我こそは十四番隊隊長(自称)   作:かなりゆっくりめ

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戸川古男(とがわ ふるお)
空座高校英語教師「GTT」。自称「十四番隊隊長」。たつきに媒介の才能がないと見抜くや否や「ピーチ姫になれ」と煽るが、潜在霊力の高さを活かした霊圧圧縮打撃術「暗黒魔闘術」を伝授。面攻撃対策として「ブロリーになれ」と豪快に放り投げる。

有沢たつき(ありさわ たつき)
空手部所属。道具に頼らない生身の格闘術と霊圧操作を組み合わせた「暗黒魔闘術」の伝承者(魔王)として鍛えられることに。

井上織姫(いのうえ おりひめ)
空座高校1年。無邪気な質問で古男の理論の穴を突き、『HUNTER×HUNTER』や『ドラゴンボール』の例えを引き出す。

茶渡泰虎(チャド)
空座高校1年。古男のジャンプ漫画講義を静かに聞き届ける。

戸川梢綾(とがわ しゃおりー) / 砕蜂(ソイフォン)
空座高校体育教師「シャオ先生」。二番隊隊長。なぜかビキニ水着姿で男子生徒に肩車スクワットを課す。本人は純粋な下半身強化のつもり。

小島水色(こじま みずいろ)
空座高校1年。ビキニ姿のシャオ先生を肩車し、太ももの感触と汗の匂いに理性を焼き切られ、常人なら不可能な限界突破スクワットを叩き出す。

浅野啓吾(あさの けいご)
空座高校1年。水色の極上ポジションに嫉妬し、砂浜で発狂しながら順番を待ち侘びる。


魔王の拳と欲望のスクワット

「なあ先生。アタシは?? アタシは何を媒介にすりゃいいんだ?」

 

織姫にはヘアピンがあり、チャドには右腕がある。残されたたつきは、古男の前へ出て自分の番を要求した。

 

「…………ふむ………」

 

古男が調べたのは、身体から立ち上る霊圧だ。愛着のある物へ魂を注ぐような、完現術に近い繊細さは見当たらない。

代わりに霊圧の伸びと爆発力は三人の中で頭一つ抜けており、魂の底には化け物と呼ぶほかない量の力が眠っていた。

 

繊細さがないなら、繊細さを必要としない方法を教えればよい。古男は正しい結論へ辿り着いた後、伝え方だけを故意に間違えた。

 

「――たつき!! 貴様には媒介を操るような小器用な才能は一切ない!! よって、霊力を全開にして虚に襲われ、一護に助け出される『ピーチ姫』ポジションとして生きていくがよい――ぐおっ!!」

 

たつきの正拳が鼻先を通り過ぎ、古男の背後で大気が破裂した。

首を傾けるのが拳より遅ければ、修行は鼻血から始まるところだった。

 

「バカにしてやがんのかアンタはァァッ!!? 一護の隣に立つかどうかって、さっき言ったのはテメエだろうがよッッ!!」

 

「ふははははは!! 良い突きだ!! その鋭さ、今のお前ならステゴロでルキアに勝てるかもしれんぞ!!」

 

「ルキアに勝ってどうすんだよ!」

 

最初の提案は拳で否決されたため、古男は用意していた代案へ話を移した。

 

「……………そうだ!! 媒介など持たぬ貴様には、我が直伝の『究極の闘法』を教えてやろう!! それさえ極めれば、貴様が現世最強よ!!」

 

「究極の闘法…………???」

 

たつきが聞き返した時点で、古男の中では技の説明より名乗りの方が重要になっていた。内容だけなら普通に説明できるが、古男がその方法を選ぶことはない。

 

「その名も――『暗黒魔闘術(あんこくまとうじゅつ)』ッッ!! 太古の魔王が神々を屠るために創り出せし、漆黒の破壊拳よッッッ!!!!」

 

古男の名乗りが向こう岸まで届いて消えた後、返ってきたのは川のせせらぎだけだった。

 

「……帰る」

 

暗黒魔闘術は、技を見せる前に最初の継承者を失いかけた。

 

「待て待て、早まるでない!!」

 

