我こそは十四番隊隊長(自称)   作:かなりゆっくりめ

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戸川古男(とがわ ふるお)
空座高校英語教師「GTT」。自称「護廷十三隊十四番隊隊長」。義骸を脱ぎ捨てて死神の姿となり、ジャンプ漫画の概念(気・チャクラ・小宇宙など)を用いて織姫・たつき・チャドに霊力の真髄を叩き込む。

井上織姫(いのうえ おりひめ)
空座高校1年。古男の指導により、兄の形見であるヘアピンを媒介とした固有能力(盾舜六花)の覚醒へ向かう。

有沢たつき(ありさわ たつき)
空手部。古男の突拍子もない厨二病ギャグに鋭くツッコミを入れつつ、持ち前の勘の良さで霊力の感覚を掴む。

茶渡泰虎(チャド)
空座高校1年。古男の「キングクリムゾン」ボケを淡々と受け流し、自らの霊的媒介が「己の頑強な右腕」であることを告げられる。

戸川梢綾(とがわ しゃおりー) / 砕蜂(ソイフォン)
空座高校体育教師「シャオ先生」。二番隊隊長。筋肉痛に苦しむ啓吾と水色の体をリカバリーするため、隠密機動秘伝の超密着・全身関節柔軟術(拷問マッサージ)を施す。

浅野啓吾(あさの けいご)
空座高校1年。人妻教師の密着マッサージに悶絶するが、人間の可動域を無視したタコのようなストレッチに骨が軋み絶叫する。

小島水色(こじま みずいろ)
空座高校1年。胸が当たる役得と全身の筋を極限まで引きちぎられる激痛の狭間で、悦びと悲鳴の絶叫を上げる。


時の跳躍と隠密マッサージ

「良いか愚民どもよ!! 刮目せよ、我が魂の真の姿を!!」

 

夕日に染まる河川敷で、古男は体操着姿の織姫、たつき、チャドを前に白衣を脱ぎ捨てた。続いて古男自身が義骸からスポーンと抜け、残された身体が白衣の隣へ倒れる。服を脱ぐとは聞いていた三人も、中身まで脱げるとは聞いていない。

 

義骸から出た古男は、黒い死覇装に白の長羽織をまとっていた。

 

「この姿こそ!! 瀞霊廷が誇る護廷十三隊の頂点にして深淵……『十四番隊隊長』の真の姿であるッッ!!」

 

死神の存在を昨日知ったばかりのたつきにも、十三の頂点が十四番目にあるのは計算が合わないとわかった。

 

「……十三隊なのに、なんで十四番隊なんだよ?」

 

古男が用意していた講義は、たつきの質問でようやく始められる。

 

「クックック……!! よくぞ聞いてくれた、たつきよ!! 実はかつて、尸魂界の歴史の闇へと葬られた太古の盟約が――」

 

そこから三千年に及ぶ尸魂界の裏歴史が始まった。古男は三千年分を早口で語り切ったが、三人は途中で質問も挟まず、最後まで聞き終えた。

 

「「「そうなんだ」」」

 

返ってきたのは、それだけだった。

 

いつもなら電波教師と罵られ、うさん臭いと疑われる。ところが、織姫たちは疑いもせず受け入れた。すんなり信じられた……? 

信じてもらうために話した古男は、信じられたことで居場所を失った。なんだ、この居心地の悪い違和感は。

 

古男は咳払いし、威厳を立て直した。相手が信じるだけで崩れる威厳には、かなり丁寧な補修が必要だった。

 

「……え、ええい! まずはお前たちの内に眠る霊力を底上げしつつ、固有能力の完全なる発現を目指すぞ!!」

 

「「「はい!!」」」

 

三人の返事に満足した古男は、両手を天へ突き上げた。まだ何も教えていないが、教師の側には修行を終わらせる用意ができていた。

 

「はああああーーっ!! 『キング・クリムゾン』ッッッ!!!!」

 

夕日が差し、川の水が流れ、四人の立ち位置も変わらない。チャドは何が起きたのかを考えた末、最も短い質問を選んだ。

 

「……何を?」

 

「クックック………修行編をダラダラと描くなど退屈なだけであろう!! よって、修行の過程はすべて消し去り、『時は飛ばされた』のだッッ!!」

 

「……はあ」

 

説明を受けても、チャドが確認できる変化はなかった。古男だけが飛ばされた時間の内容を知っているらしい。

 

「……まあ、まずは基本概念の霊力だがな。要するにだ……『オーラ』だ! 『気』だ!! 『チャクラ』だ!!! そんなノリで己の腹の底から湧き上がる熱をイメージしてみろ!! いや〜、現代っ子はジャンプ漫画のおかげでイメージの共有がしやすくて実に助かるな!! 『小宇宙(コスモ)』を燃やす感じでも構わんぞ!!」

 

修行の過程を消した男は、修行の最初から説明を始めた。時は飛ばされても授業は残っている。

 

「……結局、地道に口で説明すんのかよ!」

 

たつきの指摘には答えず、古男は指先で霊圧を弾いた。青白い火花が三つに分かれ、織姫たちの身体へ入り込む。

 

「――感覚をくれてやる。受け取れ」

 

三人が受け止められる濃さまで落とされた霊圧が、それぞれの魂へ触れた。

腹の底から温かいものが押し上がり、皮膚の上へ青白い霊気となって現れる。

ジャンプ漫画で養われた共通知識は、霊術院の教本より話が早かった。

 

