透き通る世界で羽撃く鴉   作:ドヴァキン

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恐れていた事態

今日の俺はいつもよりテンションが高い

 

なぜならアツコが「いつも私たちのために頑張ってくれるから、お礼」と言って俺に花冠を作ってくれたからだ

 

「ふ~んふ~んふんふんふ~ん」

 

今ならこんなくそダサい鼻歌も平気で歌える

 

ふふっ…今の俺はこれまでとは一味も二味も違う!

ふふっ今の俺には余裕があるのでなんと…

プリンを二つも食べちゃいます!

 

こういう変なギャグもできるほど俺のテンションは上がってるのだ

 

ちなみに俺はどうやら鼻歌がとてつもなく下手らしい。まだサオリとミサキと三人暮らしだったとき鼻歌を歌いっていたらミサキに「その下手な鼻歌やめて」と割とマジで言われその後ろではサオリが気まずそうな顔で小さく頷いていたのが未だにトラウマとなっている

 

ダサい自覚はあるが…下手な鼻歌ではないと思うけどな

 

「…やっべ、もう日が暮れてきてる。早く帰らないと」

 

気づけば日が沈みかけていた。ある程度食料は集められたので俺は急いで家に帰った

 

「ただいまー……?」

 

家に帰ってきたが家には誰一人居なかった

 

まぁ、何か用事かなんかでどこかに行ってるだけだろう。特に気にすることでもない

そう思い帰ってくるまで少し寝ようと床に座ったとき俺は目にした

 

「……え…」

 

地面や壁のあちこちに血が飛んでいる。大量というわけではない、殴られて少し血が飛んだくらいの量だがその血はここで何が起きてしまったのかを俺に嫌というほど気づかせた

 

「いや、そんなはずは…」

 

家を飛び出すと帰ってきたときには気が付かなかったことに気づいた

 

どこかに続くようにぽつり、ぽつりと血が付いているのだ

 

「嘘だ…そんな…」

 

一体いつバレた?この前夜にミサキたちと兵士を倒したときか?或いは…アツコを助けた時から目をつけられていたのか?

 

「おーい、みんな?帰ったよ?ドッキリだろ?そうだと言ってくれよ…」

 

ここで何が起きたのかは考えなくても分かる。わかってしまう。ただそれを現実として受け止める気になれない、なれるわけない

 

俺はみんなの名前を叫び続けた。サオリを、ミサキを、ヒヨリを、アズサを、アツコを

 

……今更になって俺は後悔している。そもそも俺がアツコを助けていなければよかった。助けなければアツコ一人の犠牲でそれ以外のみんなは助かった…アツコが銃を欲しがったときにそれを了承しなければこんなことには…

 

「……何考えてんだ俺…」

 

こうなってしまったのは俺の責任だ。ベアトリーチェがいつか来る可能性に気づいておきながら何も対策せずましてや皆を置いて俺一人で食料を取りにいった

 

その結果がこれだ!俺が盾になってみんなを守るべきだったのに…何も守れないばかりか、すべて失った…

 

どうするんだショウド?お前は何がしたい?

 

頭の中で誰かが囁く

 

「どうする…俺、あのクソ女をぶっ殺しに行こうか…」

 

(殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ)

 

頭の中で誰かが囁く

 

「……殺す」

 

 

 

 

 

 

 

「おい!ショウドを何処にやった!」

 

「そんな大声で吠えないでください。耳障りです」

 

「約束しただろ!アリウス分校には家族もいると!」

 

「そのようなこと私は言った覚えがありません。はぁ…そのショウドとやらが誰かは知りませんが一つあなた方にお伝えしておきましょう」

 

「なに……?」

 

「あなた達が住んでいた家を今日一日中部下に監視させていましたが人は誰一人として来なかったそうです」

 

「え……?」

 

「これがどういうことか分かりますよね?そのショウドという人物はあなた達のことを置いて何処かに逃げてしまった。つまりあなた達は見捨てられたということです」

 

「………」

 

私たちは目の前にいるマダムと名乗る人物に「アリウス分校に来るなら衣食住のすべてを提供しましょう」と勧誘され、私たちはその提案に乗ってしまった

 

衣食住が揃っているならみんなが食料を探しに行っているときにどこかで争いに巻き込まれることもなくなる。そう私なりにみんなの事を思っての行動だった

 

その結果がこれだ、アツコはどこかに連れ去られショウドと会えると聞かされていたのにそんなことは言っていないと言われ、挙句の果てにはショウドは私たちを見捨てて何処かに行っただと?……

そんなこと…

 

「あるはずない…」

 

「?…なんです、何か問題が?」

 

「ふざけるのも大概にしろ!ショウドが私たちを置いて何処かに行っただと?そんなことあいつがするはずがない!きっと、きっと何かがあったに違いない!」

 

「もしそうだとするならその者はとっくに死んでいるのかもしれませんね」

 

「ッ!」

 

「言っておきますが私は何も知りませんよ」

 

「まぁ、それはどうでもいいことです。アリウス分校に入り生命の安全を取るか。入ることを拒みいつ死ぬかわからない生活を続けるか」

 

「明日、また来ます。それまでに答えを決めておきなさい」

 

そう言いマダムと名乗った大人は出ていった

 

「………これから…どうする……」

 

行方不明となったショウド、どこかに連れ去られたアツコ。家族が二人もいなくなってしまい私の…私たちの心はボロボロだった

 

でも、私は姉なんだ。ショウドがいない時ぐらい私がしっかりしていなくてどうする…みんなをまとめないと…ショウドのように

 

「どうするも何もないでしょ。私たちだけでこれからも生きていけるとは限らない。というかあの大人は私たちが入らないって言っても無理やり入れるんだろうけど」

 

「…そうだな、アツコのことも気がかりだ」

 

ミサキとアズサは既に気持ちを切り替えていた

 

「で、でももし私たちが死ねばショウドさんとも再開できるかもしれないんですよ?それなら…」

 

「ヒヨリ、気持ちは分かるがそれは駄目だ。あのショウドがそんなことを許してくれるわけない」

 

「ああ、それにあのショウドがそう簡単に死ぬはずがない」

 

「…それで、どうするの?」

 

「……ここで暮らすことにしよう」




ベアトリーチェってこんな感じでいいのかな…さすがにクズすぎる気がするけど…まぁいいか
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