Fate/OverBORDER 三門聖杯大戦 作:宇津木 沙坂
ハウンドを追尾弾だと勘違いしていた愚か者
とか思ってたら追尾弾表記もあった。質問送るかぁ?
三月十五日、深夜。
掃討作戦が終わってもなお、諏訪隊のシフトはそのままだった。
「やれやれ、あんな大規模作戦の後でも、いつも通りのシフトかぁ」
「しょうがないですよ。向こうは待ってくれませんからね」
「にしても、また、イレギュラー
笹森の発言は、確かに的を得ていた。
今起きている聖杯大戦は、いつかの大規模侵攻に匹敵するだろう。
だが、聖杯大戦を知らない諏訪隊の面々は、これが大規模侵攻の前触れでは、と思っていた。
「だとしたら、迅が最近
そうそう。
「S級に上がったばかりのチビちゃんが、市街地の事件を被害者殆どゼロで終わらせたそうですね」
「白チビが黒チビになったと思ったらの
「白と黒をコロコロ転がっていますね」
ここ二年の玉狛は激動だ。
玉狛第二のA級昇格。
空閑遊真のS級昇格。
三雲ヒュース雨取が玉狛専用トリガーを所有した関係で、ランク戦除外。
だからこそ、ボーダーのパワーバランスを考えれば、迅が
「ボーダーのパワーバランスよりも、圧倒的にやばい出来事が起きてるんかね」
いつも通りにトリオン兵を撃破し、いつも通りに引き継ぎしようとしたところで。
その人物を、見た。
葡萄の蔓のような模様の軽鎧を身に纏って、長く太い棍棒を肩に担ぐ、人間離れした神々しさすら感じるほどの美貌の男。
女性を狂わせる魔性の男、というやつか。
いや、それよりも。
「……………どう考えても、人型ですよね」
笹森の発言は、まず間違い無くそうだ。
「どうしますか。諏訪さん」
「一旦本部に連絡する。手は出すなよ」
「「了解」」
…………にしても、あの男。
本当に、人型
『本部。こちら諏訪隊。恐らくは人型
その通信を受け取った沢村は、すぐさま忍田と風間に確認の連絡を飛ばす。
『風間隊長。今送った映像を確認してください!』
沢村から送られた映像を見ると。
ステータスが見えた。聖杯戦争のマスターは、サーヴァントのステータスが見えるのだ。
だが、凄まじいな、このサーヴァント。A以下が存在しないとは。
『間違い無くサーヴァントです。至急、マスターとサーヴァントの緊急招集を』
ランサーはすぐさま純銀の鎧を身に纏い、槍を片手に召喚した。
こういう時は、凄く騎士らしい。
「武器的に、多分ランサーじゃねぇかこいつ?」
「槍ではなく棍棒だろう?」
「んなこと言ったらうちのアーチャー弓じゃなくて堅琴弾いてるんだが?」
「……………そうだな」
割と緩いよな。クラスシステム。
作戦会議室に向かうと、どうやら、一番最後らしい。
「お疲れ様です。風間さん」
「あぁ。それで、状況は?」
「多分こっちがサーヴァントを出すのを待ってるんだと思う」
「そうね。諏訪隊には目もくれていないわ」
迅とキャスターが、深刻そうな顔で、スクリーンに映る英霊を見ている。
…………なるほど、厄介な相手のようだな。
「取り敢えず、誰が行く?」
「ぼ、僕は遠慮しておくよ。普通に負けそうだし」
弱腰だが、仕方あるまい。
バーサーカーは、本職の戦闘員では無いのだから。
「ライダー。アンタはどうする?」
「行ってもいいが、貴殿は、随分と昂っているようだな」
「当然。騎士として、一番槍の名誉は貰い受けたいからな」
ランサーの要望を叶えてやるのも、悪くない手だ。
ランサーならば、そう簡単に敗北することは────。
「やめておいた方がいい」
「止めておきましょう」
ランサーは、瞬時に怒りを滲ませた。
戦闘には慣れていない鬼怒田開発室長と根付広報室長が震えているから、やめて欲しいのだが。
まぁ、騎士としての誇りもあるだろうし。
だが思いの外あっさりと、ランサーは怒りを霧散させた。
「………………未来視持ちが二人揃ってそんなこと言うってことは、この、白のランサーは相当な化物ってことかい?」
感情よりも、合理性を優先できる。
やはり、このランサーを召喚できて良かったな。
「──────ボクも二人と同じ意見だ。ランサー」
ポロロン、と堅琴を弾きながら、アーチャーが三人に割り込んできた。
「似たような気配の持ち主と、生前にあったことがあるのでね」
再び、ハープを鳴らす。
「──────会った場所は、冥界さ」
堅琴は、鳴り止まない。
マスターの木虎は、アーチャーに問いかけた。
「冥界であった、このランサーと似たような気配の持ち主って、まさか、かの冥府神とか言わないわよね」
「察しがいいね。流石はボクのマスター」
「………はぁ、勘弁してよ」
かの冥府神と似た雰囲気だと?
