結果二日も飛んじゃったぜ
………飯が味気ない
ずっと思ってたけど食事が美味くない。別にまずいわけじゃないけど、味がしないから相対的にまずく感じてしまう
「そうは言ってもなぁ…塩すらないわけだし、焼いて食う以外の調理法をしようにもそもそも容器も皿もないし…」
そこら辺が手に入れば何かできるだろうか……
そう思いながら今日も今日とて俺は動物を探し回っている。最近は魚ばっかり食べてていい加減飽きてきたところだ
とは言っても動物は見つけるのことすら一苦労だ。なるべく音を出さずに歩いている気でも気づかれて逃げられてしまうことなんて日常茶飯事だ
「あ、鹿いた」
しかし、それを対策するためにとある方法を思いついた。それは…!
「フンッ!」
ヒューン スカッ
「………」
足元にあった石をシカの頭目掛けて投げたがかすりもせず木に当たっただけだけでシカにも逃げられてしまった
「ふざけるな!ふざけるな!…馬鹿野郎!!」
結局いつも通り池で魚を数匹捕まえて帰るだけになってしまった
今日のご飯もいつも通りただの焼き魚…何かひと手間加えてみたいが…如何せんなにが出来るかなんて俺知らねぇし…
「あ、そういえば皆さん」
「「「ん?」」」
焚火を囲んで焼き魚を食べているとヒヨリが話を始めた
「これって何に使うかわかりますか?気になって持って買ってきたんですけど…」
そう言ってヒヨリが出してきたのは鉄で出来た丸い形で取っ手と落し蓋の付いた…
いわゆる鍋そのものである
「なんだ?これは…」
「ご飯を作るときに使うんじゃない?まあ、私たちは使わないし捨てなよ」
「いや、置いておいてくれ」
「何に使うの?」
「それは後でのお楽しみだ」
ー次の日ー
「じゃ、行ってくる」
「はい、お気をつけて!」
「……ねぇ」
「…分かりますよ、ミサキちゃん」
「なんのことだ?」
「「今日のショウド(さん)テンション高かった」ですね」
よし!鍋が手に入ったこれで食べられるものの幅が広くなった!
なにを作ろうか…鍋、鍋か…
「作りたいのはやっぱおでんだけど不可能…可能性がありそうなのは水炊きに…いのししが居れば牡丹鍋もありか…」
今日の晩御飯を何にしようかと考えつつ山を歩いていると目の前にシカが現れた
(今日の俺は一味違う!…外しはしない)
ヒューン ドンッ
石はシカの頭に命中し、気絶した
(本当に成功するとは…、まぁ一発で気絶してくれて助かった)
「そうだ、シカが手に入ったんだしどうせならシカの鍋が食いたいな…シカ…鍋…」
「……あ」
「……何?その肉」
「これ?これはシカの肉だよ、気管の部分だね」
「あの…ほかの部分は…?」
「置いてきた。持ってきても使い終わる前に腐るだろうし」
「で、何を作るの?」
「昨日、ヒヨリが持ってきたあれを使ってちょっと料理を」
「ふーん」
「ショウドの三分クッキング♪」
「用意するものはこちら、シカ肉、山菜、ショウガ」
「ショウガはそこらへんに生えたものを使用してください」
「…なんか始まったんだけど」
「というかそこらへんに生えてたって大丈夫なんですか?!」
……多分大丈夫だろ、一応グッドしておくか
「いやグッドじゃなくて!」
「まずはこちらのシカ肉を叩きまくりましょう」
「「……は?」」
「チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ……」
「とうとう壊れましたよ?!ショウドさん!」
ー十分後ー
「チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ、チタタプ……」
「「………」」
ーさらに十分後ー
「ただいまーって、なんだこの状況は…」
「よし、いい感じに粘り気が出てきました。それではこちらにあらかじめ用意しておいた刻んだ山菜とショウガを入れていきます」
「……あ、お帰りなさいサオリさん」
「これを混ぜ合わせて…団子状にしていきます」
「そして、鍋に投入していきます」
「あとはいい感じになるまで待ちましょう」
ー一時間後ー
「…よし、いい感じかな、完成!シカのチタタプ!」
「…やっと出来た」
(正直、味に自信は無い。調味料なし、下準備なしの突貫だったからな)
(ただ、チタタプはずっと言い続けた。だからきっと美味いはずだ)
そう思いながら皆に食べるための串を渡していく
「よし、それじゃ俺作チタタプご賞味あれ!」
「「「いただきます!」」」
「!美味しい…」
「ほんとか!」
「はい!すごくおいしいです!」
「ああ、こんなに美味しいものを食べられるとは…」
「さぁさぁ、まだまだあるからジャンジャン食べな」
「ショウドは食べないのか?」
「三人が食べ終わって残ってたらそれ食べるよ」
「…残ってなかったら?」
「……何か食べるよ」
「そんなこと言わずに、ショウドさんも食べましょうよ?」
「まぁ、そうだな。それじゃあ、いただきます」
「うまっ!」
少し生臭いがショウガとシカ肉がベストマッチって感じでよぉ、ハーモニーつーんですか~味の調和っつーんですか~
「ふぅ~……」
「「「「ごちそうさまでした!」」」」
三人が眠った後、俺は使った鍋の片づけをしていた
「どこに片付けようか…」
「ねぇ…」
「ミサキ?どうした?」
「いや、ずっと引っかかってたことがあって」
「引っかかってたこと?」
「そう、チタタプって言ってたじゃん。それってどこで知ったの?」
「……それは…」
「雑誌だよ、偶に落ちてたりするだろ?それ見たときにおいしそうだったからさ、覚えてただけ」
「へぇ、そうなんだ。じゃあいいよ、おやすみ」
「おやすみ…」
…あんまりみんなの前でああいうおふざけは止めたほうがいいかもな
そして
「石とか投げるより罠作ったほうが手早く捕まえられるよな…」
時間の無駄だったと思いながらこういう料理するのもいいかもなと思った
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