我こそは十四番隊隊長(自称)   作:かなりゆっくりめ

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緋山染華
十一番隊十席。危険な戦闘を何より嫌うが、今回は石田と織姫を「勝てそうな相手」と判断して自ら戦闘を引き受けた。

井上織姫
一護救出のため尸魂界へ侵入した現世組の一人。六花を用いた攻防・治癒能力を大幅に発展させている。

石田雨竜
滅却師。高密度の霊子射撃によって染華を追い詰める。

白鷹光四郎
染華と長い付き合いを持つ席官。別方向でルキアへの対応にあたっている。

朽木ルキア
一護救出を目的として行動中。光四郎と対峙している。


首が戻る女と腕を繋ぐ女

ひ、光の矢が降ってきます!! 右にも左にも、逃げた先にもあります!!

 

多い多い多い!! 何本出すのよ、この弓!! 一本撃ったら次をつがえる時間くらい必要でしょう!? ちょっと待って、まだ前の矢を避け終わっていないんですけど!!

 

しゃがんで、反って、刀で払って――ひぃっ、今のは顔!! 顔はやめて! 傷が残ったらどうしてくれるのよ!!

 

皆さん、訂正がございます。眼鏡のモヤシだと思っていた男ですが、とんでもない連射魔でした。腕が細いから安心だなんて、誰が言ったんでしょうね。私です。責任は取りたくありません。

 

「くっ……! この霊子の超高密度連射を、体をくねらせて全て紙一重で躱し切るなんて……十一番隊の十席だと!? どんな体幹をしているんだ……!!」

 

体幹じゃないわよ、必死なのよ!! 当たったら痛いんだから避けるしかないじゃない!!

 

驚いている暇があるなら、ちょっと手を止めてくれませんか。褒めるなら拍手して。両手を弓から離して拍手してください!!

 

「石田くん、私も手伝うよ!! 『複天滅盾』ッッ!!」

 

手伝わなくて結構です!!

 

何、その光の線。庭石を通り抜け――あ、切れた。石が切れた。あれは駄目。矢も嫌だけど、あれはもっと嫌!!

 

「なにィィッ!? 触れたら手足がスッパリ切断されるヤツじゃないのォォッ!? ふんぬッ!! のわあああああっっ!!」

 

ああもう、腰がおかしくなる!! こっちを避ければ向こうが来るし、ようやく地面に足をつけたら、また跳ばされる!! 私は曲芸を披露しに来たんじゃないのよ!!

 

「あはっ、すごい! グネグネ避けてる!! 面白い〜〜っ!!」

 

「面白いじゃないわよ、このクソ小娘がァァッッ!! おっぱいに少しかすめて、危うく大事なポロリが見えそうになったじゃないのォォッッ!!」

 

切れた胸元を押さえながら、つい相手の胸へ目が行く。……何よ。私より大きいんじゃない? 戦っている最中に見せつけてくるなんて生意気ね。お直し代と精神的苦痛の慰謝料、まとめて請求してやるわ!!

 

「井上さん、油断するな! 息を合わせるよ!!」

 

「うん!! コンビネーションだね!! 椿鬼、みんな――『孤天!! 六つ星!!!』」

 

「逃がさないよ――『疾』ッ!!!!」

 

……あ。

 

これは無理。右へ跳んでも駄目、左も駄目。上から来る方を払っている間に、前から来る分が刺さる。私の腕は二本です。もう少し相手の事情を考えていただけませんか。

 

嫌だ。死ぬ。特別ボーナスどころか、これじゃ私がお見舞い金をもらう方――もらいに行ける状態で済むのかしら!?

 

『おいおい染華、いい加減に俺を使えよ。みっともねえぞ』

 

血狼!? 嫌よ!! 解放したら痛いもん!! 痛いの大嫌い!!

 

『……ハッ、今ここで貫かれて全身矢衾になる方が、よっぽど痛えと思うがな……?』

 

……それもそうねッ!!

 

ああ、もう!! どうして私には、痛くない方を選ぶ権利がないのよ!!

 

「我が血よ刃に溶け、彼の血よ刃に乗れ――『血狼』ッッ!!!!」

 

黒い鎖が掌に絡む。逃げられない。柄も鍔も刃に変わる、分かっていても――痛いッ!!

 

「ぎゃああああっ痛いッッ!!!! でも背に腹は代えられないィィッッ!!!!」

 

刀を放したい。今すぐ放したい。でも、放したら向こうの光が全部来る!! 握って、血を刃へ回して、お願いだから間に合って!!

