動不審の首をガッと掴むと前を振り向かせた。
「しっかりしろ、あのラジコンはガン無視しとけ、武装は無い、あったらとっくに俺達に向けて撃ってる。
それよりもだ、今から俺の言うとおりにやれば大丈夫だ。
俺たちの中で一番いい武器持っていた松本はどっかに消えたし、三上は協調性皆無。
そもそも現状、一番不利なのは俺達一期生だしな」
「て言ってもだ。こんな作戦、ホントにうまくいくもんかね?つーか頼むぜ、お前の武器が一番の頼りなんだからな?
おまえオタクそうだからFPSとか得意だろ、楽勝じゃーん」
「そ、そんな、ぼ、ぼ、ぼぼぼぼぼぼぼおぼぼく、こんな、ひと、ひとひととと、撃つ、なんて」
そう言うと体格のいい男は鼻で笑い飛ばし言った。
「安心しろお前の銃は死ぬわけではない、むしろ”殺す”ことになったら俺がやる」
「ひいぃぃいいぃ、ひぃぃぃ」
「はは、あんたが一緒のチームでよかったよ。流石タイガーだ」
そして三人はそれぞれ相槌を打って棺に付いているロープを掴む。
「長谷(ながたに)、後藤田(ごとうだ)、行くぞ!」
「おう、あんたが大将。三島タイガー」
「だ、だいじょうぶかなぁ、う、うまくいくかなぁ」
鋭い目つきの体格のいい三島 泰賀(みしま たいが)。
スタイルの良い癇に障る喋り方の長谷 縁(ながたに みどり)。
挙動不審の後藤田 倫(ごとうだ りん)。
三人は意を決し、木漏れ日の差し込む廊下の階段をゆっくり降り始めた。
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Selection test of eiga
First group-3/8 taiga misima "tiger" (age 29)
Equipment weapons Medical scalpel
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Selection test of eiga
First group-7/8 midori nagatani (age 38)
Equipment weapons Black long shield
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Selection test of eiga
First group-4/8 rin gotouda (age 33)
Equipment weapons Red Taser Gun
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「来るぞ!」
向山のその叫びとともに火蓋は切って落とされた。
真正面に突っ込んでくる”黒い壁”は目の前の築き上げたバリケードにも怯むことなく向かってきた。
ガシャン!と凄まじい衝撃音と共に絡ませて組み上げた学習机が盾の猛進で一気に鮎川達に迫りくる。
「今です、向山さん!」
「オラよ!!」
そう言って大手前はバリケードの上部にいびつに積み上げていた机の下側を支えていた学習椅子を勢いよく引っこ抜く。
前もって仕込んでおいたギミックだ。
すると、もともと天井までが高い廊下であったため高く積み上げていたバリケード上部の机が一気に前方に向かい雪崩れ込んだ。
それは盾の上部も上回り奥の”襲撃者”へと雪崩れ込む形になる。
「グッ!」
呻き声。ギミックを仕込んだ机が盾の装備者であろう漢に当たり、態勢がやや崩れるのを鮎川は見逃さなかった。
散開したバリケードを飛び越え怯んだ盾に目掛けて凄まじい前蹴りを浴びせる。
「ぐあっ!」
盾は崩れ、バランスを崩した長谷が仰向けに倒れこみ視界が開けた。
(!!何故?こいつしかいない?!あと2人いたはずだ!)
鮎川が予想とは違い襲撃者が一人しかいないことに不安を覚えた。しかし刹那、横の大手前がすかさず動き出す。
「やばたにえん大手前!」
”オネガイヒントチョウダイ”
大手前が叫び、機械音と共に足元の棺から美しい銀のレイピアが勢いよく飛び出す。
「オオオォォォー!」
そしてそれをすかさず手に取ると崩れた長谷目掛けて一直線に”突き”を入れようと突進しようとした。
(目一杯の盾、見えない前、迫ってきたのは足元から確かに三人、でもここにきて一人?)
