我こそは十四番隊隊長(自称)   作:かなりゆっくりめ

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ウルキオラ・シファー
第四十刃。藍染惣右介に仕える破面。井上織姫との再戦を約束して以来、頻繁に現世を訪れるようになった。人間社会の文化や娯楽についても学習中。

井上織姫
空座第一高校一年生。盾舜六花を操る少女。ウルキオラを「ウルキちゃん」と呼び、友人として親しく接している。

黒崎一護
死神代行兼十番隊隊長代行。空座第一高校へ通いながら、現世の虚退治と護廷十三隊の業務を兼任している。

朽木ルキア
十三番隊所属の死神。一護とともに現世で生活している。恋愛に関しては世間知らずな一面がある。

有沢たつき
一護の幼馴染。暗黒魔闘術を修得しており、全国高校空手大会でも優勝した実力者。一護に対する好意を公言している。

グリムジョー・ジャガージャック
第六十刃。好戦的で粗暴な性格の破面。ウルキオラとは折り合いが悪い。

緋山染華
護廷十三隊十一番隊十席。五番隊隊長・緋山雷太の母。痛いこと、危険なこと、面倒なことが大嫌い。現在は瀞霊廷からの伝令任務で現世を訪れている。


楽しそうな第四十刃と泣きそうな伝令

「おい。ウルキオラ」

 

「何だ? グリムジョー」

 

またグリムジョーか。

 

黒腔を開く直前に呼び止められた。振り返ると、こちらを見ている。人の姿をじろじろ眺めて、何が気になる。

 

俺は今日も現世へ行く。織姫との勝負があるのだ。

藍染様への報告に関わる話なら聞くが、それ以外なら後にしてもらいたい。

 

「現世に行くのはいい。……だがよ、何だその格好は」

 

服だろう。

 

貴様は、服を知らんのか。……いや、知っているはずだ。こいつも着ている。

着てはいるが、選ぶということをした経験はなさそうだ。

 

少し教えてやれば済む。現世へ行くなら、覚えておいて損はない。

 

「そろそろ現世は秋だからな。冷えないように配慮しつつ、見た目も重視したコーディネートになっている。女から見ても良いセンスだと――」

 

「そんな事を言ってるんじゃねーよ!! 勝負やら任務やらはどうなったって言ってるんだ!!」

 

「今、途中だ。俺の邪魔をするな」

 

聞いてきたのは貴様だろうが。

 

自分から尋ねておいてこの男は…。織姫も妙なことを言うが、こちらの言葉に耳を傾けはする。いや、あまり聞いていない。勝手に次の店へ歩き出すこともあった。

 

……どちらも、もう少し落ち着いて話を聞くべきだ。

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

今日の勝負も、まだ聞いていなかった。

 

ゲームか。あの赤い甲羅を使うものなら、今度は勝つ。前回は機械の扱いを知らなかったのだ。あのような物を使うならば、最初に説明すべきだった。

 

それを指摘したら、織姫は笑っていた。

 

思い出すと面白くない。次に勝ったら、同じ顔をしてやればよいのか。

 

「けっ……そんなに楽しそうにしやがって………俺は勝手にやらせてもらうぜ」

 

……何だと。

 

俺が、楽しそうに見える?

 

グリムジョーは嘲っているようにも、不愉快そうにも見える。何を見て、そう思った。

 

俺は勝負に勝つつもりで出かけ、知らない勝負を覚えている。

負けるのは不愉快だ。あの女に、また笑われるのも面白くない。

 

それだけだ。

 

……織姫の顔を思い出す必要はない。今はこの男と話している。

 

黒腔へ向き直った。この話を続けていて遅れるのは御免だ。

 

「ああ、勝手にしろ。だが藍染様の言う通り、現地を無用に刺激するような真似はするなよ」

 

「へいへい」

 

出る直前に、袖口を見た。もう触る必要はない。織姫に聞かれたら、自分で選んだと答える。

 

どんな顔をするだろうか。

 

……その程度のことは、考えたところで構わんはずだ。

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

「貴様ら! 今日はこれにて暗黒の儀式を終わる!! また明日な!!」

 

「はーい!!」

 

今日は帰る。廊下へ出て、靴を履き替えて、家に帰る。たったそれだけだ。

こんなことに気合を入れるようになったのは、いつからだよ。

 

