我こそは十四番隊隊長(自称)   作:かなりゆっくりめ

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黒崎一護(くろさき いちご)
死神代行でありながら、内なる始祖のスパルタ教育により滅却師(クインシー)の絶技まで極めつつあるチート主人公。石田の撒き餌の暴挙に呆れつつ、空から無数の矢の雨「クラヴィーア」を降らせてドヤ顔で滅却師としての勝負を受ける。

石田雨竜(いしだ うりゅう)
「最後の滅却師」。一護に死神と滅却師の格付け勝負を挑み、虚の撒き餌を砕く。しかし一護が自分より遥かに高度な滅却師の技を連発するため、「このチートめ!」と血涙を流して憤慨する。

オッサン(ユーハバッハの姿をした滅却師の力)
一護の精神世界に座す存在。現実世界で自分の名を口にしようとした一護に対し、「名を持たざる者」として制限がかかっていることを静かに告げる。

戸川古男(とがわ ふるお)
空座高校英語教師。騒動を遠くのビルの上から高見の見物。虚が街に溢れ出したことで、直弟子たちに初陣を命じる。

有沢たつき(ありさわ たつき)
暗黒魔闘術を叩き込まれた空手少女。一護の圧倒的な力に感心しつつ、虚退治への気合を入れる。

井上織姫(いのうえ おりひめ)
固有能力(盾舜六花)に目覚めつつある少女。一護の飛廉脚による超音速移動を無邪気に喜ぶ。

茶渡泰虎(チャド)
右腕に霊力を宿した巨漢。静かに闘志を燃やす。


撒き餌の狂宴と名乗れぬ始祖

「……で、どうやって勝負するんだよ」

 

路地へ降りた一護の前で、石田は掌を開いた。乗っていたのはカプセルのようなもので、表面に刻まれた溝から虚の臭いが漏れている。

 

「これを使う。――『虚の撒き餌』だ。これを砕いて撒けば、現世に無数の虚が集まってくる。二十四時間以内に、どちらがより多くの虚を倒せるか? シンプルな殲滅戦だ」

 

参加者は二名、審判は不在、観客には空座町の全住民が本人の了承なく登録された。

石田の企画書が存在したなら、勝敗条件の下にあるはずの安全対策欄は白紙である。

 

「ふざけるなよ!! 俺たちの個人的な勝負のために、この町中を危険にさらす気かよ!! 何様だてめえ!!」

 

一護の霊圧が塀を震わせ、積まれていた空き缶がまとめて倒れた。

 

「うるさいな。正義の味方気取りの御託がうるさい。……町が危険になる前に、僕がすべて倒せば良いだけの話だ」

 

「てめえ…………ッ!」

 

一護が石田との間を詰めるより早く、カプセルが指の中で割れた。

 

砕けた撒き餌は粉となって路地から舞い上がり、風にさらわれていく。

掴もうとした掌を抜け、屋根を越え、駅と商店街と住宅地へ散った。

 

最初の裂け目が上空に開き、続いて住宅街、河川敷、駅前の空まで黒く割れた。

仮面を押し出した虚が牙を鳴らし、別の穴から伸びた腕が建物の屋根を掴む。

駅前では六本脚の虚が信号機へ降り、河川敷には腹だけが膨れた巨体が這い出した。

霊感のない人々は姿を認識できず、頭上から降る唾液を夕立の名残だと思って足を速めている。

 

商店街のアーケードが見えない爪で裂かれ、駐車中の軽自動車が横へ滑った。ここまで来れば、勝負か災害かを採決する必要はなかった。災害の方が既に町内へ入っている。

 

「……チッ!!」

 

一護の足元に青白い霊子が集まり、路地の舗装を踏んだ音とともに身体を上へ運んだ。

屋根の高さを越えても止まらず、二度目の踏み込みが空中に光の輪を残す。

三度目には、死覇装が虚の群れより高い位置へ出ていた。靴底へ集めた霊子が足場となり、夕風の中で身体を支えている。

 