「タイガー早く、早くしろー-------!!!」
長谷の悲鳴にも似た金切り声が廊下に響く。
電光石火で思考する鮎川に本能にも似た戦慄が襲う。
(-―――――後ろっ、反対側!)
振り向いた矢先、眼前には投げつけられたであろう机が視界一杯に広がっていた。
バチンッ!!!と顔面に直撃し、鮎川は倒れこんだ。
直撃する一瞬、垣間見えたそれはスイングした後の態勢を取っていた三島であった。
「ひぃぃいいいいいいい、で、でけえぇぇぇ!」
向山は突如後ろから現れた巨漢に恐れおののいた。
「畜生!後ろか!!!」大手前がレイピアで指す直前に奇襲をかけてきた三島に驚いてとっさに振り向いてしまった。
とそこに「食らえっ!」
長谷がそれを見逃すはずはなかった。
敵前に対しておもむろに背中を見せてしまった大手前に長谷は素早く立ち直り顔面に蹴りを浴びせる。
「ぐふっ!!!」長谷はその蹴りをもろに顎に受け、その身を大きくのけぞらせる。
そして、向かいでは三島が手に持っている照明に照らされ面妖な光を放つ医療用メスを構えて向山に迫った。
「向山っ出ろ、出ろ!」向山は腰を抜かしつつも棺ににじり寄り自身の武器を早急に出す。
”ハヤクショルイヲカイザンシロ”
奇妙な機械音と共に飛び出したアームには小ぶりの芝刈り機のような形をした棒で先が円盤になっていた。
「ひっ、ひっ、ひっ!」向山はおもむろにそれを取ると迫りくる三島に向け、グリップのスイッチをおもむろに入れた。
「なにっ!?」
三島は驚愕した、何故なら手に持っていたメスが向山の持っている棒の円盤に吸い寄せられ張り付いてしまったのだ。
「や、やりぃー」向山は危機は去っていないものの相手の武装を喪失させたことに一応の安堵を得る。
そしてそれを見た三島はおもむろに声を張り上げた。
「おいっ!後藤田、こいつだ!こいつを狙え!」
「は、はいぃぃぃ!」頼りなくも捻り上げた様な声が三島の後方より聞こえた。
三島が巨漢が故に気を取られ、後方にもあと一人いたことに2期生は気づいていなかった。
後藤田は三島の片隅から飛び出して、手に持っていた赤い”それ”を構える。
(銃か?!ヤバイ!!)
態勢を立て直しながら銃を構える後藤田を見た鮎川は恐怖する。
バチンッという破裂音と共に閃光が辺りに走る。
「ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶっ!!!」向山が聞いたことのないような声を上げ身震いした。
「向山さん?!」
後藤田の放ったそれは向山の裸体に当たっていた。
しかしそれは弾丸ではなく、針金のようなものであり僅かに細い針金のようなものが伸びている。
(これは・・・テイザーガンというやつか?!)
仲間の危機的状況に鮎川は三島に向かい手に持っていた丸鋸を撫で切りのように振る。
「フン!」丸鋸を目で追いながら後ろに軽やかにステップして回避する。
(デカいくせに、なんて身のこなし!冗談だろ!)
