影我やばたにえん   作:かがみひこ

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第四章 何故俺たちなのか

「あれ、大手前君どうしたの?」

弩羅は先程とは打って変わって平然を取り戻すと入ってきた大手前を見てにこやかに問いかけた。

「弩羅聞け、さっきお前みたいに馬鹿デカい奴に俺らの所襲撃されて向山が拉致られた。

後さっきリミットのサバイバーの数が二人ぐらい減ってる、もしかしたら向山が・・・」

すると弩羅は手を横に振って大手前に答える。

「ああそれ、多分大丈夫だよ。一人は真毅君、もう一人はなんか・・・二期のオカマさん?だったような」

それを傍から聞いて更に小堺は打ちひしがれた。

(大杉さんだっ!荒井さんと一緒だったのにっ・・・!)

「真毅が死んだってのか、畜生が―――」

大手前は苦渋の表情を浮かべていたが、その様子を気にすることも無く自ら手を下した弩羅は顔色一つ変えなかった。

そして、小堺に向き直り再びハンマーを握りなおす。

「大手前君、ちょっと待っててね。いまこいつ始末するから、もう時間もないし」

だが、大手前も目の前に棺を引っ張り出すと号令をかけた。

「カッコつけてんじゃねーよ。こういうのはな確実性が大事なんだ。”大手前、出ろ”!」

”オネガイヒントチョウダイ”と金属音と共に銀のレイピアが飛び出し、無造作に掴み取った。

「回り込め!弩羅、お前は後ろだ」

「えー後からきて良い所取っていく気?」

そう言いながら小堺に一定の間合いを取りながら二人は挟み込んでゆく。

(このままでは・・・畜生!!!あと、後何秒だ?!)

小堺が足元に寄せていた棺を見るとカウントが10秒を切っていた。

「オオオオオオオオオオオォ!!!」

(!?)

小堺がほんの一瞬目をそらした隙に弩羅の雄叫が部屋に響き渡りどっしりとした足取りでハンマーを振り上げながら迫ってきた。

「嗚呼あああああああああああ!!!!!」

そして、後ろからも大手前がレイピアを両手に持って突くように走って向かってきた。

ほんの一瞬のタイミングが死に直結する。

そう悟った小堺はそのわずかな間に思考を巡らし、最善の策を決断する。

(出血は致命傷、ならば!!!)

小堺は腕の力を振り絞り、足元の重量があるであろう棺を勢いよく引っ立て、大手前との間に立てた。

「うぐっ!!」

大手前はレイピアが棺に当たる直前で急ブレーキを掛る。

だがその時、反対から向かって来た弩羅の渾身の一撃が小堺を襲う。

「ぐぁぁぁぁっぁあ!!!!」 ”ボギン!!!”小堺は身体から聞いたことないような鈍い音を聞いた。

小堺は己の腕を盾として犠牲にしていた。

そしてそれと同時に小堺の棺のカウントがゼロになり、ランプが点灯した。

「こさかいぃぃぃい!!!出ろぉぉぉ!」

”コノアカデンワ”機械音と共にアームが飛び出し、ところどころ錆て古びた日本刀が表れた。

電光石火で日本刀の柄を掴むとそのままハンマーを振り下ろした無防備な状態の弩羅に目掛けて横払いした。

シュッ!!!!

「っってええええええええええ!!!!」

信じられないような絶叫が響き渡る。

弩羅は恐るべき反射神経で直前に避けたものの小堺の一撃は浅くはあるが見事に脇腹を切った。

「弩羅っ、馬鹿が調子乗るからだ!」

大手前が間に立った棺を押しのけ、小堺へ向けてレイピアを突きにかかる。

「この野郎がっ!!!!」

小堺はその時、弩羅の一撃によって態勢を崩し跪いていたためもはや迫りくるレイピアを避ける術はなかった。

(くそおぉぉおおっ)