古男は右拳を握り、力を抜いたまま地面へ振り下ろした。

拳が触れるコンマ一秒前、内部に圧縮されていた霊圧が地面へ叩き込まれる。

 

河川敷が爆ぜた。土と石が噴き上がり、古男を中心に直径十メートルの地面が陥没する。織姫とチャドは降ってくる土から顔を守り、帰りかけていたたつきの足もクレーターの縁で止まった。名前への不信は残ったが、威力には反論できない。

 

「……この技術を授けると言っているのだ。この術は、鬼道を身にまとって炸裂させる隠密機動の『瞬閧(しゅんこう)』とは根本から別物だ。自らの霊圧を超圧縮し、敵と接触する瞬間に解放する『外部破壊』……逆に、攻撃を受ける瞬間に霊圧を一点集中させて弾く『局所防御』。この二つを基本にして奥義とする、生身の極致よ」

 

たつきはクレーターへ落ちた石が底まで転がるのを見届けた。今度は拳を振るうためではなく、教わるために握り直す。

 

「………………分かったよ。それ、アタシに教えろ」

 

「クックック!! ここに、空座町を統べる新たな『魔王』の誕生だァァッ!!」

 

たつきのローキックが古男の脛を打った。技の継承には同意したが、称号まで受け取った覚えはない。

 

「魔王は余計だってんだよ!!」

 

織姫が二人の間へ手を挙げた。暗黒魔闘術の説明には、確認しておくべき穴があった。

 

「先生! 先生!!」

 

「なんだ織姫?」

 

「でもでも、もしアニメのビームとか衝撃波みたいに、避けられない『全体攻撃(面攻撃)』をドカーンと撃たれたら、一点の局所防御じゃ防げなくないですか!?」

 

古男が用意していた暗黒魔闘術の講義に、面攻撃への回答は記載されていなかった。

沈黙の後、答えは別の漫画から提出された。

 

「…………………あ、あれだ!! 『堅(ケン)』だッッ!! 『HUNTER×HUNTER』の!! 霊圧を体全体に均等にまとわせてガードするアレだ!!」

 

「……さっき一点に集中させろって言った直後に、全身に分散させろって矛盾してねえか……??」

 

局所防御と全身防御を使い分けろ、と言えば済む話だった。古男は理論を整える代わりに、出力ですべてを解決する道を選んだ。

 

「だからまあ要するにだ…………たつきは霊圧の絶対量を死ぬほど鍛えろッッ!! 『ブロリー』みたいに霊圧が溢れて勝手に吹き飛ぶレベルになれば全て解決するッッッ!!!!」

 

「結局最後は筋肉とパワー頼みかよォォッ!!」

 

神々を屠るための究極の闘法は、最終的に力を増やせという結論へ到達した。太古の魔王も、細かい理屈で困った時は同じ方法を選んだのかもしれない。

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

同じ頃、とある砂浜では、物語上の必要性を誰も確認しないまま水着回が始まっていた。

 

砕蜂が選んだ黒と金のハイレグビキニは、隠密機動の思想に従って可動域を妨げる布を極限まで排除している。

機能性を追求した結果として鍛え抜かれた身体の大半が外気へ晒されているが、本人は訓練に適した装備としか考えていなかった。

訓練を受ける側が同じ認識だったかは、別の問題である。

 

水色は、その砕蜂を肩車したまま砂浜でスクワットを続けていた。足場は踏むたびに崩れ、両肩へ掛かる重さも上下するたびに位置を変える。首の両側を挟む内腿は身体を安定させるための固定具であり、肌から伝わる熱も汗も運動によって生じた生理現象にすぎない。

 

砕蜂の側では、そういうことになっていた。

 

「ほら、足腰の粘りが落ちているぞ!! あと三百回だ!!」

 

水色が腰を落とすと、肩の上で砕蜂の重心も沈んだ。首筋へ押し当てられた内腿が離れ、立ち上がれば再び挟み込まれる。呼吸に合わせて落ちてきた汗が鎖骨へ流れ、支えている脚から伝わる熱が、疲労で鈍った感覚を勝手に呼び戻していく。

 