 

……よし、逸れた! こっちの矢も、あっちの光も! 血の刃で押し退ければ、ひとまず私には届かない!!

 

助かったわ。ええ、助かりましたとも。代わりに手が痛いんですけどね!! 勝手に吸っていないで、この痛みもどうにかしてよ血狼!!

 

「……なっ!? 自分の手の平を自ら切り裂き、その血で防壁を……!? なんてイカれた自傷戦法を使う奴だ……!!」

 

好きでやっていると思う!? あなたたちがやめてくれれば、こっちだってこんなもの使わないわよ!!

 

「うわぁ……あんなにギューって握って、指が落っこちちゃったりしないのかなぁ?」

 

「落ちるわよバカッッ!! 油断したらポロリと指が切断されるのよッッ!! だから昔から何度も自分の霊圧でくっつけてるんじゃないのよォォッッ!! ……ううっ、痛い……光四郎君ッ!! 助けてぇぇぇ――」

 

「若奥様ァァッッ!! 私の命を賭した忠誠の証を受け取ってくださーーーいッッ!! 我が痛みよ、かの敵を討て――『天蝋』ッッ!!!!」

 

「黙れ白鷹!! 舞え――『袖白雪』ッッ!!」

 

……何やってんの、あの二人。

 

説得するんじゃなかったの!? 光四郎君、そっちへ忠誠を捧げてる場合!? こちらには命に代えても守るって約束された女がいるんですけど!!

 

「何ちちくり合ってるのよアンタたちはァァッッ!!!! 私を助けに来なさいよ!! こっちに来て三人まとめて相手して立ち往生くらいしなさいよォォッッ!!」

 

聞こえてない。聞こえているのに無視しているなら、後で覚えていなさい。

 

うう、痛い。手を開きたい。でも鎖があるし、刃があるし、前には二人いる。何でこんなに私の邪魔ばかりするの。あは、あははは……駄目、変な声が出る。

 

「……くっ、あいつ……この極限状況で、薄気味悪く笑っている……!?」

 

「うん……! きっと私たちを八つ裂きの血祭りにあげるところを妄想して、楽しくて笑ってるんだよ……!」

 

「違うわよォォォッッ!! 痛すぎて脳内麻薬が出て勝手に顔が笑っちゃうだけよォォッッ!!」

 

そんな物騒な妄想していません!! 私が考えているのは、温かいお茶と柔らかい布団です!! あと、この二人が早く大人しくならないかってことです!!

 

……そうよ。長引くほど私が痛いんだわ。

 

相手も私を殺す気なんだから、遠慮していたら損じゃない。捕まえた後で何を言われるかなんて、今は知りません。まず私の手を、この刃から解放しなければ。

 

「もう嫌!! 痛いのは嫌なの!! 仕方ない……早めに小娘の首をスパッと落として片付ける!! 制圧した結果が『死体』になっちゃっても、正当防衛なんだからしょうがないわよねェェッッ!!」

 

「な、なんて凄まじい殺気だ……ッ!」

 

「喰らいなさい――『血刃』ッッ!!!!」

 

「『三天結盾』、私は拒絶するッ!」

 

盾? 前に一枚? それでいいの?

 

「ハッハーーーーッ!! 単純な平面の盾なんざで、液体の血が防げるわけないでしょォォッ!? 盾の外側をグニャリと迂回させるのよッッ!!」

 

正面で止まると思ったら大間違い。横へ回して、そのまま後ろへ。ほら、間に合わないでしょう!!

 

女の姿が血刃に遮られる。防がれた感触はない。やった。これでようやく一人――。

 

「よっしゃあ取ったァァッッ!! これで特別ボーナス金一封は私のモノよォォッ!!」

 

「――うわっと…………」

 

……はい?

 

今、声がした?

 

金色の光が広がり、飛び散った首も胴も手足も元の位置へ集まっていく。いや、戻るって何。そんな、ちょっと転んだみたいな調子で起き直されても!!

 

「うぎゃああああっっ!? すぐに治ったァァッッ!? うきーーーーーーッッ!! 化け物めッッ!! アンタ本当に人間なのォォッッ!!??」

 

『ヒャハハハハッ!! 染華ァ!! 染華ァァッ!! 見ろよ、今の女の血……極上だぜ、最高に美味え!! もっと斬ろうぜェェッ!!』

 

「こっちの刀も化け物だァァァッッ!! どいつもこいつも頭おかしいのばっかりィィッッ!!」

 

何を喜んでいるのよ! 倒せなかったのよ!? また戦わなきゃいけないのよ!? 私は終わらせたいの!! あなたのお食事会を開いているわけじゃないの!!