小堺はもはや絶望と共に両目を強く瞑った。

そしてレイピアは一直線に、小堺の喉目掛けて突き立った、そう突き立っただけで、貫くことなく、そこで止まった。

「か、かは、あ、あ、あは、ぁ、ぁ、あ・・・・・」

小堺は目の前の大手前の喘ぎ声と、動きを止めたレイピアを感じてゆっくりと目を開ける。

眼前には腹が後ろから金色の刃によって貫かれた大手前の姿が目に飛び込んできた。

「間に合った?ナイスな囮役だよ彦さん」

大手前の後ろにいたのは加古だった。

「か、加古さんか・・・助かっ・・うぐっ」

一抹の安堵と共に弩羅にやられた腕に激痛が走り倒れこむ。

加古は大手前が気を失うのを確認すると、突き刺した金の鋏を引き抜いた。

大手前の腹から大量の血があふれ出る。

「ぐぅうううううぅぅぅ、くそ、くそ、お前ら覚悟しろよ」

「お前は・・・弩羅?記憶にあったかな?」

加古はやや怪訝な顔をしながら弩羅へと標的を変えて鋏を構える。

それはまるで一端の武士が刀を構えるような様になっていた。

「ふんっ!!!」

しかし弩羅は目の前にある植木に入っていた僅かな砂を蹴って巻き上げ、

自身の棺を持つと脱兎の如く部屋から飛び出した。

「逃げたか・・・まあいいさ。それより、小堺さん大丈夫かい?」

加古は後ろにあった自身の棺に鋏を投げ入れ、小堺に歩み寄った。

「・・・ああ、助かった加古さん。だがヤバいかもしれん」

小堺は何とか立ち上がるものの、”盾”として使った腕は宙ぶらりんとして動かなくなっていた。

「見せてみて・・・ヤバイなこれは、多分骨が砕けている」

そういって加古はもはや絶命しつつある大手前のズボンを脱がして下に落ちていた植木鉢の破片を使い

器用に簡易ギブスを作って小堺に応急手当てをした。

「ウウウウ、痛い、痛いぃぃぃ」

「この状況はマズい、とりあえずここを出て音楽室に戻りましょう。ヤガミさん達も帰ってきているはず」

そう言って加古は大手前の武器を棺に戻すと自身の棺に繋ぎ止めた。

「小堺さん、行けますか?」

「ああ、何とか・・・・・・加古さん?」

「??なんです?」

小堺は痛みにこらえながら苦渋の表情をしながらも、ふと沸いた疑念を加古にぶつけようとした。

だが。

「・・・・いや、やっぱりいい。いこう」

「ああ、行きましょう」

足早に部屋を出る加古をよろめきながら追う小堺はその背中を怪訝に見ていた。

(囮・・・・冗談で言ったのか?それとも、マジでそんな・・・・)

小堺はただ腕の痛みと仲間の疑惑に苛まれながら、今はただ気が狂うのを押さえることしか出来なかった。

 

"LIMIT 29days 02:01:12 16-survivors"

「マズい状況です、私たち三期は、実のところ不利な状況にあると思います」

鮎川は教室の黒板に浮かび上がる残りサバイバーのカウントを眺めながら呟いた。

「マズいって、どういうことです?だって三分の一が死んだにしろ三期はまだ他のチームに比べてこっちは・・・」

杉浦が横で挙動不審になりつつ、鮎川の呟きに疑問を感じた。

「いいですか杉浦さん、三期はいまだに分裂したままです。國枝兄弟はもはやチームを離れて単独行動してるし、弩羅は自由奔放、

向山さんは拉致られ、真毅さんは亡くなってしまいました。大手前さんもさっき出ていったきり戻って来ませんし、それにさっきカウントが

減ったのも気になります。とりあえず私達は現状チームとしての連結が全くできていないことは何よりも不利なんです。それに・・・」

そう鮎川が言ったとき、聞きなれた”グゥウウウウウ”という音が響き渡った。腹の虫である。

杉浦の方も先程からカサカサになった唇をなんども舐めているが渇く一方であった。

「水も飯もない。これは全員に言えることですが状況が極限状態になりつつあるという事です」

「くそっ、これじゃあ殺される前に野垂れ死ぬのが関の山だよ・・・」

杉浦が棺に腰を下ろして頭を抱えた時、廊下の遠くから棺の引きずる音と主にドスドスと力強い足音が響いてきた。

「誰だ?弩羅か?」

二人は前もって打ち合わせた通りに教室の出入り口の両側に分かれて学習机を構えた。

杉浦の方は恐怖におびえているのか体が震えていて実に頼りない。

(近い・・・・もうすぐ・・・・・)

そして、そこから間も置くことなくドアが開かれドスの効いた声が響き渡った。

「あああー---痛ぇ、超痛ぇ!痛ぇんだよ畜生がー--!!!」

「弩羅か、どうしたその傷?!」

ドアが開くと同時に入ってきたのは弩羅だった。腹の方に横一文字に傷があり、そこから下半身が地でベットリだった。

棺を勢いよく自身の前に放り出すとそのまま棺の上に仰向けにドシンと寝そべった。

「大丈夫か弩羅?なんとか止血を――――」

「触んじゃねーよ鮎川坊ちゃま!!!あーくそ、あいつらぶっ殺してやる!!!あーちくしょう!」

弩羅はただ痛みから苛立ちを感じているのか手足をバタバタさせながら喚き散らしている。

「この弩羅に一撃お見舞いするなんて・・・ほかにどんなバケモンがいるってんだ」

弩羅を見ながら、言わないほうが良いと思いつつも杉浦はつい余計なことを口にした。

「なんだとこのオタクが!!うじうじラジコン弄ってるやつが文句があるのか、ああぁ!

