我こそは十四番隊隊長(自称)   作:かなりゆっくりめ

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黒崎一護(くろさき いちご)
死神代行・滅却師。石田との虚撃破数勝負に燃えるが、覚醒したクラスメイトたちに獲物を片っ端から先回りされて出番を失う。

石田雨竜(いしだ うりゅう)
「最後の滅却師」。一護との勝負で50体を仕留めるも、織姫・チャド・たつきの規格外の暴れっぷりに圧倒され、ツッコミ役に回る。

井上織姫(いのうえ おりひめ)
空座高校1年。古男の英才教育により「マルチスター仕様」となった盾舜六花を使いこなし、独立多重斬撃や瞬時回復、結界を自在に切り替えて無双する。

茶渡泰虎(チャド)
空座高校1年。古男の特訓を経て、早くも「巨人の右腕」と「悪魔の左腕」の両腕を完全解放。虚をゴミのように薙ぎ払う。

有沢たつき(ありさわ たつき)
空手部。古男直伝の暗黒魔闘術と霊力物質化「気鋼闘衣」を纏い、30体の虚を奥義で消滅させる。ただし技の代償として服が破け、露出度の高い破廉恥な姿に。


覚醒の三人組と奪われる獲物

「…………あっちか。……密集してやがるな、ざっと十体はいるぞ……。……って、あれ?? あっちにいたはずの群れの霊圧が、いきなり消えかかって……??」

 

上空を走っていた一護の足が、進行方向を商業地区へ変えた。十体分あった虚の霊圧が三つ消え、続けて四つ途切れる。

何者かが群れをまとめて処理している。

ビルの間へ降りた。

 

広場では、六つの光が虚の群れを追い回していた。花弁のような衣をまとった小さな姿が別々の高さを飛び、その中央で織姫が髪留めへ指を添えている。

 

織姫の脳裏には、聞かされた古男の教えが残っていた。

 

『よいか織姫! 椿鬼だから斬る、舜桜とあやめだから戻すという固定観念を捨てよ! 術式を決めるのは担当者ではなく、必要となる星の数だ! 三ツ星で攻め、二ツ星で拒絶し、余った者には次の仕事をさせろ! 六人も抱えて待機要員を出すなど、管理者の怠慢よ!!』

 

六花へ異動希望を確認する手続きはなかった。

古男の指導では、魂の妖精にも柔軟な人員配置が要求される。

 

「――『孤天斬盾』、三ツ星ッッ!!」

 

三つの光が薄い刃へ変わり、異なる方向へ走った。正面の虚は額から、建物へ逃げた虚は背後から、織姫を飛び越えようとした虚は真下から仮面を断たれ、三つの体が同じ場所へ重なって落ちる。

 

「「「ギャアアアアアアッッッ!!??」」」

 

「そこの怪物さんたち!! 悪いことしてたら、バラバラになっちゃうよ!! ――孤天斬盾、四つ星ッッ!!」

 

待機していた一体が加わり、四枚の刃が広場を巡った。逃げる虚の前で交差し、左右へ分かれ、切り返して背中から追いつく。四枚すべてが通過したあと、四角い肉片へ分かれて霊子へ崩れた。警告は、聞いてから改心する時間を用意していない。

 

倒れた街路樹のそばで、子供が足を抱えて泣いていた。織姫が駆け寄ると、攻撃へ参加していなかった二つの光が子供を挟み、黄金の膜を張る。

 

「あっ! この子怪我してる! ――『双天帰盾』、私は……『拒絶』する!!」

 

擦り剥けた膝から血が消え、腫れていた足首が元へ戻った。

子供の泣き声が止まるまでに要した時間の方が、治療より長かった。

 

「なんだ……あのデタラメな能力は……。攻撃も回復も隙がねえ……」

 

一護が神聖弓を下ろしかけたところで、建物の陰から大型の虚が跳んだ。両腕の爪を広げ、子供へ背を向けた織姫の頭上まで迫る。

 

「くっ、井上危ねえ――!!」

 

「孤天は三ツ星に減らして牽制!! 残りの三体で――『三天結盾』ッッ!!」

 

織姫は振り返らなかった。攻撃に回っていた三枚の刃が虚の手足を削り、別の三体が織姫と子供の背後へ三角形の盾を組む。爪は黄金の壁へ食い込み、折れた先端ごと虚の腕を跳ね返した。

 

六花が三体ずつ分かれ、同じ虚を左右から挟む。一護が矢を番える間に、六花の配置換えは二度終わっていた。

 

「これで全員合流!! ――六つ星ッッッ!!!!」

 

盾を解いた三体も刃へ変わり、六本の光が大型虚を中心に輪を描いた。輪が狭まるたびに仮面と胴体へ線が増え、最後の一周で全身が内側から弾ける。残っていた虚も逃げ道を塞がれ、広場へ着いて三分で群れは消滅した。

