我こそは十四番隊隊長(自称)   作:かなりゆっくりめ

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黒崎一護(くろさき いちご)
死神代行・志波家血統。懺罪宮に収監されているはずだが、部屋の前で隊長・副隊長・席官たちが連日連夜の大宴会&抗議集会を開いているため、騒音で別の意味で眠れぬ夜を過ごす。

朽木白哉(くちき びゃくや)
六番隊隊長。義弟となる一護を救うべく、隊長の威厳を駆使して恋次を脅迫じみた論理で仲間に引き込み、堂々と決起集会に参加する。

志波海燕(しば かいえん)
十三番隊副隊長・志波家現当主。身内の一護のために先頭に立って怒り狂い、何回目かも分からない「救出決起集会」を主催して酒を煽る。

戸川古男(とがわ ふるお)
八番隊五席。現世の英語教師の顔を覗かせ「俺の生徒に手を出すな」と決めるが、一護からは「言いたいだけ」と即座に見抜かれる。

東仙要(とうせん かなめ)
九番隊隊長。古男の裏縛道で視力を取り戻し、『全能なる調停者』として覚醒。世界の色彩の美しさに感動しつつ、藍染に正義の鉄槌を主張して戸惑わせる。

藍染惣右介(あいぜん そうすけ)
五番隊隊長。一護の処刑を巡る陰謀を裏で操る黒幕のはずだが、味方のはずの東仙の急激なキャラ変や、部下の雷太からの鋭すぎるツッコミに内心冷や汗を流す。

阿散井恋次(あばらい れんじ)
六番隊副隊長。白哉の「一護以上の男がいるか?」という無言の圧力に屈し、不本意ながら一護救出に全面協力を誓わされる。

京楽春水(きょうらく しゅんすい)& 浮竹十四郎(うきたけ じゅうしろう)
八番隊隊長&十三番隊隊長。面白そうな騒ぎを聞きつけて酒持参で決起集会に合流するベテラン隊長コンビ。

伊勢七緒(いせ ななお)
八番隊副隊長。上司(春水)や部下(古男)の無礼な言動にキレキレのツッコミを入れる。

緋山雷太(ひやま らいた) / ガルムルド・ジュードスタイン
五番隊三席・特異型破面。藍染のインテリ話術に疲弊し、十番隊へ巨乳の癒し(松本乱菊)を求めに行って日番谷と衝突する。

松本乱菊(まつもと らんぎく)
十番隊副隊長。雷太の奢り酒に釣られて胸を触らせようとするなど、相変わらずのマイペースな酒豪美女。

日番谷冬獅郎(ひつがや とうしろう)
十番隊隊長。雷太とは真央霊術院の同期。雷太と乱菊の不健全なやり取りにブチギレ、さらに雛森への好意をからかわれて完全激怒する。


大宴会の懺罪宮と同期の隊長

懺罪宮には、焼いた魚と酒の匂いが充満している。

ここは重罪人を厳重に幽閉し、処刑の日まで死の恐怖と向き合わせる場所である。

 

ところが、黒崎一護を収容した独房の前には、酒樽、徳利、大皿へ盛られた肴、七輪、座布団が通路を埋めていた。隊長、副隊長、席官たちが格子の前で車座になり、牢番は壁際へ追いやられている。

 

最初の夜には面会人数を制限しようとしたが、朽木家当主と志波家当主と古男が同時に規則のどこに人数制限があるのか尋ねたため、翌日から人数を数える仕事そのものを放棄した。

 

極囚の独房前は、瀞霊廷で最も予約の取れない居酒屋へ変わっていた。

 

「まったく………いい加減にしやがれ!! 中央四十六室のジジババどもが!! 一護の処刑なんて、絶対にさせてたまるかよォォッ!!」

 

海燕が大杯を空にし、肴を載せた机を叩いた。

酒が跳ね、隣の皿へ入り、誰かが食べる前から煮物へ新しい味が加わる。

 

「うむ。掟とは厳格に守らねばならんが、その根本が歪んでいるのなら、正しく糺さねばならぬ。義弟となる男を不当に殺されては、朽木家の名が廃る」

 

白哉は宴会の中央に端然と座り、酒を啜っていた。

足元には朽木家から運ばせた重箱が積まれ、内容だけを見れば最も宴会へ貢献している。

 

本人はあくまで面会に必要な差し入れだと主張しているが、重箱の段数は面会者の増加に合わせて毎晩増えていた。

 