お前みたいなやつのせいで大手前は死んじまったぞ!こんボケ!!」

「ひひひぃぃいいいいい!そ、そんなぁ!」

「そんな、大手前さんがっ?!じゃあさっきのカウントが減ったのはっ」

鮎川や杉浦は突然の訃報にショックを隠し切れなかった。

(そんな・・・・どうするんだ?この状態でまた襲撃でも受けようものなら・・・・)

鮎川が弩羅を見ながら頭に不安を過ぎらせている中、再び物音が廊下から聞こえてきた。

(しまったっ弩羅の声がうるさくて全く気付かなかった!!)

鮎川が自身の棺を急いで手繰り寄せ、武器を出そうとした矢先である。

「おっと、向かってこないでね」

「怖い怖い」

鮎川達が戦慄する中、部屋へゆるりと入ってきたのは國枝兄弟であった。

「國枝さん、今までどこに?!」

「ごめんね、途中でいなくなった真毅君ずっと探してたんだけど」

「さっき仏様確認したよ、可哀そうにね」

國枝兄弟は血を出して仰向けになる弩羅を見ながらクスクス笑いながら言った。

「お前ら・・・こっちが大変だって時に何時間もなにしてやがっ・・いてぇ!!」

「あんまり喋ると大変だよ、ここには薬の類だけじゃなくってものというものが殆どないからね」

「ほら、これで止血しなよ。でも痛み止めは無いから後は気力で持ちこたえるんだね」

そう言ってリンが誰かから奪ったであろうスラックスと古びた児童書を弩羅の棺の上に置いた。

「なんだこれは?」

「俺達が”ヤッた”奴から奪ったもんだよ。児童書は拾ったけどね。包帯代わりには使えるんじゃない?」

「まあそれ以外のものなんて何一つなかったからな」

國枝兄弟がそう言ったのを聞いて尚も確認せずにはいられずに鮎川は國枝に歩み寄って尋ねた。

「待って・・・じゃあやっぱり、水も食料関係も・・・・」

「うん、きれいさっぱり。一階の隅に食堂と厨房があったけど水道の類は全て取り外されてたよ」

「そんな・・・これでは、僕たちは衰弱してその内限界が来てしまう」

落胆する鮎川を眺めつつもふと弟・國枝リンがふとある事を思い出していた。

「あ、でもちょっとまって。兄さん確かあの無駄に広い厨房、なぜか真新しい冷蔵庫があったね、あれなんだろ?」

「そう言えば、あれだけ電源が入っていたな。開けても食うもの何一つなかったが、もしやそのうち食料が補給されるとか?」

「冷蔵庫・・・・れいぞうこ・・・・?」

鮎川はそれを聞いて何やらまた思案し始めたその時。

 

”キンコンカン☆コーン”

 

状況には場違いな学校で聞くような校内放送の放送前のチャイムのようなものが鳴り響いた。

「なんだっ!どうした!放送?!」

「ひひいひぃいっぃ怖い!怖い!コワイィィィィイィ!!!!」

「皆さん、静かにっ!!」

全員が一旦騒ぎ出すが、次の瞬間には静まり返って全員が突如発せられた放送に聞き耳を立てた。

”えー放送室、放送室よりお伝えします”

「一体誰だ?ゲロイムじゃないぞ」

國枝が怪訝な顔をしながら兄弟で顔を見合わせる。

 

”アガツマ君、アガツマ君・・・多分年齢から察すると多分3期生のアガツマ君、至急確認したいことが御座います。

二階端、職員室までお越しください、以上。放送終わり。”

”キンコンカン☆コーン”

 

