それから私は訓練や課題をこなしていった。それに伴い私も強くなったようで"心"を使えるようになり、親指や人差し指の訓練で"望"の使い方も教わった。そして遂に……。
「使えるようになったって?地慧星刀ってやつを。」
「はい。」
「はっ、そうかい。」
これからは私が地慧星として活動できるようになった。髪は黒く染め、目は母や姉みたいな赤い義眼に変えられた。これを見ると自分が姉のようになったと同時に、姉が嫌っていた母になったように感じる。
「姉さん、なんだかお母さんみたいだね。」
「アラヤの方がそっくりだよ。」
アラヤは高校生くらいになったかな?可愛らしい顔は姉みたいな顔つきに変わってた。
「アラヤはよくモテそうだね。」
「でも私はお母さんや姉さんが好きだから。」
「フフッ、嬉しいね。」
地慧星の活動の際は顔に皺を書き、声を低めにして出かける。
「これで終わりか。」
「ま、待て!話を…!グアッ…………!」
大体は人の殺害、もう慣れたな。小指としての仕事もあるらしいけど、ほとんどしたことがない。
「あ、姉さん。元に戻ってるよ。」
「またか…。また染めないと。」
姿が変わるたびに髪は元の白色に戻ってしまう。また染め直して、戻って、染め直して……、の繰り返し。
姉がここを出てから長い年月が経った。
「ねえ、お母さんは戻ってくるかな?」
アラヤは自分が捨てられたかもしれないと不安になっている。
「戻ってくるよ。アラヤを連れて帰るためにね。」
姉は約束を守る。あの刀の力の影響があったとしても、姉は必ず戻ってきてくれる。
「もう一人の娘、俺たちは娘が戻った時のために子方を作ることにした。」
「子方……。」
「阿頼耶識で記憶を切り刻んだ娘が、その子方と戦うに連れて今まで俺たちが教えてきたことを思い出してもらうために。」
いわば生きる教本みたいなものか。
「わかりました。」
それからの行動は早かった。親指はルチオを、人差し指はソラを、中指はキラを、薬指はアルビナを、そして私はレンという子を連れて帰ってきた。レンは星の名を継ぎたいという気持ちが強い子だ。
「レン、お前にこれを。」
「これは…。」
「私が星の名を与えられる前に使った刀だ。いずれ星を継ぐ日が来るまで、それで鍛錬に励め。」
「主様が自ら…。」
レンの前では地慧星として厳しく、情を持たないようにした。いずれ姉に殺されると分かっていたから。
「そうじゃない、この手首が違う。」
「こう、でございましょうか。」
「ああ。そして刀をもっと素早く…。」
教えるだけでなく、組み手や実戦を経験させた。
「酷い怪我だな。それはお前がまだ未熟な証拠だ。」
「……。」
「向こうで手当てをしておけ。そして何が駄目だったか、何処が良かったかを考えておくんだ。」
「承りました。」
他の大人たちみたいに、酷く当たったり、その逆で放置じみたことをしたくなかった。
「五本指については知ってるか。」
「申し訳ありませんが、小生はそのことを存じておりません。」
「せっかくなら教えてやろう。」
五本指についても、この場所にいる大人の特徴と接し方を教えた。ここで死なれては困るから。
「レン、来い。」
「はい。」
レンには死なれては困る、情をかけない、そんな言い訳はいくらでも思いついた。
「これからお前に長くかかる課題を与える。」
「主様のご期待に添えるよう。」
でも……。
「この子を来たる時にヨシヒデに会わせるようにしろ。」
私はまだ非情になれないらしい。