 

「よしっ!! これで私も、黒崎くんの隣に立てるぞ〜〜っ!!」

 

織姫が上げた拳の周囲を、六花が戦果確認を終えた部下のように旋回する。一護は弓を構えたまま、撃つ対象のなくなった弦を戻した。

 

「………………俺の出番が、全くねえ…………。むっ……こっちからもデカい霊圧が!!」

 

競争相手は石田だったはずだが、参加登録をしていない織姫が七体を持っていった。抗議する規則も、石田が撒き餌と一緒に砕いている。

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

数ブロック先の大通りでは、チャドの両腕が別の形へ変わっていた。右腕を覆う黒い装甲は肩から拳まで厚く盛り上がり、左腕には白い爪と赤い紋様が走っている。

 

「……『巨人の右腕(ブラソ・デレチャ・デ・ヒガンテ)』……『悪魔の左腕(ブラソ・イスキエルダ・デル・ディアブロ)』」

 

突進してきた虚を、チャドは黒い右腕で正面から受けた。勢いは止まらず、代わりに仮面と胴が右腕へ触れた場所から砕けていく。横から噛みついた中級虚には白い左腕を振り、爪が肩から腹までを裂いた。

 

両腕は防御と攻撃で役割が分かれている。攻略法として残されたのは、チャドのいない方角へ帰ることだけだ。

 

最後の一体が道路へ倒れ、霊子となって排水溝の上から消えた。チャドの周囲には砕かれた舗装と折れた標識が残り、虚の形を保ったものはない。

 

「む………………。弱いな……………」

 

電柱の上へ着いた一護は、出番を奪われた側として訂正した。

 

「…………………お前が強すぎるんだよバカ野郎……」

 

チャドは否定せず、次の霊圧を探して大通りの先へ歩き出した。一護の戦果は増えなかったが、友人の評価だけは上方修正された。

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

「……っ、はぁ……はぁ……! これで…………五十体目!! くっ、このままでは黒崎に……! それにしても、一体何なんだ!? この異常な速度で町中の虚が消滅していく現象は……!!」

 

矢が虚の仮面を貫き、公園前の道路へ青い火花を散らした。五十という数字へ到達しても、町から消える霊圧の総数と自分の戦果が合わない。

 

公園の中央から地面を打つ音が届き、街路樹の葉がまとめて舞い上がった。石田が塀を越えると、三十体近い虚がたつきを囲んでいる。

 

「あれは………有沢さん!!? 危ない、逃げるんだッッ!!」

 

たつきが霊力を全開で放ち、周辺の虚を公園へ呼び寄せていた。

石田の撒き餌へ、より新鮮な撒き餌が追加された形である。

 

「……ふうーーーーーーーーーっ」

 

吐き出した息に合わせ、たつきの霊力が身体の表面へ押し込まれていく。外へ漏れていた光は密度を増し、銀色の板となって両腕、両脚、胴を覆った。

 

「――『気鋼闘衣』ッッ!!」

 

圧縮に耐えられなかったジャージも運動用インナーも、縫い目から裂けて四方へ飛んだ。布地が消えた身体へ現れたのは、胸元を深く開けた銀色の胸甲、腰骨より高い位置まで切れ上がった細い腰鎧、肘までの手甲と太腿まで伸びる脚甲だけだった。

 

肩、腹、脇腹、腰、脚の大半が夜気へ晒され、銀色の装甲が肌の上で鋭い曲線を描いている。

 

装甲のない箇所にも圧縮霊力は巡っているため、防御力に穴はない。穴があるのは衣装の方だけであり、戦闘性能には不要なほど大胆で、敵を倒す前に見る者の平常心を攻撃する形へ仕上がっていた。

 

この意匠を古男が指定した事実はない。気鋼闘衣は術者が思い描く「強く美しい戦装束」を霊力で形にする。

 

胸甲の開き方も腰鎧の切れ上がり方も、すべてたつき自身の無自覚な趣味だった。

本人だけが、その設計者を知らない。

 

『極限まで圧縮した霊力は、あらゆる刃を通さぬ至高の武具にも防具にもなるのだ!!』

 

その教えに従って拳へ光を集め、たつきは包囲していた虚が飛びかかる前に地面を蹴った。

 

「暗黒魔闘術奥義――『魔人烈光殺』ッ!!!!」

 

拳から放たれた光が三十の筋へ分かれ、公園を放射状に横切った。遊具と街路樹の間を抜けた閃光が一体ずつ仮面を撃ち抜き、背後から迫った虚にはたつきの肘が入る。硬化した霊力が腹の内側で炸裂し、最後の一体も声を出す前に塵となった。

 

光が消えた公園には、銀色の鎧をまとったたつきと、外周まで伸びた三十本の溝が残った。

 