先生は教卓を下り、出席簿にプリントを挟んでいた。黒板には明日の持ち物も書いてある。いっそ本当に闇へ消えてくれりゃ、帰り支度も早いのに。

 

ルキアの鞄を見た。まだ教科書をしまっている。井上とたつきにも声をかけようとして、やめた。啓吾に気づかれる。

 

先に扉の辺りへ行っておくか。そこから呼べば――。

 

「織姫〜!! 彼氏、また校門の前で待ってるよ!!」

 

何でまたいるんだ、あいつ。

 

校門の外で腕を組んでいる。今日もよく待つな。

教室に入ってこなくなったことについては、感謝してやってもいい。

 

そのまま帰ってくれりゃ、もっとありがたいんだけどよ。

 

危ないから近づくなと妹たちに言ったら、嫉妬してると決めつけられた。

してねえよ。どうやって嫉妬するんだ。

 

……あ、目が合った。

 

こっちを見るな。井上ならここにいる。

連れて帰るつもりなら、勝手に連れて帰ってくれ。

ただし虚圏じゃなくて、ちゃんと井上の家へ送れよ。

 

「このこのー! 黒崎だけじゃなくて、あんな超絶イケメンまで捕まえて! この悪女めー!」

 

「ひどいよ〜。ウルキちゃんはそんなんじゃないよー。ただのお友達で………えと……一緒に体を動かすお友達?」

 

「え………?? 一緒に……体を……動かす……?」

 

「それって…………まさか…………セフレ!?」

 

おい。そりゃ、あいつと殴り合ったこともあるけどよ。

そういう意味で体を動かしたって言われてもな。

 

悪い、井上。今日は一人で頑張ってくれ。あいつとは友達なんだと言い張っときゃ、そのうち諦める。

 

「む…………? セフレとは何だ??」

 

「く……朽木さんッ!? いや………その、ねえ……!?」

 

「あー……。ルキアはそういうの、何にも知らないんだな。……ちょっと耳貸しな。ゴニョゴニョ……」

 

ルキアの顔が赤くなっていく。耳も赤い。鞄を持ったまま、こっちを見たり、たつきを見たりしている。

 

「な…………ば…………な……………ッ!!」

 

倒れやがった。

 

「きゃーっ! 朽木さんが倒れた!!」

 

死神だよな、お前。

 

何を教えた。今すぐ言え。いや、やっぱりここで言うな。啓吾たちが寄ってきてる。

 

「朽木さんって、本当に初心(うぶ)よねー! ……で、黒崎! アンタ、朽木さんとはどこまでいってるのよ!? っていうか、織姫とたつきと朽木さんで三股とかマジで許せないんだけど!!」

 

「うるせえええええッッ!! 誰が三股だ!!」

 

質問は後にしろ。出来れば、俺のいない所でしてくれ。

助けてやれよ、たつき。お前もこっち側だろ。

 

「そうだぜ?? アタシなんて……まだキスしかしてもらってないんだから……その……な?」

 

「ぎゃーーーッッッッ!!!! たつきが完全に女の顔してるーーーーッッッッ!!!!」

 

「アタシはずっと女だってのッッ!!」

 

こっち側じゃなかった。

 

「………、…はっ………。ここは……」

 

「あ、朽木さん気がついた! 誤魔化さないで教えてよ、黒崎とどこまでいってるのよー?」

 

「え? あ………先週、遊園地でデートをして………。接吻(せっぷん)を、してもらって……」

 

「うんうん……、それで……!?」

 

何で起きてすぐ答えるんだよ。

 

ルキアの意識は戻ったらしい。それはよかった。よかったけど、そこから先は言わなくていい。

 

遊園地でデートした。それで終わりでいいだろうが。

 

頼むぞ。頼むから、ここで俺の顔を見るな。俺が頷いたら、続きを話してもいいと思うだろ。頷かなくても話すんだろうけどよ。

 

「一護に強く抱きしめられると……、その……だ。このあたりが……じっとりと、濡れてくるのだ……」

 

……何を言ってるんだ、お前は。

 

教室中の空気が一瞬にして凍りついた。いや、凍りついたんじゃない。女子生徒たちの目が見開かれ、全員が息を呑む音が響いた。

 

霊圧の話か? 汗の話か? よりによってそんな表現を、なんでこの場で投下するんだ。

 