「アガツマだって?俺たちの中にそんな奴いるか?!」

各々が顔を見合わせ、パンツなどに縫い付けているゼッケンを確認するもそれらしい名前は当然なかった。

「アガツマ・・・・何者なんだ、もしかしてそいつが俺達をこんな目に合わせてるんじゃないのか?」

弩羅が傷口を貰ったスラックスを巻き付けて手当をしながら息巻いた。

「そんな簡単なものじゃないだろう?大体、放送で言ったやつも”多分”なんて言っていた。確証が持てないんだろう」

「だがまあ、なんかあるんだろうな。そのアガツマさんって人は」

するとそこに、意外な人間がある提案をした。

「ねぇ皆・・・・職員室に行ってみない?」

提案をしたのは杉浦だった。

「行くだって?!こんなの100%罠の類だろう、普通解るはず」レンが呆れた様子で呟いた。

「わ、わかってるよ。でもほら、僕の武器はラジコンカーでしょ。それに誰が放送したのか気になるし」

するとリンが何かを察する。

「そうか、お前のラジコンカーマイクもスピーカーもついていたな。リモコンにも付いているのか?」

「う、うん。多分距離は解らないけどトランシーバーの様な役割も出来るはずだよ」

リンがそれを聞いて一考し、鮎川に問いかけた。

「行ってみるか?殺し合いにしろ生き残るにしろ、情報は欲しい所だ。

アガツマは居ないにしろ相手は俺達三期生を名指しだしな、何か知っているのはまず間違いない」

「そう・・・・ですね、では今回は全員で固まっていきましょう。弩羅さんも良いですね、単独行動はナシです」

鮎川はいつの間にか棺に腰かけて考えに耽っている弩羅に言った。

「ああわかってるよ、この傷だしな。お前らもしもの時は頼むぜ」

そう言って低く唸りを上げながら弩羅はゆっくり立ち上がった。

「拉致られた向山さんも気になりますが、仕方ありません。行きましょう」

鮎川は棺に付いているロープを掴んで先陣をきろうとしたとき、國枝兄弟に軽く制止される。

「待って、先頭は俺達兄弟に任せてお前は弩羅と後ろに回って下さい」

不安そうな顔を浮かべながら國枝兄弟が鮎川を促す。

鮎川はよくリーダー的な役割を押し付けられるのに何故なのかふと不思議に思ったとき、國枝リンが口にした。

 

「お前、さっきから顔真っ青だぞ」

「さっきの放送・・・・」

音楽室で潜めていた田中と合流しに戻ってきたヤガミ、片桐は先程の不気味な放送に困惑していた。

「こ、こわいこわい。どうしよう、アガツマさんはどこ?!」

田中さんが突然の館内放送に身を震わせている。

「どう思う?」片桐はヤガミに問いかけた。

「どうって言われても・・・三期生のアガツマ・・・?