「わぁ……! なんか、体がポカポカして、指先から光が見える……!」

 

織姫の手を包む光が、指の動きに合わせて揺れた。たつきも拳を握り、身体の中心を通る力を確かめる。

 

「すげえ……! 体の中心に、もう一つ別の筋肉が通ったみたいな感覚だ……!」

 

チャドは全身に広がった霊気を右腕へ集めた。散っていた光が肩から拳へ移り、右腕の輪郭に沿って留まった。

 

「……なるほど。これが『霊力』か」

 

「ふむ……飲み込みが早いな。優秀、優秀」

 

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

古男が生徒三人へ合格を出した頃、空座高校の体育館裏では、別の指導者が二人の男子生徒を採点していた。

 

「のおおおおおおおおおっっ!!??」

 

「いやあああああああああっっ!!??」

 

倉庫の外まで届いた声は、訓練より尋問に近かった。タイトな黒の隠密装束をまとった梢綾は啓吾の背中に乗り、両手両足を背中側へ引き上げている。

本人はストレッチのつもりだが、関節技との違いは受けている側にもわからない。

 

「なんだ、その情けない叫び声は! 昨日の筋肉痛を労ってやると言ったであろう! 絶世の美女が、全身全霊で身体で奉仕してやっているのだ。もっと歓喜の声を上げろ!!」

 

啓吾の顔を涙と鼻水が流れた。歓喜の声を求められた結果、出てきたのは関節の耐久報告だった。

 

「ぐうううううっ!! その露出度高すぎるエロい格好と密着感は最高ですッッ!! だけど人間は!! 生身の人間の関節はこんなタコみたいに柔らかく曲がりませんんんんっっ!!!! 骨が折れるゥゥッ!!」

 

梢綾は啓吾を解放し、隣で倒れていた水色を引き寄せた。

太腿で首を固定され、腕を限界まで引かれた水色は、痛みから逃げる方向をすべて塞がれた。

 

「あぐっ……! せ、先生の……先生の胸とお腹がめちゃくちゃ全身に当たってる……! 男としてめちゃくちゃ嬉しいような……!! でもそれ以上に筋が千切れて痛いいいいいいいっっっ!!!!」

 

「フッ……筋肉の乳酸を散らすには、この程度の圧迫は当然だ。ほら、次は股関節の二百度開脚だぞ!!」

 

水色の感想は採点対象に含まれず、労るという言葉も意味を失った。

二人の脚が左右へ広げられていく。隠密機動では、悲鳴が大きいほど筋肉がほぐれていると判断されるらしい。

 

「「ぎゃああああああああっっっ!!!!」」

 

二人分の魂の叫びは、河川敷にいる古男の耳まで届いていた。

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

「……向こうも良い声で鳴いておるな。さて、我が愛弟子たちよ」

 

古男は織姫の髪に留められた六花型のヘアピンを見た。霊気は六枚の花弁へ集まっている。

 

「よし……どうやら織姫、お前はその頭の『ヘアピン』を魂の媒介にできそうだな。……試してみるか。腹の底の霊力をそのピンに集中し、お前自身の『心』と『魂』を込めてみろ」

 

織姫はヘアピンへ指を添え、古男の言葉に従って霊力を集めた。

 

「……はい、先生!」

 

チャドは右腕に集まった霊気を見た。織姫には媒介があるが、自分の身体にはそれらしい物が見当たらない。

 

「……俺は……? 俺は何を媒介にすればいい?」

 

答えは、チャドがすでに霊力を集めている場所にあった。

 

「クックック……お前は小細工など要らん。――その自慢の『右腕』そのものが、お前の最強の武器だ」

 

修行の過程を飛ばしたはずの古男は、ここからようやく一人ずつの入口を教え始めた。『キング・クリムゾン』の効果時間は、説明一回分にも満たなかった。




キング・クリムゾン(時の跳躍)
某有名漫画のスタンド能力をオマージュした古男のギャグ。「修行編は退屈」というメタ視点から時間を飛ばそうとしたが、チャドに淡々とスルーされ、結局地道に説明することになった。

ジャンプ漫画式霊力イメージ法
オーラ(HUNTER×HUNTER)、気(ドラゴンボール)、チャクラ(NARUTO)、小宇宙(聖闘士星矢)など、現世の少年漫画のエネルギー概念を引用して霊力の感覚を教える古男独自の指導法。現代っ子の3人には抜群に伝わりやすかった。

隠密機動秘伝のリカバリー整体
砕蜂が良かれと思って啓吾と水色に施した筋肉疲労回復術。関節技と筋膜リリースを組み合わせた暗殺術の裏返しのような施術であり、施術者の肉体が密着する役得はあるものの、一般人の可動域を完全に無視しているため受ける側にとっては完全な拷問となる。

魂の媒介(ヘアピンと右腕)
完現術(フルブリング)および固有能力の発現に必要な「誇りや愛着を持つアイテム」。織姫にとっては兄の形見であるヘアピン、チャドにとっては祖父の教えを宿した己の右腕がそのトリガーとなる。

第1回一護ヒロインコンテスト!!この物語での一護のヒロインは??

  • 井上織姫
  • 朽木ルキア
  • 有沢たつき
  • ネリエル
  • その他
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