あの最高神と海洋神に並ぶかの神と。
そんなの、もう。
「まさか、敵側も神霊を召喚してくるとはな」
ライネスは、こちらのセイバーに視線を向けながら、そう感心した。
「えぇ。アポロン様と似たような気配の持ち主です。恐らくは、ギリシャ系の神霊ですね。この中で勝てる可能性があるとすれば、アサシンさんか、セイバーさんでしょう」
「ランサーは行かない方がいい。アンタも十分に強いけど、流石に神様相手は荷が勝つだろうさ」
「ま、それならしゃあねぇわなぁ。初戦で死ぬのは勘弁だ」
となると、当然。
「─────セイバー、いけるか」
「問題ありません。マスター」
三雲修は、セイバーに指示を出す、その前に。
「─────ひとまず、諏訪さんたちに攻撃してもらいましょう。ある程度の能力を見ておく為にも」
『こちら本部。攻撃を許可する』
「了解」
両手に
初手から、最大火力で。
「うし、かますぞ堤!」
「了解です!」
建物の影から飛び出して、二人同時の
「───無傷⁉︎」
(───なんだこれ。手応えがなさすぎる。大規模侵攻のときの、スライム野郎とはまた違う)
だとすれば。
「───日佐人!」
「了解!」
隠密トリガー『カメレオン』。それを使って、気付かれないように背後を取っていた笹森は、その首を狙って攻撃して。
突如地面から伸びて来た枝に、貫かれた。
「───っ、くそ!」
「やかましいぞ。愚民の分際で」
傲慢で、高慢で、偉大な声。
まるで王様、あるいは神様のような口振りだった。
それもそのはず。この英霊は、王様にして神様なのだから。
『戦闘体活動限界
だが、ただでやられる程、笹森日佐人は安くない。
戦闘体が爆ぜるのと同時に、煙幕が推定人型の視界を塞ぐ。
その一瞬の隙に、諏訪と堤は飛び込んで。
「吹っ飛びやがれ‼︎」
至近距離での、
伸びて来た枝が、堤の頭を潰し、諏訪の心臓を貫いた。
「────愚民の分際で、このオレ様に勝とうなどと、腹立たしい」
今度は蔓が伸びて来て、一瞬で諏訪のトリオン体を縛り上げて、八つ裂きにした。
「せめて死に様でオレ様を興じさせろ。愚民」
『戦闘体活動限界
二人のトリオン体は完全に破壊されて、隊室まで飛んで行った。
先の戦闘を見届けた修は、その真名に、おおまかな辺りをつけた。
「…………だとしたら、女性のセイバーだと不味いか?」
「安心してマスター。
「勝てる?」
「あの程度なら、問題なく」
…………かの、
流石は、日本神話最強クラスの星の女神だ。
「────分かった。忍田さん」
「うむ。頼んだぞ」
「…………勝ってこい。セイバー」
「命令を果たすわ。マスター」
セイバーは、すぐさま
『
「───ほう?オレ様と同じ神霊とはな。思いの外楽しめそうだ」
棍棒を振り回して、構える。その構えに隙は無い。神に相応しい、力強くも洗練された構えだ。
セイバーもまた、武器を生成し、構えた。この国最強の武神建御雷神と渡り合った技量に相応しい、極限に至ったものの構え。
その右手に握られるのは、宝具にして触媒にして
彼女が、自身の宝具で生み出した、
「───オレ様を失望させるなよ。島国の女神よ」
「───戦闘、開始」
一瞬の間の後。
二柱の神霊が、激突した。
瞬きの間に散った火花は、百と四。