石田は救援用に作っていた矢を弓へ戻した。

 

「……な、何という……圧倒的な威力………………そして…………なんて破廉恥極まりない格好なんだ………………」

 

石田の眼鏡が鼻先まで落ち、頬へ血が集まった。胸元の開いた銀色の胸甲から逃げた視線を顔へ戻しても、今度は視界の端へ切れ上がった腰鎧が入る。衣服と呼べる布地は一枚もなく、手芸部員の理性は装甲の縫製を確認する前に破廉恥という判定を下した。

 

「ふぅ……。この鎧、威力と防御力は最高なんだけど……纏うたびに服が派手に破けちまうのが難点なんだよなあ……」

 

たつきは裂けた袖を拾い、修復不能と判断して手を放した。虚を消した代償としては安いが、毎回たつきの財布へ請求するには高い。

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

一護五十体、石田五十体。同数へ並んだ二人はビルの屋上で合流し、獲物の残っている空を探した。勝負は互角だが、町全体の虚は織姫、チャド、たつきによって急速に品切れへ向かっている。

 

「くっ……!! どこを探しても虚が一匹もいねえぞ!!」

 

「ああ!! 湧いたそばから、あの三人組に片っ端から殲滅されているんだ!!」

 

東の空に裂け目が開き、仮面の先端が現れた。

 

「あっ!! そっちに一体いたぞォォッ!!」

 

一護が踏み出す前に、地上から跳んだたつきの踵が仮面へ入った。虚は全身を裂け目から出す機会を与えられず、爆発して消えた。一護の足は空中に残り、下ろす理由を失った。

 

「捉えた!! 僕の獲物だッッ!!」

 

西の路地へ石田が弓を向けると、隣の壁が内側から破れた。瓦礫を押し退けて現れたチャドが左腕を引く。

 

「――『巨人の一撃(エル・ディレクト)』」

 

拳が虚を路地ごと貫き、石田の矢が完成する前に霊圧を消した。弦を引いた姿勢だけが残り、放つべき相手は壁の穴の向こうにもいない。

 

南の空で、最後の裂け目が開いた。一護と石田の声が同時に上がる。

 

「「今度こそォォォォォッッッ!!!!」」

 

「えいっ♪ ――孤天斬盾、二つ星ッッ!!」

 

二枚の光刃が二人の間を抜け、虚の首を左右から断った。仮面は地面へ落ちる前に消え、織姫が着地した時には六花も髪留めへ戻っている。

 

一護と石田は攻撃姿勢のまま止まった。互いに勝負を決める最後の一体を探し当て、同時に動いた結果、織姫の戦果が一つ増えた。

 

滅却師と、死神代行には、夜空を見上げる仕事しか残っていなかった。




盾舜六花(マルチスター仕様)
古男の指導によって改造された織姫の固有能力。本来は技ごとに決められた妖精(星)が必要だが、「技のコスト(星の数)さえ合っていれば、どの妖精を使っても全技を発動可能」となった。

孤天斬盾(星の数変動制):二ツ星なら2枚、三ツ星なら3枚、四ツ星なら4枚の独立した光刃が同時に展開され、複数の敵を同時に切り刻む多重斬撃となる。

双天帰盾(瞬時拒絶):怪我や事象を「拒絶」して巻き戻す回復技。古男の霊力強化により、触れた瞬間に全快するチート性能へと昇華。

三天結盾(独立防御):3体の妖精で展開する防壁。攻撃用(孤天)と防御用(三天)を同時に並行展開できる。

気鋼闘衣(きこうとうい)
たつきが習得した暗黒魔闘術の極意。己の強大な霊圧を超高密度で物質化・結晶化させ、全身に纏う霊力の鎧。物理・霊的攻撃を無効化するが、発動時に服が破け散るため、極めて露出度の高い破廉恥な姿になってしまうのが最大の欠点。

魔人烈光殺(まじんれっこうさつ)
気鋼闘衣を纏った状態から放たれる暗黒魔闘術の奥義。圧縮した霊力を全方位へ無数の閃光として撃ち出し、周囲の敵を一瞬で蒸発させる広範囲殲滅技。

両腕解放(チャド)
祖父の教えと己の誇りを宿した「巨人の右腕(防御・直撃)」と「悪魔の左腕(攻撃・切断)」を、古男の霊力手ほどきによって早期に完全覚醒させた形態。現世の並の虚では全く相手にならない。

獲物横取り現象
一護と石田がプライドをかけて競い合っていた横で、覚醒した3人が効率的かつ圧倒的な殲滅力で虚を狩り尽くした結果、主役二人の出番が完全に消滅した哀しき事故。

第1回一護ヒロインコンテスト!!この物語での一護のヒロインは??

  • 井上織姫
  • 朽木ルキア
  • 有沢たつき
  • ネリエル
  • その他
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