私にはお姉ちゃんがいる。綺麗な真っ黒い髪と暗い場所でも綺麗な赤い眼のお姉ちゃん。私はお姉ちゃんと反対な白い髪に暗い場所と変わらない真っ黒な目。
「ねえ末那、何して遊ぶ?」
「お姉ちゃんは大丈夫?やる事とかは…。」
「今日は何もないの!」
今日はお姉ちゃんも私もやる事は何もないみたい。正直に言えば、無くて良かったなって思う。
「お、娘ちゃん。どこに行くんだ?パパが連れてってやろうか?」
「今日は末那と遊ぶの!」
「そうか、何かあったらパパに言うんだぞ。」
中指の大人、お姉ちゃんにとっても優しい人。私には…無関心な人。でもあんまり良い感じはしないかな。
「じゃあ今日は〜……。」
「娘、迎えに来た。」
「あっ、お父さん!」
「もう一人の娘も帰ろう。」
「はい。」
人差し指の大人、お姉ちゃんに優しい人。私には…少し関心が薄いかな。付属品みたいな扱いかも。
「クソがっ!その事もできやしないのか!」
「ごめんなさい…。次はもっと上手くやります…。」
「チケット、お前はあんなしょぼい紙クズなんかとは比にならないんだよ。」
「……。」
親指の大人、お姉ちゃんにも厳しい人。だけどどこか少しの愛情と期待を向けてる人。私には…怒りの捌け口にしか見てない。
「良秀、見てくださいこの素晴らしい芸術を。この筋肉と骨の絶妙なバランスを。」
「は、はい。」
薬指の大人、お姉ちゃんに優しい人。自分と対等な価値観をお姉ちゃんに持たせたい人。私には…何も思ってないのかな。この前はお姉ちゃんを学校に通わせてた。私には何もなかったけど。
「今日もお母さん、私に会ってくれなかった。」
「きっと会えるよ、お姉ちゃん。」
小指の大人、私たちのお母さん。前に見た時も恨めしそうにお姉ちゃんを見てた。私には…可哀想なやつを見る目だった。
「末那、今日はこの研究所に行くことになった。」
「うん、気をつけてね。」
私たちは成長して大人になった。姉は様々な場所で戦闘を行って経験を積んでる。私はここで稽古をしてもらってる。容赦ないけど殺されはしない。スペアみたいなものだからかな。
「何かあったらすぐに言え。」
「中指の大人みたいなことを言わないで。」
「……。」
「いってらっしゃい。」
「ああ。」
「今日も容赦ないな、親指と中指の大人は…。」
あちこちに血が付いた体を引き摺りながら部屋に戻る。
「ここがお母さんの家?」
「ああ、そうだ。」
姉が子供を連れていた。しかもお母さんと呼んでいる。
「姉さん、外で子供を作るのはちょっと…。」
「誤解だ末那。研究室で拾った。アラヤと呼ぶんだ。」
「びっくりした。初めまして、末那だよ。」
髪とかは姉にそっくりだけど目は私に似てるな。
「お姉ちゃん、怪我してる…。」
「すぐに治るから気にしないで。」
「手当てするぞ末那。」
「はいはい。」
この暮らしに何も思わないわけではない。姉もよく思ってはいない。けれど大人たちが向けてもらえない姉の優しさを私に向けてもらえるその事だけで幾分かマシに思える。
「私も手伝う!」
「お、じゃあお願いしちゃおうかな。」
この可愛らしい少女、アラヤも来たことだしもっと賑やかになるかもね。
「そう言えば大人たちはこのこと知ってるの?」
「ああ、許可はもらった。」
「なら良いか。」
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