「随分余裕だね。自分では手を出さず、空から高みの見物かい? 死神代行殿」

 

石田の声が地上から届く間に、一護の左手で神聖弓が形を得た。

弦を引く腕へ霊子が集まり、一本だった光の矢が弓の内側で枝分かれを始める。

町へ散った虚の霊圧が一護の感覚へ位置を返し、一本ごとに別の標的を結びつけていた。

 

「…………『クラヴィーア』」

 

弦が放たれると、矢が扇状に広がり、空座町の上へ光を敷いた。

方向も速度も揃っていない。各々が別の虚を選び、屋根や電線を避けながら軌道を変える。

駅前へ向かった十二本は看板の両側から回り込み、河川敷へ落ちた七本は橋の下をくぐって上昇し、住宅街へ散った矢は瓦を掠めず仮面だけを射抜いていった。

 

「「「ギャアアアアアアッッッ!!??」」」

 

爆発が上空を横切り、黒い巨体が霊子へ崩れていく。

信号機へ降りていた六本脚は矢に引かれて上空へ持ち上がり、通行人へ触れる前に消えた。

商店街を裂いた腕も屋根の上で崩れ、残された爪痕だけが修理費を現世へ置いていく。

奏でたのは、三十六体分の断末魔だった。

 

一護は弓を下ろし、地上の石田へ声を落とした。

 

「まずは………三十六体。……決めたぜ、石田。この勝負――『滅却師』として受けてやる」

 

「な、何だと……!? 今の広範囲精密射撃……それに空中に立つその足捌き……!!」

 

石田の脳内では、射程、矢数、誘導精度、飛廉脚の完成度が順番に採点され、その全項目が採点者の自尊心を殴っていた。

自分の始めた試験なのに、最初の答案から知らない公式が使われている。

 

「お前には、残り二つ――死神の力と虚の力は使うまでもねえよ」

 

斬月の布を肩へ掛け直した。滅却師の優劣を決めるため、死神姿の男が滅却師の弓だけで参加する。石田が望んだ種族対抗戦は、開始から部門分けに失敗していた。

 

「……誰に習った!!」

 

「あ?」

 

「僕の家以外の滅却師は全員死んだはずだ!! 独学で身につくような次元じゃない! その技術を、一体誰に習ったんだ黒崎ッッ!!」

 

「ああ、なんだそんなことか。教えてくれたのは、俺の精神世界にいるオッサンだよ。名前はたしか、■■■■■■…………あれ?」

 

先で、一護の声だけが消えた。口は名を形作り、喉も動いている。

音だけが現実へ出てこなかった。沈黙ではない。そこへ収まるはずの名だけが、音の並びから抜き取られていた。

 

一護は自分の喉へ手を当て、舌の位置を確かめてから同じ名を呼び直した。

 

「え……? なんだ今? 口が動いたのに音が出ねえぞ? おい、オッサン、■■■■■■!」

 

二度目も名だけが欠けた。

 

『……どうやら、まだ無理のようだな。私の名を縛る「呪い」は、そう容易くは解けぬ』

 

「なんだそれ? 地下室じゃ普通に言えるのに、なんで外じゃ発音できねえんだ??」

 

会話の相手が見えない石田には、一護が質問を拒み、存在しない誰かへ言い訳しているようにしか聞こえなかった。

 

「……教える気はない………か。僕を舐めやがって!! このチート野郎め……!!!」

 

「あー、チートチートうるせえな。悪いが俺は先の群れを追うぜ。モタモタしてると町が壊されるからな」

 

一護の足が空中の霊子を踏み抜き、青白い線が斜め上へ走った。線の先へ黒い姿が移り、続いて弾けた光は三棟先のビルより高い。

石田が追う方向を定めた頃には、飛廉脚の軌跡だけが夕空の彼方まで続いていた。

 