古男は腕を組み、座っているだけなのにマントを広げた。

 

「クックック……! 一護は我が友・志波一心の息子にして、現世における我が愛弟子でもある!! 中央四十六室へ告ぐ――俺の生徒に手を出すなッッ!!」

 

「……あんた、ただその台詞を言いたかっただけだろ!! しかも、誰へ告げてんだよ。四十六室の連中はここにいねえぞ!」

 

「案ずるな、黒崎一護。この全能なる調停者たる私が、必ずや正義の調停を成し遂げ、悪辣なる判決から君を救ってみせよう!!」

 

東仙は開眼した両目を見開き、両腕を天へ伸ばした。

盲目だった頃より周囲が見えるようになったはずなのに、格子の向こうで一護が頭を抱えている光景は視界へ入っていないらしい。

 

「頼むから静かにしてくれ……。俺は処刑が怖くて眠れねえんじゃなく、あんたらが毎晩ここで騒ぐせいで一睡もできねえんだよ……。死刑囚にも消灯時間くらいあるだろ」

 

懺罪宮には消灯時間があった。今夜は海燕が持ち込んだ提灯と、白哉が用意させた灯籠と、東仙の目の回復を祝って誰かが増設した照明によって、昼間より明るい。

 

一護の訴えを聞き流し、古男は隣で酒杯を持つ眼鏡の男へ顔を向けた。

 

「藍染よ。貴様、この理不尽な事態を打破する良い知恵はないか?」

 

「おや……僕へ期待してくれるのは嬉しいけれど、それはあまり良くないのではないかな。中央四十六室の決定へ護廷の隊長が表立って叛けば、瀞霊廷そのものが割れかねないよ」

 

藍染は困った顔で笑い、杯を机へ戻した。

 

「藍染隊長!! これこそ、まさに正義に悖る行為です!!」

 

東仙が座布団から膝を浮かせ、藍染の正面へ詰め寄った。

 

「審理も弁明もない極刑は、秩序の名を借りた悪でしかありません! 悪辣なる秩序を打破し、断固たる抗議を示す必要があります!! 他者の正義を理想によって導けぬ制度なら、全能なる調停者たる私が新たな正義を示すまでです!!」

 

「お、おおう……東仙隊長。ずいぶんと……熱いね……」

 

藍染は杯を置いた分だけ空いた距離を使い、上体を後ろへ引いた。

誤差としては、声も霊圧も大きすぎた。

海燕は二人の間へ新しい徳利を置き、話を次へ進めた。

 

「とにかくだ!! 四十六室の連中を力ずくでも黙らせるために、協力してくれる隊長格をもっと集めなきゃならねえ! 処刑の中止を認めさせるにしても、最後に双殛を壊して一護を奪うにしても、味方は多い方がいい!」

 

白哉の視線が、背後で宴会の給仕をさせられていた恋次へ向いた。

 

「……恋次。お前は無論、この救出計画へ協力するな?」

 

「はいィッ!? なんで俺が、ルキアの婚約者なんぞの命を助けるために――」

 

酒瓶を抱えた恋次が飛び退いた。反論は最後まで続かなかった。なぜなら。

 

「我が妹ルキアを娶る者は、器量が大きく、度量の広い男でなければならぬ。一護殿以外に、貴様はそのような男を知っているのかな。もし知っているなら、この場で名を申してみよ」

 

質問の形を取っているが、答えは一つしか許されていない。

白哉は家の掟を守りながら、部下の退路を正確に塞いだ。

 

恋次は酒瓶を床へ置き、背筋を伸ばして敬礼した。

 

「全力で協力しますッッ!! 黒崎一護!! てめえの命、俺が死んでも絶対に助けてやるからなァァッッ!!」

 

「………………」

 

一護は格子の隙間から恋次を見た。

助けられた後、ルキアの婚約者という理由で確実に八つ当たりされる。

救出者と報復者が同一人物になる未来まで見えたが、今は指摘しない方が命のためだ。

 

「そういえば戸川さん、砕蜂隊長はどうしたんです? 一緒に現世から戻ってきたんですよね?」

 

「ああ。表へ顔を出せば中央に警戒されるのでな。裏で隠密機動を動かし、四十六室周辺の出入りと命令経路を洗ってもらっている。貴族の思惑だけでは説明できぬ臭いがする」

 