放送を聞いた限りじゃ半信半疑で言ってるような感じだったな。

俺達二期生にはアガツマって名前の人間は居なかったし」

ヤガミは先程の放送を顎に手を当てながら思い出している。

「と、言うことはだ。今放送した奴は一期生の奴の可能性が高い」

片桐は神妙な面持ちで答えた。

「一期生?」

「ああ、もしかしたらこの影我漢試験ってやつはアガツマってやつを見つけるために一期生の誰かがやった事なんじゃないか?」

「まさか」

片桐は乾燥してかさついた捲れ上がった唇の薄皮をゆっくり剥がしながら考えている。

そこへ、棺を引きずる音と共に感覚の短い足音が近づいてくるのが分かった。

「ひっ!誰かくるっ」

「田中さん、後ろに行って。”俺ら”意外だったら容赦なく武器を出してぶっ放すんだ」

片桐は田中を後ろへと促し、ヤガミと一緒にドア横に身を潜める。

「ヤガミさん・・・良いな?」

「頼むぜ片桐さん・・・」

二人が息を飲む中、部屋の扉が何のためらいもなく、容赦なく開かれる。

「・・・・くそ、くそ、お前ら、生きてるか!ちょっ、何やってんだよ?!殺す気か?」

現れたのは顔が青ざめ、体中を汚した荒井だった。

よく見ると脇腹の上の方が痛々しいまでに紫に染まり、酷い内出血になっているのが直ぐにわかった。

「荒井さん、どうしたんだその身体?!」

「うぅぅぅ、弩羅とかいうバケモンにやられた・・・三期生だ・・・大杉もそいつにぶっ殺されたよ・・・・」

「大杉が?おいどうするよ・・・俺達あと実質5人が良い所だぜ・・・」

片桐はあえて精神疾患を患っている田中を除外してカウントした。

「あ、あともうひとり・・・さっきの放送のやつ。一期のブレアとかいうガイジンハーフだ。そいつもヤバい。

アイツ、ヤバイ毒の付いた棒で襲ってくる・・・なんで・・・毒の付いた棒もって無事なん・・・ゴホッ!」

「荒井さん・・・動くとマズいぞ、骨も折れてそうだ」

ヤガミが荒井に手を貸そうとするも荒井はそれを必死に跳ね除けた。

「止めろ・・・それよりも、おい、今から職員室に行くぞ・・・ほかの・・・奴らも集まってくるはず、早く、決着を・・・つけないと」

「行くって・・・どう考えても罠じゃないのか?!」

荒井の提案をヤガミが否定しようとすると目を見開いて詰め寄る。

その顔は冷汗でもはや死に形相とも言うべき表情だった。

「は、早くしねーと・・・死んじまうだろうがっ・・・八人になれば・・・終わるんだッ!」

もはや息も絶え絶えに荒井は言葉を発する。

そこに暫く思案を巡らしていた片桐が意を決したようにヤガミを見つめた。

「そうだな、行こう。こうして籠城してても埒が明かない」

「本気なのか?!せめて加古さんと彦を待ってから・・・」

「さっき、カウントがまた減ったと思う。二人が無事でいる確認が取れないしあの加古の事だ。

あいつなら狡猾に動いているはず、それに・・・」

少し、表情を陰らせながら小さく呟く。

「俺たち自身もそろそろヤバイ、いや、この館に居る全員か。

極限の緊張状態の中、飲まず、喰わず、休めず、排泄すらままならない・・・それに怪我・・・」

片桐はそう言って荒井を見つめる。

「そうか・・・タイムリミットに騙されてた。どのみち早く蹴りを付けないと皆・・・」

「くたばるんだよ。だがゲロイムは開始前に言ったろ?8人になるまでと・・・8人になれば少なくとも試験は終わって

救済されるはず」

片桐の物言いにヤガミは悲壮な表情を浮かべる。

「身体の毒の件も気になるし、進んで殺し合いをしてる奴もいるはず。

なんにせよ、早期決戦を最初から仕組まれているかもしれない」

するとヤガミはハッとして何かに気が付いた。

「じゃあ、さっき言ったアガツマを見つけるためにって・・・」

「そうさ、結局の所”その目的”のためだけだ。なら乗ってやろう、もしかしたら加古達も動いているかもしれん」

そう言って片桐は自身の棺の準備をし始める。

「荒井さんはどうする?」

「俺も行くぞ・・・こんなところでくたばってたまるか・・・あと、田中、お前もこい!

お前の武器は拳銃なんだ!お前の武器が一番頼りになるんだよ」

「うううっコワイィィィィイィ!!」

田中の態度に荒井は苛立ちを露わにする。

「解った、田中さんはできるだけ俺がフォローできるようにする。それでいいか?」

ヤガミの提案に舌打ちをしながらもしぶしぶ荒井は了承した。

「よし、他のチームとかち合わないよう出来るだけ隠密に行くぞ、準備してくれ」

そしてヤガミと片桐、田中、荒井の4人は職員室に向かい薄明りに照らされた廊下へ出てゆっくりと歩み始めた。

 

 

――――職員室、一期生の部屋。

そこは職員室とは言うものの乱雑に事務机が数機と棚、備品が転がっている殺風景な部屋だった。

三島は銃でも割ることの叶わない強化ガラスの窓の外の景観を眺めながら呟く。

「来ると思うか?」

「来るさ、いや、行かなければならない。少なくと皆そう考えているはずだよ」

三島の不安を他所にブレアは虎視眈々していた。

「極限状態が近いゆえにか・・・これはこの試験を起こした者の狙いの一つなのか、というよりあのゲロイムとかいう化け物が

全てを仕組んだわけではあるまい」

「どうだろうね、単独犯によるものなのか、複数犯によるものなのか・・・でもね僕の推理では”アガツマ”を見つけることが

出来れば全てハッキリするはず」

その、アガツマという名を聞いて三島は詰め寄る様にブレアに問い詰めた。

「そう、そのアガツマだ。お前の話によれば俺達が拉致られた原因はそいつにあるというじゃないか。

だがお前はそいつは試験自体とは何の関係もないという。何が何だかどうなっている?」

三島の問いに少し間を置いたのちブレアは簡潔に説明することにした。

「現・アガツマホールディングス、それはかつて昭和初期に名を轟かせた一大企業・旧我妻製薬株式会社のこと。

ここはその我妻製薬の秘密研究所の一つだ」

「何を言ってる?ここは身寄りのないガキを育てる何処かの潰れた福祉施設だろう」

三島はそう言って顔をしかめた。

「嘘じゃないさ。三島さん、棺に入っているファイル興味ないって言って見てないでしょ?

まだ時間あるから見てみなよ」

そう言ってブレアは自らの棺をつま先でコンコンと突いた。

「・・・・・・三島、出ろ」

三島は棺に呼びかけると機械音と共にメスが飛び出た。

そして、武器は取らずに中のアームの隅にあった一枚のファイルを取り出して一読した。

 

3. 三島 泰賀(みしま たいが ”タイガー”) 29歳 181cm 90kg

   母親はグレース女子児童福祉施設の教師。

   三島先生(グレース事件の逃亡者の一人)

   ※我妻製薬の連絡員としてグレース研究所にも出入りしてた様子。

   参加者で最も大柄の漢。 

   有り得ないほどの筋肉をしている 母親は出産後行方不明に。

   以後は遠縁の親戚の下で育てられる。

   筋肉質の上、頭脳明晰というね 使用武器は医療用メス

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Selection test of eiga

First group-3/8 taiga misima "tiger" (age 29)

Equipment weapons Medical scalpel

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「なんだこれは?!ここの教師?馬鹿な、じいちゃんからは小学校の教師をしてて夫婦で事故にあったと」