そして直後に三島は鮎川の振りかぶったことによるスキを見てその脇に勢いよく拳を入れる。
「ぐぁあ!」骨にぶつかる酷く鈍い音を鮎川は全身で感じた。
「くそっ鮎川!」長谷は叫ぶと同時にレイピアを握り直し、三島に立ち向かっていこうとした。
その時。
「待て!」三島は背中がピンと張り詰めるほどの制止声を上げた。
各々が戦慄する中、三島は思いもよらぬことを告げる。
「今回は挨拶だけだ、殺さない。見逃してやる」
「何の冗談だ、情けのつもりか?」
三島の突然の申し出に鮎川は身をよじらせながら吐き捨てる。
「こいつ、この期に及んでっ」
大手前は三島を見据え、今にもレイピアで刺すような勢いで噛みつく。
しかし三島はそんな大手前を気に留める様子もなく、傍らにいた後藤田に指示を出す。
「タ、タイガーさん、ぼ、ぼく」
「ほら早くしろ、こいつの棺だ。武器はスイッチを切って俺のは剥がしてこっちに寄こせ、違う、ナイフをよこせと言ってるんだ。」
後藤田は床に落ちていた電気磁力機を拾い上げ向山の棺に仕舞うと
棺の綱を懸命に引いて自分の棺の金具に先のカラビナを取り付けた。
「お前っ何してんだ!」
激痛で身をよじらせながらその様子を見ていた鮎川は後藤田を叱責する。
「ひいぃぃ!」後藤田は脅え、棺を引っ張ると急ぎ先の廊下へと後退してゆく。
そして、三島はテイザーガンを受け、感電して気絶状態の向山を難なく器用に担ぎ上げると
三島を牽制する大手前に申し伝えた。
「おおてまえ・・・という読み方でいいか?まあいい、見逃すかわりにだ・・・こいつは貰って行くからな」
「ちょっ、どういうことだ?!」
「生き残るためには、こういう事も必要だってことだ」
三島は自身の両肩に向山の身体を背負うような形を取って片手は足を持ち、もう片方の手でメスを握りなおすと
丁度態勢を整えなおした三期生にそれを向けて、対峙する形を取った。
「・・・それにしても、俺の握力80のフックを脇にもろ食らってよく倒れなかったな。
お前の事は覚えとこう・・・三期の鮎川か、俺は泰賀(たいが)、三島泰賀だ」
「泰賀・・・さっき聞いたタイガーってやつか」
「焦らずいこうぜ、まだ時間はたくさんあるんだ・・・行くぞ後藤田。長谷、引け!予定通りだ!」
「くっ」
大手前が後方を見ると、既に長谷は来た時と同じように盾を構えなおしそのまま後退してゆく。
「じゃあな、ボケども。後、俺を盾越しに蹴った奴、後でぶち殺してやるからな!」
後退しながら三期生に向かって捨て台詞を履き、それを三島は叱責する。
「長谷ぃ!!」
三島は怒号を廊下に響かせながら、三期生を牽制しつつ廊下の奥に姿を消した。
一瞬にして辺りが静まり返る。
そして、ふと我に返り各々急いで棺のアームに自身の武器を掛ける。
すると棺は開いた時とは逆のギミックを行い、その武器を収納した。
棺のネームプレートの横のカウンターが点灯し、close3:00と表示される。
暫くの放心ののち。
「どうすんだよ、どうすんだよおい、向山が、俺の作戦がっ・・・」
「作戦って何の作戦なんです?」
大手前の考えていることは容易に想像できたがあえて鮎川は白々しく尋ねてみた。
「そ、そりゃ、向山の兵器で相手の武器を奪って、俺がそのスキに・・・」
「奪うも何も、”奪われ”ましたけどね」
鮎川はそういうと再び床へとヘタリ込んだ。
するとその様子を図書室のドアの隙間から覗き見ていた杉浦がそっとドアを開いて声をかけた。
「よ、よかった。生きてて、助かってよかったね。あれ、向山君は?」
何ら人任せで自ら力になろうともしない杉浦に大手前が容赦ない罵声を浴びせる。
「五月蠅い!シネボケ!!」
一方、ここは三階奥にあるかなり広く開けた談話室。
周りは朽ちた棚やボロボロになった本が散乱しており、廃墟そのもであったが床だけは鮮やかな赤いカーペットが敷かれていた。
そしてここにある漢が二人、部屋を物色していた。
「どうだ五十嵐、なんかあるか?」
その漢は小太りで身長も低く、あまり動いている様子もないにもかかわらず汗を掻いてはそれを腕で拭っていた。
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Selection test of eiga
First group-5/8 ken-itirou minami (age 31)
Equipment weapons Whip like spines
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「・・・・ないよ、何にも無い。ねぇ南さん、もう戻ろうよ。さっきなんか叫び声も聞こえたし」
物色しつつ問いに答えた漢は優しい口調で無気力な雰囲気を醸し出していた。
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Selection test of eiga
First group-6/8 motoki igarashi (age 36)
Equipment weapons A needle-like spear
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「しかしまあ、あのゲロイムとかいうバケモンもうちょい色々説明してくれてもいいんじゃね?