「四十六室の身辺を、隠密機動が……」

 

藍染は酒杯へ視線を落とした。表情は変わらず、指先だけが杯の縁で止まっている。

東仙は会話を聞きながら、懺罪宮の高窓から見える夜空へ顔を上げていた。

 

「狛村には私から頼めば、必ず手を貸してくれるはずだ。ああ……それにしても、世界とはなんと色鮮やかで美しいのだ……! 酒の琥珀、灯籠の赤、白哉隊長の白い牽星箝、黒崎一護の橙色の髪……正義を語る夜に、これほど色が満ちていたとは!!」

 

「クックック……調停者よ、良い傾向だな。両の目と心の目で世界を見据えれば、正義の道はさらに開けよう」

 

「戸川先生……!」

 

東仙の感動が再び始まりそうになり、白哉は茶碗を置いて先を急いだ。

 

「あとは、誰を巻き込むかだが――」

 

「やあやあ、楽しそうなことをしてるねえ。僕たちも仲間に入れておくれよ」

 

通路の入口から、京楽が顔を出した。その後ろには浮竹と七緒が立ち、さらに酒と料理を運ぶ八番隊士と十三番隊士の列が続いている。

 

「やあ、海燕。一護君も元気そうで安心したよ。こんな場所で再会することになるとは思わなかったが、よろしく頼む」

 

「浮竹隊長!! 京楽隊長!! ありがとうございますッッ!!」

 

海燕の顔が輝き、浮竹へ駆け寄った。

京楽は白哉の隣へ腰を下ろし、重箱を遠慮なく開けている。

 

「春水よ。よくぞ馳せ参じたな。これで我らの大義も――」

 

古男の頭へ、七緒の雷が落ちた。

 

「五席の分際で、隊長に『よくぞ馳せ参じた』とは何事ですか!! 口の利き方がなっていません! あなたは八番隊へ帰ってきても書類を出さず、宴会を開いているそうですね!」

 

「七緒よ、これは宴会ではない。尸魂界の正義を懸けた崇高なる決起集会だ」

 

「酒樽を八つも空ける正義がどこにあるんですか!!」

 

七緒の指摘へ、古男は答えなかった。今夜の参加者が増えたため、九つ目の酒樽を開けようとしていたからである。

 

海燕はその樽を担ぎ上げ、片手の拳を天井へ突き上げた。

 

「よーしッッ!! 浮竹隊長と京楽隊長の参加を祝って、ここに第八回・黒崎一護救出決起集会を開始するぞォォォッッ!!!!」

 

「「「おおおおおおおおっっっ!!!!」」」

 

隊長、副隊長、席官、なぜか牢番まで拳を上げた。

懺罪宮の外壁が歓声を返し、格子の奥では一護が床へ突っ伏す。

 

「一週間に八回も決起してんじゃねえよ、バカタレ共がああああッッ!!!!」

 

一週間は七日である。八回目を開催するには、どこかの日に二度集まらなければならない。黒崎一護救出派は、処刑中止のための具体策より先に、暦の限界を突破していた。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

翌日、五番隊隊舎。

 

藍染は机へ向かい、昨夜の宴会に参加した者とは思えない速度で書類を処理している。

向かい側に立つ雷太は、完成した書類の束を机へ置き、隊長の横顔を冷ややかに眺めた。

 

「……で、死神代行のガキを処刑台へ送って、いったい何をするつもりなんですか?」

 

「なんのことだい? 僕は何もしていないよ」

 

藍染は筆を止めず、柔らかな声で答えた。雷太は机へ両手をつかず、距離を保ったまま鼻を鳴らす。

 

「『白々しい』という言葉をご存じですか、藍染隊長」

 

「僕に言葉の意味を尋ねるほど、君は多くの言葉を知っているのかい?」

 

「自分の部下を殺して虚へ混ぜた眼鏡野郎に言われたくないですね。まあ、あんたが認めるとも思ってませんけど」

 

雷太は緋山雷太として、藍染を信頼していた記憶を持つ。

同時にガルムルドとして、崩玉を手に虚圏へ立っていた男の顔を知っている。

疑う相手は一人で足りた。

 

「ただし、護廷十三隊に俺がいる時に叛乱を起こすのはやめてくださいね」

 

筆が止まり、藍染が顔を上げた。

 

「……ほう。では、君がいない時は?」

 