「ハイアウトーーーーッッッッ!!!! 抜け駆け禁止〜〜〜ッッ!!!! 処女を捧げるのは三人一緒以外絶対に認めない〜〜〜ッッ!!!!」

 

帰るぞ。残りの話は明日でいい。いや、明日もするな。今日のことは綺麗さっぱり忘れろ。あの先生を見習って、暗黒の何とかに葬っちまえ。

 

「一護テメエェェェッッ!!!! 初体験が3P確定とか、お前マジで死にてえのかあぁぁッッ!? ああんッッ!?」

 

後ろから、血涙を流さんばかりの形相で浅野が絶叫しながら突っ込んできた。

 

「いい加減にしろやあああああッッッッ!!!!」

 

先生。見てるよな。さっきから、ずっと見てるよな。教師なら、一言くらい注意してくれてもよくねえか。

 

先生は出席簿を抱え、実に楽しそうに笑っていた。

 

無理だ。絶対に無理だ。

 

頼んだら、俺のほうをどうせ明日の英語で使うつもりだろ。

 

三人の女に囲まれ、友人に呪われている時、貴様はどうするか。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

また黒崎一護の声だ。

 

女子たちの歓声も聞こえる。織姫の霊圧に異常はない。黒崎一護も、有沢たつきも、死神の女も、戦っている様子ではなかった。

 

では、何を騒いでいる。

 

学校とは、あの教師の話を聞くために来る所ではないのか。

話が終わったのなら帰ればいい。終業の時刻は過ぎている。

 

……遅い。

 

校門の前を、同じ女子生徒が何度も通る。道を塞いでいるのかと思って脇へ寄ると、首を振られた。

 

ならば、何の用だ。こちらを見るなり笑い、連れの肩を叩く。俺が顔を向けると、二人揃って目をそらす。

 

分からん。

 

織姫なら、平然と話しかけるのだろう。

先に相手の名前を聞くかどうかは怪しい。勝手に呼び方を決めるところを、何度か見た。

 

俺の名も、そのうち忘れるのではないか。

あの女に会ったら、もう一度訂正しておこう。

 

今日は何の勝負をする。

 

食べ物を持ってくるのか。新しいゲームか。

勝ち方は考えてある。

 

……先に笑うなよ、織姫。まだ何もしていない。そう言っても、あの女は笑うのだろうな。

 

負かしてやれば、今度は悔しがるだろうか。

 

グリムジョーの顔を思い出した。

 

楽しそう、か。

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

はいッ! 皆さん、お待たせしました! 緋山染華です!!

 

生きています! こんなに綺麗な顔で、無事に現世へ到着しております! 

更新が止まったからって、私を行方不明にしないでちょうだい!

 

……道には迷ったわよ。そこは否定しないわ。

 

だって似たような道ばかりなんだもの! 曲がった先にも家! その向こうにも家! 黒崎さんちだけ金色に塗っておいてくれればいいのに! 隊長代行のお宅でしょう!? それくらい許されるわよね!?

 

ああ、ほら! 見て! あそこ!

 

クロサキ医院!

 

着いたぁぁッ! 私、偉い! 途中で投げ出さなかった! 

今なら帰って、隊長の前で泣けるわ! よく頑張ったなって、頭を撫でてもらいたい!

 

……あの人、褒める時も手加減してくれなさそうね。やめておこう。首が縮んじゃう。

 

道を教えてくれたジャリたちには、ちゃんとお礼をしたわ。別れ際に、熱ぅいキッスを一つ!

 

ハッハッハ! 全員、口を開けて固まっていたわね! 私の唇を見つめちゃって! 欲張りさんたち!

 

一人なんか、後ろの電柱へぶつかっていたわ。前を向いて歩きなさいよ。美人を見送るにも足元への注意は必要なのよ?

 

最初に頭をつかんであげた子は、何度もお辞儀をしていたわねえ。

 

分かればいいの。私、素直な子は嫌いじゃないから。次に綺麗なお姉さんへ声をかける時には、余計な一言を慎むことね。

 

さて! お仕事、お仕事!

 

山本総隊長のお手紙を、黒崎君に渡す!

 

それで終わり! ほーら、簡単! 危険なことは何もしなくてよいって、お墨付きも頂いているのよ。痛い思いをするなんて、真っ平御免なんだから!

 

……隣のお家、随分大きいわね。

 

こっちへお邪魔してもいいのかしら。椅子も大きそう。お茶菓子もおいしそう。いえ、外から分かるわけじゃないけれど、期待する自由くらいあるでしょう?