三百回という宣告は、普通なら絶望を呼ぶ。

水色の身体では、別の種類の期待へ変換されていた。

 

「は………はいッッ!! 先生、あと五百回でも……千回でもいけますッッ!!」

 

「い………いや……? 私はあと三百回と言ったのだが……? 無理をするなと言っているのだぞ?」

 

砕蜂は本気で水色の身体を案じていた。

 

困惑した声が頭上から降ると、水色は砕蜂の脚を支える手へ力を込め直した。姿勢を安定させるための接触であり、必要な措置である。

そう説明すれば嘘にはならない。

本人が必要以上に丁寧に支えている事実まで説明しなければ、なお都合がよいのだ。

 

「やります!! まだまだ僕の大腿四頭筋は死んでいませんッッ!!」

 

「おお…………。現世の軟弱者かと思っていたが、見上げた根性ではないか……!」

 

砕蜂は純粋に褒めた。

 

鍛錬を認められた喜びと、肩へ伝わる体温と、疲労によって放出された脳内物質が区別不能のまま混ざり合い、水色の判断力から限界という項目を削除した。

 

両脚は震えているのに、腰を落とす速度だけは先ほどより上がっている。肉体は休息を求め、欲望は回数の追加を申請していた。採用されたのは後者である。

 

砂浜に正座させられていた啓吾は、その光景を黙って見ていられるほど人間ができていなかった。

友情によって応援すべき場面だが、啓吾の友情は砕蜂の太腿を挟んだ時点で業務を停止していた。

 

「ぬおおおおおおおおっっ!! 水色テメエエエエッッ!! 限界なら今すぐ俺と代われぇぇぇぇッッ!! 俺が肩車する!! シャオ先生!! 次は俺の肩に乗ってくださいぃぃぃぃっっ!!!!」

 

「黙れ啓吾。貴様は先ほど百回で潰れただろう。インターバルが終わるまで砂の上で休んでいろ」

 

「理不尽だァァァッッ!! 目の前に天国があるのに手が届かないィィィッッ!!!!」

 

啓吾は砂を掻き毟ったが、天国へ入るには大腿四頭筋が足りなかった。

 

その絶叫も、水色の意識には届かない。

 

首を左右から挟む肌の熱、鎖骨へ落ちる汗、肩の横で上下する足先、呼吸のたびに頭上から届く匂いが、知覚の優先順位を独占している。

 

下半身を焼く疲労は消えていないが、苦痛として処理する機能が働いていなかった。

 

砕蜂を支える手が緩めば訓練は終わる。だから握る。

脚が止まれば交代させられる。だから立ち上がる。

 

この重みと熱が肩から離れないのなら、一万回でも続けられる。




暗黒魔闘術(あんこくまとうじゅつ)
古男がたつきに授けた素手格闘術。厨二病全開の名称だが、中身は「霊圧の超圧縮による外部破壊打撃」と「被弾の瞬間に霊圧を一点集中させる局所防御」を極めた極めて実戦的かつ高度な体術。

ブロリー理論(霊圧解決法)
面攻撃や搦手に対して古男が提示した雑な解決策。「技の相性や防御の隙など、圧倒的な霊圧総量(ブロリー化)で吹き飛ばせば全て無効化できる」という、ある意味でBLEACH世界の霊圧絶対主義を体現した真理。

ビキニ肩車スクワット
砕蜂が考案した下半身強化メニュー。不安定な砂浜で自重+大人の体重を支える過酷な訓練だが、露出度の高い水着姿の女性教師を肩車するというシチュエーションにより、男子高校生(特に水色)の潜在能力を異常な形で覚醒させた。

水色の覚醒(フェチズムの勝利)
太ももの感触、汗の香り、綺麗な足指という人妻教師の役得要素により、脳内麻薬を過剰分泌させて肉体の限界(乳酸)を完全に無効化した水色の異常現象。
隠密機動の訓練を欲望だけで乗り越える新境地に達した。

第1回一護ヒロインコンテスト!!この物語での一護のヒロインは??

  • 井上織姫
  • 朽木ルキア
  • 有沢たつき
  • ネリエル
  • その他
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