しかも帰り際に俺に向かって”汗くせー”って言ったんだぜ。ブチ切れもんだよ」
そう言いながら手に持った先端のあちこちに棘の付いた鞭を艶めかしく撫でる。
「不用意に武器出すの止めなよ、毒が発動するよ?」
それを、あきれた様子で見ながら窘める五十嵐。
「それよそれ。マジで死ぬような毒なんて身体に入ってんのかね?嘘くせーんだよなぁ。
それにこの棺だって怪しいもんだぜ」
「それは最初に検証したじゃないか」
そう言うと五十嵐は丁寧に南へ説明し始めた。
「1つ、使用開始した武器を他の人間がまだ所有者が生きているうちに持つと凄いアラームが鳴り、まあここからは
推測だけど多分身体の毒が回り始めると思う。
1つ、使用はアームから外した時より3分間、側面のネームプレート横のカウンターが動き出す。
使用後は収納後、3分経過しないと再び使用することは不可能。
1つ、音声入力は所有者以外は不可能。しかし死んだときはまあその後最初に使ったやつが所有権を得るのかな?
これはゲロイムも言っていたけど」
そう言って面倒くさい様子で五十嵐はあくびをした。
「まあでも、この鞭はいいセンスしてるぜ。ただ使うのが男ってのがなぁ・・・そういやマジで漢しかいねーのかなぁ、ムチムチの
女とかいねーかなぁ、だったら最高なのに」
「そんなの居ないでしょ、だって影我”漢”試験なんだよ?じゃあみんな漢じゃん」
聞いて南は舌打ちしながら股間をボリボリ掻きだす。
その様子を横目で垣間見た五十嵐は露骨な嫌悪感を示して、南と少し距離を取った。
その時、南の表情が突如一変して五十嵐に音もなく足早に駆け寄る。
「五十嵐、誰かこっちに向かってる足音がする。急いで棺を隠せ、早く」
そう言うと南は持っていた鞭を棺のアームにかけてそのまま無造作になぎ倒されていた棚の隅へと解らないように
紛れ込ませた。
「ちょっと、マジなんですか?何にも聞こえませんが」
五十嵐は露骨に怪訝な顔をしながらボロボロながらもまだ形を維持しているカーテンへ隠せるように棺を力を入れて立てかけた。
「俺は地獄耳よ、もう近くまで来てる。俺達もあの棚の裏に隠れて様子を伺うぞ」
「バレたらどうすんです?」
「そんときゃそん時よ、俺たち二人とこの武器が有ればなんとかならぁ」
「ら、楽天的だなぁ」
そう言って小声で二言、三言かわすとひっそりとドア側面に位置する棚へと二人して身を潜めた。
トットットットットットットットッーーー。
ドアの奥から軽い足音が僅かながら聞こえてくるのが五十嵐にも解った。
(-――二人か!?南さん?)
(-――黙ってろ、入ってくるぞ)
息をひそめ、生唾を飲み、ドアがゆっくり開いてゆくのを二人して凝視する。
キィ―――。
比較的大きめの観音開きのドアが徐々に開かれてゆく。
と、そう思った矢先。
バンッ!!!
