我こそは十四番隊隊長(自称) 作:かなりゆっくりめ
空座高校1年・死神代行。登校早々、勘違い全開の啓吾たちに困惑し、織姫からは謎の「殺人空手」を喰らって鼻血を噴き出す受難の主人公。
浅野啓吾(あさの けいご)
空座高校1年。昨夜の10キロ重りランニングによる全身の筋肉痛を「大人の階段を登った証」と激しく誤解し、悦に浸る。
小島水色(こじま みずいろ)
空座高校1年。同じく重度の筋肉痛だが、シャオ先生の無自覚な言葉責め(?)に新たな扉を開きかける。
戸川梢綾(とがわ しゃおりー) / 砕蜂(ソイフォン)
空座高校体育教師「シャオ先生」。二番隊隊長。筋肉痛の男子生徒二人を気遣い「放課後は優しくしごく(15キロ走)」と宣告する純粋な鬼軍曹。
井上織姫(いのうえ おりひめ)
空座高校1年。昨夜古男から聞いた「死神」の真偽を確かめるべく、漫画で読んだエグい殺人空手をノーモーションで一護に叩き込む。
有沢たつき(ありさわ たつき)
空手部。織姫の暴走を止めようとするが間に合わず、一護の受難を哀れむ。
茶渡泰虎(チャド)
空座高校1年。昨夜の焼肉で英気を養い、平常運転で登校。
戸川古男(とがわ ふるお)
空座高校英語教師「GTT」。廊下の彼方で今夜の『ぶら霊』に向けたキング・ドアリバーの暗黒ポーズをキメている。
石田雨竜(いしだ うりゅう)
空座高校1年3組・滅却師。昨夜一護にプライドを粉々にされた悔しさから徹夜で弓の特訓を行い、父・竜弦に怒鳴られてメンタルと肉体の双方に特大の隈を刻んで登校する。
「おう!! おめーら昨日はシャオ先生とどうだったんだよ!?」
一護が教室へ入ると、啓吾は壁に手をついたまま低く笑い始めた。
「く………くくくくくく……」
水色は席から立とうともせず、窓の外へ顔を向けていた。
「ふふふふふふふ……!」
啓吾は笑うたびに腰を押さえ、水色は椅子から動こうとしない。
本人たちは余裕を見せているつもりだったが、事情を知らない一護には、朝から揃って壊れたようにしか見えなかった。
「……おい、どうしたお前ら? 朝っぱらから戸川先生の電波な笑い方の真似でもしてんのか?」
一護に引かれた啓吾は、痛む腰を庇いながら壁を離れた。
顔は歪んだが、見栄が先に声を出した。
「あーーーっはっはっは!! 羨ましかろう一護ォォッ!! 俺たちは昨晩、年上の麗しき女性と『大人の階段』を登らせてもらったんだよォォッッ!!!!」
「いや、まだ階段に足をかけたばかりで、登りきってはいないでしょ、啓吾」
「良いんだよ、気分は登頂済みなんだから!! 普段は凛々しい年上の美人お姉様に、誰にも言えない密室で優しくも厳しくくんずほぐれず……!! あだだだだッ!! い……いててててててっ!!?」
登頂済みの男は腰を押さえて床へ沈んだ。昨夜二人を待っていたのは大人の階段ではなく、梢綾による体力錬成である。
「……よくわからねえが、大怪我でもしたのか? 救急車呼ぶか?」
「き、筋肉痛…………全身の筋繊維がズタズタだ……」
「僕も同じ。箸を持つのも一苦労だよ」
救急車を呼ぶべきか決める前に、負傷原因が前の扉から入ってきた。
ジャージ姿の梢綾は、床を這う啓吾を見ても保健室へ運ぶ気配を見せなかった。
「おはよう。啓吾、水色」
「お、おはようございます!! シャオ先生!!」
啓吾は腰の痛みに耐え、声だけは昨日より鍛えられた成果を出した。
「おはようございます、先生」
水色も席に座ったまま挨拶を返した。昨日の訓練で鍛えられた成果は、今のところ返事にだけ表れていた。
「うむ、実に良い返事だ。昨日の負荷で、今日は全身がひどい筋肉痛だろうからな。……安心しろ、今日の放課後は『優しくしごいて』やろう」
「あ……し、しごくって……先生、そんな教室で大胆な……!」
「うむ。昨日ほど過酷にはせん。あまり快感に悶えるなよ?」
梢綾のいう「優しく」は、町内外周十五キロと体幹腕立て五百回を意味していた。
啓吾の想像する「優しく」とは、使っている辞書が違う。
「……幼児体型の人妻教師……うん、これはこれでかなりイケる……大いにアリだ……」
水色の検討結果を聞いた梢綾は、意味がわからず首を傾げた。
「?? ではな、放課後の体育館裏で待っているぞ」
梢綾が教室を出ていくと、啓吾は痛む腰を押さえたまま、その後ろ姿を見送った。
現実を知らないため、表情だけは幸福だった。
「……なあ、お前ら本当に大丈夫なのか……?」
一護の問いは、教室の前から響いた声に遮られた。
◇◇
「黒崎くん、おはようーーっ!!」
織姫に続いてチャドも教室へ入ってきた。
「おはよう、一護」
最後に入ってきたたつきも一護へ声をかける。
「おはようさん、一護!」
「おう! お前らはやけに元気だな……さすが焼肉奢ってもらっただけあるぜ」
織姫は挨拶を返さず、一護の顔を見て唸り始めた。
「うーーーーん……」
織姫の確認は観察で終わらず、一護の胸、肩、腰へと移った。
「お、おい井上!? 何してんだ、急にベタベタと……!」
