ピースギア×エレメントハンター ―11次元の観測者―   作:最上 イズモ

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∅16 別々

 

 元素消失率。

 

 翌日。

 

 さらに低下。

 

 二日後。

 

 測定限界付近。

 

 三日後。

 

技術士官「……ゼロ」

 

カー博士「ゼロ?」

 

「少なくとも」

 

 一拍。

 

「観測可能な元素消失はありません」

 

 研究室が。

 

 静まり返る。

 

 誰も。

 

 すぐには。

 

 喜ばなかった。

 

イズモ「ネガアース側」

 

ユノ『新規流入なし』

 

イズモ「QEXは?」

 

ユノ『正常』

 

 大型個体。

 

 小型個体。

 

 群れ。

 

 捕食。

 

 移動。

 

 以前のような。

 

 異常な元素蓄積も。

 

 ない。

 

レン『……終わった?』

 

イズモ「分かりません」

 

キアラ『そこで分からないって言う?』

 

イズモ「止まったことは分かる」

 

 一拍。

 

イズモ「なぜ止めたかは」

 

 十一次元モデルを見る。

 

イズモ「本人に聞いてない」

 

     *

 

 そして。

 

 最後の信号が。

 

 届いた。

 

 これまでより。

 

 遥かに弱い。

 

 だが。

 

 明確。

 

 機械解析。

 

 直接映像なし。

 

 複数人。

 

 独立解釈。

 

カー博士「私は」

 

 一拍。

 

カー博士「『維持』」

 

ユノ「私は」

 

 少し。

 

 目を閉じる。

 

ユノ「『別々』」

 

綾音『私は』

 

 通信越し。

 

綾音『「選択」』

 

 全員が。

 

 イズモを見る。

 

イズモ「……」

 

カー博士「あなたは?」

 

イズモ「『任せる』」

 

 四つ。

 

 違う言葉。

 

 だが。

 

 意味は。

 

 驚くほど。

 

 近かった。

 

     *

 

 十一次元側。

 

 それは。

 

 地球を。

 

 ネガアースを。

 

 QEXを。

 

 人を。

 

 人工生命を。

 

 おそらく。

 

 すべて。

 

 一つの大きな系として。

 

 見ていた。

 

 失われれば。

 

 別の可能性から補う。

 

 死ぬなら。

 

 生きる可能性へ繋ぐ。

 

 不足すれば。

 

 別の世界から移す。

 

 それが。

 

 救済だった。

 

 少なくとも。

 

 向こうにとっては。

 

ユノ「でも」

 

 ユノは。

 

 静かに言う。

 

ユノ「私たちは」

 

 一拍。

 

ユノ「一つではない」

 

イズモ「はい」

 

ユノ「地球も」

 

ユノ「ネガアースも」

 

ユノ「QEXも」

 

ユノ「私も」

 

 一つずつ。

 

 別。

 

 だからこそ。

 

 痛みも。

 

 選択も。

 

 それぞれのもの。

 

     *

 

綾音『つまり』

 

イズモ「はい」

 

綾音『救うのをやめた?』

 

 イズモは。

 

 少し考える。

 

イズモ「違うと思います」

 

綾音『じゃあ?』

 

イズモ「勝手に」

 

 一拍。

 

イズモ「救うのをやめた」

 

 通信の向こうで。

 

 綾音が。

 

 僅かに笑った。

 

綾音『それなら』

 

 一拍。

 

綾音『少しは話が通じたみたいね』

 

     *

 

 QEX回収活動。

 

 全面見直し。

 

 今後。

 

 必要な場合のみ。

 

 生態調査と。

 

 地球側への影響評価を。

 

 両立させる。

 

 ネガアースは。

 

 ただの資源回収地点ではなく。

 

 一つの世界として。

 

 扱われる。

 

 そして。

 

 ユノは。

 

 遠くを歩くQEXを。

 

 静かに見ていた。

 

レン「追わなくていいの」

 

ユノ「はい」

 

キアラ「変な感じ」

 

ユノ「私もです」

 

 少し。

 

 間。

 

ユノ「ですが」

 

 QEXは。

 

 こちらを見ない。

 

 ただ。

 

 自分の世界を。

 

 歩いていく。

 

ユノ「悪くありません」

 

     *

 

 ピースギア。

 

 最終報告。

 

 《元素消失現象:停止》

 

 《ネガアース高濃度元素流入:停止》

 

 《十一次元中間領域:存続》

 

 《意思存在判定:保留》

 

 《敵対判定:なし》

 

 そして。

 

 最後。

 

イズモ「備考」

 

 少し考え。

 

 入力する。

 

 《観測対象は、観測者を観測している可能性あり》

 

 送信。

 

 端末を閉じる。

 

     *

 

 その瞬間。

 

 誰も操作していない。

 

 観測装置の。

 

 最下段に。

 

 一行だけ。

 

 新しい記録が追加された。

 

 発信元。

 

 不明。

 

 形式。

 

 不明。

 

 翻訳。

 

 不能。

 

 ただ。

 

 ピースギアの解析系は。

 

 それを。

 

 一つの意味として。

 

 表示した。

 

 《OBSERVATION CONTINUES》

 

 ――観測は、続く。

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