と激しくドアが打ち立てられ勢いよく開かれる。
そして筋肉質で凛々しい身体、スパッツを履いたの一人の漢がヌッっと入り込み辺りを舐める様に見回した。
(やばい、強そうだ。・・・ゼッケンは”3期國枝”か)
(俺達よりずっと若そう、こんなの直ぐやられるにきまってる)
國枝は一通り見回すと、ゆっくりと足を進め部屋の中央で止まり、誰に向けるでもなく言った。
「・・・ま、はいっていいんじゃない?」
そう言うとすぐドアからまた漢が入ってきた。
(こいつは・・・?!)
(え、どゆこと?!)
覗き見ていた二人は思わず驚愕して声を漏らしそうになり急いで自身の口を塞ぐ。
入ってきた漢。
それは先程と寸分たがわぬ容姿の漢であった。
「レン兄さん。ちょっと不用心過ぎない?」
「リン、お前が臆病なだけさ」
リンと呼ばれた漢は小ぶりながも鋭く光る弓の弦を引いたままゆっくりを室内に入ってきた。
南が後から入ってきた漢のゼッケンを確認すると同じく”三期國枝”と記載されていた。
(なんてこった、こいつら双子か・・・!)
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Selection test of eiga
Third group-2/8 ren kunieda (age 27)
Equipment weapons Bow with a sharp blade
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Selection test of eiga
Third group-3/8 rin kunieda (age 27)
Equipment weapons Poisonous Arrow
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「・・・ん、わずかだけどぬくもりを感じる、誰かいた?」
そう言って、レン兄はリン弟に外野には解らないほどのアイコンタクトを送る。
それを弟は即座に受け取り、弓を構えるのを辞めると矢だけを残して弓を兄に放り渡した。
「さあどうかな?僕はそうは感じないけど」
少しリンは顔をほころばせ、比較的広い部屋の辺りをゆっくり歩き始めた。
「クスクスクスクス170、169、168・・・・」
「フフフ、164、163、162・・・・」
二人は肩を寄せ合い、仲良く歩きながら何か数字を呟く。
(なんだあいつら、なんか笑ってブツブツ呟いて・・・気味が悪い・・・・)
(み、南さん、なんか様子がおかしいよあいつら、ヤバいんじゃない?)
解らないほどの小声で棚の陰に潜み聞き耳を立てる南と五十嵐はひそひそと耳打ちし合う。
「まあ、レン兄さん、さっきも言ったけど。こういうのは経験で学べってことなのでは?」
「うん、ゲロイムさんは詳細を伝えてくれなかったからね、結局の所こういうのは自分次第だよ・・・155、154、153・・・」
(何をブツブツブツブツ、しかしなんださっきから感じるこの違和感、おい五十嵐、何か感じないか?)
(感じるって何をです?)
(何をって何をだよ、なんか、こう、変なんだよ、さっきから)
(変?)
五十嵐は南の違和感の原因を疑問に思い、自身も五感を研ぎ澄まして感じ取ろうとする。
「148、147、146・・・」
(カウント・・・?こいつら自分の出した武器のリミットを数えている?でも・・・それだけじゃない・・・なんか)
五十嵐は棚の隙間から相手の姿を捉えたい衝動に駆られたがそれを南に
グッと押しとどめられたため内に戻り、更に思案する。
いまだ双子と思しき二人は部屋の中をカウントしながら歩き回っている様子が聴いてとれる。
(もしや・・・カウントは・・・南さんの棺か?じゃあこいつら)
すると五十嵐は不意に全身が研ぎ澄まされている感覚に襲われた。
身の毛がよだつ。
それは、人生において始めて感じる”戦慄”だった。
「南さん・・・」
「馬鹿、大声で喋るなっ」
「足音が一人分しか聞こえない!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
南が殺気を感じ取り背後を振り返る。
いた。
弓を弾いて狙いを定め、棚の隙間に潜む二人に向けて引き絞りを強くする。
南の目が漢の鋭い目と合った。
すると漢の目はカッと見開き、弓が放たれる。
パシュンッ!ザクッ!
