ピースギア×エレメントハンター ―11次元の観測者―   作:最上 イズモ

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∅18 END 帰還

 

 

 帰還当日。

 

 ネガアース側拠点。

 

 ほとんどの機材は。

 

 すでに撤収済みだった。

 

 残っているのは。

 

 観測端末。

 

 簡易通信機。

 

 そして。

 

 一基のポータル。

 

レン「本当に帰るんだな」

 

イズモ「任務終わったので」

 

キアラ「なんかあっさりしてる」

 

イズモ「長居すると」

 

 一拍。

 

イズモ「こっちの生活に混ざりすぎる」

 

 それは。

 

 ピースギアが。

 

 異世界で活動する時に。

 

 いつも気にすることだった。

 

 助ける。

 

 観測する。

 

 必要なら。

 

 介入する。

 

 でも。

 

 居場所まで。

 

 奪わない。

 

     *

 

 遠く。

 

 QEXの群れ。

 

 以前なら。

 

 元素反応を検知した瞬間。

 

 警報が鳴っていた。

 

 今は。

 

 誰も。

 

 武器へ手を伸ばさない。

 

レン「最初に会った時」

 

イズモ「はい」

 

レン「撃とうとしなかったよな」

 

イズモ「襲われてなかったので」

 

キアラ「普通は警戒するでしょ」

 

イズモ「警戒はしてました」

 

キアラ「全然そう見えなかった」

 

イズモ「見せる必要ないので」

 

レン「……変な人」

 

イズモ「よく言われます」

 

     *

 

 撤収確認。

 

 最後の機材が。

 

 ポータルへ送られる。

 

 ユノは。

 

 少し離れた場所で。

 

 空を見ていた。

 

イズモ「ユノ」

 

ユノ「はい」

 

イズモ「何かあります?」

 

ユノ「いえ」

 

 数秒。

 

ユノ「ただ」

 

 一拍。

 

ユノ「少し」

 

 言葉を探す。

 

ユノ「惜しい」

 

イズモ「何が?」

 

ユノ「分かりません」

 

 イズモは。

 

 少し笑う。

 

イズモ「それでいいと思います」

 

ユノ「分からないのに?」

 

イズモ「後から分かることもある」

 

ユノ「分からないままの場合は?」

 

イズモ「それもある」

 

ユノ「不便ですね」

 

イズモ「感情ってそんなもんです」

 

     *

 

 ユノは。

 

 イズモを見る。

 

ユノ「また会えますか?」

 

イズモ「可能性はあります」

 

ユノ「可能性」

 

イズモ「今回それで散々な目に遭ったけど」

 

 ユノが。

 

 僅かに笑う。

 

ユノ「では」

 

 一拍。

 

ユノ「未来を見ますか?」

 

イズモ「見ません」

 

 即答。

 

ユノ「なぜ?」

 

イズモ「未来を見たからそこへ向かうんじゃない」

 

 一拍。

 

イズモ「同じ失敗をしないために見るんです」

 

 そして。

 

 ポータルを見る。

 

イズモ「会えるかどうかは」

 

 一拍。

 

イズモ「その時決めればいい」

 

     *

 

綾音『イズモ』

 

イズモ「はい」

 

綾音『そろそろ帰ってきて』

 

イズモ「今行きます」

 

綾音『本当に?』

 

イズモ「本当に」

 

綾音『寄り道禁止』

 

イズモ「十一次元とか?」

 

綾音『特にそこ』

 

イズモ「しませんよ」

 

綾音『……よろしい』

 

 通信が切れる。

 

キアラ「信用されてないの?」

 

イズモ「されてます」

 

レン「今ので?」

 

イズモ「多分」

 

     *

 

 イズモが。

 

 ポータル前へ。

 

 立つ。

 

 レン。

 

 キアラ。

 

 ユノ。

 

 そして。

 

 遠くのQEX。

 

 一つの世界。

 

 もう。

 

 元素回収地点ではない。

 

 誰かが。

 

 生きている場所。

 

イズモ「じゃあ」

 

レン「またな」

 

キアラ「今度来る時は変な事件持ってこないでよ」

 

イズモ「私が持ってきたわけじゃない」

 

 最後に。

 

 ユノ。

 

ユノ「イズモ」

 

イズモ「はい」

 

 少し。

 

 考えて。

 

ユノ「さようなら」

 

 イズモは。

 

 首を横に振った。

 

イズモ「それは」

 

 一拍。

 

イズモ「まだ早いかな」

 

ユノ「では」

 

 ユノも。

 

 少し考える。

 

 そして。

 

ユノ「また巡り合うときまで」

 

 イズモが。

 

 一瞬。

 

 目を見開く。

 

 それから。

 

 静かに。

 

 頷いた。

 

イズモ「また巡り合うときまで」

 

     *

 

 光。

 

 転移。

 

 ネガアースが。

 

 消える。

 

 次の瞬間。

 

 ピースギア帰還区画。

 

綾音「おかえり」

 

イズモ「ただいま」

 

綾音「全員?」

 

イズモ「全員」

 

 綾音が。

 

 一度。

 

 人数表示を見る。

 

 欠員。

 

 ゼロ。

 

 そして。

 

 ようやく。

 

 肩の力を抜いた。

 

綾音「今回は」

 

 一拍。

 

綾音「ちゃんと帰ってきたね」

 

イズモ「今回はって」

 

綾音「今回は」

 

 イズモは。

 

 何も言わなかった。

 

     *

 

 その頃。

 

 ネガアース。

 

 撤去された観測拠点跡。

 

 誰もいない場所で。

 

 一瞬だけ。

 

 空間が。

 

 揺れる。

 

 信号。

 

 一回。

 

 短い。

 

 そして。

 

 消える。

 

 誰にも。

 

 観測されなかった。

 

 ただ。

 

 記録だけが。

 

 遠く。

 

 十一次元のどこかに。

 

 残っていた。

 

 《SEPARATE》

 

 《ALIVE》

 

 《CONTINUE》

 

 別々に。

 

 生きて。

 

 続ける。

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