「だろ?君だけじゃない、僕もそうさ、きっとここにいる全員は何らかの形で母親が関係者さ。

下手すりゃ、ここにいる俺達みんな”種兄弟”や”穴兄弟”可能性だってあるんだぜ」

ブレアはそう言ってため息をついた。

三島はそれを聞いて愕然としながら確認する。

「な、なんだと、どういう事だ?!それはー--」

ブレアは目を細めながら呟く。

「ここにいた寮生は皆身寄りや頼る親類がいないため結構やりたい放題だったらしい。

その中には違法な臨床試験の実験体になったり、そしてほぼ全員が――――」

「身体を売ることを強要させられていたんだよ」

三島はそれを聞いて何故か笑い出す。

「は、ハハハハハ!馬鹿馬鹿しい、そんなものAVじゃあるまいし。だいたいお前はその情報をどうやって得たというんだ」

三島はそう言ってしきりに笑っていたが、ブレアは顔色一つ変えないので次第に真顔に変わっていった。

「僕の母親はね・・・生きていたんだよ。最近まで」

「なんだと・・・・しかしゲロイムはここに居るのはみな親から捨てられたような屑どもだと・・・」

三島は次第に声を震わせる。

やがてブレアは次第にここにくる直前の事を思い出していた。

 

 

イギリス・マンチェスター郊外。

「母さん、今日も残業で疲れているんだ。用なら早く言ってよ」

ジャック・ブレアの息子、クリストファーは極寒の中、夜勤で凍り付いた手を必死にストーブに当てながら言った。

「こわいんだ・・・・私は、貴方が急に居なくなるんじゃないかと思って」

部屋の片隅でブランケットにくるまりながら凍てついた窓の外を眺めジャックは呟く。

「はあ、またその話か・・・もういいよ、そこまで来ると嘘くさいだけだ。

ただでさえ日系人の血を引いてるから差別されてロクな仕事に就けない挙句、そのうえその日本から刺客が来る?

ふざけやがって、そんなやつぶちのめしてやんよ」

クリストファーは意気揚々答えるが、ジャックはただ身体を震わせていた。

「わからないんだ・・・なぜ私だけが助かったのか・・・・あの棺で目を覚ました後、必死にもがき苦しんで。

いきなり気絶したのかと思ったら、今度はけむくじゃらの涙を流した化け物に抱えられて・・・・」

「悪い夢でも見たんだよ、確かに昔、急にいなくなった時があったけどすぐ戻ってきたじゃないか。

それにそれがきっかけで大使館に保護されてイギリスに戻る事が出来たんだしね。

ねえ母さん、もしかして自分の生い立ちや僕のことを考えて負い目に感じているならそれは

間違いだよ。僕は貧乏だけど、母さんの事何も思っちゃいないよ、だから安心して」

「クリストファー、私は・・・・」

「大丈夫だって。今はその我妻製薬とかいう会社も福祉施設も研究所も昔に潰れて、悪い奴らも捕まったんでしょ?

もうなにも怖がることはないよ」

「違う、私は・・・」

何かを告白しようとするジャックを遮り、クリストファーはストーブを離れて台所に向かった。

「あー腹減った。あ、夕飯のスープが残ってるじゃないか?今から食べるけど、かあさんも・・・かあ・・・・さん・・・?」

スープが入っている鍋に火をかけながら母親の座ってるベットに振り向いた時、そこに母親の姿は見えなかった。

「便所か?怖いから物音も出さずに行かないでくれよ・・・ったく」

そういいながら鍋をお玉でかき混ぜ、程よく温まると二人分を皿に移した。

「はぁ・・・・めんどくさ」

クリストファーはそういいながらスープを匙ですする。

「・・・・」

暫く食事をするも母親が戻ってくる様子がなく、徐々に心配になってきた。

カタ カタ

(物音?)

クリストファーはなぜか胸騒ぎがして立ち上がると便所の方へと向かった。

「え・・・・」

玄関の扉が開いて吹雪が入り込んでいた。

ふと足元を見るとそこには自分が母親にプレゼントしたブランケットが落ちている。

そしてまた視界を元に戻すと。

 

赤いワンピースの少女が立っていた―――――――。

 