音すら置き去りにした、超高速戦闘。青の陣営で、その全てを捉えられたのは、アサシンとランサーのみである。
青のセイバーの鋭い突きは、白のランサーが見事に棍棒の先で受け流す。滑らせながら、青のセイバーは勢いを殺さずに一回転。遠心力すらも載せた、超高速の横なぎを、白のランサーは、完璧に受け止めた。
今度は白のランサーの攻勢。手首の捻りのみで棍棒を振り回しながら、枝と蔓の波状攻撃を仕掛けていく。
円盤と見間違うほど高速で回転する棍棒を、しかし青のセイバーは完全に見切り、躱し、枝と蔓を瞬きの間に切り伏せる。
神域の技量の持ち主同士による、互角の剣戟。
しかしそれは、青のセイバーの更なる宝具により、均衡が崩れる。
白のランサーの遠心力を載せた一芸で、敢えて大きく吹き飛んだ青のセイバーは、空中で体勢を整える。そして、宝具を発動。
「
自身の周りを、円を描くように分割したトリオンキューブを浮遊させる。
B級那須隊隊長、那須玲のように。
だが、その数は尋常では無い。もはや比べるのも馬鹿らしいほどの、圧倒的な球数。
雨取千佳でも、これほど多くは無いだろう。
放たれたその射撃トリガーは、夜の闇を埋め尽くす流星の雨となって降り注ぐ。
白のランサーは、棍棒を振り回して、当たりそうな弾丸を的確に打ち落とす。
「───なら、これはどうかしら」
青のセイバーは、再び宝具を発動する。
青のセイバー、天津甕星の宝具。
彼女の宝具にして触媒にして
故に、彼女は、ボーダーが作成、登録した
戦闘において、彼女は自由にボーダーのトリガーを生成し、使用できる。
それには、本来存在する同時に使えるトリガーは
予め八種類までトリガーを絞る必要もない。
全てのボーダーのトリガーを記録した記録簿にアクセスして、自由に取り出す宝具。
その、真名は、
「
合成弾の原理と同じだ。
スコーピオンに
白のランサーは、自身めがけて飛んでくる、五十二本の小剣を全て、伸ばした枝と蔓で叩き落としていく。
「───ハッ、この程度かっ!女神よっ‼︎」
「───もっと御所望かしら。良いわ。おかわりよ」
青のセイバーは思考する。
どうすれば勝てるのか、彼女は、常に考えながら戦い続けて来た。
(あの枝と蔓は面倒ね。でも、あれで迎撃するなら、ちょうど良い)
再び、宝具
選んだトリガーは、三種類。
即ち───。
「スコーピオン+
先よりも多い、七十四の
「先と同じか!芸のない────っ‼︎」
「単純ね」
枝と蔓には重石が。
これでは、真っ当に動かせない‼︎
瞬きの間に距離を詰める青のセイバー。
単純な敏捷ステータスだけでは無く、彼女のスキル『魔力放出(星)B』により、ロケットのようにかっ飛ぶ。
だけでなく、
その突撃の威力は、宝具換算で、A+。
彼女の突きをなんとか棍棒で受け止める、が。
地面を砕き、滑りながら、なんとか踏みとどまる。
「ぐうっ‼︎」
白のランサーは驚愕する。生前戦った
「まだまだ行くわ」
神域の技量に、二重の魔力放出による、異次元のブースト。
圧倒的な優勢で、青のセイバーは攻め立てていく。
白のランサーの肉体に切り傷が増えていく、が、しかし、余裕の笑みを浮かべ、重石を打ち込まれた枝と蔓を破棄し、新しく作り直したそれで、突撃する青のセイバーを囲い込む。