「ぐうぅぅぅぅうぅうぅぅ!!!」
「南さん!」
身を潜めていた時から屈んでいて難を逃れた五十嵐は撃たれた南の身体を掴んで急いで引っ張り出す。
「 こ ん に ち は 」
眼前に飛び込んできたのは双子の片割れ・リンであった。
恐れおののく五十嵐。
「ウオオオオオォォォォオォォヲヲヲヲヲヲオヲヲヲヲ!!!!!!!!」
五十嵐はその顔からは想像もつかないほどの雄叫びを上げ、拳を振り上げた。
それをリンは眼前ギリギリまで引き寄せると寸で回避し、五十嵐に強烈な右脚の蹴りをお見舞いする。
「ぐうっ!!」
顔面に直撃した後藤田はそのままよろけて尻もちをついた。
「ふんっ、中々度胸が有るおっさんじゃないか。すっかり怖気ずいていることだろうと思っていたけどやる気満々だぁ」
リンは続いて攻撃を加えようとした矢先、足元に転がっていた南に足の膝裏目掛けてラリアットをお見舞いされる。
「何っ?!」
「がぁあああああああああああああ!なめんなよクソガキども!!!」
南は撃たれていたが額に当たる直前に掌で矢を防いでいた。
しかし掌からはおびただしい血が流れ、さらにはその手が真紫に染まってゆく。
南も信じられないほど先程とは桁違いに顔色が悪い。
南は決死に反撃に転ずるが、リンはそのラリアットで身を崩しそうになるが寸で態勢を維持して
身をバク転させ、相手との距離を取った。
「ほら言っただろうリン、デブは基本その無駄についた脂肪を持ち上げて行動する故に見た目よりずっと筋肉があるって」
「そういうレン兄さんもあれだけ距離を詰めていて外してんじゃん、だめじゃん」
「お、お前らふざけやがって・・・・ぶち殺してやる、コロスコロス!!!」
殺し合いの最中にもかかわらず緊張感もなく、
へらへらしながら笑い合う双子に南は脂汗を額に流しながら怒りに身を震わせ、激昂した。
「やばたにえん五十嵐!!」
”アイツラガヤッタンデス”
隠していた棺からアームが飛び出す。出てきたのは痛いほど先が鋭く尖った直径1センチ、全長1,5m程の槍であった。
五十嵐はレンが再び矢で自身に狙いを定める中、全速力で走って棺に転がり込むようにそれを取った。
そして槍を両手で構えて、レンの懐に狙いを定め突撃を開始する。
「うあああああああああああああ!!!!」
「正気か?はは、死ねよ」
レンは十分に引き付けて矢を射ようとした矢先、嫌な予感が冴える様に頭に過ぎる。
(待てよ、俺たちの矢にも毒が仕込んであった。ということはっ?!)
レンは目前で五十嵐の持っているそれが瞬時に伸びるのを見逃さなかった。
一気に態勢を崩して横に飛び込むように回避する。
「クソっ、忌々しい!」
五十嵐の槍はレンの後ろの壁に鋭く突き刺さったが五十嵐は直ぐに引き抜いて双子を威嚇する様に構えなおす。
「やばたにえん南!南!畜生、でろよ、でろよおお・・・ぢぐじょう、じぐっ、きぶんがぁぁ、うぇぇぇ、げぼっ」
南は武器が出ず、棺に向かって蹴りながら狼狽し、しかも毒がかなり回りだしたのか嘔吐しだした。
「レン兄さん!」
「リン、まだ33秒ある、十分だ」
双子はお互い歩み寄り、兄レンの持っていた残り一本の矢を弟リンに手渡す。
「へっへへへ、コロス、コロス!絶対殺す!折角こんないい人殺しが出来る機会なんだ、誰も邪魔なんてしないしな!