「そして、気づいたらここに来てた訳さ」

「赤いワンピースの少女?」

三島はにわかには信じられずに怪訝な顔をした。

「ああ、そうさ。驚いたよ、そして目を覚まして思い出したんだ。

昔母さんから聞いたことだけどここの寮生数名と教師がその福祉施設の裏で

行っていた違法人体実験の研究所に忍び込んで強盗事件を働いたらしいがその強盗グループ内で分断が生じたらしい。

そして、母さんを含む大部分の人間が分断の原因である人間を全員でここの地下に監禁して逃げたとか・・・

母さんは監禁したそいつが復讐に来るんじゃないかって事あるごとにブツブツ言ってたよ。

だから直感したんだ、赤いワンピースを見た時にね”嗚呼、来た!”って」

「じゃあ何か?ブレアが言う”アガツマ”って言う人間は赤いワンピースの少女か・・・いや待て、だとしても年齢が・・・」

三島の疑問にブレアは足元に落ちていたガレキの小さな破片を拾い上げて掌で遊ばせながら呟く。

「ああ、”少女”の時点でおかしいよね。母さんはとっくに60歳なんて超えていたし、そもそも三島もファイルで確認済みだろうが

ここに集まっている人間は多分その強盗団や関係者の子供、もしくは血縁だ。

だから少女が復讐しに来るというのはおかしな話なんだ。わざわざイギリスまで一人で拉致しにくるのも不可能すぎる。

ただね、母さんは”アガツマ”が復讐しにくるに違いないってよく口にしていた、ゆえにね」

「どうなっているんだ。いや、しかしだ、と言う事はこの影我漢試験っていうのはアガツマの復讐劇ということか。

でもだ、そもそも当事者である俺らの母親はとっくに俺達がガキの頃に行方不明やら蒸発やら死亡している。

まさか憎さ有り余って末代までともいうつもりか?それに復讐ならこのデスゲームを影我漢試験と銘打つのも謎すぎるんだ。

それとも最初に現れたゲロイムという化け物がアガツマか?一体何なんだ、訳が分からん」

三島が顎に手を当て思案しようとした矢先、ブレアは掌で弄んでいたガレキを片隅の物陰になっている所へと

素早く投げた。

「そう言う疑問をさ、生き残っている人間でちょっと話し合わないってつもりで放送で呼びかけたつもりなんだけどどうかな?

ドローンカーで聞き耳立てている君!?」

ブレアの急な呼びかけにドローンカーは勢いよく飛び出して後方のドアへとバックしてゆく。

「反対の東側の扉にもこちらを覗き見ている奴が居るな、ラジコン操っている奴か?それとも別組か?」

三島が鋭い目つきで扉を開放されている東側を睨みつける。

そして、三島は傍で身を潜める仲間に小声で伝えた。

「いいか?合図が出るまではそのままだ」

 

―――職員室東側扉前

「チッ、どうするよ。てかあのラジコン動かしているのは三期生か?」

片桐はドアに身体を密着させて僅かな隙間から様子を伺っている。

「こちらに向かってなにか問いかけているようだが、どうする?最も有効なのは田中さんのピストルと俺の投げ斧ぐらいだ」

ヤガミは田中と共に身を潜めながら反対側の通路を警戒していた。今もっとも奇襲をかけられるのは渦中の一期生故の事である。

「くそっ・・・せめて加古と彦がいりゃあ何とかなったもののっ」

そう言って片桐の脇でしゃがみ込んで様子を伺っている荒井は歯ぎしりをした。

そこに職員室中央に居る大柄の漢、ゼッケンに三島と書かれた人間が大声でこちらに向かって問いかけてきた。

”そこの扉にいる奴ら、聞いてくれ。俺達は今やり合う気がない。

さっきの話を聞いていれば解る様に俺達は少しお前らと話がしたい。

俺達のクソったれた両親どもは少なくとも関わり合いが有るらしい、どうだ?少しでも話す気は無いか?”

「三島・・・ヤバイな、かなりの巨漢だ。隣の奴は荒井が言ってた毒の棒持ってるブレアってやつか?

他の連中が見えないが一期が残り二人なんてのはカウンターから行っても有り得ない、危険すぎる」

片桐は警戒しながらいまだに向こう側の応答に答える気は無いようだった。

「片桐さん、俺に考えがある・・・みんな聞いてくれ・・・」

ヤガミが周りに呼びかけた時である。

”一期生の三島さん、ブレアさん。こちらは三期生です。2分30秒、今から2分30秒だけなら話に応じましょう”

奥の方から拡声器を通したようなくぐもった声が聞こえてきた。

「この声?!三期生か?」

 

―――職員室西側扉前

「おいふざけんな?!なんで?向こうに応じる気か?」

弩羅が苦しそうな声で鮎川に詰め寄る。

鮎川は杉浦の持っていたドローンカーのリモコンのマイクに向かって話しかけていた。

「ええ、もちろんです。なんにせよ情報は欲しい所ですし少なくとも闇雲に殺し合う必要がないかもしれません。

こちらには二期生から奪った大杉の盾が有ります。これで身を守りながら話しましょう」

「・・・馬鹿が、こんなもん難しく考えずにさっさと殺せばいいんだよ!どうせ八人も生き残るんだろ!」

息巻く弩羅を鮎川は懸命に手で押しのけた。

「あまり賢明な判断とは言えないが・・・それに間違いなく向こうは罠を張ってる」

「三島とブレア・・・それ以外の一期生が見当たらない。まあ間違いはないだろうね」

國枝兄弟も続けざまに鮎川に反論する。

「ただ、言われたままに応じる必要はありませんよ。

こっちも予防線を張ったうえです、杉浦さん一旦ドローンを引き戻して棺に仕舞ってください」

「う、うん。でも、弩羅君の調子が、すごく悪そう・・・」

「悪そうなんてもんじゃないっ・・・俺はさっさとぶち殺して蹴りを付けたいんだっ」

弩羅の顔色は既にほの暗いLEDに照らされていても土色に変わっているのが誰の目にも明らかだった。

「だからこそです。この応答は長々と行われる殺し合いから短期決戦を狙ったものです。

弩羅さん、このままサバイバーカウンターの通りに二十数日間も長々戦い合いますか?