「うーん、やっぱり黒いボロボロの布も着てないし、大きな死神の鎌も持ってないなぁって思って!」
「だから昨日アタシがそう言ってただろうが! ほら、一護がめちゃくちゃ困ってるぞ!」
たつきが首根っこを掴んで引き離すと、織姫の手が一護の腰から離れた。
「まあ困ってるっていうか………なんていうか、急に触られると反応に困るというか……」
一護が言い終える前に、織姫の膝が鳩尾へ入った。
「ぐほっっっ!!!??」
鳩尾を押さえて前のめりになった一護の鼻へ、織姫が人差し指と中指を伸ばす。
「えいっ!」
二本の指は左右の鼻の穴へ入り、一護の返事を別の音へ変えた。
「ふごっっっ!!???は…はにを??」
「ふぇ? 昨日読んだ少年マンガに載ってた『暗殺殺人空手』なんだけどね、本物の死神さんなら今の膝蹴りもかわして、ここから目をくり抜く技も防げるかなーって思って試してみたの!」
「……織姫…………お前、天然でとんでもねえムーブかますな……」
一護は鼻から指を抜き、流れた血を手で押さえた。
死神であることを証明できなかった代わりに、人間にも急所があることは証明された。
「と言うかそもそも!! 俺が死神だって話を誰から吹き込まれたんだよテメエらァァッ!!」
情報源は、教室から見える廊下の窓辺にいた。
古男は窓枠を演説台に選び、白衣をマントの代わりにしている。
「クックック……!! 我は光輝纏いし暗黒よりの正義の死神、キング・ドアリバーッッ!! 刮目せよ愚民どもよ!!」
一護の答えは、確認するまでもなかった。
「………………アレだよな」
「「「うん。アレだ」」」
意見は揃った。古男は正体を隠すための偽名を、校内で大声によって周知している。
「おいおい聞いたか!? 今夜の『ぶら霊』生放送で、キングドアリバーが終末の獣『四天王の2番目』を差し向けてくるらしいぜ!!」
腰を押さえていた啓吾まで、廊下の話題には素早く反応した。周囲の女子生徒も放送を必ず見ると騒ぎ始め、教室では今夜の敵についての予想が飛び交う。
「…………はあ……完全に特撮番組として定着してやがる……」
チャイムが鳴る直前、後ろの扉から石田雨竜が入ってきた。
昨夜「最後の滅却師」を名乗った時より、今朝の方が死者に近い。
「………………おはよう……………」
目の下には濃い隈があり、顔色も悪かった。
「ひ、い………石田君!!? どうしたの、その顔!!?」
「うわ……目の周りのクマ、ものすごいことになってんな……」
「いや………昨夜は一睡も……寝ていなくてね…………」
昨夜、一護から「弓の名前も知らない」「固定が甘い」「母親も滅却師」と続けて突きつけられた石田は、帰宅後、自宅の屋上で霊子の矢を撃ち続けた。
血反吐を吐いても訓練をやめなかったため、夜中には父親の竜弦が窓を開けた。
「うるさい、近所迷惑だ。夜中に光るゴミを飛ばすな」
滅却師の始祖に続き、父親の採点でも矢は不合格になった。
石田は一護の鼻に詰まったティッシュを見た。織姫の二本指によって出た鼻血は、徹夜明けの目には別の意味に映った。
「…………フン。黒崎は朝から女子二人に囲まれて鼻血かい? ……実に平和で結構なご身分だね」
「……代われるもんなら、今すぐ喜んでテメエと代わってやりてえよ……」
死神と滅却師の因縁は、筋肉痛と鼻血と寝不足を抱えたまま、一時間目へ持ち越された。
大人の階段(啓吾の勘違い)
10キロの重りをつけられて20キロ走らされただけの極限トレーニングを、人妻教師との妖しい夜の営み(秘密のレッスン)だと脳内で美化・変換した啓吾の哀しき妄想。
優しくしごく(シャオ先生基準)
隠密機動基準における「軽めのリカバリー走(15km)+体幹トレーニング」。一般人なら普通に死線が見えるメニューだが、本人は極限まで慈悲を与えているつもりである。
織姫の暗殺殺人空手
少年漫画の知識をそのまま実践した織姫の奇行。「死神ならかわせる」という謎の信頼のもと、鳩尾へのノーモーション膝蹴りから両鼻フック目潰しへの凶悪なコンボが一護に炸裂した。
石田の徹夜特訓と竜弦の説教
一護の始祖直伝ダメ出しにプライドを粉砕された石田雨竜が、意地になって朝まで霊子の固定特訓を行った結果。成果を上げる前に父親(石田竜弦)から「光るゴミ」と一蹴され、メンタルに致命傷を負った。
第1回一護ヒロインコンテスト!!この物語での一護のヒロインは??
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井上織姫
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朽木ルキア
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有沢たつき
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ネリエル
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その他