「お好きにどうぞ。その時は、俺も堂々と虚圏へついていきますからね」

 

「君は死神と虚、どちらにつく気なんだい?」

 

問いへ迷う必要はなかった。

どちらかを選んで半分を捨てる答えは、最初から選択肢に入っていない。

 

「俺はガルムルド・ジュードスタインですからね。破面としては、あんたにつきますよ。俺を進化させた恩もあるし、虚としてどこまで上へ行けるかも確かめたい。だけど、緋山雷太としての立場も、尸魂界で得たものも捨てるつもりはない」

 

「二つの陣営へ同時に属するつもりかい?」

 

「ええ。それに、俺のお袋と光四郎、薫子には絶対に手を出させない。尸魂界を裏切れと言われても断るし、あの三人を利用するつもりなら、その時点であんたを斬る。それが俺の条件です」

 

藍染は筆を硯へ置き、椅子へ背を預けた。

 

「『二兎を追う者は一兎をも得ず』と言う。あるいは、嘘を重ねた末に信頼を失い、本当に危機が来ても誰からも助けられなかった狼少年の寓話もある。死神と虚の双方を選ぶ君には、どちらも相応しい話ではないかな」

 

「なら、俺がその故事を塗り替えて両方手に入れる男になるだけですよ。自分の魂を半分に切って、片方だけで生きる趣味はありません。――それで、俺は何をすればいいんです?」

 

藍染は答えを急がず、机上の書類から一枚を抜いた。

雛森が作成した五番隊の勤務表だった。

 

「ならば君は、雛森君をよく見ていてくれ」

 

「……護衛ですか、監視ですか。それとも、何かを見せるためにそばへ置くんですか?」

 

「君の好きに受け取ればいい」

 

雷太は目を細め、隊長の眼鏡へ映る自分を見た。

 

「俺が見ている雛森副隊長は、本物の雛森副隊長ですか? それとも、あんたの鏡花水月が見せる幻覚ですか?」

 

「さて……どちらかは、君自身が考えたまえ」

 

藍染は再び筆を取り、話は終わったという顔で書類へ向かった。

 

「だあああああああっっ!! 無意味に知的ぶった藍染サマの禅問答へ付き合うのは疲れるぜ……! 質問に質問で返すな! こういう時には精神の癒やしが必要だよな! うん!!」

 

雷太は髪を掻き乱し、踵を返した。扉を閉める音が隊舎へ響き、廊下を走る足音が遠ざかっていく。

 

机へ残った藍染は、勤務表に書かれた雛森の名を筆先でなぞった。

 

「死神と虚の両方を得る、か。君がどこまでその言葉を貫けるのか、楽しみにしているよ」

 

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

精神の癒やしを求めた雷太は、十番隊隊舎へ向かっていた。

 

門番へ用件を告げず、知った顔で敷地へ入り、廊下の角を曲がる。

 

同期が隊長を務めているため、通い慣れた場所だった。

本人は同期の縁を強調するが、訪問目的の大半は副隊長である。

 

「松本副隊長ーーーッッ!!」

 

雷太は両腕を広げ、縁側へ駆け寄った。

 

乱菊は縁側に座り、庭へ脚を投げ出していた。手には空の徳利があり、振っても酒は一滴も出ない。

 

「ん? 雷太くんじゃない。またナンパ〜?」

 

「ええ!! ぜひとも、その豊満でたわわな果実によって、俺の荒んだ魂へ極上の癒やしを!!」

 

雷太の視線は、乱菊の顔より下へ正直に向いていた。

藍染へ向けていた警戒心は、十番隊へ入ってから急速に俗物へ戻っている。

 

「えー? でも私、今お酒を切らしちゃっててさ〜。今月のお小遣いも危ないのよねぇ。癒やしてほしいなら、それなりの誠意を見せてもらわないと」

 

「はい、喜んで!! 俺の今月の席官手当から全額払います!! 銘柄も本数も松本副隊長のお望みどおりに!」

 

「バカモンどもめがァァッッ!!!!」

 

奥の執務室から怒声が飛び、開いた障子の向こうに日番谷冬獅郎が立っていた。

小柄な身体から冷気を帯びた霊圧が流れ、廊下の床板へ白い霜が広がっていく。

 

雷太は露骨に舌打ちした。

 

「チッ……! おのれ、日番谷冬獅郎め……!」

 

「おのれじゃねえ! 勝手に入り、副隊長を買収して何をするつもりだ!」

 