そうなれば全員干からびて死んでしまいますよ」

「んな、んなこた、解ってるんだ・・・俺の言っていることは・・・ああもういい。

勝手にしろ、だがことが始まったら俺は勝手に暴れるからな・・・」

そう言って弩羅は重々しく己の引きずる棺の上に腰を下ろした。

「それで構いません、國枝さん達、杉浦さん、協力してくださいお願いします。」

「やれやれ」

「ま、鮎川君は頭良さそうだし、別にいいけど」

「だ、だいじょうぶかなぁ」

鮎川はそれぞれの了承を得ると、素早く自身の考えた策を伝え始めた。

「大丈夫、特に杉浦さんのドローンは力になります、あと大杉さんの棺を今のうちに付け替えて――」

そして。

 

「こうして、それぞれのメンバーが面と向かって顔を合わすのは初めてだな」

三島は警戒しながら歩み寄ってきた2期生・3期生に落ち着いた声で答えた。

東側扉から拳銃を構えてやってきたのは田中と手ぶらのヤガミ。

「二期生のヤガミとこっちは田中だ」

「田中だよ」

「へぇ、ヤガミ君に・・・田中さんね・・・よろしくね」

ブレアが面妖な顔で答え、歓迎した。

反対、西側扉から盾を構えてやってきたのは國枝リンと同じく手ぶらの鮎川だった。

「三期の鮎川です。こちらは國枝さん」

「・・・・・」

「國枝に、鮎川・・・二人とも若そうだな・・・そうか三期ということは、世代も俺達とは少し離れている訳だな」

三期の自己紹介と共に三島は現れたのが比較的若いことを受けて何やら驚いていた。

そして二組がそろったところで一期生のブレアがあいさつした。

「僕らは一期生。僕はブレア、こっちのデカいのは三島さん。よろしくね、二期生さん、三期生さん。

まあ、ほかにもメンバーがどこかに潜んでいるんだろうけど、それはお互いさまと言う事で。

うちも似たようなもんだし」

ブレアはそう言うといきなり両手をバッと上にあげた。

「?!」その場にいきなり緊張感が走る。

「心配するな、武器は無いという周りへのアピールだ。話し合う前に少し伝えたいことが有る、いいか?」

三島はそう言って両者へ目を配る。

ヤガミ、鮎川がそれぞれアイコンタクトを交わしてそれぞれお互い三島へ頷くことで承認した。

「助かる。時間がないので端的に伝える。

一つ、話し合いは申し出通りに2分30秒。一つ、内容は”アガツマ”に関することのみ。

一つ、話し合い終了後は1時間は休戦状態を取る。一つでも破れば即時戦闘開始、以上だ。どうだ?」

三島は自身の持つ棺を見ながら言った。

既に武器を一度取り出して再び収納したためカウンターが時計代わりに動き出し、残り2分20秒に迫っていた。

申し出にまずヤガミが答える。

「こっちは異論はない」

続いて鮎川が答える。

「同じく」

それを聞いて、ブレアは軽く頷いて早速本題へと突入した。

「それじゃあ早速始めよう。放送で言ったように僕はアガツマという人間を探している。

もういくつか情報を得ている人も思うが僕達は皆、親または血縁関係がかつて存在したグレース女子児童福祉施設の関係者だ。

アガツマは今回の件に大きく関わっている、アガツマは元ここの三期生の寮生。この件にも関わっているはずだ」

それを聞いたヤガミが疑問を投げつける。

「待ってくれ、それじゃあまるでアガツマはこの試験を企てた人間でありながらも子供や血縁者を渦中へ放り込んだような物言いだ」

「その通りだよ。何らかの事情で”血縁者”を参加させなければならない事情が出来たと僕は思っている」

その時、ずっと無言で盾を構えた國枝リンが口を開いた。

「で、メンバーの中にアガツマが見つかったとしたら一体、本人に何を聞きたいんだ?」

ブレアはその問いに。

「聞いてくれ、僕はイギリスで拉致られる直前に母親から聞かされていた”アガツマらしい”人間に出会った。

だがそれはそれは奇麗な少女の姿でね。だから聞きたい・・・君のお母さんはなぜ何年たっても”少女”なのかってね」

それを聞いて、全員が絶句した。

ブレアの思惑が皆よく掴めなかったである。

「俺の母親はここに隠された研究所で秘密裏に執り行われていた人体実験の研究員だったらしい。

だとしたらだ、そのブレアの言う少女は人体実験の一つなのかもしれん」

三島の話にヤガミは何かに気が付いた。

「じゃあ待ってくれ、この影我漢試験というのは・・・」

 

「そうさ、その研究の続きなんだよ」

 

 

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