どいつもこいつも全員皆殺しにしてやる。ほら南さん、ゲロってんじゃねーぞ!」
「ぐうぅうううう!そ、そうだ、し、死んでたまるか、こんなんじゃもう女に××プできねーだろうがっ・・・・」
南は棺の武器に見切りをつけ、床に落ちていた木材の破片を手に取ると双子に向き直った。
「行くぞ五十嵐、ごいづらは使いずらい弓と矢だけだ!!!」
南と五十嵐は一斉に双子に襲い掛かった。
双子は臆することなく、背中合わせになって両者を限界まで寄せ付ける。
「がぁぁっぁぁぁぁあ!!!!!」武器を振りかぶり襲い掛かる刹那。
「今!」双子は合図をし、身体を足からクイックして身を急回転させる。
「?!!!」南と五十嵐は急に向かい合わせになり、鉢合わせになった。
二人は攻撃が当たらないよう自身に急ブレーキをかけるが双子はそれをチャンスとばかりにそのまま
急回転させた身体をそのまま背後に忍ばせる。
そして双子は合わせたかのように相手の片方の脇に手を入れそのまま首まで腕を回しこんだ。
「ぐううおぅぅぅおおおっっ!!!!」
お互い向かい合わせのまま、首を締め上げられながら南は兄の持つ弓の一部の刃の部分で首を。
五十嵐は弟の持つ矢で首を貫かれた―――。
南と五十嵐はお互い断末魔を上げながら血しぶきをまき散らし、お互いの死に様を見せつけられるように
絶命した。
その時、兄のリンは南小さく聞こえる様に呟く。
「汗くせーこいつ」
「初めて殺った感想は?」
リンはレンにインタビュアーの様に質問する。
「うーん、まあ、こんなもんかと」
「流石はゴロツキどもの町で育った人間は言うことが違いますね」
「何が違うって言うんだ、それよりも見ろよこれ」
リンは棺から取り出して目を通していた南と五十嵐のファイルをレンの前に投げつけた。
「ん-どれどれ」
レンはそれを拾い上げ、眼前に持ってくる。
5. 南 健一郎(みなみ けんいちろう) 31歳 158cm 81kg
身長は低く体脂肪が高い 父親は××女子児童福祉施設、南所長
未成年異性に対して異様な執着心が有る 根暗 下衆
小学校教師であったがわいせつ事件を起こして逮捕及び懲戒処分
父親は莫大な保釈金や口止め料を払っていた模様 使用武器は棘(とげ)のような鞭
6. 五十嵐 元樹(いがらし もとき) 36歳 166cm 58kg
母親は××女子児童福祉施設で育ったあや(あやは幼いころから性暴行あり)
若いころから母親の為働き出すが勤め先は所謂ブラック企業
過酷な肉体労働を20年勤続しても務めた当初とさほど変わらぬ賃金であった
やさしくも臆病 気持ち悪い 使用武器は針の様な槍、伸びる
「わかるかレン」
「わかるって何が?」
「こいつら多分、穴は違えど種兄弟だ」
リンはそう言って五十嵐の針を拾い上げ棺のアームに掛けた。
「げ、マジかよ。そういう事?」
「可哀そうにな、でもまあこれではっきりしたわけだ」
溜息をつきながら二人は南と五十嵐の棺を自身の棺に繋ぎ始めた。
「でもまあ、同情するよ、俺達と似たようなもんだし。結局屑は屑同士仲良くしてろってことなのかなぁ」
「言うなよ、さあとりあえず三期の所まで戻ろう。途中でどっかに行っちまったアイツも気になるしな」
そう言って立ち上がり部屋を出る最中、二人は折り重なるように倒れこむ二人の死体を憐みの眼差しで見つめる。
南も五十嵐も酷く苦悶でありながらも血の涙を流し、悲壮な表情を滲ませていた。
そして部屋の黒板に浮かび上がっていたホログラムが文字を刻む。
"LIMIT 29days 12:43:08 20-survivors"