だが。
「─────緩い囲いね」
一切の減速は必要ない。
凡そ十六の一閃が走り、枝と蔓を完全に切り伏せる。
白のランサーの懐に、青のセイバーは飛び込んだ。
左拳を握りしめる。
魔力放出(星)+『スラスター』+
そう、彼女の宝具には、
拳を一閃。
鳩尾に打ち込まれた白のランサーは、血反吐を吐きながら勢いよく吹き飛び、数十棟の家をぶち抜いて、ようやく止まった。
ボーダー作戦会議室では。
「────凄まじい。これが、神霊の力ですか」
「これほど、とは」
根付と鬼怒田の関心の声。
ライネスもまた、同じように。
「彼女を召喚する難易度は、聖杯戦争最難関だ。唯一の触媒となる
その代わりと言ってはなんだが、その能力は異次元だ。
かの英雄王ですら、敗北するかもしれないな」
何せ、彼女のもう一つの宝具。
数十棟の家をぶち抜いて吹き飛ばされたなお、白のランサーは平然としていた。
しかし、その瞳には、隠し切れない憤怒が。
「────たかだか極東の島国の神霊の分際で」
棍棒を、勢いよく地面に突き立てて。
宝具を、解放する。
「対知性体誘導殲滅装置起動。部分展開開始。
狂乱の果実よ。我が命に従え」
白のランサーの宝具、それは、
「
白のランサーの真名。
それは、ギガントマキアの英雄にして、ゼウスの仔にして、王にして、神。
オリュンポス十二神の一角。
大樹が、顕現する。ボーダー本部の半分ほどの高さの、大樹。
それまでとは比べ物にならない太さと数の枝と蔓が、青のセイバーを叩き潰そうとする。
旋空弧月では、迎撃し切れないと判断した青のセイバーは、宝具
選択するのは、彼女のマスター、三雲修のオリジナルトリガー。
そのトリガーの名は。
「シェイカー起動」
その、機能は。
シェイカーには予め、四種の弾トリガーが登録されており。
「
「
これに、加えて。
「
いっぺん辺り10メートルを超えるトリオンキューブ。
その、威力は。
左手の人差し指を、大樹に向けて。
「────発射」
極大の一撃が、何もかもを消し飛ばす。
瓦礫も家も枝も蔓も大樹も。
白のランサーは、その一撃で吹き飛ぶ寸前で、令呪により撤退した。
「…………ごめんなさいマスター。逃したわ」
『いや、十分だ。良くやったセイバー』
聖杯大戦初の、サーヴァント同士の戦いは。
青の陣営の、完全勝利である。
カバー裏風キャラ紹介。
A級メガネ(メガネ) 三雲修
二年の歳月を経てA級へ。玉狛オリジナルトリガーも入手し、合成弾の名手となった。トリオン量もまぁまぁ増えた。冷や汗はそんなにかかなくなったので、二年前とは逆に、冷や汗をかいている修を20体集めることで、抽選で金の修と交換できる。
ぶっ壊れ 青のセイバー
今作メインヒロインの一角。かなりマイナーな日本神話の星の神様で初めて降り立ったネイバーでボーダーのトリガーの始祖という設定モリモリ系ヒロイン。設定に違わず強さもモリモリ。大太刀の性能も相当なぶっ壊れ。NOUMINと同等かそれ以上の剣技にボーダー版ギルガメッシュみたいな宝具が乗っかった廉価版イシュタルみたいなセイバー。彼女の宝具の名前を作者が思いついた時は踊り狂ったのは内緒。実は激オモな過去を背負っているかもしれないDカップ。