 

お手紙を渡して、お茶を頂いて、少し休んで。

 

ついでに現世のお店ものぞいて……お仕事が済んでからよ? 何、その疑いの目は。今の私、立派に伝令のお役目を果たそうとしているでしょうが!

 

鞄を開けて、お手紙を確かめる。

 

はい、あります! 折り目も汚れもありません! 私の脚はこんなに疲れているのに、この封筒は綺麗なまんま! ちょっとは私の苦労を――。

 

「あれ!? 染華さーーん!!!」

 

ひっ。

 

……今のは誰にも聞こえていないわね?

 

井上織姫!

 

出たぁッ! 首をチョンパされて元に戻る女ぁッ!!

 

いや、そうよね、現世だもの、普通に生息しているわよね!!

お化けみたいに言っちゃ駄目よ、私。お化けはこっち! 死神なのは私!

 

……あの子、首はついているわね?

 

よし! 腕もある! 脚も二本! 今日は何も落ちていない!

 

そのまま! 織姫ちゃん、何もしないでちょうだい! 私の前で、ちょっと試してみようとか思わないでね!!

 

にっこり笑って、手を振り返すのよ。

 

ほら、ご覧なさい。こんなに穏やかな私。内心で悲鳴を上げているなんて、誰が思うかしら。

 

織姫ちゃんも嬉しそうに走ってくる。ああ、いい子ね。会えて嬉しいのね。私も嬉しいわ。ちゃんと全部つながっているあなたに会えて、本当に嬉しいわ。

 

……ん?

 

隣の人、誰?

 

黒崎君じゃないわね。

 

ちょっと。

 

ちょっと待って。

 

あらぁぁぁッ!? 何、この美男子!?

 

白い肌! 黒い髪! 目が合った! やだ、こっちを見ているわ! 

織姫ちゃん! あなた!

 

こういうお友達がいるなら、先に言いなさいよォッ!!

 

……あら? 黒崎君は?

 

あんなに黒崎君、黒崎君って言っていたでしょう? 今日は別の男子を連れているの?

やるじゃなぁい!

 

大人しそうなお顔をして、案外やるじゃなぁい! 私、そういうの嫌いじゃないわよ! 詳しくお聞きしたいわねえ。お茶でも飲みながら。出来れば、そちらの彼もご一緒に!

 

いけない。にやけそう。

 

初対面では、品よく。私には立派に働いている息子がいるのよ。……それは後で言いましょう。

 

織姫ちゃんに手を取られた。はいはい、お久しぶり。そんなに喜んでくれるなんて、可愛い子ねえ。

 

「染華さん、こっちに来ていたんですね〜! ――ウルキちゃん、この人は緋山染華さん。護廷十三隊の死神の、熟女さんなの!」

 

誰が熟女だコラァァァッ!!

 

ここで顔を崩したら負けよ! 怒鳴りつけるなんて、そんな大人気ないことは……いや、大人だと認めたら、そこにつけ込まれる!

 

織姫ちゃん、あなたね!

 

緋山染華さん。そこで終われたでしょう!? 死神さん。そこでも終われたでしょう!?

 

それ、お名前の後ろへ必ずつけなきゃいけないの!? 所属!? 階級!? 十一番隊十席熟女!? そんな席はないわよ!!

 

駄目。笑顔、笑顔。

 

この子に悪気はないの。ないからこそ、次も同じ紹介をするわね。帰る前に絶対に訂正させる。何なら今すぐ訂正――。

 

あ、彼が見ている。

 

はい、こんにちは。

 

ご紹介にあずかりました、緋山染華です。最後の一言は聞かなかったことにしてくださいませ。そう、そこ。熟女の所。記憶から綺麗に抜いて頂けると、私、とっても嬉しいです。

 

「そうか。……熟した女というのは、具体的にどういうものなのだ? 俺は第四十刃、ウルキオラ・シファーだ。よろしく頼む」

 

熟すなぁぁッ!!

 

人を果物みたいに――。

 

……ん?

 

第四?

 

十刃?

 

……十刃?

 

待って。

 

待って待って待って待って!!

 

十刃って言った!? いま、十刃って名乗ったわよね!? 報告にあった、あの十刃!?

 

やだぁぁぁぁッ!!

 

敵じゃないのォォッ!!