 

「いやーーーーーーッッ!! 石田くん、この服だけ直んないよぉぉぉッッ!! 破れすぎて裸になっちゃいそうだようッッ!!」

 

元通りになった肌には傷一つない。けれど、借り物の死覇装までは治らなかったらしい。胸元は大きく裂け、押さえきれない豊満な胸がこぼれかけている。太ももも剥き出しで、残った布を両手で寄せなければ今にも全部落ちそうだ。

 

……ちょっと。何よ、その体。

 

死体から元に戻ったことにも驚いたけれど、そっちにも驚いたわよ。私より大きいじゃない。さっきまでバラバラだったくせに、肌までつるつるじゃない。私なんて手の傷も胸元の裂け目もそのままなのに、理不尽すぎない?

 

「……確かに……! 借り物の死覇装は、井上さん自身のものとして認識されず、体と一緒には戻らないのか……! 井上さん自身の私服なら直るはずだが……って、今はそんなこと言ってる場合じゃない!!」

 

眼鏡の男は顔を真っ赤にして目を覆っている。指の隙間が開いているように見えるのは、私の気のせいかしら。気のせいということにしてあげるから、その弓も一緒に下ろしなさい。

 

それに、裸になりかけたくらいでそんなに怒らなくても。私なんて服どころか手を切りながら働いているのよ。そちらの便利な治し方を、少しくらい教えてくれても――。

 

「このド変態おばさんッッ!! 女同士の戦いで相手を脱がして喜ぶのが好きなのォォッ!? 許せないッ――『孤天斬盾』ッッ!!!!」

 

「違うわよォォッッ!! 誰が好き好んでアンタの裸を見たいと思うかァァッッ!! ぎゃあああああっっ!? 私の左腕がァァァーーーッッ!!??」

 

あ、飛んだ。

 

痛い!! まずい!! あっちへ行かないで、私の腕!! 拾いに行っている暇なんかないんだから!!

 

血の糸、届け! まだ離れきっていないうちに掴んで、引き戻して! そう、そのまま肩へ。位置を合わせて、繋いで、締めて――うううっ、痛い!!

 

……指。動く。肘も、動くわね。

 

「ふう……危なかったわね……。血が巡ってさえいれば大丈夫。こうして血狼の糸で強引に縫い付けて繋ぎ合わせれば……ほら元通りよ」

 

まったく、危ないことをしてくれるわ。せめて、こっちの返事が終わってからにしてちょうだい。治せるからって、痛くないわけじゃないんだから。

 

……あら? 何、その顔。

 

あの女まで青くなってる。自分で斬ったんでしょう? 腕が戻ったのがそんなに嫌なの? 嫌でも戻すわよ、私の腕なんだから。

 

「う……あわああああっっ!!!!??」

 

「ど、どうしたんだ井上さんッ!?」

 

「あの人……自分で斬り飛ばされた自分の腕を、血の糸で引っ張って無理やりくっつけたよぉぉぉッッ!! 化け物だァァァッッ!!!!」

 

……おい。

 

おい、小娘。今、何と言った。

 

私はちゃんと元の腕を拾って、元の場所へつけたのよ。糸で繋いだの。どうやって戻したか、見れば分かるでしょうが!!

 

「――首を刎ねられても平然と元に戻った、お前にだけは絶対に言われたくねえよォォォォッッッッ!!!!」




■ 血狼(けつろう)

緋山染華の斬魄刀。

自身の血液を媒介として刃・糸・防壁などへ変化させる性質を持つ。

始解そのものが術者の肉体へ負担を与えるため、染華本人は必要に迫られない限り使用したがらない。

■ 血刃

血狼によって操られる液状の血液を刃状に変化させた攻撃。

通常の固体武器と異なり、軌道を途中で湾曲・分岐させられるため、平面的な防御を迂回して攻撃することも可能。

■ 血狼による肉体接合

完全な治癒ではなく、流血している部位同士を血の糸で強制的に接続し、霊圧と血流を維持する応急処置。

切断部位が残っており、組織の損壊が致命的でなければ、戦闘継続が可能な状態まで戻すことができる。

■ 双天帰盾と衣服

双天帰盾は対象に起きた事象そのものを拒絶して復元する。

ただし、現在の織姫が身につけている借り物の死覇装は、織姫本人と同一の対象として扱われない場合があり、肉体のみが復元されても衣服の損傷までは戻らない。

今後の展開について、尸魂界編のあとは

  • すぐ破面編がいい
  • バウント編とかも見たい
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