「…………負けるか!! 最後の滅却師の誇りにかけて、あんなポッと出のチート野郎になんか絶対に負けないぞォォォッッ!!!!」

 

石田も光の弓を作って路地を蹴った。最後の滅却師が、滅却師歴一週間の死神を追いかけるのだ。

誇りを守る道のりは、本人が想定していたより上り坂になっていた。

 

路地を出たところで、電柱へ爪を掛けた虚が石田へ顔を向けた。放たれた矢は開いた口から後頭部を抜き、体を霊子へ変える。

 

石田の戦果は一体となったが、喜ぶ時間は与えられない。進行方向の上空で青い爆発が続き、一護の数字が先に増えていく。開幕から三十五体の借金を背負っていたのだから。

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

「……一護…………。あいつ、本当に弓まで使いこなした」

 

双眼鏡を向けていたチャドには、最後の矢が消えるところまで見えていた。

隣では織姫が柵へ身体を寄せ、夕空に残った青い軌跡を追っている。

 

「黒崎くん、すごいね〜〜っ!! 空中をビューン!って飛んでいっちゃったよ!」

 

「まあ、お披露目としては悪くないわな。ド派手でいいじゃん」

 

「クックック………あまり悠長なことを言うなよ、愛弟子たち。アレは一護とあのメガネの勝負の範疇を超え、町の危機に発展しておる」

 

三人の背後には、羽織を夜風へ広げた古男がいた。浦原へ連絡する様子も、自分で虚を消しに行く気配もない。

その手が虚の群れを示したことで、三人にも初陣の場所だけは明確になった。

 

「ゆけい!! 我が弟子たちよ!!! これより貴様らの初陣とする!! 愚かな虚どもに、貴様らの魂の力を刻み込んでこいッッ!!」

 

保護者への連絡、救護担当、撤退条件は告げられなかった。

古男の教育課程では、実戦へ出れば実戦経験者になれるため、順序としては成立している。

 

「おう!!! ――はい!!」

 

たつきが屋上の縁へ足を置くと、踏まれたコンクリートに亀裂が入った。

 

チャドの両腕には霊力が集まり、皮膚の上で固まり始める。織姫の指が花形の髪留めに触れると、六枚の花弁から光が漏れ、六つの声が主の呼びかけを待った。

 

古男が羽織を振ると、たつきが先頭で駆け出し、チャドが続き、織姫も髪留めを押さえて飛び出す。

 

三人にとって初めての実戦は、訓練用の標的も救護担当も用意されず、空座町全域を会場として始まった。




虚の撒き餌(ホロウのまきえ)
粉砕することで高濃度の霊子を撒き散らし、虚をおびき寄せる滅却師の道具。石田は殲滅戦のために使用したが、一護からは「町を危険に晒す迷惑行為」と至極真っ当にブチギレられた。

クラヴィーア(光の雨)
一護が上空から放った無数の霊子の矢の乱れ撃ち。本来の技名(リヒト・レーゲン等)とは少し違うが、オッサンの薫陶を受けた一護の独自のネーミングセンスである。

名前の黒塗り(■■■■■■)
一護が現実世界で「ユーハバッハ」の名を口にしようとした瞬間に発動した検閲現象。零番隊・兵主部一兵衛による「名の呪い」の影響が現実世界ではまだ色濃く残っており、一護の口から放たれる音声そのものが黒く塗りつぶされ無音化した。

飛廉脚(ひれんきゃく)
足元に霊子の流れを作り、高速で滑るように移動する滅却師の高等歩法。本来なら長年の修行が必要だが、一護はチート全開で当然のように使いこなし、石田のメンタルに追い打ちをかけた。

第1回一護ヒロインコンテスト!!この物語での一護のヒロインは??

  • 井上織姫
  • 朽木ルキア
  • 有沢たつき
  • ネリエル
  • その他
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