「邪魔するな、日番谷!! これは俺と松本副隊長の、崇高なる大人の恋路だ!!」

 

乱菊が徳利の口を覗き込みながら、取引内容を訂正した。

 

「え? お酒を奢ってもらう代わりに、ちょっとだけ胸を揉ませてあげるっていう、不純な等価交換の話じゃなかったの〜?」

 

「なおさら悪質だろうがァァッ!! 何をとち狂った取引をしてやがる!! 松本、お前も金がないからって毟ろうとするな!」

 

雷太は怒りの理由を自分の不法侵入ではなく、同期の出世へ勝手に結びつける。

 

「てめえ日番谷!! 真央霊術院の同期のくせに、自分だけ先に隊長になりやがって偉そうにしやがってよォォッ!!」

 

「またその話か……。お前、会うたびに同じことを言ってくるな。俺が隊長になったのは、お前が女を口説いている間にも仕事をしてたからだ!」

 

二人は同じ時期に真央霊術院へ入り、若くして周囲の注目を集めた。日番谷は史上でも稀な速度で卍解へ至り、十番隊隊長となった。

 

雷太も若手の席官では抜きん出た才を持ちながら、三席の地位から他隊の副隊長へ酒を奢る方法を磨いている。才能の差より、使い道の差が役職へ表れていた。

 

「まあまあ、隊長〜。雷太くんも若手の中では飛び抜けた天才なんだから、十一番隊の染華さんも鼻が高いはずよ?」

 

乱菊が日番谷を宥めようとしたが、雷太は同期への不満を止めなかった。

 

「だって……! だってですよ、松本さん!! 俺の配属先は五番隊なんですよ!?」

 

「だから?」

 

「隊長は胡散臭いインテリ眼鏡で、副隊長はちっこい雛森さんです!! 松本さんのその圧倒的なダイナマイトボディとの差は、比べるべくもないでしょうがッッ!!」

 

氷輪丸の柄へ、日番谷の手がかかった。

 

「……いい度胸だ。表へ出ろ、緋山。雛森を身体でしか見られねえお前を氷漬けにして、染華のところへ叩き返してやる」

 

雷太の顔に、意地の悪い笑みが広がった。

日番谷が雛森の名を出した時点で、先ほどまでの出世への嫉妬は消えている。

 

「あーーーッ!! 今、雛森のことをけなされたから怒ったな!? やっぱ日番谷、あの子のこと好きなんだ〜〜♪ 同期の俺には隠しても無駄だぞ!」

 

「隊長ったら……ふふふ……意外と素直で……分かりやすいですねぇ……!」

 

乱菊も口元を押さえ、肩を揺らした。二人の視線を受けた日番谷の顔が、冷気を放つ身体とは反対に赤くなる。

 

「テメエら二人まとめてブッ殺すぞコラァァァァッッッ!!!!」




第8回黒崎一護救出決起集会
一護の幽閉先である懺罪宮の独房前で、ほぼ毎日開催されている隊長・副隊長・席官たちによる抗議の大宴会。抗議を口実に酒を飲んで騒ぎたいだけの者が大半であり、囚人である一護本人が最も迷惑を被っている。

白哉の恋次脅迫(度量論法)
「ルキアを娶る度量がある男は一護以外にいない」という極論を用いて、恋次に有無を言わさず救出作戦への全面協力を誓わせた白哉のシスコン話術。

雷太と藍染の密約
死神と破面の完全融合体である雷太(ガルムルド)と、その生みの親である藍染との不可侵条約。「尸魂界に雷太がいる間は叛乱を起こさない」「雷太の母(染華)、光四郎、薫子には手を出さない」ことを条件に、雷太は破面として藍染への協力を承諾した。

雷太と日番谷(真央霊術院の同期)
緋山雷太と日番谷冬獅郎は真央霊術院時代の同期生。共に天才と称されたが、日番谷が一足先に史上最年少で隊長へ就任したため、雷太は顔を合わせるたびに嫉妬とからかいの言葉を投げつけている。

十番隊の等価交換
松本乱菊の酒代を全額負担する代わりに、胸を揉ませてもらうという雷太の破廉恥な交渉。日番谷の逆鱗に触れ、即座に始解による制裁対象となった。

今後の展開について、尸魂界編のあとは

  • すぐ破面編がいい
  • バウント編とかも見たい
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