 

何よ、この顔! どうしてこんなに顔がいいのよ! 敵なら敵らしく、最初から牙を剥いて歩いてきなさいよ! そうしたら私、逃げ込んだわ!

 

ごめんください! 急患です! 私が!!

 

怖い! まだ斬られてもいないのに怖い! 斬られたら絶対に痛い! やだ、やだ、やだ!

 

よろしく頼むって、何を!?

 

こちらこそ、って言えばいいの!? その後は!? 名刺交換!? 敵と!?

 

織姫ちゃん!!

 

……何、そのにこにこしたお顔。

 

気づいていないの? この人、十刃よ?

 

知っているの?

 

知っていて連れて歩いているのッ!?

 

黒崎君を呼んで! 早く! この人のお名前を教えてあげて! もう知っているなら、何であなたを一緒に歩かせているのか、そっちを聞いてきてちょうだい!!

 

手! 織姫ちゃん、手を離して!

 

……離さないで!!

 

私をこの人の前へ一人で置いたら承知しないわよ! あなたの知り合いでしょう!? 

最後の最後で私に丸投げしないでよ!

 

ああ、やだ。まだこっちを見ている。

 

挨拶を待っているのね?

 

緋山染華です。

 

……声、出るかしら。

 

十一番隊十席――駄目ッ! 十一番隊は駄目ッ! 剣八隊長のお仲間だと思われたら、試しに斬りかかられるかもしれない!

 

私、お仲間ではあるけれど、あの人とは違うのよ! 痛いのが嫌いなの! 勝ちたいとか、強い奴と戦いたいとか、一切ありません!!

 

四番隊って言っておけばいい?

 

養生してくださいねって言って、医院へ押し込んじゃう?

 

あの中に黒崎君のお父様がいるでしょう。お願い、お父様。今だけ私のことも娘だと思って助けて。親戚が一人増えたと思って!

 

……何を考えているのよ、私。

 

落ち着いて。美人は慌てない。走らない。叫ばない。

 

全部やりたいッ!!

 

山本総隊長ぉぉッ!!

 

お話が違うじゃないですかぁッ!!

 

手紙を置いてくればいいって言ったでしょう!? 危ないことはしなくていいって! 私、ちゃんと聞いていたわよ! そこを確認してから出発したのよ!?

 

敵と仲良くご挨拶なんて、一言も聞いていません!!

 

このお手紙、今から書き足せないかしら!

 

『敵の幹部がお友達として現れた時には』

 

欲しいのは、そこッ! 今すぐそこを読みたいのッ!!

 

剣を抜け、とは書かないでね! それは嫌! 私がお願いしているのは、戦い方じゃなくて、無事にお茶を頂く方法なのよ!!

 

総隊長、電話!

 

今すぐ電話をかけてきて!

 

急用ですって顔で、この場を離れるから! 普段は長いお説教も、今日は全部聞いてあげる! はい、はい、おっしゃる通りですって、百回頷くわ!

 

……私、ちゃんと笑えている?

 

笑えているわね。

 

偉いわぁ、私!

 

こんなに怖いのに、まだ綺麗なお姉さんを続けているのよ!

 

帰ったら褒めてッ!!




■ 十刃(エスパーダ)

藍染惣右介の配下に置かれた、強大な破面たち。

護廷十三隊からも重大な脅威として認識されている。

なお、十刃の構成員すべてがグリムジョーやヤミーのように好戦的な性格とは限らない。

■ 緋山染華の斬魄刀『血狼』

染華が使用する斬魄刀。

その能力は強力だが、使用する染華自身は痛みや負傷を極端に嫌っている。

彼女が危険な相手との戦闘を避けようとするのは、単純に戦闘能力が不足しているためではない。

■ 現世への伝令任務

護廷十三隊本部から現世に滞在する隊長格へ、正式な意向を伝えるための任務。

現世側にはすでに多数の強力な戦力が存在するため、今回の伝令には戦闘への参加が求められていない。

染華が任務を引き受けたのも、そうした条件が提示されていたためである。

■ ウルキオラの現世滞在

ウルキオラは藍染から、護廷十三隊を過度に刺激しないよう命じられている。

一方、井上織姫との再戦については、彼自身の判断で行動している部分が大きい。

現在のウルキオラが現世で何を経験し、それをどのように藍染へ報告しているのかは、虚夜宮側からも十分に把握されているとは限らない。
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